yukito side
ひぐらしのなく頃にの世界で生活し始めて二年がたった。俺は今日も部活メンバーとわいわい楽しく部活をしていた。変わった事といえば魅音が東京の高校に進学して圭一とレナは県内の高校に進学した。皆元気なのは知ってるんだけど前みたいには時間が作れないわけで。少し寂しい。
「ん?」
楽しんでいるその時、頭に声が響く。
(助けて! 雪人!)
この声……アリサか!
アリサに渡した宝石が俺にアリサの想いを飛ばしてきたようだ
俺はすぐに立ち上がり荷物を纏める。
「済まん皆。ちょっと用事が出来た。今日はもう帰る」
「おいおい、雪人。まだ決着はついてないぞ」
圭一が俺を呼び止めてくる。
「悪い。本当に急がなくちゃいけないんだ。なんなら俺を最下位にしておいてくれ」
「さすがにそんな事はやらねえよ」
圭一が見縊るなと言う。俺は悪いと返す。俺は靴を履く。誰にも見られていない事を確認し、アリサの宝石の反応を頼りに俺はリリカルなのはの世界へ跳んだ。
リリカルなのはの世界に来た瞬間、敵意を向けられた。アリサを捕まえた強盗犯かと思い、俺は敵意を持った奴に殴りかかる。
「ふっ!」
しかし、敵意を持った奴は俺の攻撃を防いだ。出来る。そう思った俺はそいつから距離をとり、そいつを見る。
「あ? ……恭也?」
そいつは高町恭也だった。
「あ~、すまん恭也。アリサがヘルプを出してきて跳んできたらいきなり敵意を向けられたからつい」
とりあえず、謝っておく。でも、恭也は俺への敵意を解かない。俺は不愉快に思いながら恭也を意識から外し、アリサを見る。
「どうしたんだ? アリサ。というかここはどこだ?」
俺は周りを見ながらアリサに問いかける。俺の周りにはリリカルなのはの主要人物の殆どが居た。場所は何と言うか近未来的というかミッドチルダじゃない? ここ。
「ここは病院よ」
「病院で何でヘルプ飛ばしてるんだよ。医者に助けてもらえ」
「それが無理だからあんたに助けて貰おうとしてるんじゃないの」
俺の突込みをアリサは真面目に返す。さて、この時期でミッドチルダの病院といえば確か……
「それで? 君は何を助けて欲しいのかな?」
「……助けて欲しいの」
「何を?」
「なのはを……助けて欲しいの!」
アリサが涙目で叫ぶ。
「ふむ……なのはちゃんを助けて欲しいって事はなのはちゃんに何かあったのか?」
俺がアリサに聞くと皆が答えてくれた。なのはちゃんが時空管理局の任務の最中に襲われたらしい。かなりの重症でもう立つ事も飛べなくなる事も出来なくなるかもしれないらしい。
「なるほど……最後に聞いていいですか? なのはちゃん。その作戦のずっと前から要らない無茶をしてませんでしたか?」
「そうね……要らない、とは言わないけれどかなり無茶をしていたわね」
リンディが答える。
「……無理なスケジュール。休日も取らない。ずっと任務や学校に行っていなかったか?」
「やっていたわね」
「……そう」
「おい! 雪人!」
ヴィータがもどかしそうに話しかけてくる。
「そんな事聞いてないで早くなのはの奴を助けてやってくれよ! お前なら出来るだろ?」
ヴィータの言葉からはなのはちゃんへの想いと焦りが聞き取れた。
「悪いが、俺が回復してやる義理がどこにもないな」
「なっ!?」
俺の言葉にヴィータが驚く。
「何かと思えばただの愚か者が馬鹿やって自滅しただけじゃないか。俺は反対した。それなのに高町なのはは時空管理局に入り、親は高町なのはの無茶に気が付かず、託した親友は止められもしなかったわけだ。一人は同じ職場で働いてすらいたのに」
俺は肩をすくめる。
「ただの戦闘での負傷や普段の事故だったら治療も吝かじゃないさ。だが無茶した結果だろ? 馬鹿馬鹿しくて治療なんかやってられないよ。死に急ぐやつにかけてやる魔法はないんだよ」
「じゃあな」
俺はそう言って建物から出るために歩き出そうとする。だが、恭也から放たれる敵意が大きくなった。俺はすぐに恭也に向き直る。
「ふっ!」
恭也が一瞬で間合いを詰めて俺に殴りかかってくる。速い! 俺もこの二年サボらずに頑張ってきたけどそれ以上の成長をみせている!
「くっ! 流水制空圏!」
流水制空圏を発動させ、皮一枚で避け、そのまま恭也の腹に肘打ちを放つ。
「ちっ!」
恭也はそれを後ろに飛んで避ける。すぐに体勢を立て直し再度殴りかかってくる。俺はそれを受けてしまう。
「があっ!」
恭也の攻撃は重く俺は吹き飛ばされてしまう。体勢を立て直そうとするがシェイクされているみたいに世界が回る。やばい。徹喰らったのか。俺は受身も取れず床に叩きつけられる。
「かふっ!」
何とか立ち上がろうとするがその前に恭也が攻撃を仕掛けてくる。
「悪いけど、倒れてもらう!」
俺は体中から非殺傷の魔力を放つ。簡単に言えば体中からディバインバスターを放っている状態だ。あれよりは全然威力は小さいけど、魔力がない恭也は耐えられまい!
「がっ!?」
恭也のうめき声と倒れた音が聞こえてきた。俺はなんとか立ち上がる。
「ち、やっぱり明鏡止水は難しいな」
明鏡止水がまだうまく出来ていないからか流水制空圏が出来ないみたいだ。本気の戦闘でなら出来るかと思ったんだけど、無理だったみたいだ。危ない危ない。
「さて、帰るか。それじゃあな」
俺はふらふらと帰ろうとする。
「ダメ!」
だけど、俺の目の前にはアリシアが手を広げて道を塞いでいた。
「どけ」
俺は冷たく言う。だが、アリシアは首を横に振り拒否する。
「ふん。まあいい。ここからでも帰れるしな」
そう言って俺は翼を出す。
「待ちなさいよ雪人!」
アリサが話しかけてくる。
「あんたが私達の事を責めるのも分かる! 私達の考えが甘かったってわかってる!」
「ふうん。それで?」
「虫の良い話なのも分かってる。それでもお願い! 私が上げられる物なら何でもあげるからなのはを助けてよ!」
アリサが泣きながら言う。
「私からもお願い。雪人くん。私も上げられる物なら何でもあげるから」
「なるほど、魅力的な提案だ。……だが断わる。俺が助けなくても高町なのはなら回復するだろ。何年かかるか知らないが」
「何でそんな事言えるのよ!」
「分かるんだよ。理由は言えないがな。じゃあ、もう帰るぞ? 高町なのはに「無様だな」とでも伝えておいてくれ」
俺が帰ろうとするとまた止められた。もうやだこの世界。俺が帰ろうとするたびに何かしらで止められるんだもん。
「待て月! この状況で帰れると思っているのか?」
クロノが俺に話かけてきた。
「君こそ。「「「この状況で民間人まで守れるかな?」」」
俺の声が前だけじゃなくて周りから何人も聞こえてきたのでクロノが驚きまわりを見る。そこには数人の俺が今にも魔法を放とうとしていた。そのまま放てばアリサたちも巻き込むだろう。
「くっ!」
クロノが悔しそうに俺を睨む。
「もうこのような事で呼ぶな。お前達にそれを与えたのはあくまでお前達自身を守るため。他のやつの事など知らん」
アリサとすずかに言う。
「それじゃあな」
俺はそう言うとリリカルなのはの世界から消える。それと同時に影分身が消える。
??? side
「それじゃあな」
ユキ君がそう言う。たぶんもう居なくなったんだろう。私は悲しくなって涙が出てきた。私はユキ君のことを友達だって思ってた。でもユキ君は私が怪我をしてても顔も合わせてくれない。
「う……うぁあ……」
私はユキ君の傍に居たかった。でもユキ君は私のことが嫌いって言った。他の人はその後に好きって言ったって言うけど私はその前の言葉の印象を拭いきれなかった。現に今もユキ君が私のことを好きなのかさえ解らない。
それにユキ君は他の世界に行ってしまった。どうしてか分からなくて、ただただ、悲しくて。でも、強くなれば月さんぐらい強くなれば一緒に連れて行ってくれるんじゃないかってちょっとだけ思ってた。だから、ちょっと訓練もキツクしちゃったし、任務も多く行った。それでもユキ君は私を連れて行ってはくれない。顔を見て声もかけてくれない。
「わ…………私は! 私はユキ君にとってなんなの!?」
私の問いには誰も答えてくれなかった。
こんにちは。作者です。
ごめんよなのはちゃん。好きなキャラを虐めるのがこんなに辛いものだとは思わなかった今日この頃。もっと、かわいらしい虐め方をしたかった。なんで俺はこんな構成にしちゃったんだろう? 昔の俺の馬鹿野郎……
TINAMIにリリカルなのはのメンバーで雪人が一番気に食わないものはアリシアです。自分で救ったのにね。
それじゃあ、また次回。
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交通事故によって死んでしまった主人公。しかし、それは神の弟子が起こした事故だった!?主人公はなぜか神に謝られ、たくさんの世界へ冒険する。
そして物語は…………