流星は声のする方を振り向いた。其所には十年ぶりに 会う魔理沙が立っている。
流星からして魔理沙の姿がいかに十年と言う歳月が長 かったのかを感じる。最後に此所で別れた時はお互い 未だ幼かったからだ。
でも姿が大人になっていても不思議と違和感は感じな かった。其れは魔理沙も同じ様だ。
魔理沙は被っている帽子を取った。そして魔理沙は流 星に語りかけてきた。
「おかえりだぜ兄貴」
流星は緊張のあまり言葉が思い浮かんでこない。不味 い、魔理沙は真っ向に流星に問いかけているのに何も 話さない訳にはいかない。
「たっただいま魔理沙」
魔理沙はクスッと笑う。緊張してる兄が面白く感じる 。
「なんだよ兄貴、何時まで照れてるんだ?もっと再会 を喜ぼうぜ」
「そうだな、十年ぶりなもんだからつい緊張してしま ったよ」
「まぁそう言う所が良いんだけどな」
流星と魔理沙は笑う。魔理沙は流星の座る隣に座って 空を見る。
そして魔理沙は流星の方を見る。ポケットに手を入れ てキーホルダーを出した。
流星も同じくキーホルダーを出す。互いは其れを見て 安心した表情になる。
「これで約束は果たされたぜ。あの時私が『必ず会お う』て言った約束が」
「俺は何時も入れ違いになってしまってたからな。こ うして会えたのは本当に嬉しいよ」
「それは私も一緒だぜ。どれだけ私が待ったと思って いるんだ」
魔理沙は流星とは反対の方を向いた。何か目の辺りを 擦っている。
そして流星の方を向いた。ニコッと微笑み魔理沙は流 星の腕を引っ張る。
流星も直ぐに起き上がり魔理沙の引っ張る先に行く。 今の所より少し高い山の上に着いた。
そして魔理沙は空を指差す。流星はその先を見る。
「あれは」
北斗七星が綺麗に空に出ているのが見える。流星と魔 理沙は其れをじっと見ている。
「兄貴、いつ頃幻想郷に戻って来たんだ?」
「昨日の夜さ」
「そうか」
「外の世界でもこうして星が出て何時も思っていたよ 。早く十年が経たないかと」
「本当に兄貴は言ったら其れを最後まで突き通すから な。待っていた私の身にもなってほしいぜ」
「ごめんな魔理沙」
「流石に時が経ったのを実感するぜ。昔じゃ直ぐに喧 嘩になってたもんな」
流星は確かにと頷く。そして後ろの方で二人の足音が 聞こえる。
流星と魔理沙は足音が聞こえる方を向いた。其れは霊 夢と紫の足音だった。
霊夢は何か丸い壺の様な物を紐にぶら下げながら持っ ている。流星は直ぐに其れが何か分かった。
「それ、お酒だね」
「そうよ、こんなに星が綺麗なんだもん。一杯ずつ飲 みましょう」
「それより霊夢なんで私が此所に居るって分かったん だ。其れに紫も居るなんて」
「私の能力なら例え何処に居ても見つけられるわよ」
「お話しは其の辺にして飲みましょう。紫、おちょこ を出してくれる」
霊夢が全員分のおちょこに酒を入れて皆がおちょこを 持つ。
「いただきます」
星を眺めながらおちょこに入った酒を飲む。最高の場 所で飲むお酒が絶好に良い。
魔理沙が流星の方を向いた。
「なぁ兄貴、やっぱり前みたいに幻想郷を旅するのか ?」
「そうだな、まだ考えてないんだ」
「それなら暫く私の店の手伝いをしてほしいぜ。私は ほとんど居ないから兄貴が居てくれたら助かるぜ」
霊夢と紫の方を見る。二人もそうしたらと言う感じで 流星を見てる。
「良いよ」
「じゃあ早速明日頼むぜ。って兄貴は今日はどうする んだ?」
「元々家は人間の里にあるから、寝る場所には困らな いよ」
「それなら安心したぜ」
四人は空を見ている。北斗七星が今だ出ている綺麗な 輝きをだして。
そしてこれからが流星の物語の始まりである。魔理沙 に再開を交わした流星はこれからどんな事が待ち構え ているのか。
流星はひたすら北斗七星を眺めているのであった。
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東方霧雨兄録の其の五です。楽しんで頂けたら嬉しいです。