(蜜儀の間)
レンは天叢雲剣の刃先を消し、柄を右腰の腰ひもに引っかけてから、リンと一緒に座った。
家康:さて、次は作戦会議となるわけだ。言わずもがな、現状の最大の敵は“信長”だ。当然、信長のいる“安土城”を攻めればいい事になるのだが、残念ながらそう話は簡単ではない
リン:え? だって、安土城って、滋賀け・・・近江(おうみ)の国にあるんでしょ? ここから陸路を使って進軍すれば、移動に時間はかかるけど、攻め込めるんじゃないの?
ミク:それは、あなた達の世界での状況ミク。こっちの世界では、ちょーーっと、問題があるミクよ
学歩:“ちょっと“ではないでござる。”かなり“だ
升太:なにせ、“攻め込む城”が、地に着いてないからな
レン:・・・・え?
ミキ:“宙に浮いている”んです。つまり、“天空城“、って事ね
メイコ:一般兵は言わずもがなだが、我々ですら、いくら“陰陽術”を使えても、空を自由に飛ぶ術はないのだ
レン:でっかい鳥とかに乗っかって攻め込むとか・・・
海斗:それは君たちの世界ですら、“おとぎ話”で出てくるような術だろう。升太が先に述べた通り、陰陽術は生死以外なら何でもあり、という意味合いもあるが、それはあくまで“人間が出来ることの能力を高める”だけなのだ
升太:例えば、俺の“拳”に陰陽術を使うことで出来ることは“強力な打撃を放つ”事だ。拳を下に向けて放ち、空を飛ぶ事はいくら何でもできない。“人の重さ”を放り投げるような打撃はできないのだ。同じように、いくら巨大な鳥だとしても、人間が乗って飛べるような能力は根本的にない
家康:ということで、空から城内に攻め込むことができない以上、他の策を使うしかないのだ。しかし、現状で、空路以外からの侵入は考えられない
リン:え! じゃあ、ダメじゃないですか!
家康:そこで、ここの家来達に、いろいろ調べさせたのだ。すると、いくつかの有力な情報を入手できた
メイコ:これから、調べて入手できた情報を教えるから、そこから先が、ここでの“作戦会議”だと思ってね
リン、レン:はい
メイコ:まず、あの安土城は、自力で浮いているわけではない事がわかったの
ルカ:私の“霊力分析”の結果、あの城自身に、自分の巨大な体躯を浮かせられる程の霊力も装置もなかったの。それと浮かせる事で生じる周囲への影響もほとんどなかったから、自分で浮いているのではなく、外部からの“陰陽術”か“カラクリ”で浮いているはずだ、そういう結論に達したの。まだ“浮かしている装置”は見つかってないけどね
ミク:陰陽術だと霊力放出があるから、おそらく“高度のカラクリ”が使われていると、ミクは考えているミク
レン:なるほど、敵本陣は空だが、浮いているんじゃなくて、“何かで浮かして貰っている”わけなんだ
リン:つまり、“浮かしている何か”、を突き止めて、壊したり、停止すれば、敵陣は着地して、陸路で侵入可能、って事ね
家康:うむ。そして“浮かしている存在”も、おおかた目星がついている。普通の陰陽師の能力では不可能に近いので、そういう将軍や地区を全て切っていった結果、信長以外で残ったのは・・・・
リン:死んでいるはずなのにまだ生きている、“魔太閤秀吉”、ですね
家康:そうだ。ルカの霊力分析から考えても、ヤツとヤツの根城である“伏見城”しか考えられん! そして伏見城は、運がいいことに“地上”にある。つまり、伏見城に攻め込んで調べればいいことになる
レン:あれ? そこまで解っているんだったら、なんで兵を率いて、京都・・・・・・えーっと、山城国に攻め込まないんですか? 城は地上にあるんだし・・・・
学歩:それが出来ないから、そなた達とそなた達が使えると考えていた“三種の神器”に頼る事にしたのでござる
リン:?
家康:城門にたどり着くことすら出来ない。ここの家来達の霊力を持ってしても、最後の門番達を切り捨てる事ができんのだ
学歩:私の霊力を使った剣術“霊光剣”ですら、彼らを切り裂くことが出来ないのでござる
海斗:同じく、我ら“忍”の刃物も同様だ
升太:俺の拳、ミキのアホ毛、テトの死神の鎌、いずれも傷一つ与えられなかった
テト:( ̄个 ̄)
ミク:私達の霊力攻撃も受け付けないミク。つまり、ここの全員が、“奴ら”を倒す事ができなかったミクよ
ルカ:周りの“召還魔”は倒すことが出来るのに、それらを束ねているあの3人だけは、どうすることも出来なかったのよ
家康:なぜだか解らないが、我らが兵を引いても、彼らは追撃することをしない。しかし、これ以上、一般兵を失うこともできず、ここの家来達を失うわけにもいかず、それで、今のような状態になっておるのだ
ミク:それからミクが古文書や書物を使って、あの3人の事を調べたミク。当時の絵師の絵とかからの予測の範疇になるミクけど、とんでもないことが解ったミク
ルカ:一人目の正体は、平安の時代に実在し、死亡したと書かれていた、“安倍晴明(アベノセイメイ)”。二人目も同じく、“芦屋道満(アシヤドウマン)”、いずれも強力な陰陽師です
ミク:そして3人目は、召還されたのか、単体で生まれたのか解らないけど、魔物“仙狐(センコ)”、つまり“九尾の狐”の人間体だろうという結論に達したのです
家康:またもや死んでいるはずの二人の陰陽師、そして強力な魔物、これでは拉致があかないので、ミクとルカに頼んで、そなた達を呼び寄せて貰ったのだ
学歩:予想通り、三種の神器を使うことが出来たでござるから、これなら、ということで、ここから先が、これからやることを決める会議となるのでござる
レン:まぁ、この剣で彼らを切り裂き、リンの霊力で破壊する事が出来れば、突破できるかも知れないけど、ってか、それしかやることないんじゃないの?
リン:つまり、私たちを含めたここの人たちだけで、伏見城に攻め込むって事
家康:そなた達さえ、了承してくれれば、路銀(旅のお金)等の準備をさせて、出発してもらおうと思っておる
学歩:まぁ会議っていうより、“承認”をしてもらう場を設けることだったのでござるがな
レン:そうでしょうね・・・。解ったよ、いずれにしても信長を倒さないとルカさんの霊力が戻らないから俺達も帰れないし、やるよ、それ
リン:同じく、やります!
家康:協力、感謝する。では、兵に伝えて、“移動手段”を用意させよう。路銀は学歩に渡しておく。だが、たいがいのことは、この印籠を見せれば、協力してくれるから、安心されよ
そういうと家康は、どこかで見たことがある、あの“印籠“を取り出した。
リン:あー! “これが目に入らぬか!”ってヤツだ!
家康:? ま、まぁ、相手が強情なら、そういう風に使う事もあるかもな
リン:(そうか、まだアノおじいさんが活躍する時代じゃなかったわ)
レン:で、移動手段はなんなんですか?
ミク:それは、あなた達の世界では生まれなかった動物ミク。見てのお楽しみミク
ルカ:そうね、あれは私たちの自信作だからね
リン、レン:???
家康:では、出陣じゃ!!!!
家康以外、全員:御意!
リン、レン:(つい、つられちゃった・・・)
こうして、そこの全員が退室し、家康は途中で指令を伝達し、城門まで移動したのだった。
(江戸城・城門前)
白いリボンを付けた大きな黄色いひよこみたいな生き物:トリーーーーーーン!!!!
リン:・・・・・・
レン:・・・・・・あの、なんすか、これ?
ミク:ミク達が陰陽術で作った造成動物、“トリン”、ミク
ルカ:私たちの移動手段です
トリン達:トリーーーーーン!!!!
リン:なんか・・・もの凄く・・・親近感が沸くんですけど・・・
ミク:意匠(デザイン)が似たのは偶然ミク
レン:で、俺達はこれに跨って、移動する・・・と
ミク:そうミク。普通の速さは馬くらいだけど、陰陽術でもっと速くします。それに小回りが利くから陸路は問題ないミク
ルカ:まぁ、さっきも言ったとおり、人を乗せて飛ぶ事は陰陽術でも出来ないからね
リン:は、はぁ
家康:そうそう、ルカ、そなたは江戸城に残ってくれ。霊力をほとんど使い切った事もあるのだが、ここから残った霊力を少し使って、作戦を移動中の彼らに伝える任があるからな
ルカ:御意
レン:あー! あの、ニュー○イプで、ピキーーーーン!!! ってヤツですね?
家康:??? よくわからんが、まぁ、そういうことだ。学歩に持たせてある“水晶玉”に連絡が映る事になる
リン:学歩さんの胸のアレですね
学歩:そうでござる。拙者から皆さんに連絡するでござる
家康:では、道中、いろいろあると思うが、頑張ってくれたまえ!
学歩:家康様、行って参ります!
ミク:頑張るミク!
海斗:信長の首を献上致します!
メイコ:さーて、これでどうどうと公費で飲めるわね・・・ふふふ
升太:? は、はい、行ってきます!
ミキ:お任せ下さいませ!
テト:ヽ(。ゝω・)ノ
リン:頑張ります!
レン:頑張るぜ! この剣がうなって光る!
トリン達:トリーーーン!
こうして、一行は江戸城を後にして、京都(山城国)を目指したのだった。
(伏見城・天守閣)
秀吉は家来3人と共に、天守閣の座敷に座って、光っている水晶玉と会話していた。
秀吉:めぐみ様、今日は何用で?
水晶玉(以下、めぐみの声):家康の家来と、別世界から召還された二人が、江戸城を出発した。最終目的は信長を倒す事だが、当然ながら、ここを最初に狙っている
秀吉:しかし、めぐみ様、あの鉄壁の門番3人が守っている故、またいつものように“蹴散らして”差し上げます
めぐみの声:お前は“魔太閤秀吉”になったとはいえ、やはり“サル”だな
秀吉:ウキ?
めぐみの声:最初に言ったであろう、“別世界から召還された二人”も出発したと。今回、わざわざ連絡したのは、この二人の事が気がかりだからだ
水晶玉から掛け軸に向かって“光”が投影され、何故か、リンとレンの映像が映し出された。
秀吉:なんだ、まだ乳臭いガキどもではないか。こんなの相手ではないですな
めぐみの声:二人の装備をよく見ろ! 三種の神器があるではないか! 持っているということは当然、“使うことが出来た”ということだ。まずいのだ、あの装備も、使える人間の存在も・・・・
秀吉:では、消しますか?
めぐみの声:無論だ。しかし、ここの番人達を使うわけにはいかん。今回はお前の家来3人で仕事をしてくれ
秀吉、ネル、ハク:御意!
てと:(。・ω・)ノ
めぐみの声:家康側は先ほどトリンで出発したばかりだ。ネル達の移動手段は城門の前に用意した。ネルよ、カラクリに強いお前なら操縦できるだろう、頑張ってくれたまえ
ネル:了解
めぐみの声:それと秀吉よ、この水晶玉に、彼女たちの行動を映せるようにしておく。連絡も取れる故、必ず策を成功させてくれよ
秀吉:御意
めぐみの声:では、出陣だ!
そういうと水晶玉の光が消え、声も聞こえなくなった。秀吉は3人に路銀を渡し、すぐに出発するように命じた。
(伏見城・城門前)
ヒューーーーン ヒューーーーン
城門前には、何故か“ヘリコプター”が用意されていた。ネルが早速、コクピットにあった“簡単操作法”という本をさらっと見て驚いていた。
ネル:こいつ、動くぞ!
ハク:“へりこぷたー”って言うんだ。こんなカラクリ飛行船、ネルしか操縦できないわね
てと:\(^o^)/
ピコーン ピーン
ネル:うーむ、この丸い球体の赤い印が、彼らの位置なのだろう。とにかく、行けるところまで行って宿に陣を取り、作戦を立てようハク、てと、乗ってくれ
ハクは恐る恐る搭乗し、てとは元気良く乗り込んだ。
ハク:大丈夫なの? この空飛ぶ乗り物・・・・
てと:o(^Д^*)(*^Д^)o
ネル:てとが喜んでいるのだから、問題ないだろう。では行くぞ!
グイ! ギューーーーーーーン! バラバラバラバラ!
ヘリコプターは勢い良く空に舞い上がり、レーダーの方角へ向けて、飛び去っていった。
(夕方・相模国・小田原宿の宿『かまぼこ屋』)
ここまで何回かトリンの休憩を入れ、ようやくたどり着いたのが、小田原宿だった。本来、東海道五十三次は江戸時代にならないと整備されていないはずなのに、この世界ではすでに作られていたのだった。
学歩:うむ、日も暮れたし、今日の宿はここにしよう
メイコ:やった! 名物“かまぼこ”をツマミに地酒を頂こうかしらね
海斗:メイコよ、いつ“戦”がやってくるかわからないのだ、もう少し緊張感をだな
リン:凄―い! この時代なのに“氷菓子”売ってるんだ
レン:本当に僕たちの世界と違うんだね
海斗:では、今日はここで疲れを癒そうではないか。休憩も仕事のうちだ。風呂の後の“高価な氷菓子”が待っているからな
升太:相変わらずだな、海斗殿は。さて、俺っちもひとっ風呂浴びて、地酒を楽しみたいところだな
ミキ:まぁその前に一応やることだけはやっておきましょうか。ミクさん、この周辺に、“強い霊力”を感じますか?
ミク:うーん、特にないですね。秀吉や信長の手下が向かっているんだと思ったんですが、その気配はないです。今日はゆっくり休めるミク
テト:(゚∀゚*)ノヽ(*゚∀゚)ノ
学歩:では、女性陣と男性陣で部屋を分ける。男性陣は拙者が担当し、女性陣はメイコに頼むことにする
メイコ:やったぁ!
海斗:くれぐれも酒を飲むのは自分だけにしてくれよ。女性陣、君以外、未成年だからな
メイコ:わかってますよー♪
レン:この時代ですでにその“決まり“、あるんですか!
海斗:いやいや、“決まり“というか”慣習“だな。全員自然と守っているのだ
学歩:それと、我々大人枠以外の飲み物は、お茶や水だと思って欲しい。それと食べ物は、ご飯、干物、煮物、ここなら名産の“かまぼこ”があるが、“かまぼこ”、それと“氷菓子”は本来、贅沢品だと思ってくれ。路銀は貰っているから、今回は許可するが
リン:うーん、私たちの時代の旅の宿とは、根本的に違うのね
レン:ちとがっかりだけど、それでも僕たちの世界でのこの時代だったら、もっと質素なんだよね
リン:そうね、お風呂は大丈夫だと思うから、それに期待しましょう
ということで、一行は宿の番頭さんを通し、男性陣と女性陣に分かれて、それぞれの部屋に入っていった。そして食事の前に風呂に入ることになり、先に男性陣が風呂に入ることになった。
(男性陣・風呂)
カポーン
学歩:うむ、よい風呂だ
レン:あの・・・・
升太:なんだ? いい風呂だろ?
海斗:もしかして、狭い?
そう、風呂と言っても、この時代の宿の風呂はせいぜい大人二人が入れる木製の風呂程度であり、それでもかなりランクが高い宿限定だったりするのだった。当然、湯船に入っているのは、学歩とレンだけで、升太と海斗は洗い場で手ぬぐいを使って体を拭いていたわけだった。
ちなみにリンレンの世界の同時代には、宿自体もあったかどうか怪しいわけであり、レンもそこら辺はわかっていたわけだが、いざ、現実にやってみると、やはり“不便さ”を痛感したのだった。
レン:いえ・・・これでも高級なんですから、文句言ったらダメですよね
升太:そうだな。これに慣れて貰わないと、この先、きついぞ
レン:はい、すみませんでした
学歩:まぁ、次の宿泊地辺りでは、大きめの“温泉宿”を取ることにしよう。ちなみにこの時代の温泉の場合、知っているかも知れないが、“混浴“だ
海斗:いつもは巫女服を着ているから“男の子”である事を忘れられがちだが、レン、やっぱり嬉しいか?
レンは真っ赤になって、手ぬぐいを頭に乗せて、鼻先まで湯船に浸かって、回答を拒否していた。
升太:そうだな、まだ恥ずかしいかもしれないな。まぁそこら辺は、そのときになったら考えよう。今回のように時間をずらして入る事も出来るしな
海斗:さて、そろそろ湯船を代わって貰おうかな。冷えてきた
レン:あ! すみません!
学歩:あいや、すまぬ。では
ざざー
学歩とレンは湯船から出て、海斗と升太に湯船を譲り、脱衣所で着てきた浴衣に着替えた。そして男性陣全員が浴衣に着替えた後、女性陣の部屋で連絡し、女性陣が風呂に入ることになった。
(女性陣・風呂)
テト:(゚∀゚*)ノヽ(*゚∀゚)ノ
リン:・・・・・知っていたとはいえ、やっぱり狭いですね
ミク:おそらく同じ事をレンも言っていたと思うミクし、あなた達の時代のお風呂も知っているミクけど、まぁ、この時代だから我慢して欲しいミク
メイコ:しかし、聞けば聞くほど、リンちゃんの時代って、“豊か”、なんだな。普通の宿の風呂ですら、ずっと広いらしいし、宿も豪華だそうだし
リン:そりゃ、何百年も先の時代の話ですから、それに、そう言う風になるように、みんな頑張ってきてくれたんです。飢饉もあったし、何度も戦争があったし、天災もあったし
ミキ:なるほど、それでもめげずに頑張ったから、リンちゃんの時代はあるわけね。今の時代はこんな感じだけど、私たちも頑張らなくちゃね
メイコ:まぁ、リンちゃんとは“世界“が違うから、同じ感じになっているかどうかは解らないけど、とりあえず、美味しいお酒と広い風呂があれば、ワタシはいいや
リン:メイコさんって、くノ一なのに結構、楽しい一面があるんですね
メイコ:いやいや、“くノ一“だから、こういう一面がないと、仕事にならないのよ?。特に男相手だと、情報を聞くために”いろいろなつきあい“があるし・・・
リンは手ぬぐいを頭に乗せて、真っ赤になって、鼻先まで湯船に浸かって、黙ってしまった。
ミキ:メーイーコーさーん
ミク:くノ一の仕事は大変ミクけど、ちょっと話の内容がリンちゃんには早かったミクよ
メイコ:あ! 実話とはいえ、ごめんね
リン:いえ・・・・・。くノ一って大変なんですね
メイコ:ま、まぁ、大変には違いないわね。でもワタシは“忍“、リンちゃんは”巫女さん“なんだから大丈夫よ。レン君と仲良くしてくださいな~
リン:ちょ! レンは弟ですよ~! それになんとも思ってないし・・・・
メイコ:そっかなー、お姉さんには、ちょーーっと“違う”ように見えたんだけどなー
リン:メイコさん!
メイコ:うふふ。将来が楽しみね
ミク:でも、まぁ今は両方“巫女”だし戦中だから、そういう話は無しにするミクよ、メイコさん
ミキ:ちょっと興味あるけど、無しの方向で
メイコ:そうね、ごめーん♪
リン:もう・・・・でも、この時代に来て、今が一番楽しいと心から思えます。有り難うです
メイコ:あらあら、こちらこそ♪
こうして、女性陣の楽しい(?)お風呂が終わり、全員、浴衣に着替えたので、部屋に戻ることにした。
(男性陣の部屋)
女性陣の食事も男性陣の部屋に運び込み、全員で食事をとった。何故か酒はこのときには出さなかった。そして、普通に食事が終わる頃、学歩が鶴の一声をかけた。
学歩:はっきり言う! 次の目的地は“三島宿”! 以上。それと、酒飲める組は、女性男性関係なく、この部屋に残る。残りは全員女性陣の部屋で、さっさと寝ること!
レン:え・・・・・
海斗:まぁ、簡単に言うと、男性陣ではレンだけ、女性陣ではメイコ以外全員が、女性陣の部屋で寝てくれ、ということだ
升太:まぁ、レンなら女性陣の部屋で寝ても大丈夫だろう。酒飲み組の事も考えてやってくれ。レン
レンは顔を真っ赤にしていたが、仕方ないという感じで頷いた。
升太:すまんな。酒飲み組は、これからが本番なのでな。大丈夫、適度な時間で切り上げられれば、ちゃんと寝るから
学歩:まぁメイコ次第なのだがな
メイコ:ふふふ、覚悟しなさ~い♪
海斗:メイコ、生き生きしているな・・・・
(女性陣の部屋)
レンは真っ赤になりながらも、女性陣の部屋に入っていった。
ミク:いらっしゃ~い、ミクミク♪
ミキ:うふふ、こっちも楽しい時間になりそうね~♪
テト:( ̄∀ ̄)
リン:(///△///)
レン:ミクさん、ミキさん、勘弁して下さいよ~
ミク:冗談ミク。安心するミク。残念ながら、この言葉で男の子を誘えるほど、色気ないミク・・・・
ミキ:右に同じ・・・・
テト:(´・ω・`)
レン:ほっ
リン:わ、ワタシは最初からそんな気、無いからね!
レン:リン姉、わかっているよ。とにかく、この時代に来て初めての“宿泊”だし、かなり疲れているし、悪いけど、端の方で寝かせて貰うよ
レンは布団と枕を持って、部屋の角に移動し、布団を敷いて、ぐっすりと眠ってしまったのだった。どうやらリンが一緒にいたことで、安心したようだった。
ミク:まぁそうね、確かに疲れているミクね。じゃあ、ちょっと残念だけど、ミク達も寝るミクね
ミキ:そうですね。寝ましょうか
テト:(つ∀-)゜゜゜
リン:ワタシも寝よーっと
案外、何も起こらずに、女性陣の部屋のメンツは、全員ぐっすりと眠ってしまった。
(男性陣の部屋)
ところで、酒飲み組の方はというと・・・・
メイコ:ヒック! おっらー!!! 海斗!!!! ワタシの酒が飲めないっつーーーのか!!!
海斗:の、飲みます飲みます! それとメイコ・・さん、浴衣がはだけております。目のやり場に困るであります
メイコ:ヒック。ん!? あーいいんだよ! “見せてる”んだから! ワタシは“くノ一”だぞ! コレくらい出来なくて何が“忍”だ! ヒック!
学歩と升太はメイコの視界から離れるように、日本酒を抱えて、お猪口でちびちびやっていた。
学歩:ごく。予想通りの展開だな。升太
升太:ぐび。そうですね。やっぱりというか・・・・
学歩:あ、このナスの漬け物、美味しいぞ
升太:はぁ、どうも
こうして、酒飲み組の夜は更けていった・・・。
(尾張国・鳴海宿・温泉宿『どぶろく』)
一方、ヘリコプターで移動した秀吉軍の3人は、夜になって飛行不能(この時代には陸地に“ガイドランプ”がないため、とても夜間飛行は出来なかったのだ)になったため、尾張国の鳴海宿に着陸し、温泉宿を探して、宿泊していた。
(温泉)
3人は広めの温泉に一緒に浸かっていた。ハクは桶に日本酒のとっくりとお猪口を入れて、お酒を飲んでいた。
てと:ヽ(∀`●ヽ)三(ノ●´∀)ノ
ハク:はぁ~、お酒が美味しい・・・
ネル:あーーーーーーーーー疲れが取れる・・・。さすがにカラクリの操縦は気を使うわ・・・・・
ハク:ヒック。ねえネル~、ワタシ、まだここで一杯やって行くから、先に部屋に戻って、寝てていいよー?
ネル:あ゛~ そうしようかな。んじゃ、お先に
ザバッ
こうしてネルだけが浴衣に着替え、部屋に先に戻り、布団にバタッと倒れて、ぐっすり眠ってしまった。ハクはお酒がいい感じになった頃に、てとと一緒に出て、同じく着替えて部屋に戻り、ぐっすり寝てしまった。
***
こうして、双方の闘うための旅路の1日目は終わったのだった。
(続く)
CAST
巫女・鏡音リン:鏡音リン
巫女(?)・鏡音レン:鏡音レン
巫女・初音御貢(ミク):初音ミク
巫女・巡音流歌(ルカ):巡音ルカ
拳の升太:墓火炉 升太
アホ毛のミキ:miki
人形のテト:重音テト
懐刀の侍・神威学歩:神威がくぽ
忍者・海斗:KAITO
くノ一・女威虎(メイコ):MEIKO
めぐみ:???
カラクリのネル:亞北ネル
深酒のハク:弱音ハク
人形の“てと”:重音テト
徳川家康、魔太閤秀吉、第六天魔王信長、番頭、etc…:エキストラの皆さん
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○ボーカロイド小説シリーズ第9作目の” 戦国慕歌路絵巻 風雲!鏡音伝“シリーズの第3話です。
○巫女の鏡音姉弟(?)が主役の擬似タイムスリップジュブナイルです♪
○メインは和風の妖怪とか陰陽師とか出てくる、バトル物でもあります。
☆徐々に敵の情報を公開していきます。
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