No.551751

【獣機特警K-9】ボクがモニカちゃんで、モニカちゃんがボクで(後編)【交流】

古淵工機さん

お待たせしました。『ボクモニ』もいよいよ後編。
さぁ、事件解決に走ったリクとモニカは元に戻れるのか!!
■出演
リク:http://www.tinami.com/view/376146
モニカ:http://www.tinami.com/view/376207

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2013-03-05 23:22:50 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:1049   閲覧ユーザー数:1038

…スーパーマーケット『オキシィマート』付近。

周囲には数台のパトカーが止まっており、緊迫した空気に包まれていた。

 

「オラオラぁ!死にたいのかい!さっさと出すもん出しなっ!いいから出すんだよ!!」

レーザーマシンガンを手にわめき散らしているのは、黒尽くめのジャガー形ロボット。

声が高く、胸にふくらみがあることからすぐに女のロボットだとわかった。

 

「…えと、現場についたはいいけど、どうするのリク君?」

「…大丈夫だよ。モニカちゃんはとにかく『ボクになり切る』ことだけに集中して…服のポケットに携帯端末があるはずだ。それをちょっと貸してくれない?」

「う、うん」

と、ボクの身体のモニカちゃんは、モニカちゃんの身体のボクに端末を手渡す。

なにぶん、モニカちゃんはロボットの身体なんて使い慣れてないから、こうしてボクがサポートしてあげなきゃいけないんだ…。

 

「…まずサッカーボール型のショック弾を相手に向かって蹴りこむんだ。そうすれば奴らは回路がマヒしてしばらく動けなくなる」

「…わかった、やってみるね」

「で、そしたら指示されたとおりに啖呵を切って、とにかくボクになりきるんだ。いいね!」

「うんっ!」

こうして、いよいよ『ボク』の出番がやってきた。

「オラ早くしないか!死にたいってのかい!!」

女ロボットたちが喚きたてる店内に、『ボク』の姿をしたモニカちゃんが勢いよく飛び込み、手はずどおりにショックボールを蹴りこむ!

「おりゃぁぁぁっ!!」

「うわっ!?」

「あ、姉貴ー!!くそっ、このガキ…ぎゃっ!?」

二発、三発、次から次にキックを打ち込んで行くモニカちゃん。ボールはうまい具合に相手に当たっている。

(え…あたしサッカーなんてしたことないのに…どうして?)

不思議そうに、モニカちゃんがたずねてくる。

「あぁ、ボクの中に入っている動作パターンをプログラム化して実行したんだ。だから今のモニカちゃんは『サッカー少年』ってワケさ」

(へぇ…///)

「ほら、うっとりしてないで啖呵啖呵!」

(そ、そうだった!)

 

と、次の瞬間モニカちゃんは犯人のほうに向き直り、まるで本物の『ボク』みたいに鋭い表情で叫んだ。

「警察だ!あなたたちはもう動けない。3人とも威力業務妨害ならびに強盗未遂の現行犯で逮捕するぞ!!」

…そのときのモニカちゃんはとにかく格好よかった。まるで自分の姿を見ているみたいだった…いやモニカちゃんはボクの身体なんだけどね。

まるで演技とは思えないくらい完璧に、ヘタするとボク以上にボクっぽかったのかもしれない。

その後、やってきたクオンお姉ちゃんたちに女強盗ロボットたちは取り押さえられ、署に連行された。

事件解決から数分後。散らかったオキシィマート店内。

ボクたちはクオンお姉ちゃんに事情を説明した。

「…なんだって!?中身が入れ替わったァ!?」

…まぁ、驚くのも無理ないよね。うん。

「…そうなんです、ボクたちお互いの頭をぶっつけちゃって、それで…心と身体が入れ替わっちゃったんです」

「もう一生このままなのかなって思うと、悲しいのが半分…で…」

…え、半分ってモニカちゃん何言って…。

「…リク君の身体ハァハァっていうのが半分です…////」

…おーいモニカちゃん。帰ってきてくれー。ていうかボクの身体なのをいいことにヘンな妄想しないでくれー。

思わず顔を赤らめてしまうボク…ってか顔はモニカちゃんのなんだけど、ああもうややこしいったら。

恥ずかしさのあまり、ボクはモニカちゃんの心臓をドキドキ言わせていた…。

「…うーん、厄介なことになったなあ。どうしよう…」

と、クオンお姉ちゃんまで考え込んじゃうし…。

はぁ、とため息をつきながら歩き出そうとしたボクだったけど…なんと足元にはバナナの皮が…!?

 

「うわ、うわわわわわ!!」

「ちょ、モニカちゃん…の身体のリク君!?」

ああ、お約束過ぎる!バナナの皮を滑ってスッテンコロリンなんて!!

どうしよ、今この身体ってスカートだから、ヘタしたらパンツが丸見えに…とか考えてる間もなく…。

 

「うあっ!?」

「きゃぁっ!!」

ボクとモニカちゃんは、再び頭をぶつけた…。

「…ク君、リク君!」

クオンお姉ちゃんの声で目が覚める。

「あ…クオンお姉ちゃん…ボク…一体…」

目を開けて、声を出してみる。…聞きなれたいつもの声なのに、なぜか懐かしく感じる。

そして間違いない、『ロボット』の感触。視界の中に移りこむデジタルの文字すら懐かしい…。

あれ、ということはまさか…?

 

「クオンお姉ちゃん、鏡持ってないですか?」

「え?…ああ、うん」

そういって手渡された鏡を見て…ボクは思わず……

 

……涙を流しながら大きく拳を振り上げた。

「ぃやったあぁぁぁぁぁっ!ボクの身体だ!ボクの身体だー!元に戻ったんだー!!」

「なんだかよくわからないけどよかったね、リク君」

「よかった…本当によかったぁ……!」

と、ボクは泣きながら自分の身体を抱きしめ、さすって何度も感覚を確かめる。

んー、やっぱり自分の身体が一番だー!

 

「…ところで、モニカちゃんは…?」

「ああ、ぶつかったショックで気絶してるだけだよ。じきに目を覚ますだろうさ」

「よかった…クオンお姉ちゃん、ありがとうございます!」

「いやぁ…ボク何にもしてないんだけどね…」

苦笑いを浮かべるクオンお姉ちゃんをよそに、ボクはモニカちゃんを抱きかかえながら家路につくのだった。

 

それから家に帰り着いて数時間後、モニカちゃんは無事に目を覚ました。

……までは、よかったんだけど。

 

「…リーク君っ!ボクと一緒にお風呂入ろうよ!」

「え…?」

いつもの会話の中に感じる違和感。モニカちゃんがなんかヘンだ。

「どうしたのリク君?ボクの顔に何かついてる?」

「え、いや…モニカちゃん。さっきの台詞もう一度言ってみて?」

「えっと…?ボクの顔に何か…はっ!『ボク』!?」

 

そうなのだ。

あの時あんまりにも『ボク』になりきったまではよかったものの、演技に力を入れすぎたのか、はたまたぶつかり方が悪かったのか?

モニカちゃんが自分のことを『ボク』と言ってしまっているのだ!

 

「あ…あ…そんな…」

自分の喉を押さえて震えるモニカちゃん。

あぁ、やっぱりショックなのかな。入れ替わりの後遺症で自分の呼び方が変わっちゃうなんて!

「モニカちゃん、ごめ…」

と、ボクが思わず謝りかけたそのときだった。

 

「…まさか、ボクが『ボクっ娘属性』をゲットしてしまうなんて夢にも思わなかったわ!よっしゃあwww」

「って、そっちかよっ!!!」

……よりによってこんなオチですかモニカちゃん。

 

ちなみに、この後遺症…まる2週間続いたそうな。

 


 
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