EP7 デートの続きは彼女の家で
和人Side
明日奈が俺の腕の中で大人しくしていると、何かに思い至ったようで声を掛けてきた。
「あの、どうしてキリトくんは駅前にいたの?」
「明日奈の事が気になったから迎えに行ったんだけど……ごめんな、あんな事になってて…」
「そうだったんだ…。わたしの方こそごめんね、来てくれたのにあんな態度…。
だけど、迎えに来てくれてありがとう、和人くん///」
「ああ…」
彼女は和人と呼んでくれた。いや、そう意識したのかもしれないけどな。
さらにそのまま明日奈を抱き締めながら俺達は話しを続けた。
病院にいた時も色々な事を話したけれど、それでも俺達の間に会話が尽きる事は無い。
SAOの中でまだ共にいる事がなかった時期の事、お互いに想い合い始めた頃の事、ALOでのお互いの事、
それらを改めて話すことでまた自分達が想い合っているのだと深く理解する。
そんな時、ふと電子時計に目を向けて見ると既に時刻は午後の1時になろうとしていた。
「明日奈。もう昼も過ぎてるし、何か食べようか?」
「あ、ホントだ……そうだ、キリトくん。わたしが作ってもいいかなぁ?」
「是非頼むよ、だけど俺も手伝うからな。
ある程度のことは出来るし、明日奈と一緒に料理がしたいから」
「うん、一緒にやろう♪」
俺と明日奈は部屋から出てからキッチンにて料理を始めた。
「「ごちそうさまでした」」
簡単な料理を2人で作り食べ終えた。
俺は簡単な卵焼きを作っただけなのだが、どうやら明日奈の口に合ったようで気に入ってもらえたようだ。
そして2人で食器類の片づけをしている。俺が食器類を洗い、明日奈がそれを布巾で拭く。
彼女は「また今度、本格的に作ってあげるからね♪」と言ってくれたのは非常に嬉しい。
「さて、午後からはどうする? 折角だし何処かに出かけるか?」
「そ、それじゃあ、わたしの家///!」
「………Really(本当か)?」
「うん…///」
なんともまぁ、どうしよう…?
スグが帰ってくるまでに家に着けばいいかな……いや、いっその事スグは刻に任せるか?
まぁ遅くなるようなら刻に任せるか。
「なら、お呼ばれしてもらっていいか?」
「もちろん///♪」
そうと決まれば後は早い。俺は適当に財布と携帯をポケットに突っ込み、俺達は自宅を後にした。
駅から電車に乗って明日奈の自宅に最も近い駅へと向かう。
時間も時間だったので電車内は人が少なく、俺も明日奈も座席に座る事が出来た。
そして辿り着いた駅から徒歩で彼女の自宅へと向かっている。
明らかに高級住宅街と言える軒並みに少々驚きながらも歩を進めていくと…、
「ここだよ」
「……あぁ、デカいな…」
さすがは結城家というべきか、家が大きく、庭も広い。
雫さんの家で慣れてはいたつもりだが、慣れるものじゃないのかもしれない。
明日奈に続いて門を潜り、玄関へと来る。
「どうぞ」
「お邪魔します」
玄関の扉を開けられたのでそこを通り、思ったのは外観の通りに中もやはり広い。
女の子の家というのは雫さんと奏さんの家以外は行った事がないからなぁ。
しかも恋人の家だから緊張しているのは内緒だ。
「おかえりなさいませ、お嬢様。あら、桐ヶ谷さん」
「ただいま、橘さん」
「こんにちは」
出迎えてくれたのは結城家のお手伝いさんである初老の女性『
他にも2人ほど姿を窺える、これほどの大きな家ならば数人は居てもおかしくはないか。
雫さんの家は
「先日は騒ぎの中でしたので碌なご挨拶も出来ずに申し訳ありませんでした。
改めまして、橘美与子と申します、以後お見知りおきください」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
居住まいを正して挨拶を述べた彼女に俺も言葉を返す。
用意されたスリッパに履き替えて、明日奈に付いていくと1つの部屋の前に通された。
「わたしの部屋だよ」
明日奈の部屋か、彼女はドアを開けて俺を中へと招き入れた。
彼女の部屋はスッキリとしている整った部屋だ。
もしかしたらぬいぐるみなどがあるのかと思ったから少しだけ意外だった。
「キリトくん、こっちこっち♪」
「(くすっ)分かった」
明日奈はベッドに座って自分の隣に座るように促してきたので、俺は彼女の隣に座る。
恋人とはいえ女の子のベッドに座っていいものなのかは気になるが、明日奈が気にしていない様子なので、気にしないでおこう。
「えへへ~、男の子でわたしの部屋に入ったの、キリトくんが初めてだよ///」
「これで前に誰か入っていたら……お仕置きだな(ニヤリ)」
「そ、そんな事ないもん//////!(お仕置きは……魅力的かも…//////)」
意地の悪い俺の言葉に明日奈は真っ赤な顔で抗議する……が、最後に何か聞こえたような気が…。
頬を膨らませながら俺の肩に凭れ掛かる彼女の頭を左手で撫でると、やはり嬉しそうに表情を緩めた。
「明日奈…」
「キリトくん…///」
俺達の唇が触れ合う……と思ったその時、
―――コンコンコンッ
「お嬢様、お飲物をお持ち致しました」
「ひゃ、ひゃい///!? ど、どうぞ///!」
扉がノックされて橘さんの声が聞こえた。
明日奈は上ずった声で返事をし、俺はその様子につい笑ってしまい、
彼女はまたしても赤くなりながらそっぽを向いてしまった。
「失礼します…あら? もしやお邪魔でしたか?」
「いえ、少しタイミングが早かっただけですから」
「キ、キリトくん///!?」
橘さんが明日奈の様子を見て笑みを浮かべながら訊ねてきたので、
俺が正直に答えると明日奈は慌てており、俺も橘さんもさらに笑ってしまう。
明日奈はからかわれた事に気が付き、顔を俯かせてしまった。
「それでは机の上に置いておきますね(桐ヶ谷さん、後はお願いします)」
「ありがとうございます(いえ、俺も悪ノリしてしまいましたから)」
明日奈に気付かれないように小声で橘さんと言葉を交わし、彼女は部屋から退出した。
さて、明らかに不機嫌な空気を醸し出す明日奈をどう宥めるか……手っ取り早く押し倒
(作者「自重しろ!」和人「へいへい…(ちっ、いつもはノリノリで書いているくせに…)」)
すのはさすがに駄目だな、俺もまだ本調子じゃないし。ふむ、それならやはり…。
「ぁぅ、キリトくん///?」
「ん、からかってごめんな…」
優しく宥めるように彼女の体を腕の中に収めると俺の服をしっかりと掴んだ。
やっぱりこういう甘え癖があるところが
「なら、罰としてそのまま撫でてください///」
「それは大変な罰だな」
「うん、大変なんだよ///♪」
そんな問答をしながら、俺達はまた静かな一時を過ごした…。
和人Side Out
To be continued……
後書きです。
はい、今回は明日奈の家への訪問でした。
一応ですが次の話しでデート編は終了になります。
次回の話しも是非お楽しみにw
ではまた・・・。
Tweet |
|
|
23
|
8
|
追加するフォルダを選択
EP7です。
前回のデート?の続きで、今回は明日奈の家に。
それでは、どうぞ・・・。