第34魔 妖精達の戦い
ルナリオSide
アスナさんがあのガーディアンモンスターを突破し、そのあとドームの中から撤退したボク達は扉の前で集まっているっす。
レコンの自爆魔法による彼自身へのデスペナのみが被害ということなので、
それ以外には消費した回復アイテムくらいだと思う。
「アスナさん、大丈夫だよね?」
「当たり前っすよ。なんせアスナさんっすからね」
未だに不安そうなリーファを安心させるように声を掛ける。
「けど、ホントに大丈夫なのかしら?」
「少なくとも、今の俺達に出来るのは信じることだけだ」
リズさんとハクヤさんも言葉を交わしている。
日も暮れてきたALO、アスナさんから何かしらの連絡が来ることもなく、一度解散しようかと話し始めたその時だった。
空中に突如として映像が流れ始めた、そこに映っていたのは…、
「「「「「キリト(さん)(君)!?」」」」」
「「「「「アスナ(さん)(ちゃん)!?」」」」」
あの2人と金髪の男だったっす。
2人は地面に押しつけられるような感じで倒れているのが分かる。
そして会話が聞こえてくる、金髪の男…アイツが須郷伸之。
あの最強の聖剣『エクスキャリバー』を出現させ、
ペインアブソーバーというものを発動させてからキリトさんを何度も斬りつける。
そして絶叫を上げるキリトさん、制止の声を泣きながら上げるアスナさん。
「いや、いや!? お兄ちゃん!?」
「酷い、酷いよぉ!?」
隣に居るリーファが泣きながらボクに縋ってくる。
ヴァル君の側にいたシリカも耳を塞ぎながら泣いている。
他のみんなもキリトさんの絶叫に耳を塞いだり、表情を青くさせているのが分かる。
ボク達『神霆流』の中に宿るのは、『憤怒』だった。
さらに続くその有り様に街からも声が上がるのが聞こえる、「やめろ!」、「酷過ぎる!」など、
あの男の行動を非難するものだ。
状況はさらに変わり、キリトさんが操られた。
まさかの状況にボク達の間にも動揺が奔った。
これで終わりなのかと、そう思った……だけど、アスナさんのキリトさんを呼ぶ声が聞こえ、
キリトさんは自らの意志で動いた。
「「「「「おっしゃー!」」」」」
「「「「「やったー!」」」」」
キリトさんの復活にみんなから歓声が上がる。
そしてキリトさんの話した真実にみんなは困惑、怒りなどの表情を浮かべていく。
勿論それは須郷に対してだ、次々に須郷の逃げ道を奪っていくキリトさん。
ついに須郷は空中へと逃げ出していった。それはおそらくボク達の上を通って行ったのだろう。
今すぐ追いかけたい衝動に駆られるけど、限界高度がある為にそれは無理だ、そのはずだった。
『システムコマンド、全プレイヤーのフライトシステムをオールグリーンに!
システムコマンド、限界高度を削除!』
キリトさんがアスナさんから武器を受け取った後に、そう宣言した。
それは完全飛行の可能と制限が無くなったということだ。
「行くぞ、リズ!」
「ええ!」
「シリカ、ピナ、行こう!」
「うん!」
「きゅっきゅ~!」
「……駆け抜ける!」
ハクヤさん、リズさん、ヴァル君、シリカ、ピナ、ハジメさんが飛び立ち、
「行くぜ、カノン!」
「はい!」
「続くぞ、ティア!」
「勿論です!」
クラインさん、カノンさん、シャインさん、ティアさんが続き、
「俺達も行こう!」
「「「「うん(ああ)!」」」」
ケイタさんと黒猫団のみんな、
「アイツらにばかり良い格好はさせられないな、行こうか!」
「「「「「おう(はい)(ああ)!」」」」」
エギルさんに続いてアルゴさん、マスターさん、ラルドさん、シンカーさん、ユリエールさん、
サーシャさん、カインズさん、ヨルコさんが追い、
「やれることをやりに行くぞ!」
「「「「「了解!」」」」」
ウェルガーさんの言葉にシュミットさん、フリックさん、他の攻略組のみんなが飛び、
「私達も行こう!」
「アイツ、絶対に許さないヨ!」
「全部隊、全力で行け!」
「「「「「「「「「「おう!」」」」」」」」」」
サクヤさん、アリシャさん、ユージーン将軍率いる部隊も空に向けて飛翔する。
街に居たプレイヤー達も、遠くに見える空からも、続々と飛び立っていく。
「最後の戦い……行くよ、リーファ」
「…うん!」
今のボクはいつもの口調に戻せない。
戦闘に対する興奮状態になっているのとあの男に対する怒りのせいなのかもしれないけど。
とにかく、今は戦いのみ。
ボクとリーファは手を繋ぎながらみんなの後に続いた。
ルナリオSide Out
キリトSide
俺とアスナは全速力で空中を駆け抜ける。奴の反応は掴んでいるので居場所は分かる。
俺の両腰には『アシュラ』と『ハテン』をさげ、
背中には『セイクリッドゲイン』と『ダークネスペイン』を背負いながらの飛行だ。
そして奴を目で捉えた。
「こんなところまで!? システムコマンド! オブジェクトモンスター!」
奴が宣言するとそこには白銀の騎士が数百体、全長20mはあると思われる巨大な怪物が10体は現れた。
「ガーディアンモンスター!? それに邪神まで!?」
隣にいるアスナが驚愕の声で叫んだ。
なるほど、あの騎士が『グランド・クエスト』のモンスターで、巨大な奴らは高レベルのモンスターということか。
「上等! 潰す!」
俺は聖剣と魔剣を抜き放ち、二刀流でモンスターの群れへと突っ込んだ。
アスナも『クロッシングライト』を手にして俺の近くを飛行する。
そして2人で騎士のモンスターに攻撃を始める。
「キリトくん、飛ぶの上手だね?」
「SAOをやる前に飛行可能なゲームをやっていたからな。イメージも出来ている」
背中合わせになったアスナが問いかけてきたので俺はかつての経緯を話した。
既に映像は途絶えている為、会話も普通に行う。
俺とアスナはお互いの動きをカバーしながら戦い、敵を斬り裂いていく。
俺はアスナの背後を取った敵を刻み、アスナは俺の右側から接近してきた敵を連続突きで倒した。
お互いの思考が繋がる、システム外スキル《接続》。
俺とアスナの前に会話は必要無い。
その時、飛行していた像のような頭をした邪神から雷が発生し、俺達は全力で回避する。
そこで俺達を庇うかのように1つの影が前に現れた。
「ようやく会えたな、キリト!」
「シャイン!」
シャインは迫る雷をかの鉄壁の大盾『アイギアス』で防ぎ、俺に声を掛けてきた。
さらに俺達の周囲の敵が一瞬で斬り裂かれたり、吹き飛ばされたりして消滅した。
「無事みたいっすね、キリトさん!」
「まったく、心配を掛けさせてくれる!」
「……だが、戻ってきたな!」
「不安が解消されましたよ!」
「無事で、本当に良かったです!」
「あまり心配させないでね、キリト君!」
「ルナリオ、ハクヤ、ハジメ、ヴァル、ティアさん、カノンさん!」
漆黒の装束に身を纏った仲間達が助けに来てくれた。
「お兄ちゃん!」
「っ、スグか!」
俺を兄と呼んで飛び込んできた金髪の少女、分かる…俺の妹の直葉だと。
それだけじゃない……SAOの時からの友人や戦友達、装備を整えたシルフ、ケットシー、サラマンダーの部隊、
アルンの街に居たと思われるプレイヤー達が、みんな集まった。
さらには…、
「ユージーン!」
「兄さん!?」
サラマンダーの大部隊が現れ、1人のプレイヤーが率いてきた男をそう呼んだ。
「モーティマー、それに…」
「他の領主のみんなも居るヨ!」
リーダー格らしきシルフとケットシーの女性がそう言った。
ということは、今現れたサラマンダー、ウンディーネ、ノーム、インプ、スプリガン、レプラコーン、プーカ、
それぞれを率いてきたのは各領主ということか。
そこにシルフとケットシーの大部隊も合流してきた。
異種族同士でのパーティーらしき者達も合流する。
おそらく、ALOの全プレイヤーがここに集結したんだ。
「パパ!」
「ユイ!」
さらにどこからともなく、小さな妖精の姿をしたユイが飛んできた。
「良くやってくれたよ、ユイ」
「パパも、無事で良かったです!」
娘にも大きな心配を掛けてしまったな…。
そして俺は今まで攻撃が行われなかったモンスターと、
その中央に護られるかのように動揺の表情を浮かべている須郷を睨む。
「な、なんなんだよ……お前はぁ!?」
焦りや困惑で混乱しながら叫んだ奴。プレイヤー達は一斉に武器を構えたり、魔法の詠唱を始める。
俺は覇気を纏う…『覇王』、『怒気』、『殺気』、それらを展開して覇王と化す。
右手に持つ聖剣を上に掲げ…、
「俺は……ただのしがない偽善者さ…。全軍、攻撃開始!」
「「「「「「「「「「おおおぉぉぉぉぉ!!!」」」」」」」」」」
奴に標的を掛けて剣を振り下ろした。最後の戦いが始まる。
キリトSide Out
To be continued……
後書きです。
これぞほんとのオールスターズです!
キリトが『覇王化』したことにより、全軍の士気が上昇しましたね。
戦闘は次回とその次の2話しかありませんが、かなり圧倒的ですよ。
見物になればなぁと思っております。
それでは次回の戦闘で・・・全プレイヤー参加型なので、相も変わらず皆さんの参加をお待ちしております!
奮ってご参加くださ~い♪
ではでは・・・。
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第34魔です。
アスナがキリトのところに向かってからの一方その頃的な始まりになっています。
では、どうぞ・・・。