第八十七技 恋する少年少女
ヴァルSide
「えっと、シリカ?」
「は、はい、なにかな?」
僕がシリカを呼ぶとビックリしたような反応を取っている。
もしかしてシリカは今の状況を理解してないのかな?
「その…腕はいいのかなって思って…///」
「ふぇ? あ…ご、ごめんなさい//////!?」
シリカは僕の腕に体ごと抱きついていた。その状況にようやく気付いたシリカは飛び跳ねるように離れた。
つまりは、その……ちょっとは当たっていたということで///
「「……///」」
気まずくなってしまった。こういう時は話題を変えないと………駄目だ、話題が出てこない。
そんな風に考えていたら。
「そ、そういえば、ヴァル君。昨日のボス攻略戦はどうだったの?」
「あ……うん。なんとかボスは倒せたよ…」
僕の言葉にシリカは少しホッとした様子だ。僕はまだ、ちょっとだけ気にしているけど…。
「どうかしたの?」
「う、ううん。なんでもないよ」
あまり気にしすぎたらシリカに気を遣わせちゃうかもしれないし、気をつけないとね。
「そういえば今日はなにかあったの? 会いたいってメッセージが来たから…」
僕は少し気になっていた事を聞いてみた。するとシリカは頬を微かに紅く染めて言った。
「えっとね…。ヴァル君とゆっくりお話しがしたいなって思って。最近はその、忙しそうだったから///」
「そ、そうだったんだ…///」
いくら男の僕でもシリカからの好意はわかっている。
シリカが僕に向ける感情は明らかに好きな人に向ける恋愛感情だ。
嬉しい反面で血に汚れる僕なんかでは、と思ってしまう。
「じゃあ、お話ししようか」
「それじゃあ『フローリア』に行こう」
「うん」
僕とシリカは二人でいつもいく、第47層の主街区『フローリア』へと向かった。
「何度来ても綺麗だね、ここは」
「あたし、ここが大好きだよ!」
47層主街区の『フローリア』はフラワーガーデンと呼ばれる美しい街だ。
そういう事もあってかここにはカップルが非常に多い。僕とシリカもそんな風に見えるのかなぁ?
「きゅ~きゅ~!」
ピナもここが好きなんだと思う。さっきから花畑の周りをゆっくりと羽ばたいている。
「ピナも嬉しそう♪」
「凄く喜んでるからね」
「ヴァル君。あそこのベンチが空いてるから座ろう?」
「そうだね」
ベンチに座ってから僕とシリカは色々な事を話した。
ボス攻略の時のキリトさんの演説とか、
キリトさんとシャインさんから聞かされた惚気話の事とか、他にもたくさん話した。
気付いたら夕方になっていてシリカがもう少し話したいと言ったので、
今日はシリカがいつも泊まっている宿屋で夕食をとって僕もそのまま泊まる事にした。
「ふぅ~~~」
僕は盛大に息を吐きながらベッドに横になった。やっぱりシリカと一緒の時間は楽しい。
キリトさん達と一緒の時とはまた違ったものがある。これはやっぱり…、
「多分…好き……なんだよね。シリカが…」
シリカの好意を受けていたからかもしれない。
いや、出会った
とにかく僕は彼女に想いを寄せているという事だ。だけど…、
「僕なんかが…いいのかな……?」
もちろんシリカからの好意は嬉しい。
けれど僕は『狩人』だ。いくつもの人の命を奪ってきた。
たとえそれが
それを彼女が知れば軽蔑するのではと思う。いや、それがむしろ普通だと考える。
そう思うと思考のスパイラルに落ちてしまう。
「……もう寝よう」
明日はシリカに頼まれてある場所に行く。
シリカは教えてくれなかったけれど、明日のお楽しみといっていた。取り敢えずは備えるために寝よう…。
ヴァルSide Out
シリカSide
「きゅくぅ~……」
ピナは今日凄くはしゃいでいたからなのかあたしの隣で寝息をたてている。一方あたしも、
「……//////」
今日は凄く楽しかった。ヴァル君と一緒だと色々な事が楽しく思えてくる。
この世界での生活が始まってから苦しかった毎日を彼が解き放ってくれた。
だからあたしは彼の事を好きになっていたんだ。
ヴァル君がキリトさんとシャインさんが話した惚気話を聞いて、アスナさんとティアさんが凄く羨ましかった。
好きな人と一緒に生きていく事ができて。
それを聞いてあたしは背中を押されるような気がしました。だから…、
「明日は、絶対に伝えよう。好きですって…」
明日はヴァル君と一緒に
「そういえばあの時のヴァル君も、凄く格好よかったな~//////」
あたしはふと、彼と出会った時の事を思い出しました。
シリカSide Out
To be continued……
後書きです。
初々しいヴァルとシリカでした~w
次回からは原作の「黒の剣士」にあたるストーリーを展開していきます。
ヴァルがキリトの役割を演じる事になります。
それではお楽しみに・・・。
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第八十七話です。
ヴァルとシリカの気持ちは・・・。
どうぞ・・・。