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真・恋姫†無双 異伝 「伏龍は再び天高く舞う」外史動乱編ノ三十二


 お待たせしました!

 前回、孫呉の軍によって幽州が攻められ、

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2013-03-17 15:14:54 投稿 / 全13ページ    総閲覧数:6013   閲覧ユーザー数:4585

「皆、ご苦労じゃの…ああ、そのままで良い。ここは戦陣じゃしの」

 

 陛下が陣に姿を現し、平伏しようとする皆にそう声をかけて誂えられた

 

 席に腰をおろす。

 

「恐れながら陛下…何故ここまでおいでになられたのです?わざわざ陛下

 

 にお出まし頂かなくともこの場は我らのみで十分に収まりますものを」

 

 盧植がそう問うと、代わりに王允が答える。

 

「我らもそう言って止めたのじゃがな…陛下におかせられてはどうしても

 

 御自らの眼で見届けると仰られたのじゃ」

 

「妾とて高祖、そして世祖の血を引く者。やはり国の大事なる戦の折には

 

 自ら戦場に身を置いてこその漢の皇帝じゃ」

 

 陛下はそう言って皆の顔を見つめる。陛下の本気度はその服装にも表れ

 

 ていた。何時もの服でも皇帝としての礼服でもなく、甲冑に身を包んで

 

 いたからである。

 

「ちなみにこの鎧は世祖光武帝が着用していた物をそのまま再現した物な

 

 のだそうじゃ。大きさは妾に丁度合っていたから少々驚いておるがの」

 

 陛下は自分の胸の辺りに手を置きながらそう言っていた。

 

(それを見た朱里や月の眼がちょっとだけ怖くなっていたのは内緒だ)

 

「陛下のお覚悟、この盧植の心に染み入りましてございます。されど陛下

 

 に危険が及ぶ事は我が身命を賭してもさせませんのでご安心を」

 

 盧植の言葉に陛下は満足そうに頷いていた。

 

「うむ、では全軍いざ進め!!」

 

 

 

「くっ、こうしている間にも華琳様達が追いつめられているというのに…

 

 このままでは身動きもままなりません」

 

 郭嘉はそう一人ごちていた。

 

 郭嘉達の軍は燐里・風の軍と紫苑・輝里の軍に攻撃を受け、一度は跳ね

 

 返したものの、挟まれた形になっており進むも退くもままならない状況

 

 となっていたのであった。

 

「稟、ここは私が食い止める。お前は華琳様の下へ戻れ」

 

 夏侯淵がそう言うが、

 

「いえ、それなら私が此処で食い止めますので秋蘭こそ…私より貴女の方

 

 が華琳様もお喜びになるはずです」

 

 郭嘉もそう言って譲らなかった。

 

 そうこうしている内に彼女達への包囲は徐々に狭まっていく一方となっ

 

 ていた。

 

「申し上げます!敵軍勢、既に我らをほぼ包囲しつくしているものと思わ

 

 れます!」

 

 その報告を聞き、郭嘉は決断する。

 

「…ならば、私の全てを賭けて秋蘭だけでも華琳様の下へ帰し奉る。全軍、

 

 我が下知に従え!!」

 

「稟!?待て、ここは私が…『今は一刻も早く華琳様の下へ戦力を集結さ

 

 せねばなりません!それに私には軍師として作戦を指揮した責任があり

 

 ます!』…稟、お前…そうか、分かった」

 

 夏侯淵はそう言うと郭嘉に近付き瞬時に当て身を喰らわせる。

 

「し、秋蘭…な、何を…」

 

 郭嘉は何かを言いかける前に気絶する。

 

「誰かある!」

 

 夏侯淵は郭嘉を抱きかかえたまま、命令を発した。

 

 

 

「敵が二手に分かれた!?」

 

 燐里達の下へもたらされたその報告に全員が驚く。

 

「この状況で軍を割くなど…自殺行為としか思えないわ」

 

 輝里がそう呟く。

 

「もしかしたら…片方が囮となっている間に残りを逃がそうっていう作戦

 

 ですかねー」

 

 風のその言葉に皆、得心がいったような表情で頷く。

 

「それではすぐにでも追撃を。但し、向こうも備えはあるでしょうから気

 

 を抜かずに」

 

 紫苑の号令で逃げる敵軍の追撃に入ったのであった。

 

 ・・・・・・・

 

「む…ここは?私はどうして…はっ!?秋蘭!!…って、この状態は!?」

 

 郭嘉が眼を覚ますと自分の体が荷車に括り付けられて身動きが取れない

 

 状態で連れられている事に驚く。

 

「そこの者、一体これはどういう事です!?夏侯淵将軍は!?」

 

「…夏侯淵様は敵の追撃を止める為にあの場に留まりました。我らは囲み

 

 の薄い所を突破して、今は曹操様の下へ戻る途中です」

 

 近くにいた兵より事の顛末を聞かされた郭嘉の顔は驚愕に包まれる。

 

「そんな…命令です、今すぐこの縛めを解いて夏侯淵将軍の所まで戻りな

 

 さい!!」

 

「ダメです、夏侯淵様より『郭嘉が眼を覚ましたら間違いなく戻るように

 

 言うだろうが、その命令を受ける事は私が禁止する。お前達は必ず郭嘉

 

 を曹操様の下へお連れしろ』との命を受けております故」

 

 その言葉を聞いた郭嘉の顔は苦渋に満ちたものとなっていた。

 

 

 

「さて、稟達はそろそろ安全圏まで逃れた頃かな」

 

 夏侯淵は郭嘉が去って行った方向を見ながらそう一人ごちる。

 

「すまなかったな、皆の者。このような死地に残してしまう事になって」

 

 そう残った部下達に謝罪するが、

 

「何言ってるんです。俺達は夏侯淵様と一緒に戦いたくて勝手に残ったん

 

 ですよ」

 

 そう言って皆笑っていた。

 

「そうか…ありがとう。ならば、もう少しだけお願いする」

 

『応っ!』

 

 それに感じ入ったように紡ぐ夏侯淵の言葉に皆が応じる。

 

「では…全軍、突撃!!」

 

 ・・・・・・・

 

「夏侯淵の軍がこちらへ突っ込んで来ます!!」

 

 相手を追撃しきれずに一旦集結した燐里達の下にもたらされたその報告

 

 で皆に緊張が走る。

 

「どうやら夏侯淵は本気で私達相手に一人で戦うようね…ならば、こちら

 

 も相応の対応をしましょう」

 

 紫苑がそう言って立ち上がる。

 

「紫苑!?…まさか、あなたが単独で戦うというの!?」

 

 燐里のその問いかけに、

 

「ええ、向こうが武人の矜持に賭けて挑んで来るというのなら、こちらも

 

 武人としての礼を以て相対するのみよ」

 

 紫苑はそう毅然と答える。

 

 その言葉に他の皆に沈黙が走るが、

 

「…紫苑がそう言うのなら任せましょう」

 

 輝里のその一言で場は決したのであった。

 

 

「夏侯淵様、敵軍に動きが」

 

「来るか…『いえ、どうやら向こうも二手に分かれた模様です』…何!?

 

 そういう事か…ならばこっちは回り込もうとしている部隊に攻撃を仕掛

 

 け…『黄忠の部隊がこちらに迫って来ております!!』…ほう、黄忠め

 

 …どうやら我が敵は決まったようだな。全軍、正面の黄忠の部隊に突撃

 

 をかける!この戦いは我らが武を示す戦いぞ!!命を惜しむな、名こそ

 

 惜しめ!!」

 

 夏侯淵の言葉に部隊の者達は奮い立つ。

 

 ・・・・・・・

 

「黄忠様、夏侯淵はこちらにまっすぐ向かって来るようです」

 

「分かりました…皆に告げます。夏侯淵の相手は私がします。他の者は決

 

 して手出しせぬように」

 

 紫苑はそう言うと部隊を指揮しつつ自らも愛用の弓を握り締め前線へと

 

 赴いていった。

 

 ・・・・・・・

 

「黄忠殿とお見受けする。我が名は夏侯淵!お相手願おう!!」

 

「初めまして、夏侯淵殿。本来ならこんな形での勝負は不本意なのですが

 

 …我が軍の勝利の為、あなた此処で討たせていただきます!」

 

「自軍の勝利のみ願うのであれば一人で来ずとも全軍で我らを囲めば済む

 

 話…なのに一人で来るなど笑止千万な物言いよ。しかし、武人としては

 

 礼を言う。でもこの首易々とはくれてやれんぞ!!」

 

 二人はそう言って戦闘態勢に入る。双方の兵士達はそれを遠巻きに眺め

 

 ているだけであった。

 

 

 

「曹操様!郭嘉様が戻られました!!」

 

 その報告と共に現れた郭嘉を曹操が出迎える。

 

「稟、無事で何よりだったわ…と言いたい所だけど、状況は最悪よ」

 

「はい、ここに入る前に劉弁皇帝の牙門旗を見ました…絶体絶命といった

 

 所ですね」

 

「ええ、皇帝の旗が現れてから兵達の脱走が相次いでいるわ…此処に残っ

 

 ているのは最初のおよそ六割といった所よ」

 

 曹操はそう言ってため息をつく。

 

「申し訳ございません…私の判断が間違っていたのやもしれません」

 

「稟のせいでは無いわ。これもまた天命なのかもしれないわね…でも、私

 

 はこのまま諦めるつもりは無いわよ。稟と秋蘭も戻って来てくれた事だ

 

 しね」

 

 曹操のその言葉に郭嘉の顔が歪む。

 

「どうしたの、稟?そんな顔をして…まさか、秋蘭は一緒じゃないの!?」

 

「…申し訳ありません。秋蘭は私を逃がす為に一人戦場に残りました…」

 

 それを聞いた曹操の顔は驚愕に彩られる。

 

「そ、そんな…秋蘭が?」

 

「私が残ると言ったのですが…秋蘭は私を無理やり後方へ逃がして一人…」

 

「秋蘭、死なせはしないわよ…桂花、季衣!留守は任せるわ!!」

 

 曹操の突然の発言に皆驚く。

 

「お待ちください、華琳様!まさか、華琳様ご自身で秋蘭の援軍に行かれる

 

 おつもりですか!?」

 

「ええ、そうよ。私以外に秋蘭を連れ戻せる者はいないわ!」

 

 

 

「如何に華琳様の仰せでもそれには従えません!」

 

 そう言って曹操の前に立ったのは荀彧であった。

 

「そこをどきなさい桂花、私は秋蘭を連れ戻しに行くだけよ」

 

「華琳様は我らの総大将です。一時の情で動かれては軍は瓦解します。お考

 

 え直しを」

 

 いきり立つ曹操に負けじと睨み返しながら荀彧はそう言った。

 

「一時の情ですって…秋蘭は我が一族にして私が旗揚げした時から常に共に

 

 あった者よ!それを助けに行って何が悪いって言うの『バチィン!!』…

 

 えっ!?」

 

 突然の事に曹操は頬を押さえながらも戸惑いの表情を見せる。

 

 何故ならば、荀彧が曹操の頬を平手打ちに叩いたからである。

 

 それを見た周りの者達も驚きの余り呆然とするばかりであった。

 

「…申し訳ございません、華琳様。この責めは後で如何様にもお受けします。

 

 しかし、こうでもしないと今のあなたの頭を冷やす事は出来なかったでし

 

 ょう。私はあなたの軍師です。あなたをただ危険な目に合わせるだけの事

 

 に黙って従う事は出来ません。秋蘭だってそんな事は望んでいないはずで

 

 す。ですから…ぐすっ、ここは…ううっ」

 

 そう話しながら荀彧は半泣きになっていた。

 

「…ごめんなさい、少し頭に血が上っていたようね」

 

 曹操はそう言って頭を下げる。

 

「それでは…」

 

「ええ、行ったら間違いなく秋蘭に怒られそうだしね。私達はここで秋蘭の

 

 帰りを待つわよ」

 

 曹操のその言葉で場に安堵の空気が流れる。そこへ、

 

「申し上げます!夏侯惇様より『敵の先鋒が迫って来たので迎撃に移る』と

 

 の事です!」

 

 兵士からのその報告で緊張が走る。

 

「そう…ならば桂花、稟はすぐに敵に対する術と幽州への救援策を考えなさ

 

 い。季衣は春蘭の所へ行きその後は春蘭の指揮に従う事。いいわね!」

 

 曹操のその指示で皆が動き出す。

 

「でもこれだけでは…後はどれだけ持ちこたえられるか…」

 

 曹操のその呟きは皆の耳に入る事はなかった。

 

 

 

「我が名は華雄!曹操軍の者共よ、我が戦斧の錆となれ!」

 

 ようやくの攻撃命令に先鋒の華雄は勇み立って前線に出ていた。

 

「華雄様、鳳統様より第二陣を入れるので一旦退くようにとの事です!」

 

「そんなものが無くとも我らのみで問題無いと伝えろ!」

 

「…鳳統様からもし華雄様がそう言ったら『あなたは相国閣下と武人の矜持と

 

 どっちが大事なのですか?』と伝えるよう言われてます」

 

 その言葉を聞き、華雄はバツの悪そうな顔でおとなしく退いた。

 

 ・・・・・・・

 

「華雄将軍の部隊、無事に退きました。続いて呂布将軍の部隊が突入します」

 

「ありがとうございます。それでは呂布将軍にも一刻したら次の部隊と入れ替

 

 わるよう伝えてください」

 

 朱里がそう言うと兵は一礼して下がる。

 

「華雄がおとなしく従ってくれて何よりだな」

 

「はい、雛里ちゃんがうまくやってくれているようですね」

 

「それじゃそろそろ俺達も…『申し上げます!公孫賛様の軍が到着しました!』

 

 意外と早かったな。白蓮が来てるのか?」

 

「いえ、軍を率いているのは趙雲様と関羽殿です」

 

 なるほど…劉貞さん達は白蓮の幕下に加わったという事か。

 

「朱里、本当は俺達が行こうと思ったけど…」

 

「はい、星さん達に行ってもらいましょう。念の為、霞さんにも行って『それ

 

 は儂に任せてもらおう』…えっ!?はわわ!王允様!!」

 

 突然のかけられた声に振り向くとそこには甲冑に身を包んだ王允殿が立って

 

 いた。

 

 

 

「王允殿?あなたが前線に出られるのですか?」

 

「ああ、意外か?これでも儂は武官の出でな。久々に血が滾ってきたわ…一応

 

 陛下の了承は貰っておるぞ」

 

 こりゃ本当にやる気満々だな…。

 

「陛下の許可も出てるのであれば俺としては文句は無いけど…どうする?」

 

「…それなら王允様には参謀として星さん達に同行してもらいます」

 

「よし、決まりじゃな。それでは行ってくる」

 

 王允殿はにかっと笑いと嬉々として出て行く。

 

「ふう、王允殿もなかなか…年寄りの冷や水にならなきゃいいけど」

 

「ご主人様…そういう事はご本人の前で言ってください」

 

「えっ、だって『年寄りの冷や水』って日本の言葉だし言っても通じないだろ?」

 

「…そうでした」

 

 さて、王允殿は喜んで行ったわけだし任せてもいいのだろうけど…。

 

「朱里、一応後詰として霞にも行ってもらうよ」

 

「はい、念には念を入れましょう」

 

 そう言って朱里は兵に指示を出していた。

 

「朱里、星達が前線に到着する頃合を見て俺達も動くぞ」

 

「御意です。桔梗さんがまだかまだかと唸ってましたしね」

 

 何だかんだ言って桔梗も戦好きだしな…特に別働隊で紫苑が動いているので、

 

 それに触発されているのもあるのだろうけど。

 

「では、北郷軍も出撃準備!!」

 

 

 

「くそっ、次から次へと忌々しい!」

 

 夏侯惇は押し寄せる敵兵を薙ぎ払いながらそう吐き捨てるように言う。

 

「しかし援軍はどうなってるんだ!?秋蘭と稟は何をしている!?華琳様はどうさ

 

 れているのだ!?」

 

 夏侯惇の下には状況の報告が来ていない為、いまだに援軍が来るものと信じてい

 

 る彼女はそう繰り返すばかりであった。そこへ、

 

「春蘭様~!」

 

 許楮が駆けつけて来て合流する。

 

「季衣か!お前だけか、秋蘭はどうした!?」

 

「…秋蘭様は敵の別働隊に足止めされて来られません」

 

 許楮のその言葉に夏侯惇は驚きを隠せない。

 

「な、何だと…嘘を言え!秋蘭がそうそう遅れを取るはずは…」

 

「でも相手も黄忠とかいう弓の名手だそうで…」

 

「何処の誰であろうが秋蘭の敵にはならん!!…くそっ、こうしてはおれん!」

 

「春蘭様、何処へ行くんです!?」

 

「聞くまでもなかろう、秋蘭の所にだ!!」

 

 夏侯惇はそう言って駆け出そうとするが、

 

「ダメですよ~、此処の敵はどうするんですか!?」

 

 許楮は夏侯惇にしがみつきながらそう訴える。

 

「それはお前に任せる!」

 

「こんなの僕一人じゃ無理ですって~それに華琳様からも秋蘭様を信じろって

 

 言われてるんですから!!」

 

 その許楮の言葉を聞いた夏侯惇は少し押し黙った後、

 

「そうか、華琳様が…分かった、ならば我らは此処を死守するのが役目だな!」

 

「春蘭様!!」

 

 二人が頷きあったその時、

 

「夏侯惇…見つけた」

 

 恋が二人の目前に姿を現す。

 

「くっ…貴様、呂布か!季衣、こいつの相手は私がする。お前は部隊の指揮を」

 

 夏侯惇はそう言うとまっしぐらに恋に突撃する。

 

 

 

「お前は月の敵…此処で死ね」

 

 恋も得物を振り上げて応戦する。

 

 そのまま二人は壮絶な一騎討ちを始める。そこへ、

 

「我が名は公孫賛が家臣、趙雲なり!推参仕る!!」

 

「華雄見参!今度こそ血祭りにあげてくれるわ!!」

 

 星達の軍と華雄が姿を現す。

 

「ここは恋に任せる…皆は曹操の所へ」

 

 恋は夏侯惇と戦いながらそう告げる。

 

「分かった、無理はするなよ」

 

 星達はそう言って先へ進むが、

 

「ここは通さないぞ!!」

 

 許楮が行く手を阻もうとする。

 

「ほう、見上げた根性だ。ならばこの華雄が相手をしてやろう。此処は私に任せ

 

 て星達は先を進め」

 

 そう言うや否や、華雄は許楮へと躍りかかり、それと同時に雛里が部隊を展開

 

 させて指揮系統を分断させる。

 

「さすがの手際だな。ならば愛紗、我らは曹操の所へ。王允様もそれでよろしい

 

 ですね?」

 

「「応っ!」」

 

 そして進軍しようとした時、新たな報告が入る。

 

「申し上げます!西方より新たな軍勢、旗印は『徐』『法』『程』!」

 

「風達が到着か…ならば伝令!共に曹操軍本陣へ進むよう伝えよ!!」

 

 

 

 

「申し上げます!夏侯惇様、呂布の攻撃によりその場から動けずとの事!」

 

「申し上げます!許楮様、華雄の攻撃により足止めされております!」

 

「申し上げます!敵軍接近!旗印は『王』『趙』『関』『徐』『法』『程』!」

 

 相変わらず曹操の下ににもたらされる報告は自軍に不利なものばかりであった。

 

「華琳様、私が出ます」

 

「桂花!?何を言って…あなたでは到底敵わないわよ!」

 

 突然の荀彧の申し出に曹操は戸惑いの声をあげる。

 

「確かに武力では敵いません。でも…我が知力を以て防いでみせます!!稟、後

 

 は任せるわよ!」

 

 荀彧はそう言い残して陣を出て行く。

 

「稟…」

 

「まずは先ほど南皮に使いを出して留守部隊を幽州へ行かせるよう指示を出しま

 

 した。あちらの事は銀蓮殿に任せるしかありません。後は…『申し上げます!』

 

 どうした!!」

 

「南皮が…袁紹軍の奇襲に遭い陥落しました」

 

 その報告に二人はただ呆然とするだけであった。

 

 ・・・・・・・

 

「お~っほっほっほっほっほっほ!この袁本初にかかればこのような事、朝飯前

 

 ですわね!!」

 

「あっ、そういえばちゃんと朝飯食わずに出て来たんだっけ。斗詩~、まずは飯

 

 にしようぜ~」

 

「何言ってるの、文ちゃん!まだ幽州へ行ってる雪蓮様への援軍が残ってるじゃ

 

 ない!それに南皮の人達にもちゃんと説明して協力してもらわないと…」

 

 占拠した南皮の城で袁紹主従は相変わらずの会話を繰り広げていた。

 

「そのようなもの、袁家の栄光で『それはもう通用しません!』…そうはっきり

 

 と仰らなくとも…」

 

 斗詩のツッこみに麗羽は少し拗ね気味になっていた。

 

「仕方ありませんわね。では斗詩さん、猪々子さん、よろしくお願いしますわね」

 

「「はい!」」

 

 二人がその場を辞した後、麗羽は一人久々の玉座に身を任せ、何やら嬉しそう

 

 にしていたのであった。

 

 

 

                                             続く。

 

 

 

 

 

 

 

 あとがき的なもの

 

 mokiti1976-2010です。

 

 少々中途半端な終わり方で申し訳ございません。

 

 次回はこの続きからという事で。

 

 今回、桂花さんが華琳さんに泣きながら諌めてましたが、

 

 諌めるならもっと早くしろとかもっと他に諌めるべき事

 

 があっただろうとか……私自身も思ってたりしますので、

 

 どうかご容赦の程を。

 

 

 それでは次回、外史動乱編ノ三十三にてお会いいたしましょう。

 

 

 

 追伸 後10話以内で完結させたいと思っておりますが…うまくいくかな?

 

 

 

 

 

 


 
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