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IS インフィニット・ストラトス BREAKERS 第六話 BREAKERSとは

raludoさん

IS インフィニット・ストラトス BREAKERS 第六話 BREAKERSとは

短いですが、一応上げます。束さんがかなり原作と違うので、原作束さん好きな人はごめんなさい。

2013-06-03 23:07:12 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1888   閲覧ユーザー数:1817

 

「なぜこうなった……」

 

俺は絶賛引っ越し作業中である。模擬戦後、刀奈の爆弾発言のせいで引っ越しをしていた。

 

と言っても、荷物は片付け終え、刀奈の部屋移動中だが。

 

というか、いくらなんでも急すぎる。だけど、そう刀奈に反対しても、

 

「私との相部屋は……いや?」

 

と、モジモジしながら上目遣いで言われれば、男は黙るしかないだろう。

 

まあ、実際俺も嬉しいんだけどね。

 

そんなこんなで刀奈の部屋に荷物を運んでいる途中、携帯電話が鳴った。

 

「誰だ?こんな時間に。BREAKERSの定期報告は来週だし」

 

そう思い、着信相手を見る。――そして驚いた。

 

束さんっ!?珍しいな、束さんが電話なんて。普通なら直接会いに来るのに。

 

取りあえず、電話に出る俺。

 

「もしもし、束さん?」

 

しかし、帰ってきた声はすごく緊迫したものだった。

 

『コウ!助けてっ!』

 

「!!」

 

その声は俺でも聞いたことのないぐらいに焦っていた。

 

束さんがこんなこと言うなんて……ただ事じゃないな。

 

「どうしたんですか!」

 

『こっちの居場所がばれちゃったんだよ!今この研究所に軍事用と思われるISが四機向かって来てる。だけどこっちは〝ナンバーゼロ〟があるから移動できない』

 

状況を聞く限りかなりまずい状況だな。

 

「IS四機の到着予想時間は?」

 

『あと……一時間もないよ』

 

束さんの声が震えているのがわかった。こんなに怯えている束さんは初めてかもしれない。

 

いや、あの時に比べればまだましか。

 

俺はあることを決心し、束さんに話しかける。

 

「……その研究所の座標位置を俺に送ってください」

 

『コウ?』

 

「俺が今から行きます」

 

『っ!?駄目だよ、コウ!IS四機だよ!?いくらコウでも――』

 

「何と言おうが俺が助けに行きますから、一応外に出られるようにしておいてください」

 

俺が有無を言わさぬよう早口に言う。すると、

 

『束さんを助けても、結局はコウまで大変なことになるよ?そんなの私……』

 

「俺はあなたを助けます。今、俺が生きていられるのはあなたのおかげでもあるんです。そんな人が窮地に陥っている。理由なんてそれだけで充分です。それに何も無策で突っ込むわけじゃありません」

 

『ほえ?』

 

「ここの任務に入る前に俺の言ったこと、覚えていますか?」

 

『……』

 

「〝世界に絶望しているのなら、人類を信じられないのなら、まずはそこから変わっていきましょう。俺と一緒に〟俺は言いました。ISを宇宙開発に使うどころか兵器転用した人類に絶望し、他人不信なっていたあなたに。だから、俺と変わりましょう。今から織斑先生にあなたの受け入れ準備を申し出ます」

 

『受け入れ準備?』

 

「そうです。ナンバーゼロがあなたの手元にある限り、束さんは大規模な移動ができない。なら、IS学園に来てください。それであなたの身の上は守られます。ここに来るシナリオですけど、丁度〝悪役〟がいることですし、王道で行きましょう」

 

つまりはこういうことだ。ナンバーゼロが束さんの手元にある限り、大規模な移動はできない。なら、治外法権であるIS学園に来ればいい。ここに来るシナリオも王道的に、〝敵に拉致された束博士を救出。そのまま、保護という名目で治外法権のIS学園へ。そして自分はその束博士のナイト、護衛になる〟というものだ。

 

『でも、IS学園も全くの治外法権じゃないんだよ?私が行ったら、日本が他国に潰される可能性も――』

 

「そこで、束さんの出番です」

 

『?』

 

「束さんのIS技術提供と引き換えにIS学園に匿うことを了承させます」

 

『そ、そんなの――』

 

「束さん、変わりましょう。俺と一緒に」

 

『……』

 

束さんは黙ったままだ。でも、このままじゃ何も解決はしない。束さんにもちゃんと見てほしい。世界は悪意に満ちているけど、だからこそ輝く人の心を。

 

「大丈夫です。俺がいますから。あなたのナイトとして」

 

なにせ――。

 

「なにせ、俺達BREAKERSは事実上あなたの私兵部隊なんですから」

 

そう、IS委員会所属は建前だ。実際は束さん直属の私兵部隊と言ってもいい。このIS学園の護衛任務だって形式上はIS委員会からの依頼となっているが、実際は束さんの依頼だ。

 

『……わかった。信じてみるよ、束さん。コウの言う〝人の心〟っていうものを。――それに危なくなったらコウが助けてくれるんでしょ?』

 

「もちろんですよ」

 

『じゃあ、こっちの位置座標を送るね。そして作戦だけど――』

 

 

 

 

俺は奔走していた。

 

まずは刀奈への事情説明。俺の真意が伝わったのか、すぐさま手配をしてくれた。具体的に言うと、一夏達の護衛の肩代わりと、織斑先生への事情説明及び束さんの受け入れ準備などなど。本当に俺には勿体ない位いい女性だ。

 

そして、俺は束さんから送られてきた位置座標データを解析。――なんと、ここからそう遠くない無人島だった。

 

これなら、ISを使えば、二十分で付く。IS四機の到着予定時間はまだ三十分以上ある。

 

――これならいける。

 

俺は屋上まで走り、そのままの勢いで空中に躍り出た。

 

「零!」

 

『了解です』

 

俺が呼ぶと、すぐさま〝ミスティック・クラッド〟が展開される。

 

そしてスラスターを最大に吹かし、トップスピードに乗る。

 

すると、織斑先生から通信が入った。

 

『まったく。よくも独断でこんな真似しくれたな』

 

「でも、俺は助けたい。それはあなたも同じはずだ」

 

『……あいつを、馬鹿でアホな幼馴染を――頼むぞ』

 

「お任せあれ」

 

そして通信終了。

 

「零、 ミスティック・システムとたぶんあれも使うから、準備頼む」

 

『あまり無茶はしないで下さいよ、マスター。戦闘力不明のISが四機も相手なんですから』

 

「分かってる。大丈夫だ。俺は死なない。」

 

そして、さらに俺は加速した。

 

 

 

 

「……まったく。どうしてくれるのさ、コウ。こんなにも束さんの中に入り込んできちゃって。束さんはメロメロになっちゃったよ」

 

そう言いながら、回転式の椅子に座り、ぐるぐると回るのは先ほど通信していた篠ノ之束、本人だ。

 

「これはもう名前書いてもらうしかないよね」

 

言うや否や、懐から一枚を取り出した。そこには――。

 

〝婚姻届け〟

 

と記されていた。

 

 

 

 


 
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