第百四十七技 明かす正体 ハクヤ編
ハクヤSide
リズの想いに答えた俺はもう一つの決心をした。俺自身の正体を明かさないといけない。
「リズ、街に戻ったら大事な話があるんだ。いいかな?」
「うん、わかったわ…」
俺の真剣な声に何かを悟ったらしい。彼女もしっかりと返事をしてくれた。
「そうと決まれば、キリト達に声を掛けて街に戻ろう」
「そうね///」
俺達は立ち上がるとキリトとアスナに近づいた。キリトはすぐに気付いて、アスナも顔を上げた。
ハクヤSide Out
キリトSide
話しが終わったのかハクヤとリズが歩み寄ってきた。
「もういいのか?」
「あぁ、心配をかけた」
「持ちつ持たれつ、俺達はそういうモンだろ?」
「そうだった」
俺の問いかけにいつも通りに答えるハクヤ。彼の声色をきいて、もう大丈夫だと感じた。
リズの表情も先程とは違い晴れやかだからな。アスナに目をやると彼女も微笑んでいる。
「それじゃあ帰るか」
「うん」
「ああ」
「ええ」
≪転移結晶≫を使い家に帰った俺とアスナ。ハクヤはリズと話があるそうだ。
おそらく全てを話すんだろう。なら俺は、二人を信じるだけだ。
キリトSide Out
ハクヤSide
キリト達と別れ、俺はリズと共に彼女の家(店兼用)に来ている。
「良かったのか? 店を閉めて…」
「いいのよ。どのみち今日はもう閉めるつもりだったから…」
最前線のボス戦に参戦したんだ、その疲労は分かる。
彼女の寝室にて話をすることになった……って、いいのか、寝室で!?
「別にリビングで話してもいいんだけど…」
「ここがいいの……一番落ち着くから」
そうかもしれない。彼女にとっては自宅のこの場所が、この世界で安らげる場所でもあるんだ。なら、ここで話そう。
「今から俺が話すことは、他言無用で頼む……いや、黒衣衆と、いまならアスナとシリカも話して大丈夫かな」
「いま言った人達以外には、話しちゃ駄目なのね…」
確認してくるリズに俺は頷いて応えた。
「なら話して、ハクヤのこと……」
俺は冷静になるために一度深呼吸をした(実質この世界に呼吸は必要ないけど)。
リズに顔を向けて話しだす。
「こういうのは単刀直入に言った方がいいと思うから言わせてもらうけど……俺は、この世界で人を殺しているんだ…」
「っ……それは、
「うん。ただそれは一度だけじゃないんだ。いままでに、何回も…」
俺の言葉にリズの表情が強張った。
それでも俺から顔を逸らさないのは、信じてくれているからなんだと思う。
「俺の呼び名は【黒き死神】。だけどもう一つ、仮面を被った呼び名がある」
「仮面を被った、もう一つの呼び名…?」
「『リッパー』っていえば、分かるかな」
「リッ、パーって……嘆きの、狩人…」
震える声で言葉を紡ぐリズ。キリトとヴァルの気持ちがよく分かる。
あの二人も、こんな辛い思いで話したんだろうな。それでも、これは知っておいてほしいことだから。
「我、狩りし者を狩る者、『
「そう、だったのね…」
力が抜けたようにベッドに寝転がったリズ。
不安になる。キリトもヴァルも、こんな気持ちを味わったんだ。
今度は自分の体が震えてくる。その時、
「(ぎゅっ)あたしは大丈夫よ……それよりも、ハクヤの方が大変じゃない…」
後ろから俺を抱き締めながらそう言ってくれた。
「俺の方が大変、か……はは、その通りだね…。でもさ、リズは…俺が怖くないのか?」
「びっくりはしたわよ……だけど、ハクヤはハクヤでしょ?
あたしが好きになったハクヤ。なら、それでいいじゃない」
キリトとヴァルが言っていたことを思い出した。
こういう時の女の子ほど強いモノはない、そう言っていた。俺もそれを実感した。
「それなら、もう少しだけこのままで。というか俺の涙が止まるまで」
「え、あんた泣いてるの?」
リズに言ったように俺は涙が溢れるのが止まらないのだ。
かといってあまり見てほしくはない。
「それじゃあ泣き止むまでこうしててあげるわ」
「ありがとう、リズ」
俺は涙が止まるまで、リズの温もりを感じることにした。
ハクヤSide Out
To be continued……
後書きです。
アスナとシリカに比べて、リズの方はさっぱりとさせました。
彼女はなんかこう、そういうのはホントに気にしない感じがするんですよね~。
ですからこういう風に書いてみました。
そして次回、甘くなるじぇ~w
内容もちろんはハクヤとリズ・・・しかもその次も甘くなる、なんせキリアスですからね(ニヤリ)
ブラックコーヒー片手に待機してくださいねw
それでは・・・。
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第百四十七話です。
今回はハクヤが自身のことを話す、真面目な話しになります。
どうぞ・・・。