「此処は間違いなく、東京じゃないな」
街に着き、街の景観を見て呟いた。
一刀が見た街並みは、石造りの家に、大通りに露店が立ち並んでいた。
「おい、さっさと来い!」
黒髪の女の子が怒気の含んだ声で叫んだ。
「は、はい。」
一刀は、返事をすると同時に小走りに追いかけた。
「お帰りなさいませ、華琳様」
一際大きな建物の前で、腰近くまである金色の髪をたなびかせた女性が、美しい礼をとり、出迎えてくれた。
「あら、華憐、出迎えご苦労様。我らが討伐に出てから、変わったことは?」
「賊の発生したとの連絡が増えてきた事以外は、特にございません」
二人が現状確認をし始め
「そう。早急に対応を考えなくてはね・・・」
二人のやり取りが、一旦区切りが着くと
「華琳様、この者は如何いたしますか?」
水色の髪の女性が質問すると、
「そうね、ちょうど昼時だし・・・食事を取りながら、身柄の確認をしましょうか。
春蘭、秋蘭、華憐。三人とも、悪いけど付き合ってちょうだい」
「はいっ!」
「「承知致しました」」
大通りに面した1件の酒家に入り、一刀の取り調べが始まった。
一刀に向かって、左から、水色の髪、黒髪、金髪の巻き髪、金髪のストレートの順に席についていた。
「これから、貴様の身柄の取り調べを行う。嘘偽りを申すと命は無いと思え!」
黒髪の女性の威圧的な言葉に対して
「分かりました。俺だってまだ死にたくないし・・・」
一刀が答えると
「お主、名は?」
先ほど出迎えてくれた女性が質問を始めた。
「北郷一刀です」
「性が北、名が郷、字が一刀か・・・変わった名だな」
水色の女性が呟き
「いえ、性が北郷で、名が一刀です。あなた方が言う字と言う物はありません」
一刀が答えると
「ほう。字が無いか・・・珍しいな。まぁ、良いか。では、北郷、お主は何故あのような場所にいた?」
水色の髪の女性が質問を続けた
「さぁ?気がついたら、あそこにいたから、分からない。」
「なら、どこから来た?」
「日本の東京の浅草から」
「東京の浅草。秋蘭、華憐、貴女達、そのような地名知ってる?」
「いえ、私はありません」
「私も、そのような地名聞いたことがありません」
二人が答えると、金髪の巻き髪の女の子は、
「そう。分かったわ、ありがとう」
答えながら、笑みを向けると、金髪ストレートの女性から次の質問が行われた。
「では何をしに、この地に来た?」
「何をって言われても、気づいたらあそこにいたから、特に目的が有るわけでもない」
一刀が答えると、
「貴様!ふざけると命は無いと言っただろ!!」
黒髪の女性が、今にも切りかかりそうに刀の柄に手を当て怒鳴った。
「分からないものは分からないよ。嘘は吐いてない。ところで、俺は名乗ったんだから、君達も名乗ってくれないかな?
君達が呼び合っているのは、真名ってヤツでしょ?」
「ほぅ。何も知らない割には、真名については知っているのだな。」
金髪ストレートの女性は、目を細めて一刀を睨むと
「さっきそこの水色の髪の人には、行軍途中に説明したけど、荒野で助けてくれた女の子が教えてくれたんだよ」
「そうなのか、秋蘭?」
金髪ストレートの質問に
「この者の話ではそのようだ」
水色の髪の女性が答えた。
「そうか。なら、こちらも名乗るのが礼儀か。私の名は、曹子孝だ」
「私は夏候妙才、こっちは姉者で・・・」
「夏候元讓だ」
「次は私ね。私は曹孟徳よ」
「曹孟徳!?夏候元讓!?
本当にそれが君の名前なの?」
一刀が驚きの声を上げると、
「我らの名を疑うのかっ!!」
遂に刀を抜き、一刀に刃を突きつけた。
「ちょっ・・・待て、待った。謝る。謝るから、ちょっと待てって。
今の話が本当なら、分かったことがあるから」
一刀は必死に頭を下げながら言った。
「春蘭、刀を引きなさい」
曹孟徳と名乗った子が命令すると
「しかし、華琳様」
夏候元讓は、刀を引こうとはせずに、反論しようとすると
「もう一度は言わないわよ。
春蘭、刀を引きなさい」
覇気を出しながら、もう一度同じ命令を出すと、夏候元讓は渋々刀を収めた。
「で、分かったことって言うのは何?」
「俺は、この時代の人間じゃない。1800年ほど未来の人間って事になるのかな。曹操、夏候惇、夏候淵、そして曹仁。君達と同じ名前の英雄の物語がある。だから、さっき君達の名前を聞いて驚いたんだ。」
名乗っていない名を言われ、一気に緊張感を高め、闘気をはなつ3人をよそに
「そう。なら、貴方が未来から来たという証拠を見せなさい。
もし、私達が納得出来るような証拠が無い場合は、切り捨てるから、そのつもりでいなさい」
曹操は一刀に言い放った。
一刀は、自分の持ち物から、証拠として使えそうな物を探し、まずは財布から硬貨を何枚か出してみた。
「これは、俺のいた時代のお金です。」
「あら、この菊や稲の彫刻は見事ね。だけど、腕のいい職人なら作れそうね。これは、証拠として不十分よ」
曹操は100円玉と5円玉を手にとりながら、一刀に言った。
「やっぱりこれしかないかぁ。」
と、呟きながら携帯を取り出した。
「それは何?」
「携帯って言う、遠くの人と連絡を取る為の道具です。」
「なら、使ってみせなさい」
「それは無理。電波も無いし、相手も同じ物を持ってないとダメなんだよ」
「なんだ、使えないのか。
証拠にもならないし、何の役にも立たないじゃないか!」
「そうだね。だけど、これじゃ、証拠にならないかな?」
一刀は学生証の写真を見せながら言った。
「あら、貴方が映ってるわね。」
興味を持ったのか、曹操は目つきが緩んだ。
「これは、写真って言って、見たままに画像が撮れるんだよ。さっきの携帯で撮れるから、それで証拠にならないかな?」
一刀が聞くと
「そうね。それが出来たら認めましょう。」
曹操が頷いたのを確認して一刀は携帯のカメラで自分を撮った。
♪~~
「ほら、コレでどう?」
撮った写真を見せると
「へぇ、すごいわね。約束通り、貴方を認めましょう」
曹操が認めた事で、曹仁と夏候淵も認めたようだった。
「うん?どういう事だ?」
一人、状況が分かってない夏候惇は呆けていると
「春蘭。北郷は、天の御遣いだ」
曹仁が言うと
「何と!!」
夏候惇は、驚いた。
「この者は、我らの、華琳様の理想の為に使える」
曹仁が説明すると
「確かに我らに、天の御遣いが舞い降りたとなれば、天意があると広まる」
夏候淵も曹仁の考えが分かったようだった。
「華憐、貴女の意見を採用します。
北郷、貴方は我らが保護します。これからは、我らと行動を共になさい」
曹操が一刀の処遇を決定した。
「分かりました。宜しくお願いします。」
こんにちは。たっちゃんです。
読んで頂き、ありがとうございます。
第3話、いかがでしたでしょうか?
次回も頑張って書いていくつもりです。
良かったら、次回も読んで下さい。
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この作品は真・恋姫†無双2の魏√を主とした
2次創作作品になります。
オリキャラ登場や性格崩壊は多分おこります。
それでも構わないという方はお進み下さい。
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