拠点、瑠理
「これからの事」
最近の瑠理は献刀、由理の面倒を見る機会が多い。
仕事は当主の時より少ないしその分時間が出来るからだ。
では、献刀の母、美華はどうしているかと言うと、側室の制御に忙しいと言い瑠理に世話を押し付けてしまう始末だった。
たまには二人の世話をしたらどうだと言ったのだが。
「アンタも出来れば一君との時間を作りたいでしょ? あいつ等がその機会を潰していってるのよ。だから制御しないといけないの、
このままだとアンタも一君と録に時間を作れないわよ」
こう説かれてしまう。瑠理もそれは御免だと、結局は彼女が子供達の世話をするようになる。
献刀と由理の仲は非常に良く、由理の方から献刀に歩み寄り、甘えてくる。
(本当に仲が良い……)
その光景に彼女は微笑ましく見つめる。
二人を眺め続けると、ふと、ある事を想定し不安になって来る。
(由理も、献刀に執着するときが来る?)
献刀は一刀に似て、由理は自分に似ているような気がする。だからだろう、そんな不安を抱くようになるのは。
だが、その事に不安を抱いても仕方ないとも思った。何故ならそうなったとしても、それを解決出来そうなのは献刀だけなのだ。自
分が一刀に解決してもらったように。
だから見守るしかない。無責任かもしれないが、それほどまでにそれは厄介な物だからだ。
そうならないようにする事は出来る。それは今から縛り付けるが如く、徹底した教育をする事だ。晋王の家系を支える事を第一とし、
そこには余計な感情を一切をはさまない。それこそ人形のように。
だが瑠理は絶対にそうしない。それでは由理は幸せなれないから。
もし、由理が献刀に執着するような出来事が起こった時、瑠理は彼女に全てを教えるつもりだ。出生の秘密とその経緯を。
それで由理に、幸せなれたのかあるいは幸せなのかと問われたら、瑠理は断言してこう言う。
幸せ、間違いなく、と。破滅を抱え込んでまで、お前を生むことを許したのだからと。
その上で彼女はこう言う。
だからこそ、お前には幸せになってもらいたい、と。
瑠理は見守り続ける、母、理鎖と同じように。
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これで拠点は終わり。後は本編だけです。