「いらっしゃいませ。君一人かな?」
「ええ、一人です。」
「じゃあ、カウンターの席へどうぞ。」
「どうも。」
今俺は喫茶店にいる。何故かというと今日はムサシとコジローに休暇を与えることにしたからだ。最初、二人に今日は休んでいいよと言ったら
『旦那様ぁ!私たちはもうお払い箱なのかニャー!?』
『解雇は嫌だニャ~!』
いや違うから!!
二人の誤解を解くのに苦労したよ・・・。
でも二人に日頃の感謝を込めて今日はゆっくり休んで欲しいと言ったら、泣いて喜んでいた。
「ご注文はお決まりですか?」
二人の嬉し泣きを思い出していたら喫茶店のマスターと思う人がいた。かなり若く見える。だが・・・コイツ、ただ者じゃない。気を抜いていたとはいえ俺が声をかけられるまで全く気配を感じなかった。さらに客が殆どいない状態でだ。
「ええ、コーヒーをブラックで。」
「どうぞ。」
「ありがとうございます。」
念のためにコーヒーの中身を探ってみたが何も入ってなかったので飲むことにした。
「・・・美味い。」
「それはどうも。」
かなり美味しかったのでもう一杯頼んだ。
「はい、どうぞ。」
「ありがとうございます。」
本当にここの店は美味い。何という店だったかな?たしか・・・・ああ、翠屋だったな。
「ところで君は一体「月村に一体何の目的で近づいた!!」・・・はぁ、恭也。」
「・・・一体何の事だか解らんのだが?」
月村に何の用だと言われても・・・・あ、もしかしてあの時追ってきたやつか!?・・・はぁ、面倒なことになった。しかも、ちゃっかり貸切りにしてやがる。
「とぼけるな!!貴様が月村家を探っていたのは分っているんだぞ!!」
「・・・はぁ。マスター、客に対して怒鳴り散らすのがここのマナーなのか?」
某弓兵さんのように嫌味をたっぷり込めて聞く。
「いいや、違うよ。恭也、お客さんに失礼だから落ち着きなさい。」
「でも父さ「恭也!」・・・ぐっ!」
なるほど、親子か。確かにかなり似ているな。
「それで君は・・・「黒澤です。」黒澤君を信用してないことには変わりない。君は一体何者なんだい?」
「ふむ・・・何者かと聞かれると聖祥小学校三年生としか答えらないな。」
嘘は言ってないぞ、嘘は。
「貴様!!ふざけるのも「恭也、少し黙ってなさい!!」・・・。」
「・・・分かった、君を信じるとしよう。」
『ほぅ、人間にしてはなかなか良いですわね。いかがでしょう、主?ここは一つ取引しては?』
クシャナか。珍しいな、お前が人間を褒めるなんて珍しいな。
『いえいえ、彼は主の目を見て判断したのですわ。目だけを見て判断できる者など、そういるものではありません。』
確かに・・・。ふむ、ならば取引してみるか。
「・・・マスター、貴方の名前を聞いても?」
「え?ああ、士郎だよ。高町 士郎。」
ふむ、良い名だな・・・・て、あれ?高町?・・・・・・・・・・・・拙いな。またややこしい事になったな。
「で、では士郎さん。私と貴方で取引しませんか?」
「・・・取引?」
少し警戒を強める士郎さん。そんなに身構えなくていいのに・・・。
「ええ。なに、簡単な取引だ。月村家と会談の場をそちらで設けて欲しい。」
そんな怖い顔で睨むな、高町兄。
「・・・それで、こちらにはどういった得があるのかな?」
「会談が終わるまでそちらと月村家に一切手をださないし危害も加えない。実際、月村家の人は勘違いしているようなのでその訂正を。それにこちらとしても今後痛くない腹に探りを入れられるのは快く思いませんからね。」
「・・・分かった。「父さん!!」・・・仕方ないだろう。今彼を敵に回しても得はない。それに彼は嘘を言ってない。」
「賢明な判断です。では、会談の日時は明日日曜日の正午に。」
そして、俺はコーヒー代をカウンターに置いて店を出た。
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第五話 たまには喫茶店もいいよね?