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真・恋姫†無双 異伝 「伏龍は再び天高く舞う」外史動乱編ノ三十三


 お待たせしました!

 討伐軍によって遂に追いつめられた曹操軍。

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2013-03-26 21:09:47 投稿 / 全13ページ    総閲覧数:6106   閲覧ユーザー数:4679

 

「はあっ!」

 

「何の、まだまだ!!」

 

 紫苑と夏侯淵が一騎討ちを始めてはや二刻。

 

 実力が拮抗した二人の戦いは何時終わりを見せるのか分からないほどで

 

 あった。

 

「…さすがは曹操軍にその人有りと言われるだけの事はあるわね。ここま

 

 で決着が着かなかったのは久々よ」

 

「ふっ、そういう貴公こそ。曲張比肩の弓の名手の名に恥じぬ腕よ」

 

 当の二人は一騎討ちの最中にも関わらず、そう言って笑いあっていた。

 

「だが…」

 

「だけど…」

 

「「ここで負けるわけにはいかない!!」」

 

 二人は同時に矢を放つ。

 

 しかし夏侯淵の放った矢は紫苑の頬を掠め、紫苑の放った矢は夏侯淵の脇腹

 

 を掠るといった具合に双方とも決定的な打撃を与える事が出来ずにいたので

 

 あった。

 

「はぁっ、はぁっ、どうした黄忠。そのようなへろへろの矢で私を射る事など

 

 出来んぞ」

 

「あらあら、そっちこそそんなに息があがった状態で私と戦おうなんて無謀な

 

 事ではなくて?降伏するなら今の内よ」

 

「ふっ、ぬかせ…あいにく私は曹孟徳以外の人間に膝を屈する気などさらさら

 

 無くてな。それに悪いがここを突破して主の下に帰らなくてはならん。そろ

 

 そろ終わりにさせてもらうぞ」

 

 

 

 夏侯淵がそう言うや否や、二人は瞬時に矢を放つ。

 

 紫苑の矢は夏侯淵の肩口を掠めただけであったが、夏侯淵の矢は紫苑の弓に

 

 当たり、紫苑は弓を落してしまう。

 

「得物を落したのが運の尽きだな!くらえ!!」

 

 そう言って夏侯淵が弓を構えようとしたその瞬間、紫苑は一気に距離を詰め

 

 る。その手には短剣が握られていた。

 

「なっ…」

 

「夏侯淵、覚悟!!」

 

 紫苑の短剣が夏侯淵の脇腹に刺さったが、その傷は浅手であった。

 

「ぐおっ!…だがこの程度で!!」

 

 脇腹を抑えながら顔をあげた夏侯淵の眼に映ったのは何時の間にか偃月刀を

 

 握っていた紫苑の姿であった。

 

「これで終わりです、夏侯淵!!」

 

 紫苑が偃月刀を振り下ろし、夏侯淵の左の肩口を斬り裂く。

 

「ぐっ…この!」

 

「まだ息があるようですね…止め!!」

 

 紫苑が夏侯淵に止めをさそうとしたその時、

 

「夏侯淵様をお守りしろ!!」

 

 それまで成り行きを見守っていた夏侯淵の部隊の兵士が間に割って入り、身

 

 代わりに斬られる。

 

 その隙に他の兵が動けなくなった夏侯淵を担いで離脱しようとするが、

 

「夏侯淵を逃がすな!!」

 

 紫苑の部隊の兵士がそれを追いかけ混戦となり、夏侯淵の部隊のほとんどを

 

 討ち取ったものの、夏侯淵自身の行方は見失ってしまったのであった。

 

「くっ、夏侯淵…弓での勝負に負けた上、みすみす取り逃がしてしまうとは…

 

 皆に何と言って詫びれば良いのか…」

 

 紫苑はそう悔しそうに唇を歪めていた。

 

 

 

「なかなか粘るわね…南皮の陥落は知らせたっていうのに」

 

 雪蓮は北平の城壁を見上げながらそう苦々しげに吐き捨てていた。

 

 幽州上陸後、意外と頑強に抵抗する諸城を攻略した雪蓮達が最後の拠点とな

 

 った北平の城を取り囲んでから三日が経っていたが、公孫淵からの降伏の意

 

 思は無く、こちらからの使者も追い返される始末であった。それは麗羽達に

 

 よって南皮が陥落させられたという知らせを流しても変わる事は無かったの

 

 であった。

 

「焦っていても仕方が無いぞ雪蓮。我らの使命は幽州の制圧。それについては

 

 ほぼ達成されたのだ。ここで城攻めを急いだら無闇に損害が増えるだけなの

 

 はお前も分かっているはずだが?」

 

 冥琳がそう言うと、雪蓮は『言われなくても分かってるわよ、その位』と呟

 

 きながら陣の後方へ下がっていった。

 

「姉様も随分苛立っているようね」

 

 そこへ蓮華がやって来てそう冥琳に話しかける。

 

「申し訳ありません…どうやら本隊の方が着々と戦果を挙げているので焦って

 

 いるようで…」

 

「ふふ、正直私もそういう気持ちはあるのだけどね。私達って最近あまり戦果

 

 を挙げてないしね。この間に張怨との戦だって、結局一刀達に頼っちゃった

 

 ような結果だったし」

 

 蓮華はそう言いながらため息をつく。

 

「…その割には随分落ち着いているようにも見えますが?」

 

「そう?実はね…こういう時に自分を落ち着かせるおまじないを一刀に教わっ

 

 たの。『姉様は姉様、私は私』ってね。そう思うと意外と物事を冷静に見ら

 

 れるようになるのよ」

 

 冥琳の質問に蓮華はそう答えて微笑んでいた。

 

 

 

「ふふ…」

 

 そんな蓮華の姿を見て冥琳も微笑む。

 

「蓮華様は本当に良き主君となられた。北郷に感謝せねばなりませんね」

 

「ええ、そうかもね」

 

 蓮華はそう言ってウインクすると、居住まいを正して城壁に眼をやる。

 

「でも何かしらの手は打たないとダメね。このままでは兵達に焦りや倦怠感が

 

 出かねないわ。多少でいいから相手を揺さぶる方法とか…冥琳は何か考えは

 

 無いかしら?」

 

「実を言えば私もずっとそれを考えていました。雪蓮みたいに考え無しに攻撃

 

 するわけにはいきませんが、このまま城を囲んでいるだけでは埒も開きませ

 

 ん。それで城の周りをいろいろ見てはいたのですが…」

 

 冥琳はそう言ったまま眉間に皺を寄せて城壁に眼を向けてしまった。

 

「相手の守りは固いという事ね…」

 

「はい、ですがそれは城と兵だけの事のようです」

 

「城と兵だけ…もしかして?」

 

「聞いた話では北郷軍も成都を落とした時にその手を使ったとか。本来ならば

 

 人真似など避けたい所ではありますが…」

 

「なりふり構ってる場合では無いわね」

 

 冥琳の言葉に蓮華も不承不承ながら頷く。

 

「それではその作戦でいきましょう。雪蓮には…」

 

「私から話しておくわ。ぶうぶう言われそうだけどね」

 

 

 

 それから数日後、雪蓮は陣の中で一人酒を飲んでいた。

 

「おい雪蓮、ここは戦陣だぞ。飲むなとは言わんが程々にしろ」

 

「ふん、どうせみんな蓮華と冥琳で決めてるんでしょ。なら私は他にする事な

 

 んて無いわよ」

 

 さすがに冥琳がたしなめるが雪蓮は何処吹く風な様子で酒を飲み続ける。

 

「お前な…実際戦が始まれば雪蓮にも出てもらわねばならんのだぞ?その時に

 

 へべれけになっていては困るのだがな」

 

「大丈夫~酒樽の一つや二つ位で潰れやしないわよ~」

 

 そう言っている雪蓮の呂律は少々おかしくなっていたのだが。

 

「まったくお前という奴は…『申し上げます!』どうした!」

 

「北平の城内で騒ぎが起きている様子です!」

 

 兵士からのその報告に冥琳の眼光が鋭く光る。

 

「よし、遂に来たか…雪蓮!」

 

「分かってるわよ。そろそろ出番ってわけね」

 

 冥琳が振り向くと、先程とはうってかわった様子で雪蓮が歩み寄る。

 

「ああ、おそらくもうすぐ城門が開く。その時だな」

 

 冥琳がそう言った直後、目の前の城門が開き一人の男が走り出して来る。

 

「私は北平の民の長老よりの使いで参りました!我ら北平の領民一同、陛下に

 

 逆らう意思は無く、その証として孫呉の皆様を城内にご案内申し上げます!」

 

「雪蓮!」

 

「ええ、それじゃお言葉に甘えて入らせてもらうわ…皆の者、此処が正念場ぞ!

 

 各自奮励努力せよ!!」

 

 雪蓮の号令で孫呉の軍が北平の城内へ入っていったのであった。

 

 

 

 その頃、北平の城内では。

 

「申し上げます!領民達が門番の兵士を殺害、城門を開けて孫呉の軍勢を城内

 

 へ導いております!!」

 

「申し上げます!一部の兵が領民達と同調、こちらへ向かっております!!」

 

 公孫淵の下へ次々ともたらされる報告はどれも絶望的なものばかりであった。

 

「何故だ…何故こうなったんだ?私が何をしたというのだ?」

 

 公孫淵はそう言って力無く座り込む。

 

 彼女がそう呟くのは数日前まで自分の命に従っていてくれた領民達が突然に

 

 広まった『公孫淵の首を取った者には孫策より褒美が与えられる』という噂

 

 により一斉に牙を向いて来た事に対する戸惑いからであった。

 

 実を言えばこれは冥琳の策で領民を扇動させる物であるのだが、冥琳が流し

 

 たのは『孫呉の軍が狙うのは公孫淵の首のみ。民に手出しするつもりは無い

 

 から民達には投降してくれる事を望んでいる』という噂だったのが何時の間

 

 にか上記の噂に変わってしまったのであった。

 

「申し上げます!敵兵及び決起した領民達が既に内門の前まで来ております!

 

 残った兵で懸命に防いではいますが…『もうよい』…はっ?」

 

「もう良いと申したのだ。兵達に告げよ、私の事はもう良いから各々自分の身

 

 の安全を考えよとな」

 

 公孫淵はそう言うと奥に入る。その直後、奥より火の手が上がり一気に建物

 

 を焼き尽くしていった。

 

 それを見た蓮華は攻撃を中断させて敵味方関係無く避難と救護を命じたので

 

 火の手にまかれて死ぬ者は出なかったが、遂に公孫淵の安否を確認する事は

 

 出来なかったのであった。

 

 

 

「銀蓮の奴が…そうか」

 

 雍州にいる白蓮に、蓮華より事の顛末が伝えられたのはその数日後の事であ

 

 った。

 

「だからあの時私が言ったのに…でも、それが逆にあいつを追い込んだのかも

 

 しれんな。あいつは嫡流が故に何時も私と比べられていた…私が北平の太守

 

 として赴任して来た時も幽州の州牧になった時も一族から随分と言われたら

 

 しいしな…だからといって何も死を選ばなくともいいじゃないか。私なんか

 

 此処までいろいろな目にあって死んだ方がマシだって思った事は何度もあっ

 

 たけど、今は生きていて良かったと心から思ってるぞ。苦しいのも嬉しいの

 

 も、生きているからこそじゃないのか?なあ、銀蓮…」

 

 白蓮はそう空に向かって呟いていた。その眼は何時の間にか涙で溢れていた

 

 のであった。

 

 ・・・・・・・

 

「白蓮様…」

 

「桃香お姉ちゃん…いいのか?白蓮に声をかけなくても?」

 

「うん…今はそっとしておいてあげましょう、鈴々ちゃん、焔耶ちゃん」

 

 それを離れた所から見ていた劉貞達は気付かれないようにその場を後にした

 

 のであった。

 

 

「申し上げます!前方に敵軍、旗印は『荀』!」

 

 曹操軍本陣へ向かって進んでいた王允達にもたらされたその報告に皆が顔を

 

 見合わせる。

 

「その旗印…確か曹操の軍師の?」

 

「そのようです…まさかここで出てくるとは」

 

「それだけ曹操軍に武官がいないという事でしょう」

 

 王允の問いに星が答え、燐里が補足する。

 

「とはいえ、出て来た以上は粉砕して通るまで」

 

「しかし武官では無い荀彧が此処にいるという事は何かしらの策か罠があると

 

 見るべきです。このまま突っ込むのは危険です」

 

 関羽の言葉に輝里がそう答える。

 

「でもさすがは荀彧さん、完全に進行方向を塞いでいますねー。曹操さんの所

 

 まで行くにはどうしてもあそこを突破する以外に無いですねー」

 

 風がそう言う通り、曹操が陣を張っている場所に行くには荀彧の部隊がいる

 

 場所を正面から通らねばならなかった。

 

「ならばここは儂が道を造る。お前達は道が出来たらそこを進め」

 

 王允がそう言って進み出る。

 

「王允様!?あなたにそのような事をさせるわけにも…」

 

「それは儂の身分の事を言うておるのか?それとも年の事をか?元々ここに来

 

 たは自分で申し出た事、いらぬ心配よ!」

 

 王允を心配する関羽に王允はそう言って部隊を荀彧の旗印の方へ向けて進ん

 

 でいった。

 

「輝里、どうするの?」

 

「仕方ありません、我らは王允様の補佐に回りましょう。但し王允様はこれか

 

 らの政に必要な方、それを踏まえてください。それと後方にいる霞の部隊に

 

 すぐこちらに来るよう伝えてください」

 

 輝里の指図で他の部隊も散開し、王允の後を進む。

 

 

 

「我が名は王允!!恐れ多くも陛下に弓引く愚か者共よ、陛下に代わって成敗

 

 してくれるわ!!」

 

 王允はそう言うや否や一直線に荀彧の部隊に突きかかる。

 

 すると荀彧の部隊は瞬時に二つに分かれたと思いきや、左右より王允の部隊

 

 に襲い掛かる。

 

「ほう、やはり多少は考えておるようじゃな…が、甘いわ!!」

 

 王允はニヤリと口の片端を上げると部隊を向かって右方向にいる敵軍に突撃

 

 させる。荀彧の部隊がその素早さに逡巡している間に、すぐさまやって来た

 

 関羽の部隊が残る敵部隊に突きかかり混戦となる。そして何時の間にか二つ

 

 の部隊の間が大きく分かれ、その間を霞の部隊を先頭に星達が通り過ぎてい

 

 ったのである。

 

 ・・・・・・・

 

「荀彧様、敵軍が!!」

 

「わ、分かっているわよ!!くっ、こんなはずじゃ…」

 

 目の前を通り過ぎていく敵軍の姿を目の当たりにしながら荀彧はそう忌々し

 

 げに吐き捨てていた。

 

 荀彧も阻止したいのは山々なれど、自分の目の前にいる王允の部隊によって

 

 自分自身が身動き取れない状況へとなっており、通り過ぎて行く敵軍を見な

 

 がら何も出来ずにただ歯軋りするのみであった。

 

「この…こうなったら目の前の奴らを粉砕してから背後を『荀彧様!既に部隊

 

 前衛の大半は壊滅、敵が迫っております!!』…何ですってぇ!?」

 

 荀彧がそう叫ぶと同時に目の前に『王』の旗印を靡かせて王允が現れる。

 

「お主がこの部隊の将か?儂の名は王允。もはや戦の勝敗は決した、おとなし

 

 く降伏せよ。降伏するならば悪いようにはせんぞ」

 

 

 

「黙りなさい!この荀彧がそんな言葉一つで降ると本気で思ってるわけ!?私

 

 が屈するのは曹操様ただお一人、それに男に『悪いようにはせん』とか言わ

 

 れて、ほいほい信じれるわけないじゃない!どうせあんただってそんな枯れ

 

 た顔したって他の男と同じで女と見ればいやらしい事しか考えないんでしょ

 

 う!?そんな汚らわしい眼で見られるなんて耐えられないわ、やっぱり華琳

 

 様のような麗しい方のみが国を治めるのにふさわしいのよ…そうよ、男なん

 

 かがいるから国が腐るのよ!!」

 

 荀彧は最初は反論じみたような事を言っていたが、段々とただ『男が嫌い』

 

 という事を言い続けているだけになってしまっていた。最初は黙って聞いて

 

 いた王允であったのだが…。

 

「ほう、それではお主は男がいなくなれば国が百年も二百年も持つと言いたい

 

 のか?」

 

 少々怒気をはらみながらそう問いかける。

 

「ふん、そんなの言うまでも無いでしょ!!男なんてアホで汚くてスケベで…

 

 存在する理由すら『戯け者めが!!』…ひっ!?」

 

 荀彧がヒートアップしてそう言葉を続けた瞬間、王允の口から耳をつんざく

 

 ような大声が発せられる。

 

「男はスケベか…確かにそれを否定する事は出来ん。だがな…男がスケベだか

 

 らこそ、子は産まれるのじゃ!!お主とてお主の父親がスケベじゃったから

 

 この世に生を受けたのじゃろうが!!男と女が交わって子を成し世代を紡ぐ

 

 からこそ人の世は繁栄するのじゃ!!人の世の理に眼を背けたお主が、国家

 

 百年の計を語るなど…片腹痛いわ!!」

 

 王允のその言葉とその身から発せられる闘気を浴びた格好となった荀彧は、

 

 口をパクパクさせたまま半ば呆然となっていた。

 

「まあよいわ…全軍突撃!!」

 

 王允の号令で部隊は動いたがもはや荀彧の部隊に応戦する気力は無く、荀彧

 

 は王允の手で捕らえられ、王允は別部隊を壊滅させた関羽と合流して星達の

 

 後を追ったのであった。

 

 

 

「遂にここまで来たな…」

 

 星は目の前に翻る曹操の牙門旗を見てそう呟く。

 

「それでは行くぞ、突撃!!」

 

 そして陣の中へと突入するが、

 

「なっ、誰もいないだと!?」

 

 そこはもぬけの殻であった。

 

「これは一体どういう事や…?」

 

 後から入って来た霞も信じられないような顔で辺りを見回す。

 

「まさか…くっ、やられた!!」

 

 輝里がそう言って踵を返す。

 

「どうした、どういう事や!?」

 

「曹操は密かにここを抜け出して陛下の本陣を狙うつもりです!!」

 

 ・・・・・・・

 

「ここを抜ければ敵の本陣ね…」

 

 曹操と郭嘉は草深い山中に身を潜めたまま劉弁の牙門旗の翻る方向をじっと

 

 見つめていた。

 

「まさか我々がここまで来るとは思っていないでしょう」

 

 郭嘉は今度こそとばかりに確信した顔でそう答える。

 

「ならば…行くわよ!!これで我らの勝利を!!」

 

 曹操が軍を率いて飛び出したその瞬間、多数の矢が飛んで来て一緒に出て来

 

 た兵の何人かが倒れる。

 

 そして目の前に翻った『十』の旗を見て曹操は苦渋に満ちた顔となる。

 

「結局お前が邪魔をするのか、北郷…いや、諸葛亮!!」

 

 

 

 

 

「まさか本当に朱里が言った通りになるとはね…」

 

 俺は目の前に現れた曹操の姿を見て驚きを隠せなかった。

 

「向こうが一気に形勢をひっくり返そうとするならばこれしかありませんしね」

 

 朱里はさも当然のようにそう述べる…正直、普通そこに考えが行き当たらな

 

 さそうな気もするのだが。しかも曹操の軍もおそらく数千はいるみたいだし…

 

 よくもまあこれだけの軍勢を見つかる事無くここまで持ってこれたものだ。

 

 すると曹操が前に進んで来て大声で口上を述べる。

 

「我が名は曹操!北郷に一騎討ちを申し込む!!」

 

 えっ…俺?突然の言葉に皆が固まる。

 

「既に我が策は敗れた!これ以上は何をしてもただ空しいだけ、後は我ら二人

 

 の勝負で全ての雌雄を決するのみ!!返答や如何に!?」

 

 曹操はそう言うが…どうする、俺?

 

 

                                           続く?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あとがき的なもの

 

 mokiti1976-2010です。

 

 最後に突然華琳さんが何かとんでもない事を言い出しました。

 

 普通に考えればそんな提案に合わせる必要など無いのですが…

 

 さて、一刀はどうする?

 

 という事で次回はこの続きからです。

 

 

 それでは次回、外史動乱編ノ三十四でお会いいたしましょう。

 

 

 

 

 追伸 どう物語の結末に繋げるかは実はまだ検討中…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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