アザミと呼ばれた白木のような肌の長身の女は、漆黒のドレスのような長衣を纏い、真っ白い髪をシャギーで整える美しい淑女
胸は少々控えめだが、全身の雰囲気から高貴な女性で有ることが伺い知れる
何故ならば、地を踏みしめる一歩一歩が静かに踏み込まれていると言うのに重く、重圧のあるものに感じる程であるからだ
真名の薊の花言葉の通り、その躯から滲み出す権威と厳格さが彼女の存在を知らぬ周泰と呂蒙を怯ませ、穏は硬直していた
無事なのは、雪蓮と祭だけ。だが二人も薊と呼ばれた女性に苦笑いになっていた
「クックックッ、逃げるなよ、小娘達。あしがゆうた通りになったろう、あしをあがぁな場所にたっ込めおって」
「ご、ご無沙汰しております。薊様」
「おうおう、あしをたっ込めた張本人がぁ、どがな顔していっちゅうだぁ?」
姿とは合わぬ土佐弁のような言葉で話す美しく威厳漂う淑女は、冥琳を見下ろすように睨みつけて侮蔑の瞳を向け
祭の顔を見るなりツカツカと歩み寄り徐に胸を鷲掴みにして鋭い眼を向けていた
立ち上がるなり、祭にツカツカと歩み寄るとギリギリと胸を鷲掴みにして、顔がぶつかる程よせてガンを飛ばす薊
よほど納得が出来なかったのだろう、青筋が額に浮かび上がり、威圧感の有る瞳はより強く鋭く細められていた
だが、祭も負けずに額に青筋を立てて薊の顎を鷲掴みにして、眉間に皺を寄せて殺気を混ぜて眼光を光らせる
「なんじゃ、悔しいなら悔しいと言え。儂に取られて悔しいか」
「きさんは、昔からそうじゃぁ。あしの好きなもん全部先にとりゃーがって。冥琳もそうじゃぁ」
「お主こそ、蓮華様の守役になったじゃろうが。孫家二代に渡って武術を教え、守役をすることこそが儂の願いであったのだっ」
「そればあがやない!おんしは、昔あしがとっといた好物の饅頭食ったじゃろうがぁ!」
「二十年も前の事じゃろうっ!お主は代わりに儂の点心を掠めおったじゃろうがっ!!」
額をゴチゴチと当てあい、昔の事を掘り下げて酒を盗んだ、服を取られた、金を貸した、武器を売られたと言い合い
最後は、薊の方が口が達者で有るせいか押されてしまい、祭は武器を取り出した
「そ・・・そんな、私がしたことなど取るに足らぬ事。どうぞ、お気になさらないで下さいまし」
「お願いです。私は、礼儀知らずな男と呼ばれる事になってしまいます」
それほど言うのならば、お言葉に甘えてと立ち上がり、顔を真赤にして昭の前に立つと
急に昭の腰に両腕を伸ばして自分に引き寄せた。驚く昭を他所に、薊は息がかかるほど顔を近づけ
「同じ昭の名を持つ者として、運命を感じました。どうぞ私を貴方様のお側に」
「なっ!?も、申し訳ないっ!私には妻が居ります故」
「存じております。側妻として、私を」
出来上がった針を着けて、竿を何度も前後に振りながら、川に針を垂らさず水面の上を飛び回る虫のように毛針を飛び回らせれば
虫と勘違いした魚が川から飛び上がり、毛針に食らいつく。見たことが無い釣りの技法に眼を丸くし、美羽を見れば
「今のうちに、多く釣っておかぬと直ぐに抜くぞ。せっかく練り餌をやったんじゃ、励むが良い」
と言われ、慌てて魚を釣り上げ練り餌を見れば、後二つだけ
「ね、ねえ。やっぱり日が落ちるまでってのは無しにしない?」
「また約束を違えるのかえ?本当に仕方が無いやつじゃの、じゃから義姉妹などになれぬのじゃ」
涼風に悪い姉が出来てたまるかと言う美羽に、ズリズリと近づき寄り添って「いいじゃない、ね?」
と笑顔で願うが「嫌じゃ」と断られて膝を抱えて落ち込んでいた
というわけで、SSの場面を当てはめて載せて見ました
こうして見ると、言葉も無いです
イメージ通りっていうのが、言葉でなく実感出来たのは初めてです
次いでに、AC711様から頂いた原案といいますか、ちょっと顔が柔らかい薊を
左の眼が柔らかい方は、デレ時の薊と思っていただければ
本当は、「眼はどっちがいいですかー?」と言われ、どっちもだったのですw
普段はきつい眼ですが、蓮華様達を可愛がる時は、優しいんですよー
最後に、もう一度AC711様に感謝を。本当に、ありがとうございました><
Tweet |
|
|
65
|
12
|
追加するフォルダを選択
特別編です。
AC711様が、挿絵を描いて下さいました
AC711様の素晴らしい絵の数々は此方から
続きを表示