episode１６４　究極の力

「･･･あれって、一体･･･」

一夏は呆然となって暴走したナハトヴァールを見る。

「･･･ナハトヴァール･･･それもとてつもない量の怨念で構成された思念体ってところだろ」

「やっぱり･･･あれが･･･」

「何て禍々しいオーラを･･･あれ全部が怨念によるものかな」

「な、ナハトヴァールだって！？だけど、あいつはさっき滅ぼしたはずじゃ！？」

「あれは俺とリインフォースが脱出する為の攻撃だ。あいつそのものを倒すほどの力までに及んで無い」

「なんだって･･･」

「･･･しかし、ナハトヴァールの怨念、か」

「それもとてつもない大きさの･･･」

「・・・・」

「しかも、怨念だけじゃなく、色んなものが混じっているんだろな。しかもそれらの全てを暴走させているから、このままじゃ世界を滅ぼしかねない」

「次から次へと･･･キリが無いね」

「一難去ってまた一難と･･･」

「・・・・」

「このまま戦えるのは･･･この場に居る者だけか」

隼人は後ろを振り向いて四人を見る。

「俺は大丈夫だが、さすがにスタミナが･･･」

外から見ても全身装甲な為に一夏の表情は見えないが、声に少し疲労の色が見えた。

「私も少しエネルギーを使い過ぎた。援護するのがやっとぐらい」

装甲の各所が削れたたり黒焦げており、少しいつもより覇気が無い。

「私も･･･完全なポテンシャルが発揮できない･･･」

見ればライオットザンバーの刀身の輝きが少し薄くなっていた。

『リインは戦えます。でも、火力的にあれだけ巨大な物と戦うのは･･･厳しいです』

「そうか。･･･そう見てまともに戦えそうなのは･･･俺ぐらい、か」

『・・・・』

隼人は暴走体になったナハトヴァールを見る。

「･･･俺も覚悟を決める時かな」

『隼人･･･』

「覚悟って･･･どういうことだ？」

一夏は怪訝そうな表情を浮かべて隼人に聞き返す。

「力の解放さ」

「なに？」

「今までは巨大な力を制約してきた。それは力の暴走を恐れていたからだ」

「・・・・」

『隼人さん･･･』

「だが、今こそ･･･その力を使う時だ。全力でな」

「･･･まさか、あれをやるつもりなの、隼人君！？」

ユニコーンは隼人がやろうとしている事に気付く。

「あれって･･･何なんだよ本当に･･･」

「･･･ツヴァイ。『ツインユニゾン』･･･いけるな？」

『･･･はい。ですが、これは･･･』

ツヴァイは躊躇っていた。それほど危険な行為だからだ。

「つ、ツインユニゾン？･･･何だよそれ？」

聞いた事の無い用語に一夏は聞き返す。

「その名の通り、俺とリインフォースとツヴァイがユニゾンする･･･最後の切り札だ」

「何だって！？リインフォースだけじゃなく、リインともユニゾンするって！？」

「あぁ」

「･･･確かにそれを行えば隼人君は絶大たる究極の力を得る事になる。でも、その代償に君の体への負担は計り知れない」

「・・・・」

「それでも、いいの？」

「俺がどうなろうと、構わない。それでみんなを守れるのなら、どんな物だって受け止める」

「隼人･･･」

「･･･本気･･･なんだね」

「力があって使わないんじゃ意味が無い。そんなんでもう後悔はしたくない。力をもったいぶる時じゃない」

「・・・・」

「･･･今度こそ、守ってみせる」

「・・・・」

「リインフォースも、行くぞ」

『はい、隼人』

リインフォースはもう覚悟を決めていた。

『・・・・』

ツヴァイは悩むも、覚悟を決めてエクセリオン･ゼロに手に右手を置く。

「行くぞ」

『はい！』

『はいです！』

「『『ツインユニゾン･･･インッ！！！』』」

そしてエクセリオン･ゼロとツヴァイが光り輝くと、二人を包み込む。

「っ！」

一夏とユニコーン、バンシィはとっさに光を腕で庇う。

「・・・・」

「・・・・」

「・・・・」

光が収まって三人は腕を退けると、そこには一つの機体が浮いていた。

「は、隼人･･･」

「･･･これが･･･」

「･･･ツインユニゾンした――――」

三人はその姿に息を呑む。

外見上エクセリオン･ゼロと大差はあまり無いが、左腕にはクラッシャーフォームで装備するアルトアイゼンを、両サイドアーマーにはアクセルフォームで装備するウイングアーマーを装備していた。背中には変わらず四つのウイングを持つが、その中央に新たにバインダーが追加され、正面からだとまるでマントの様なシルエットに見える。

「『『アルティメット･･･ゼロッ！！！』』」

隼人とリインフォース、ツヴァイの声が重なって究極の力･･･アルティメット･ゼロが顕現する。

「行くぞ、二人共！」

『はい！』

『はいです！』

隼人は両手に剣を展開すると、それを上に上げて繋ぎ合わせると、大剣『ホフヌング』を形成し、両手に持って構えるとウイングとバインダーを展開して一気に飛び出す。

「アルティメット･･･ゼロ」

「・・・・」

「あれが究極のゼロ･･･」

その姿に見とれていたが、三人はすぐに気持ちを切り替える。

「どこまでやれるか分からないけど･･･」

ユニコーンはエクサランスカノンのフォアグリップを右手で持って構える。

「やれるだけの事はやる」

少し刀身の輝きが薄くなっているライオットザンバーを持ち直して構え、バンシィはカバーを下ろしてリボルバー式の弾倉を横に出してカートリッジを装填するとカバーを閉じてリロードする。

「あぁ。あいつだけに戦わせるわけには行かない」

一夏はアロンダイトを両手で持って構えるウイングを展開して光の翼を出す。

『ヴォォォォォォォォォォォッ！！！』

ナハトヴァールは雄叫びを上げて両肩から伸びるクローやキャノン、周囲に居るガンダムヘッドよりビームを隼人に向けて放ってくる。

隼人はナハトヴァールより放たれるビームの弾幕の間を掻い潜っていくとホフヌングを両手で持って先端を後ろに向けて力を溜める。

「切り裂けっ！！」

勢いよくホフヌングを振るって巨大な光波を放ち、ナハトヴァールは前面にフィールドを張るも、光波はフィールドを切り裂いてナハトヴァールの左肩のキャノンと左側のガンダムヘッド三本を切り裂いた。

『ヴァァァァァァァァァァァッ！！！』

煩わしいように叫ぶと牙を持つ口より高出力ビームを放つも、隼人はホフヌングを振るってビームを切り裂く。

『アクセルブースト！！』

リインフォースが叫ぶと、アルティメット･ゼロは一気に加速し、一瞬の速さでナハトヴァールを横切ると右側の翼とクローを切り落とした。

そのまま直角に曲がって別方向から元来た方向に飛び、ナハトヴァールの右側に居るガンダムヘッドを全て切り裂いていく。

ナハトヴァールは口からビームを放って前面を薙ぎ払うと水壁を上げてアルティメット･ゼロの動きを鈍らせる。

「ちっ！」

その直後に左側の翼より赤と黄色の羽を飛ばしてくるが、隼人はホフヌングを振るって羽を切り裂くが、その瞬間ナハトヴァールが下半身のマスクを展開すると巨大なビーム砲を出し、膨大な量のビームを放って来た。

『ディフェンドパワード！！』

ツヴァイが叫んでアルティメット･ゼロの前面に強力なフィールドを張ってビームを防ぐ。

ビームはアルティメット･ゼロを飲み込んだが、隼人はそのまま上に向かって飛び出るとホフヌングを両手に持って身体を回転させて振るうと巨大な光波を放つ。

ナハトヴァールは背中の巨大な二本の杭を前に出して光波にぶつけて電撃を与えて光波を打ち消す。

「っ！」

直後に残ったガンダムヘッドが一斉にビームを放って来たが、弾幕の間を掻い潜ってホフヌングを振り被って刀身にエネルギーを纏わせ、更に三倍以上の長さまで伸ばす。

「でぇぇぇぇぇぇぇぇぃ！！」

隼人は巨大なエネルギー刀身をナハトヴァールに振り下ろすも、一瞬フィールドに阻まれるがすぐに破られて右腕を切り裂き、更にガンダムヘッド五体ほどを縦に真っ二つに切り裂く。

『オォォォォォォォォォォッ！！！』

ナハトヴァールは切り裂かれた腕よりウネウネした弦を何本も出してそれを束ねると、それを巨大な砲身にし、隼人に向けて放ってくる。

隼人はホフヌングを前に出して刀身の腹でビームを防ぐ。

「何てやつだ･･･！攻撃してもすぐに再生と進化を即座に行うとは！！」

『これが怨念による力なのでしょうか？』

「分からん。もしそうだとしたらとてつもない怨念だぞ」

『そうですね』

『凄すぎですよ･･･』

「･･･まさに破壊の邪神だな」

隼人はホフヌングを振り下ろして光波を縦に放つと、残っているガンダムヘッド五本を切り裂いて撃破すると、一気にナハトヴァールに接近する。

ナハトヴァールはクローよりビームを放ち、更にキャノンを放ってくるが、隼人はホフヌングを振るってビームと次に飛んでくる巨大な弾丸を切り裂き、一気に飛び出してナハトヴァールの目の前まで来る。

とっさに後ろの胴体より蟹の鋏のようなクローを突き出すが、隼人は左腕のアルトアイゼンを突き出して衝突させると、クローを粉々に砕く。

「打ち貫け！！」

隼人は一気に飛び出してアルトアイゼンの後部ブースターを噴射して杭を突き出してナハトヴァールの胸部に叩き付け、連続でリボルバー式の弾倉の炸薬を爆発させて杭を叩き付ける。

『ヴォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォォォォッ！！』

ナハトヴァールは雄叫びを上げて左腕で隼人を殴りつけると、そのまま掴み取る。

「ぐっ！」

そして隼人を握り潰そうと手に力を入れる。

しかしその瞬間にナハトヴァールの左腕に何かが横切り、腕を切り落とした。

「油断したな！」

それは一夏のインフィニティーであり、アロンダイトを構え直すと急上昇して隼人が杭で打ち込んだ胸部を切りつけた。

「助かった、一夏！」

隼人は握られている手を外すと弾倉を右側に出して空薬莢を排出して直接弾倉にカートリッジを装填してアルトアイゼンに戻す。

直後に左腕より弦が出てきてそれが巨大な大剣に変形するとそれを勢いよく振るってくるも、隼人はとっさいホフヌングを振るって刃を交える。

一夏が反対側から接近しようとするが、ナハトヴァールは右腕の巨大キャノンより高出力のビームを放ってきて一夏はとっさに急上昇してかわす。

「くっ！」

隼人は大剣を押し返してアルトアイゼンの前部側面装甲を展開して無数のエネルギー球を飛ばして大剣にぶつけて爆発させて粉砕する。

しかしすぐに弦が現れて大剣を再形成し、勢いよく振るってくるが隼人はとっさに急速後退して斬撃をかわす。

その直後にユニコーンがエクサランスカノンを放ってナハトヴァールの顔左半分に直撃させるが、直後に口からビームを放ってくるが、ユニコーンはとっさにブラスタービットを前面に四基配置してその間にフィールドを張ってビームを弾く。

『オォォォォォォォ･･･』

ナハトヴァールは唸りを上げ、口から白い煙を出し、破壊された左側顔面から弦が出てきて荒れた表面となって再生する。

「貫け！雷刃！！」

バンシィはライオットザンバーを突き出して収束した雷撃を飛ばし、ナハトヴァールの右肩を貫いて爆発させた。

『今です！隼人さん！！』

ツヴァイの合図と共に隼人は外側のウイングを上下反転させて機体上部に出すと、その間にビーム磁場を発生させ、収束ビームを放った。

ナハトヴァールはフィールドを張って防ごうとするも、ビームはフィールドを破って胴体を貫いた。

『ガァァァァァァァァァァァッ！！！』

ナハトヴァールは苦し紛れに咆哮し、背中から弦を出して翼を再生すると、羽を一斉に飛ばす。

隼人はホフヌングを二つに分離させて両手に持つと、飛んでくる羽を切り裂く。

「くそっ！これじゃキリが無いぞ！」

一夏は背中左側の超長距離ビーム砲を展開してナハトヴァールに向けてビームを放つが、ナハトヴァールは右腕のビームキャノンを放ってビーム同士をぶつけて爆発させる。

「ぐっ！」

爆発で一夏は少し体勢を崩し、その瞬間にキャノンからたくさんの弦を出してインフィニティーを絡みつかせた。

「ぐ、ぐぁぁぁぁぁぁぁっ！？」

その瞬間に一夏は弦で締め付けられるが、その瞬間にユニコーンがエクサランスカノンを放ち、バンシィがライオットザンバーを振るって巨大な光波を放ち、両者の攻撃がキャノンに直撃して爆発し、キャノンを粉砕する。

「っ･･･！」

一夏は弦を強引に引き千切って払うと、すぐに離れて隼人がホフヌングを振るって光波を放ち、ナハトヴァールの右腕を切り落とす。

『グォォォォォォォォォッ！！！』

ナハトヴァールは咆哮を上げると右腕より弦を出して再度キャノンを形成すると、それを二連装に変貌させる。

「なんてやつだ。攻撃される度に再生し、更には進化する。このままあいつに攻撃を与え続けたら倒せなくなるぐらい強くなるぞ」

「マジかよ」

「やっぱり並の攻撃じゃどうすることも出来ない･･･」

「私達が完全な状態だったら･･･」

するとナハトヴァールが赤く光り輝き、上半身と下半身のツインアイが赤く発光する。

「くそ･･･あいつの反応がどんどん強くなっている。いよいよまずいぞ」

「・・・・」

「このままだと勝率は絶望的になるかもしれない」

「そんな･･･」

「一夏。事実である以上、それを受け止めろ」

隼人はホフヌングを連結して大剣にして両手で持って構える。

「だが、そうはさせない」

「隼人君･･･？」

「今度こそ･･･絶対にみんなを守ってみせる」

「・・・・」

「リインフォース、ツヴァイ。いけるな？」

『やっぱり･･･あれも行うのですか？』

ツヴァイの声には少し迷いがあった。

「こうなった以上もう手段は選べない」

『・・・・』

『準備は出来ています。いつでも』

リインフォースは事前に隼人が行おうとしている事を予想して準備していた。

「さすがだな」

「隼人。何をする気だ！？」

「このまま戦っていたってラチが明かない上に、俺達の敗北が目に見えている」

「そりゃそうだが･･････何か考えでもあるのか」

「あいつの再生速度に追いつけないぐらいのダメージを与え続けるしかない」

「なんだって？」

「最もうまく行く保障など無いがな」

「・・・・」

「だが、俺は必ず成功させるさ。今度こそな」

するとアルティメット･ゼロが輝き出す。

『リミッター解除！！コード「Ａ･Ｅ･Ｘ」発動！！』

『「ｱﾌﾞｿﾘｭｰﾄｴｸｽﾄﾘｰﾑﾓｰﾄﾞ」！！隼人さん！！』

「あぁ！！」

そしてアルティメット･ゼロは更に輝きを増し、衝撃波が周囲に放たれる。

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ！！」

隼人は身が裂けんばかりに叫ぶと、輝きと衝撃波が一気に放たれてアルティメット･ゼロが黄金に輝く。

『ｱﾌﾞｿﾘｭｰﾄｴｸｽﾄﾘｰﾑﾓｰﾄﾞ』･･････その名の通り絶対的な極限能力を解放する最強にして最後の切り札･･･

「っ！！」

ホフヌングを振るって一瞬の速さで飛び出すとナハトヴァールの胴体にホフヌングを突き刺した。

「ぐぅぅぅぅ！！」

そのまま強引にホフヌングを振り上げて胴体から頭部を切り裂くと、一瞬の速さで背後に回り込んで二つに分離するとナハトヴァールの両腕を切り落とす。

弦を出して再生しようとするが、その前に一瞬の速さで両手に持ったホフヌングを振るって切り裂くと、更に周囲を飛んでナハトヴァールの全身を切り裂く。

「す、すげぇ･･･」

その光景に一夏達は唖然としていた。

「何て速度なの･･･」

「私達でも、姿を捉えられないなんて･･･」

ユニコーンとバンシィはただその光景を見るしか出来なかった。

「絶対極限･･････まさにその名の通りだね」

「・・・・」

『ゴアァァァァァァァァァッ！！！』

再生しようにもその前に再生箇所が切り裂かれてナハトヴァールは苦しむように咆哮を上げ、口より高出力ビームを放つが、一瞬の速さでビームをかわす。

隼人はホフヌングを連結して大剣にし、ビームを放とうと口を向けるも隼人はその前にホフヌングを勢いよく投擲し口に突き刺すとすぐに飛び出して柄を掴むとそのまま上に振り上げて頭部を切り裂く。

ナハトヴァールは下半身の頭部のマスクを展開するが、隼人は一瞬の速さで降下するとビーム砲を切り裂いて破壊すると、すぐに横に振るい両足を切断する。

「再生しようにも再生できない。それが苦しいか。ならば、その身体である事を呪う事だな」

隼人はホフヌングを勢いよく縦に振り上げて、刀身の腹でナハトヴァールを殴りつけると自身の数倍以上の大きさのナハトヴァールを上空に向けて吹き飛ばし、更に外側のウイング二基を上下反転させて機体上部に出すとビーム磁場を出して収束ビームを放って下半身の頭部を吹き飛ばす。

「永遠に消滅と再生を繰り返せ。そして最後に･･･滅びろ」

隼人は更にパワーを上げると、ホフヌングを両手で持って構えウイングとバインダーを展開する。

「っ！！」

隼人はナハトヴァールに向かって飛び出すとホフヌングを振り被り、勢いよく振るって縦にナハトヴァールを切り裂く。

そして腰の両サイドのウイングアーマーを切り離して前方で後部同士を連結し、更にホフヌングを放り投げてウイングアーマーの連結部に連結し、左腕のアルトアイゼンを切り離してホフヌングの後部に連結し、弓矢のような形状の武器にするとそれを左手に持ってナハトヴァールに向ける。

「・・・・」

隼人は右手でエネルギー弦を持って引き絞ると、ホフヌングが中央より展開してエネルギー刃を形成して装填する。

「貫け！！！」

そしてエネルギー弦を手放して放つと、膨大かつ高密度に圧縮されたエネルギー刃を勢いよく飛ばし、ナハトヴァールに直撃して体内まで突き刺さる。

その勢いでナハトヴァールは滅茶苦茶な速さで飛ばされ、一瞬で大気圏外へと飛ばされる。

「・・・・」

隼人がナハトヴァールを飛ばした方向には、厚い雲に隠れているが、その先には空の彼方に沈む太陽がある。

つまりそのまま飛んでいけば、ナハトヴァールは太陽に焼かれる･･･

「お前に･･････終わりは無い」

隼人はナハトヴァールの消滅を感じ取り、弓を下ろして黄金の輝きが消える。

『隼人･･･』

『隼人さん･･･』

そうして隼人の下に一夏、ユニコーン、バンシィが合流する。

「ようやく･･･終わったな」

「そうだね」

「うん」

「ようやく、か」

「･･･帰ろう。みんなの元にな」

「あぁ」

「うん」

「了解」

そうして四人が移動しようとした時だった。

喰らえ･･････

「・・・・？」

一夏は一瞬脳裏に声が響いてとっさに後ろを振り向く。

「どうした、一夏？」

急に止まった一夏に隼人は声を掛ける。

「あ、いや、何でもない」

一夏はすぐに三人の元に向かう。

(さっきの声･･････気のせいかな･･･)

さっきの声に疑問に思うが、すぐに考えるのをやめた。

しかしこの時誰も気付いてなかったが、インフィニティーの背中に怪しく光る一点の光があった事を･･････

それから四人は残ったメンバーと合流してネェル･アーガマへと帰還した。

「・・・・」

「・・・・」

隼人達が戦っていた戦域より離れた所に二つの機影があった。

一つは一夏を助けたフリーダムであり、もう片方は全身ボロボロの布で包まれて姿は確認できないが、布の間からは純金の如く輝く装甲やメタルレッドなどのカラーリングがチラッと見え隠れしており、頭部を覆う布の隙間よりグリーンのツインアイが覗いていた。両肩や背中が横に突き出ていたり頭部にアンテナらしきものがあるなど、布が盛り上がっている箇所が多かった。

「進化したか･･･」

「うむ･･･」

その者はボソッと呟く。

「予想より早く事が進んだな。これならば、『やつ』を越えれるかもしれない･･･」

「・・・・」

そうして二体はその場から後ろに向かって飛び出した。