No.530098

SAO~黒を冠する戦士たち~ 第百八十八技 残酷よ、希望となれ

本郷 刃さん

第百八十八話です。
ヒースクリフからの提案にキリトは・・・。

どうぞ・・・。

2013-01-10 10:26:20 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:11065   閲覧ユーザー数:10348

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第百八十八技 残酷よ、希望となれ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリトSide

 

茅場からの提案、俺と一対一の決闘を行い、俺が勝てば生き残っているプレイヤーがこのデスゲームから解放される。

 

俺も、アスナも、皆も…。

 

だが、前回奴は俺との戦いに負けている。それなのにここで俺と戦う意味があるのか…?

 

「駄目だよ、キリトくん! 彼はキミを排除する気だわ! ここは一度引いて、態勢を整えてから…!」

 

俺が支えるアスナは、必死に止めようとする。俺のことを心配してくれているのが嬉しい。

 

確かにこの提案は罠の可能性が高い、ここで引いておけば少なくとも今回は命が助かるだろう……だが、

それでは今後もしもの時があった場合での、クリアが出来る保障が低くなる。

 

また、俺達の肉体の限界のことを考えると…。俺は周りにいる皆を見渡した。

 

未だに沈黙を保ったままだが、共に戦っていたプレイヤー達がみんな「やめろ」と表情で訴えてくる。

 

かつては『ビーター』と言われて、蔑まれ、疎まれてきただけだったのに、今では随分と慕われるようになったな…。

 

そんな事を思いながら、俺は抱きとめていたアスナを地面に横たわらせた。

 

「その提案、受けさせてもらうぞ」

 

「っ、キリトくん!」

 

「やめるんだ、キリト君!」

 

「絶対に罠だ!」

 

受け入れた俺にアスナ、ウェルガー、他のプレイヤーも止めようとする。

 

誰もが俺にやめるように訴えてくるが、ここで引くわけにはいかない……こんな茶番、終わらせてやる…。

 

負けるつもりはさらさらない、だけどいまだからこそ、言っておかないといけないこともあるから…。

 

「ケイタ、サチ、テツ、ロック、ヤマト……お前達と一緒にパーティを組んだ時間、楽しかった。ありがとな…」

 

「キリト! 俺達はまだ、お前に何も返せてない…!」

 

「やめて、キリト!」

 

「「「キリト!」」」

 

黒猫団と一緒にパーティを組んでいた時間は、本当に楽しかった。

 

コイツらと出会っていなければ、俺はまた違う道に進んでいたかもしれない…。

 

「エギル……お前が中層のプレイヤー達の為に、店で稼いだ金を育成費用として寄付していたのは知っていた。

 お前は、尊敬できる奴だ…」

 

「キリト、お前…」

 

エギルには商売だけじゃない。1層のボス攻略の時からずっと世話になっていた。

 

感謝しても、しきれないくらいだ…。

 

「クライン……俺は、ゲームが始まったあの時。

 お前を置いて先に進んだのを、心のどこかでずっと後悔していた。悪かったな…」

 

「バッ、カ野郎! そんな、謝んじゃねぇよ!」

 

クラインと出会えたことは僥倖だった。

 

コイツは俺がビーターだと知った後でも、いつも気兼ねなく接してくれていた。それにどれだけ救われたか…。

 

「カノンさん……俺に付き合わせてしまう形で、戦場に連れ出してしまって、すいませんでした…」

 

「あたしは、そんな風に思ったことはないわ!」

 

「ティアさん……いつも俺の相談に乗ってくれて、ありがとうございました」

 

「キリトくん。私は、そんな事、しか…」

 

二人のお姉さんには、子供(ガキ)でしかない俺を支えてもらってばかりだった。

 

知り合って一年もしない相手だったにも関わらずに、ここまで付いてきてくれた…。

 

「ハジメ……幼馴染の娘、向こうでちゃんと紹介してくれよ?」

 

「……っ、勿論だ」

 

「ルナリオ……スグを任せたいんだから、また鍛え直してやる」

 

「はい、っす…」

 

ハジメにもルナリオにも守りたい人がいる。なら俺はその手助けをしてやりたい。

 

いつも共に戦ってくれていたから…。

 

「シャイン……いつも心配ばかり掛けていたな。こんな弟分でゴメン」

 

「謝るなよ、あやまらなくていい……」

 

昔から俺の、俺達の面倒をみてくれていたシャイン。本当に心配ばかり掛けていた。いや、それは今も、か…。

 

「ハクヤ、ヴァル……お前らなら、大切な人を守れる…」

 

「当たり前だ…!」

 

「っ~~~~~、はい…」

 

この世界で俺と同じように大切な人が出来たこの二人ならば、どこでも彼女達を守れるだろう。

 

俺はどこか、ハクヤとヴァルになら後を任せられると思っているのかもしれない。

 

その思いを振り払い、俺は彼女の方を向いた。

 

「駄目、だよ…」

 

「アスナ、キミと出会えてよかった。キミが居たから、俺は強くなることが出来た」

 

「いかないでよ…」

 

「大丈夫、俺は死なない……必ず勝つよ…」

 

俺はアスナの傍から離れて、奴の前へと歩み出る。

 

「キリトくん!!!」

 

彼女の悲痛な叫びを受けても、俺は止まらない。

 

「キリト君。彼女は、キミが死ねば自身も死ぬかもしれない様だが…」

 

「そうだろうな、俺が死ねばアスナも死ぬつもりだろう……だが、それは俺も同じだ。

 アスナが死ねば、俺も死ぬ……俺達は、一心同体だからな…」

 

「そうか…。いや、ではそろそろ始めよう…」

 

今までどこか機械的だった奴の表情に気付けないようなほんの少しの変化があったが、それをすぐに戻していた。

 

奴は左手でウインドウを操作していく。俺と奴のHPバーが全回復した。

 

奴は自身の剣と盾を構えた。俺は聖剣と魔剣を自然体で持ち、深呼吸をし、武器を構えた。

 

「殺す!」

 

俺はその一言を発して、奴へと向かった。

 

キリトSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

ついに、キリトVSヒースクリフとなります。

 

前回以上に強くなっている団長の強さに必見です。

 

勿論、キリトも引くわけがありませんけどw

 

それでは次回で・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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