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No.400760
機動戦士ガンダムSEED白式 06![]() トモヒロさん 2012-03-31 22:51:59 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:3655 閲覧ユーザー数:3538 |
翼(エール)
白式は3機のGを追い抜き、イージスに捕まったストライクを助けに、瞬時加速(イグニッションブースト)で瞬く間にその距離を詰めていく。
「…ッ!!?、何だあの機動力は!?」
「いくらなんでも速過ぎだろ…」
「通常のMSの倍…いえ、3倍の速度です!」
イザーク達がそれに気付いた時には、既にエール白式は機体の遥か上を飛んでいた。
「グッ…ぅうッ!!、す、すごい加速だ…やっぱりエールストライカーのお陰かな?」
白式のコックピットの中では、一夏が白式のパワーアップに驚きながら、自分にのしかかるGに耐える。実際、機動力強化のエールにより白式の瞬時加速(イグニッションブースト)の出力は1.3倍になっており、それに掛かるGも白式の対G処理を持ってしても、相当なものだった。
「はぁああああああああああ!!!」
「ッな!?」
イージスに追い付いた白式は腰をひねり、雪片を振り上げ、それを一気にイージスへ叩きつける。
ズガァンッ!!!
「グアぁあ!!?」
イージスは一瞬にして懐へ飛び込まれ、避ける暇もなく、白式の雪片が直撃する。
フェイズシフトのお陰で、物理攻撃は防げたものの、その凄まじい衝撃は吸収出来ず、反動で緩んだイージスのアームから、ストライクが脱出する。
「ごめん、一夏」
「気にしなくていいですよ!俺のせいでキラさんが敵に捕まったんですから」
「ッ…よくも!」
イージスはアームを開き、再びストライクを捕獲するために、接近しようとするが、上から弾幕が降り注ぎ、イージスの行く手を阻む。やむなくMS形態に戻り、後ろに後退する事で、弾幕を回避し、上を向くと、そこのムウの乗るメビウスがいた。
「チィッ…!?」
『ストライク後退しろ!アークエンジェルが、ランチャーを射出する!』
そこにストライクのスピーカーからムウの通信が入る。
『後ろにも、まだデカイのがいるんだぞ!早く装備の換装を!』
「分かりました!」
「キラ!」
キラはストライクをアークエンジェルへ向け、離脱する。イージスはストライクの後を追おうとするが、白式が目の前に立ち塞がる。
「ッ、またお前か!」
「今度は行かせない!」
イージスのサーベルと白式の雪片がぶつかる。
「ナチュラルが!いったいキラに何をした!?」
「どう言う意味だ!」
「あいつはコーディネーターなんだぞ!ナチュラルの味方をする筈がない!」
「お前はそうやって人を見下して!」
ビームが弾け、白式とイージスが退く。2機は武器をビームライフルに持ち替え、今度は銃撃戦に移る。
「キラさんはアークエンジェルに乗っている友達や、民間人を護る為に戦っているんだ!」
「民間人だと!?そんな出鱈目、信じられるか!だいたい何故、戦艦に民間人を乗せなければならない?!」
「お前達がヘリオポリスに来なければ、みんな住む場所を失わずに済んだんだ!」
「それは結果論だ!ナチュラルだって、中立のコロニーと言いながら、オーブとこんな物を作って!」
「それだって、ヘリオポリスを出てからでも良かったじゃないか!」
「実弾の効かないフェイズシフトを持った、完全な状態のGは脅威となる。ソレを見逃すワケにはいかない!」
「何も知らない、民間人を巻き込んでもか?!」
「先に巻き込んだのは、そちらだろう!」
「その民間人にお前達言うコーディネーターもいるんだぞ!そもそも、この戦争は地球とプラントとの争いじゃないか!」
「どちらも同じ事だろう!」
「この分からずや!!」
白式とイージスは2機の中心を軸にするように飛び回り、撃っては避け、アスランは極力バッテリーを抑えるため、なるべくギリギリで避け、一夏は勢いを付けたスピードを殺すことなく、横からくるビームを上下移動で避ける。
ドカァァアアーーーーンッ!!!
突然、アークエンジェルの方から凄まじい、閃光が走り、爆煙が絶対零度の宇宙を舞う。
「確か、今キラさんがアークエンジェルに向かってたはずじゃ…」
「キラ!?」
*
「やったか?!」
イザークはストライクへの直撃を見届けると、ストライクの撃破を確認するために、その爆煙へ近づく。しかし、それが彼の犯した重大なミスだった。
ドシュウッ!!
「何ぃ!?」
爆煙の中から一条のビームがデュエルを襲う。イザークは急いで、スラスターを吹かすが、爆煙に近づいた分その距離が近すぎた。ビームはデュエルの右腕を焼き千切り、デュエルの右腕は跡形もなく溶解した。
「退け、イザーク!これ以上の追撃は無理だ!」
「ッ、何だと!!」
「アスランも言うとおりです。今度はコッチのパワーが危ない!」
「グぅッ!!」
イザークは腹の虫が治まらず、ストライクが映るモニターを叩く。そして、右腕の失ったデュエルはバスターに回収され、撤退していく。
*
「キラさん?」
バッテリーの切れたストライクは装甲の色をグレーへと戻し、ランチャーを持ったまま沈黙している。
一夏はストライクに通信を繋げると、そこに、息が荒いのか肩が上下に大きくパイロットスーツ姿のキラが映る。
「キラさん、戦闘は終わったんですよ。みんな生きてます」
「…一夏?」
「戻りますよ。みんなの所へ」
「…うん」
MSデッキで一夏とキラがそれぞれのコックピットから降りると、そこにムウが来た。
「俺もお前達も死ななかった。上出来だったぜ」
キラの手に震えはもうなかった。
*
キラと一夏が更衣室から、出てくると、そこにムウが仁王立ちで待っていた。そして、その両腕をキラと一夏の首にまわす。
「二つ言い忘れていた。ストライクの起動プログラムをロックしておくんだ。君以外、誰も動かす事のできないよううにな」
「え?」
「白式の方は、絶対にその腕輪だって事をばらすなよ」
「わ、分かりました」
キラと一夏がムウの言葉の意味を知る事になるのは、そう遠くはなかった。
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6話