途中経過　東４局・１本場開始時

２年　赤星　來夢（吾野）　 123900点

１年　棗　あかり（月宮女子） 105600点

２年　河野　蘭子（越谷女子） 93500点

３年　日和見　静（名細）　　　77000点

『お、親倍ー！吾野高校、赤星選手！赤ドラ３枚抱えての倍満を和了しましたー！これによって吾野高校、またもトップの座に返り咲きました！』

『赤ドラがなければ半分の4000オールの和了でしたね、運の要素が強くなる赤有りルールの怖い所です』

『そうですねー、しかし赤星選手は初日の試合から赤３枚の和了を頻発させています、これはもしかしたら偶然ではないのではないでしょうか！』

『何を仰ってるんですか松浦さん、そんなオカルトありえません、一時的なランダムの偏りでしょう』

『あ、あはは…そうですよね』

和がキッパリ否定するので苦笑いを浮かべるしかない松浦だった。

第１６局　中盤

東４局・１本場　親・赤星　來夢

（やっぱりねー、赤ドラは全部吾野に行っちゃってたか）

蘭子は來夢の和了り２回を見て、自分の予想が当たってた事を確信した。

（まあでも、赤３枚”必ず”使うって事は、手が縛られる、なら！）

『立直！』

７順目、蘭子の立直宣言。

（越谷の人から立直がはいっちゃったよー、何切ろう…？）

これまでに２副露してしまっていたあかりには現物が一枚も無かった、唯一筋が通っているのも２萬のみ。

（と、とりあえず筋です…）

２萬を手に取り打牌する。

『ロン、立直一発、あー裏１で5200は5500ー』

『は、はいっ…』

しゅん、としながら点棒を支払うあかり。それを横目で見ていた蘭子は

（んーやっぱり初心者っぽいね、こんなモロモロの筋引っ掛けに引っかかるなんて）

その後も和了率は一番だったが、他家の大物手に振り込んでしまったあかり、そして---

『次鋒戦終了ー！結果はこの様になりました！』

２年　赤星　來夢（吾野）　 131900点

２年　河野　蘭子（越谷女子） 107400点

３年　日和見　静（名細）　　　85000点

１年　棗　あかり（月宮女子） 75700点

『またも順位が目まぐるしく変わりました！先鋒戦終了時に３位だった吾野が、赤星選手の活躍によりトップです！越谷女子は赤星選手の高打点のツモに悩まされつつも点数をキープしての２着です!』

『片や月宮高校はトップから一転、最下位に転落してしまいましたね、和了回数はトップだったのですが、放銃率と打点の差で稼ぎ負けてしまった形になりました』

『一年生のルーキー、棗選手には、課題の残る結果になってしまいました、今後に期待しましょう！さて次は中堅戦、30分のインターバルを置きまして…』

---月宮女子控え室

『申し訳ないです…』

瞳を潤ませて、あかりが控え室に戻ってくる。

『まー仕方ないね、トップだからマークされちゃったのもあったし、いい経験だったと思えばいいよ』

『そーそー、初めての決勝戦であれならまあいいんじゃないかなっ』

『あかりの取られた分も、私たち３人で取り返してくるよ』

『そうよーあかりちゃん、課題も見えてきたし、泉ちゃんの言うとおり、いい経験だったと思えばいいわー』

戻ってきたあかりを慰める４人。

『っと、次私だよな、いってくる！』

『いずみんふぁいとー！』

『いってらっしゃーい』

『泉姉、がんばって』

『折原先輩、お願いしますっ』

腕を回し、部屋を出る泉、それを見送る４人。

対局室に入ろうとすると、吾野の制服の子も同時に扉の前に着いた。

『先、どうぞ』

ドアを開け、泉がそう促す。

『あ、どーもー』

そう明るく返す吾野の選手、りりあみたいだな、と泉は一瞬思った。

『さっきのあなた、南だからそっちねっ、じゃ、皆様よろしくー』

『あーうん、宜しく』

『よろしくなー』

『お願いします』

先に入っていった吾野の選手は場決めを終えたらしい、残ったのは南だからこちらだと吾野の選手に促される泉。

東家　２年　凪原(なぎはら)　茜(あかね)　（吾野）

南家　２年　折原　泉　（月宮女子）　

西家　２年　堂寺(どうでら)　秋(あき)　（越谷女子）

北家　２年　臼井(うすい)　有紗(ありさ)　（名細）

『さて！中堅戦の選手も全員揃ったようですね！それでは！地区大会決勝中堅戦、開始です！』

東１局　親・凪原　茜

『立直！』

５順、泉の立直が入る。

（んー、１向聴、降参ですよーっと、攻める必要もないしね）

吾野の凪原茜は親番ではあるが１打目からベタ降りのようだ。

他２校も危なげなくオリる。そして…。

（和了れなかったか）

『テンパイ』

『『『ノーテン』』』

流局、ツモ和了りすることも出来ず、泉の１人テンパイで終局した。

『中堅戦最初の一局は、流局で終わりました！立直をかけた月宮高校、折原選手、自漠ならず！残念です！しかし早い立直でしたが、全員きっちりオリきりましたね、ここら辺はやはり決勝戦らしい様相でしょうか？』

『ここでの失点は勝敗に響くというのを皆重々理解しているのでしょう、月宮女子以外の各校の選手は大会出場経験も多く、やはりこの場面での打ち方をいうのをしっかり弁えている感がありますね』

『その唯一大会出場経験が今回が初の月宮女子、折原選手ですが、原村プロ、実力の程はどう見ますか？』

『はい、折原選手は堅実で、それでいて押し引きの上手い選手といった印象です。初日でも終始安定した打ち筋を見せておりましたね、地区予選全試合通して見ても特に優秀な選手であると言えるのではないでしょうか』

『おお、そうなのですか、原村プロにそこまでお墨付きを頂けるなんて、注目の選手ですね！』

東２局・流れ一本場　親・折原　泉

『ポン！』

堂寺秋が中を打ち、合わせて臼井有紗が中を打った所で泉が鳴く、そして次順。

『自漠、中ドラ２、2000オールは2100オール』

泉がきっちり和了る。

『月宮女子、折原選手！中堅戦最初の和了です！この和了でまずは３位に浮上、そして自身の親の連荘です！』

『きっちり自分が場にだした供託棒を回収しました、幸先がいいですね』

その後も泉は安定した打ち筋で前半戦のオーラスを迎える---

オーラス　親・臼井　有紗

（ふぅ、流石に１着の吾野は遠いなあ、部長に回るまでに吾野を削って２着くらいにはなっておきたい）

７順、しばらく勝負手の来なかった泉にいい手が入ってきた。

現在の泉手牌

①②③④（赤⑤）⑥⑥⑦⑧⑧⑧白白　ドラ①

混一色ドラ２、５，８筒、白の三面張、白が出れば跳満でダマ聴していた。

そこに対面から白が出る、泉の和了牌だ。

（んー高めだが、しかし最下位から、これはスルーだな）

泉は和了らない。

（ナギちゃん的には筒子の染め手で月宮は張ってたと思ったけどなあ、まだいけるのかな？）

白に無反応だったのを確認して９筒を打ち出す茜。

泉のツモ、５萬、そのままツモ切り。

同順、茜のツモ、白だった。

（おおう、ってこれさっき通ったよね、しかも月宮は手変わりしてないはず）

少し考えたが、白を打ち出す茜。

『ロン、白ホンイツドラドラ、12000』

『うぇー、さっきのは見逃しだったのかぁ』

（越谷か吾野から欲しかったが、トップの吾野から出るとはありがたいな、しかし振り込んだとはいえ吾野の、打牌をよく見てるな）

名細を見逃したことに気づいていた事に関心しつつも、目論見通りの和了りが出来て一安心する泉。

『中堅戦、前半戦が終了しました！点数はこのようになりました！』

途中経過・中堅戦　前半戦終了時

２年　凪原　茜（吾野） 　 116800点

２年　折原　泉　（月宮女子） 108600点

２年　堂寺　秋　（越谷女子） 96600点

２年　臼井　有紗（名細）　　　78000点

『月宮女子、折原選手、終始安定した和了りを見せ、２着まで浮上しました！オーラス、名細の臼井選手を見逃し、トップの吾野高校、凪原選手を狙い撃ちし、トップとの差も一万点以内というところまで詰めました！』

『聴牌までの速さと、順位を意識してのあの判断は流石だったと思います、折原選手、見事でした』

『それでは、20分のインターバルを置きまして、後半戦の方を開始します！今の内に休憩などを…』

---月宮女子控え室

『さっすがいずみんだねー』

『うん、いつもの泉姉だね』

『うふふーこの調子でどこかトバしてくれないかしら？』

『さ、流石にここからは厳しいとおもいますよ部長』

そこに対局室から戻ってきた泉が現れる。

『ふー、堅い面子ばっかりで出和了りを狙うのは苦労するよ』

『ほいおつかれいずみん！』

そういって缶ジュースを投げ渡すりりあ。ありがと、と返す泉。

『おつかれさま、いい展開で後半戦に持っていけましたね、流石です』

『折原先輩、最後の吾野からの直取り、かっこよかったですっ！』

『うふふー後半もこの調子で頑張ってねー』

『おうありがとー、じゃ、そろそろ戻る。後の２人が少しでも楽できるように頑張るよ』

飲みきったジュースの空き缶をゴミ箱にシュートして泉はまた部屋を後にする。