No.546143

とある傭兵と戦闘機のお話~(SW編第二話)ルッキーニのロマーニャ

早速501のメンバーとして合流したはいいが、基地の食料が底を尽きかけていた。この状況を打開すべく主人公達はロマーニャへと食料調達に出掛けた・・・さて、ロマーニャで待つのは食料かはたまたトラブルか、とにかく腹は減っては戦はできぬ~

2013-02-19 13:04:18 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:3275   閲覧ユーザー数:2996

 

 

 

    こっちに来てからだいたい一週間

 

 

 

私達は厨房にて朝食の準備をしていたのだが・・・

 

 「あ、お米が・・・」

 

芳佳が米袋を振っているが、米粒一つ出てこない

 

ここ最近、食料庫の食べ物が異様な勢いで減っているらしい・・・って

 

 「まずあのジャガイモの山が三日で消滅するっていうのがおかしいと思うんだ」

 

そう、ハルトマンの妹さんが持ってきてくれた山のように積まれたじゃがいも

 

どこかのバカ大尉二人が色々張り合って競ったのが原因で三日と経たずに底を尽いた

 

 「じゃがいもってエネルギーにはなりますけど・・・」

 

 「まさか三日で無くなるとは思ってもいませんでした・・・」

 

だよね・・・普通ありえないもんね

 

 「まったく何処にそんな質量が消えたんですかね~・・・おいそこに伏せてる馬鹿二人!!」

 

と、厨房から真正面にある机の下に伏せている二人に向かって声を投げかける

 

 「・・・べ、別に悪気があった訳じゃ・・・」

 

 「悪気あっても無くても、体壊すってそれじゃ・・・他に競うものなかったの!?」

 

 「反省はしている・・・」

 

 「でも・・・」

 

 「「後悔はしていない」」

 

こ、コイツら・・・開き直りおった

 

 「それじゃあ罰として朝食抜きな」

 

 「「そ・・・それだけは勘弁してくれ」」

 

まあ、この二人を責めてもこの慢性的な問題は解決しないんだけどね

 

 「坂本さ~ん!!お米無くなっちゃいました~」

 

と、芳佳が近くを通りかかった少佐に声をかける

 

聞いた話によると、この501メンバーがかなり短期間に集まった為に予定より物資が消耗されたらしい

 

次の補給まであと二週間、当然凌げるはずもない

 

 「丁度色々物品が必要だから、三人共買い物に行って頂けるかしら?」

 

と、入り口からひょっこり顔を出して中佐が私達に提案をしてきた

 

すると二人は顔を輝かせて

 

 「「りょうか~い!!」」

 

と、元気よく返事をした

 

どうせ私は強制的に行かされるんだろうから返事はしない

 

でも買い物か・・・また面倒事にならなきゃいいけど

 

 

 

 

 

 

 「という事で、臨時補給を実施する事になりました。

 

  大型トラックが運転できるのはシャーリーさん、ロマーニャの土地勘があるのはルッキーニさんなのでこの任務は二人にお願いします」

 

只今ブリーフィングルームにてメンバーに補給兼私物の買い物の旨を話している

 

選出されたシャーリーとルッキーニは、久々の外出なのか大喜びしていた

 

 「他に、宮藤さんとリーネさん、フィリアさんも同行という事でーーー」

 

 「あの・・・やっぱり私は基地で待機で」

 

と、リーネがこの仕事から外れたいと言い出した

 

そのリーネは何故かシャーリーをチラチラと見ていて、挙動が明らかにおかしかった

 

ん?待てよ・・・状況を整理してみよう

 

スピード命のシャーリーが運転、アトラクション大好物のルッキーニがさらにはしゃぐ

 

この世界の道は完全に舗装されている訳ではないだろうから悪路を進む事になる

 

そしてこの時代のトラックのサスペンション・・・走行時の衝撃を和らげる機構は正直不十分

 

さて、これが全て纏まると見えてくるのは何でしょうか?

 

・・・ロマーニャではなくあの世へ飛んでいく勢い間違いなしの直行便・・・

 

 「・・・中佐、お願いがあります」

 

と、それだけは何としても避けたい私はここで中佐に提案をした

 

 「はい、何でしょうか?」

 

 「車を一台・・・トラックじゃなくてもいいですから出して頂けないでしょうか?」

 

行かなきゃ(精神を)殺される、行っても待つのは死のドライブ

 

なら行って別行動を取ったらいいじゃない

 

 「いいでしょう。運転は・・・まあ問題は無いわね」

 

よし、事故死だけは免れた・・・あ、そうだ

 

 「リーネ、私に付いて来て」

 

 「・・・え?」

 

俯いていたリーネが顔を上げる

 

さっき楽しそうにしてたし、私も一人だと緊急時に色々問題が起きるものだ

 

 「で、でも・・・」

 

 「上官命令、異論は認めないから」

 

上官命令って便利だな~・・・

 

 「任務中はシャーリー、又はフィリアの指示に従うようにな」

 

 「では、欲しい物がある人は言って下さい」

 

と、中佐が私用の物品の注文を取った

 

う~ん・・・欲しい物か・・・

 

 

 

 

暇を持て余した私は何となくハンガーに来ていた

 

 「お、嬢ちゃんどうした?」

 

 「あ、いや、散歩ってやつです」

 

前の整備兵さんに軽く挨拶を交わし、ハンガーを見渡す

 

 「はーそれにしても、一気に基地が活気付いたな」

 

 「ほぼ一度に全員集まりましたからね・・・騒がしいだけですけど」

 

 「ははっ、騒がしいこたぁいい事だ。少なくとも静まり返った場所に居るよりはな」

 

と、目線を取っ組み合っている二人に向ける

 

相変わらず仲がいい事いい事

 

周りの整備の人が笑いながら二人を見ていた

 

 「あ、そういえば整備兵さん」

 

 「ん?何だ?」

 

 「整備班の連中って合計何人居ますか?」

 

 「んー新人二人を入れて・・・二十六人だな」

 

二十六人か

 

 「わかりました、教えてくれてありがとうございます」

 

と、私は少し軽く礼をしてハンガーを後にしたのだった

 

 

 

 

    翌日

 

 

私は車庫から車を拝借してシャーリーのトラックの後ろに止めた

 

 「私はシャーリーに付いて行くから」

 

 「おう、わかった。道案内は任せとけ」

 

うん、正直任せらんないけどね

 

 「それじゃあ私は先に出るから、付いてこいよ~」

 

シャーリーのルッキーニと芳佳を乗せたトラックは普通の速度で町への道へと進んでいった

 

 「さてリーネ、行こうか」

 

 「は、はい・・・芳佳ちゃん・・・」

 

あーやっぱり心配なんだね

 

 「心配しないで、シャーリーも殺しはしない・・・と思う」

 

いや、本当に

 

 「よし、シャーリーに続くよ」

 

私もエンジンをかけ、車を走らせてシャーリーの後ろ十メートルくらいを維持する

 

少し進むと、辺り一面は花が咲き乱れる花畑へと出た

 

 「おお、これは・・・」

 

様々な色の花が混ざり合い、自然という自由な空間は花の匂いで満たされていた

 

 「わあ・・・きれいですね~」

 

リーネも賛美の言葉をもらす

 

こうやって自然を見ると戦争なんて無い平和な世界に思えてくる

 

ただそれが、私にとっては何ともいえない違和感に思えた

 

 「それにしても綺麗だな~」

 

とにかく、それしか出ない程に私達の気分は花畑に奪われていた

 

しかしそれは前方から聞こえてきたエンジンの雄叫びによって吹き飛んでしまった

 

 「やっぱり始まったか・・・」

 

そして芳佳の悲鳴もまた、そのエンジン音と同じように序々に遠くなっていく

 

 「芳佳・・・」

 

 「芳佳ちゃん・・・」

 

多分、リーネも同じことを思っている事だろうが

 

とりあえず幸運を祈る・・・宮藤芳佳軍曹

 

 

 

 

 

 

そうしてシャーリー達を見失うも、基地からほぼ一本道だったお陰で特に無駄足を踏まずにロマーニャに到着

 

 「やっぱりローマみたいだな・・・」

 

 「だってここロマーニャですよ?」

 

リーネにごもっともな返しをされて少したじろいだ

 

 「いや、向こうにも同じような国や町があるんだよ。そこともの凄く似ているから」

 

写真で見たのと空を飛んだだけしか来た事がないけど

 

ロンドンと同じように、古い町並み・・・まあ私からすれば十分昔なんだけど

 

様々な遺跡やら建造物、民家までもがそんな歴史的な雰囲気を醸し出している

 

 「割とこの辺は活発なんだね」

 

 「そうですね、ただネイロイの侵攻ポイントなので・・・」

 

 「それから守らなくてはならない・・・重要だな、501の存在は」

 

ブリタニアの時もだったけど、防戦一方じゃ拉致があかないと思う

 

それにしてもルッキーニの故郷か・・・なんかルッキーニ自身がロマーニャの雰囲気を体現したみたいだ

 

活気に溢れ、人々はなんの気兼ねなく生活を送っている

 

 「そうですね・・・あ、あれシャーリーさん達じゃないですか?」

 

と、リーネが視線を向ける方向を見ると何やら困ったような顔をしたシャーリー達が、トラックの前で何か話し合っていた

 

 「二人共、どうしたの?」

 

 「あ、フィリアちゃん!!」

 

 「フィリア、重大なお知らせだ・・・」

 

ん?何だ重大なお知らせって・・・まさかお金忘れたとか?

 

 「・・・ルッキーニが消えた」

 

なんだそんな事か・・・

 

 「この町はルッキーニの故郷なんでしょ?だったら別に問題はーーー」

 

 「あー・・・そのだな、ルッキーニが居なくなったのは別に問題は無い、ただ・・・」

 

 「?」

 

 「そのルッキーニにお金全部預けちまっててだな・・・」

 

 「・・・何にょぉん!?」

 

 「「「!?」」」

 

しまった噛んでしまった・・・でもそれって

 

 「物買えないじゃん・・・今買った物は?」

 

 「えっと、みんなの物です」

 

みんなのもの・・・私物か

 

 「食料系は?」

 

 「ゼロだ」

 

マズイ・・・最優先事項が確保できてない

 

 「とにかくルッキーニを探せばいいんだ」

 

 「分かった、でもまあルッキーニの事だし戻ってくるんじゃないか?」

 

 「いや・・・食料の事もあるしさ・・・探す方がいいかもな」

 

 「うーん・・・よし。リーネ、シャーリーに付いて行って」

 

 「へ?、あ、はいっ!!」

 

 「ちょっと私は他の買い物に行くから、見つけたら報告するように」

 

と、再び車のエンジンをかけて私は道を進んだ

 

 

 

 

 「お、この店って酒屋かな?」

 

ちょっと雰囲気の落ち着いた、古い店の前に車を止める

 

 カランカラン

 

と、店の扉を開けるとベルの音が軽く店内に響く

 

 「いらっしゃい」

 

髭をながく伸ばした店主と思しき人物が何やら新聞を読みながら返事をしてきた

 

店内を見回すと棚、床、壁と所狭しに酒瓶が並べられていた

 

 「えっと・・・」

 

知ってる銘柄が一つも存在しない・・・当たり前か

 

店内をまわって行くとふと、一つだけ見覚えのあるものを発見した

 

 「これは・・・よし」

 

ちょっと名前が違うがラベルなどの見た目、色合いなどは似ていた、というか一緒だった

 

 「これお願いします」

 

と、その酒瓶が30本程入っている箱を店主の前へと持っていく

 

 「嬢ちゃんこんなに飲むのか?」

 

 「いえ、私が全部飲むわけじゃないですけど」

 

 「いいもん選ぶね・・・こいつは安い割にゃ楽しみ方次第で高級酒に引けを取らねーからな」

 

流石酒のプロ、わかってらっしゃる

 

 「お会計だ。お得意様だから二本分まけといてやらあ」

 

 「ありがとうございます」

 

支払いを終えてから酒瓶をジープの後ろに乗せる

 

 「よし、シャーリー達と合流するか」

 

と、車に乗った時、道端を走っていた子供が躓いて盛大にこけた

 

 「う・・・痛いよう・・・」

 

辛そうにしゃがみこんでいる茶髪の女の子は、一生懸命涙を堪えていた

 

私は車を降りてから女の子の元に駆け寄った

 

 「大丈夫?」

 

 「あう・・・痛いよう・・・」

 

とにかく痛いらしいので、うずくまったまま顔を上げない

 

 「・・・ちょっと傷口見せてね」

 

するとその女の子は体操座りをして膝を見せる

 

 「んーちょっと擦り剥いてるね。元気いっぱいなのは良い事だけど、落ち着くことも大事だよ?」

 

ポケットからハンカチを取り出して涙を拭いてあげる

 

傷口を水(私の水筒)で洗ってから車の医療箱から簡易絆創膏を取ってきてそれを貼る

 

 「よし、これで大丈夫だから」

 

処置を施して、女の子の手をとって立つのを助ける

 

 「・・・ありがとう・・・お姉ちゃん・・・」

 

 「うん。お行儀のいい子だね」

 

よしよしと、頭を撫でてやってから女の子と別れた

 

 「・・・私も変わったな」

 

あんなふうに子供と接するなんて

 

また、なんともいえない違和感を抱きながら再び車に乗り込んだ

 

 

 

 

 「で、ルッキーニの居場所は検討付かず・・・」

 

シャーリー達と合流した私は三人から戦果を聞いていた

 

 「でも、ケーキがおいしいカフェを見つけました」

 

芳佳、それ今報告する?

 

 「食料は私が持ってる全財産使ってある程度揃えるとして、問題はルッキーニの方だね」

 

行方不明のままじゃ流石にまずい

 

 「は~・・・どうしたものーーー」

 

と、私の乗っているジープの据付無線にノイズが走る

 

 「ザザッ・・・非常事態発生、ネウロイ出現、進行方向はロマーニャ

 

  総員、戦闘態勢を取れ。なお、敵の現在位置はーーー」

 

無線から入った敵襲報告、それと同時にのどかな町に重いサイレンが鳴り響いた

 

 「このタイミングでかよ!!」

 

 「ストライカーは!?」

 

 「トラックの荷台に積んであるけど、ルッキーニが居ないから」

 

 「芳佳とシャーリーのみの出撃か・・・仕方が無いけど、緊急発進用意ッ!!」

 

と、私が掛け声を出すと二人共ストライカーを急いで装着しだす

 

 「私はルッキーニを探すから、リーネ!!」

 

 「は、はいっ!!」

 

 「ストライカーは無理だったけど、リーネのライフルは車に積んであるから広い所に行って援護射撃。当てなくてもいいから敵を牽制!!」

 

 「了解!!」

 

私はふと広い場所を探して辺りを見回した

 

すると、一番高い塔のような建物の上、展望台のような場所に見覚えのある人物像

 

こっちに手を振ってる・・・あそこか!!

 

 「リーネ、トラックに乗って!!」

 

 「はい!!」

 

銃を座席に立て置いて、リーネと共に広場へと向かった

 

 

 

 「ルッキーニ!!」

 

 「たぁッ!!」

 

と、あろう事かルッキーニはその展望台からトラックに向けて飛び降りて来た

 

そしてそのままストライカーユニットに着地、それと同時に装着させる

 

 「今シャーリー達が2時方向で戦闘中だ。急いで向かって!!」

 

 「わかった!!ロマーニャは私が守る!!」

 

ルッキーニはそう言って発進していった

 

 「よし、ここから狙撃する。こちらフィリア、リーネと共に南南西より支援砲撃を開始する」

 

 「(了解!!ぶち抜いちまえ!!)」

 

 「リーネ、誤射は気にしないでいいからーーー攻撃開始!!」

 

リーネの対装甲ライフルが重々しい発砲音を響かせる

 

 「初弾命中!!その調子でーーー」

 

と、ネウロイのビームがこちらにめがけて飛んでくるのが見えた

 

ここでシールドを使うと弾いたビームで町に被害が及ぶ可能性がある・・・だったらーーー

 

 「上に逸らす!!」

 

魔法力最大展開、自分の足元に空気を螺旋状に圧縮

 

 「圧縮解除ッ!!」

 

魔法力を込めた超高密度に圧縮された空気の塊は魔法力という柵を失い

 

その空気の爆発によって大きく空に打ち上げられた

 

そして、展開したシールドを三十度ほど傾斜させて飛来したビームを上空へと屈折させる

 

間一髪、ビームは上空に拡散して街には被害を出さなかった

 

 「(大丈夫か!?)」

 

 「こっちは大丈夫だ。街にも被害はない」

 

シャーリーに返事を返して、リーネに支援砲撃の指示を出す

 

ちなみに現在進行形で私は空中に浮いたままである

 

靴に魔法力を付加したらこうなった・・・魔法力って何にでも使えるよね

 

そうして空中に立つ事ができるようになった私はそのままリーネや街を狙うビームを防ぎ続ける

 

そして、ルッキーニがシールドを多重展開してネウロイに体当たりを敢行

 

ネウロイは都市上空で光る破片へと姿を変えたのだった

 

 

 

 「ふぅ・・・」

 

一息、ため息を付いた私はゆっくりと地上へ降りた

 

 「フィリアっ、街を守ってくれてありがと!!」

 

と、ルッキーニがストライカーを発進ユニットに格納して抱きついてきた

 

 「当たり前の事をしたまでだよ、そしてさりげなく胸を触るんじゃない」

 

 「えへへ~フィリアもきもちい~」

 

にこにこと笑顔を浮かべながらルッキーニはご満悦のご様子

 

 「さて、そろそろ帰るか・・・ルッキーニ、友達にお別れのあいさつは言ったか?」

 

 「今からやる~」

 

と、ルッキーニはその友達の方に駆け足で向かう

 

 「さて・・・リーネ、シャーリー、怪我とかないよね?」

 

 「おう、万全無傷だ」

 

 「はい、私も大丈夫です」

 

 「よし、体力も余ってるみたいだし・・・店じまいされる前に食料調たぁぁつ!!」

 

ダッと三人同時に市場の方に走り出す

 

このままじゃ皆で鬼も真っ青ミーナ中佐に処刑されかねない

 

まだ間に合うはずだ・・・急げぇぇぇえッ!!

 

 

 

 「間に合わなかった・・・」

 

結局、お米は何とか買えたが野菜その他生鮮食品は店じまいされていて買えなかった

 

 「・・・憂鬱だ・・・」

 

 「ま、まあミーナ中佐の事だから死にはしないとは思うが・・・」

 

死にはしないが死ぬほど怖いのは確かだ

 

 「ど、どうしよう・・・」

 

 「坂本さんに怒られるぅ・・・」

 

右往左往してるリーネと芳佳

 

 「皆なんでそんなに焦ってるの?」

 

何故か自分の所業を全く理解してないルッキーニが頭に疑問符を浮かべている

 

ルッキーニ・・・お前のせいなんだぞ・・・

 

 「ま、ルッキーニ献上すれば何とかなるかな?」

 

 「おまえ・・・えげつないな・・・」

 

えげつないのは否定しないけど

 

 「このまま責任って言葉を知らなかったら将来この子色々困るだろうしね」

 

確かにまだ早い気がするが、この際ついでだ。大事になる前に気付かせるに越した事はない

 

 「・・・ホントお前って世話焼きだよな」

 

 「そう思うんなら世話焼かなくて済むくらいちゃんとしてくれよ」

 

基地に食料物品を運びながら二人で苦笑いする

 

 

 

 

 

 「何だと!?食料調達の資金を全部遊ぶ為に使ったのか!?」

 

部屋に入って報告するなり、バルクホルン大尉に怒号を浴びせられた

 

 「いや、私じゃないんですけど・・・ルッキーニ、謝りなさい」

 

 「えぅ・・・ごめんなさい・・・」

 

さてと・・・まあなんのお咎めなしって風にはいかないだろうけど

 

 「それにしても食料が米しか無いのか・・・」

 

飢えはしないだろうけど、士気が下がるのは避けられない

 

 「さて・・・フィリアさん?」

 

ああ、私の命ここまで・・・短い人生だった

 

 「ミーナ中佐・・・せめて苦しみ無いようにしてください」

 

 「さらっと私が死刑執行人みたいな風に言わないでよ・・・皆に誤解されるから」

 

誤解?いいや違うな

 

 「事実だから仕方がなーーー」

 

 「後で執務室へ出頭するように」

 

あっ・・・

 

 「それでは、資材は明日確認しましょう」

 

ミーナ中佐はニッコリ笑って部屋を後にしていった

 

 「・・・フィリア、ドンマイ」

 

なんか捨て猫を見るような目でシャーリーが私を見下ろす

 

 「ははは・・・おわった・・・」

 

 

 

   翌日

 

 

 「羽ペンがあんな拷問器具になるなんて夢にも思わなかった・・・」

 

 「お前羽ペンで何されたんだ!?顔が真っ青だぞ!?」

 

いやあ凄まじい戦いだった・・・主に書類との

 

結局監督責任は私にあったので、その分の反省文と中佐のデスクワークのお手伝い

 

ぶっちゃけお手伝いと言う名の強制労働だったけど

 

 「昨日は助かったわ~ありがとう」

 

横でにっこりツヤツヤの笑顔をしているのは張本人ミーナ中佐

 

というか、あの量を中佐は処理してたのか・・・やっぱり中佐は人間じゃなーーー

 

 「三ヶ月分の書類がきれいサッパリ無くなったわ~お陰で体が軽い気がするわ♪」

 

やっぱり人間じゃない・・・主に心が

 

アレ三ヶ月分だったのか!?どんだけ溜めてたんですか!?

 

後々聞いたが、501再編にあたって大量の認証書類がいるらしく、頻繁に出撃するから書類が溜まりに溜まったらしい

 

やっぱり上官は大変ですね・・・って上官と言えば・・・

 

 「少佐は書類の手伝いをしてくれないんですか?」

 

 「・・・美緒が真面目にデスクワークをしている姿を想像してみなさい」

 

・・・・・・・違和感半端じゃない

 

 「・・・ご愁傷様です」

 

中佐に軽く尊敬を抱いた・・・少佐ぁ・・・

 

 「分かってくれるなら今後手伝いぐらいしてください・・・」

 

なんか気の毒だ・・・今度暇だったら手伝おう

 

 「さて、私はちょっとハンガーに行って来ますね」

 

 「わかりました。所で何をしに?」

 

何をしにって・・・まあ

 

 「整備班に私からのちょっとしたお礼です」

 

と、笑顔を作って部屋を後にした

 

 

 

 

 「おはようございます」

 

ハンガーで整備している班長さんに話しかける

 

 「よう嬢ちゃん、どういったご用件で?」

 

作業服の袖で汗を拭ってこっちに向く班長さん

 

 「私からのちょっとしたお礼です。受け取ってください」

 

先日買ったウイスキーの入った木箱を近くの机の上に置く

 

 「なんか済まんな・・・こっちは守ってもらってる側なのに」

 

 「いえ、ウィッチもあなた方の腕に守られていますから」

 

木箱の蓋を近くにあったバールでこじ開け、中身の一本を取り出す

 

 「少し度は弱めですが、お湯割りで香りを楽しみながらちょっとずづ味わうのがおすすめです」

 

 「ほう、嬢ちゃんなかなか粋な飲み方するじゃねーか」

 

というより、ヴァレー基地は寒かったし、お酒は貴重品だったから、窓から雪景色を見ながらラリーと一杯分堪能してた

 

どちらかと言うとお酒というよりはホットミルクや風邪薬といった感じ

 

 「おつまみは・・・少ないですがこれを」

 

と、もう一つの木箱から麻袋を取り出す

 

中身はマーケットで大量に売られていたナッツ類の詰め合わせ

 

値段は格安だったので多めに買う事ができた

 

ただ、この人数だと少し少ない感が否めないのは事実だけど

 

 「おお!?こんなに沢山・・・嬢ちゃん、この恩は一生忘れない」

 

 「恩なんて・・・これは私のほんの気持ちです」

 

 「感謝する・・・こんなご時世、嬢ちゃんみたいな人間は少ないだろうよ

 

  よし、お前等!!嬢ちゃんから酒とつまみの差し入れだ。貴重だからしっかり味わえ!!」

 

 「「「「ありがとうございます!!」」」」

 

 「いえいえ~お気になさらず」

 

こんなもので喜んでくれるのなら、使い道のないお金だって役に立つ

 

 「あ、二日酔いには注意してくださいね?」

 

 「おう、任せとけ」

 

任せて大丈夫・・・なのか?

 

と、皆で騒いでいると近くからノイズが聞こえてきた

 

 「お、できたか?」

 

 「ああ、これでラジオが聞けるはずだ」

 

無線機をいじくっていたダウェンポートさんが音量を上げる

 

 「(ーーさて、本日始めーー公務の場とーーーー会に出席されたーーー)」

 

少し聞きづらい・・・周波数が完全に合ってないのだろう

 

 「もう少し周波数いじるか・・・どうだ?」

 

 「(昨日、ローマはネウロイの襲撃をうけました。しかし、そのネウロイは小さなウィッチの活躍によって撃退されたのです)」

 

音がちゃんと入るようになり、放送内容がきちんと聞き取れるようになる

 

 「これはロマーニャ公国の政府ラジオだな・・・」

 

 「という事は今日は新公女様の宣誓の中継か・・・」

 

何でも、今日新しい国のトップが演説をしているらしい

 

 「(その時私は、彼女達からとても大切な事を教わりました。この世界を守るには、一人ひとりができる事をすべきだと

 

   私も、私ができる事で、このロマーニャを守って行こうと思います)」

 

ん?という事はこの公女様は昨日の襲撃の当事者だったのかな

 

 「(ありがとう・・・私の大切なお友達・・・フランチェスカ・ルッキーニ少尉)」

 

 「ぬああぁぁぁぁぁぁん!?」

 

 「何だって!?」

 

 「少尉が公女様と友人関係だったのか!?」

 

 「(そして、街を身を挺して守ってくださった、名を知らぬ蒼のウィッチ様 本当にありがとうございます。感謝を込めて

 

  ささやかなお礼を、501統合戦闘航空団の皆様に送ります)」

 

お、補給の目処が立っちゃった

 

そしてハンガーの外から何かが墜ちる音とルッキーニの悲鳴が聞こえた

 

 「・・・まさか」

 

ルッキーニの所へ行ってみると、パラシュートが付けられた投下物資にルッキーニが下敷きにされていた

 

 「ルッキーニ、大丈夫か~?」

 

 「う・・・おもい・・・」

 

木箱を一つどけて、その送り主を確認する

 

 「・・・ロマーニャ公国所有物資・・・501ロマーニャ基地へ」

 

山のように落とされた物資は、件のささやかなお礼らしい

 

 「・・・ま、結果オーライって事かもね・・・」

 

こうして、501統合戦闘航空団初の補給物資は、ルッキーニのお友達からのささやかなお礼となったのだった

 

 

 

・・・・あれ?私もしかして働き損?

 

   

 

 

 

 

 ちょっと急ぎ足で書いたので誤字脱字あるかもしれません

 

 さてさて今回はルッキーニの故郷のお話でしたが、主人公の振り回されるのはデフォです

 

 そして既にミーナ中佐という脅威から逃れる事を最優先に設定してます・・・しかし逃げられない

 

 という罠

 

 下手糞ですが主人公の絵を描いてみました・・・レポート用紙にですので見づらいかもしれません

 

 自分はペイントツールという万能ツールを持ち合わせておりません・・・

 

 意見感想募集中です   よろしくお願いします

 

 

 

 ・・・ちなみに東側のミグやスホーイには標準で30mm機関砲が搭載されております

 

 

 でもやっぱりアベンジャー・・・すごく、おおきいです・・・色々と

 

 

 

 

 

 


 
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