No.393306 再会と嫉妬とデート十河さん 2012-03-17 21:26:47 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:2845 閲覧ユーザー数:2763 |
食堂
「織斑さん!クラス代表おめでとう~!!」
その声とともに一斉に鳴るクラッカー。
壁を見るとクラス代表決定記念パーティーと書かれた紙がかけられている。
「・・・。」
「よかったな、一夏。みんなお前のために開いてくれたようなものだ。まぁ、楽しめ。」
呆然とする一夏に他人事のように声をかける唯。
ちなみに今は一夏と箒にはさまれる形で座っている。
一夏は唯をギロっとにらむが唯はどこ吹く風でコーラを飲んでいた。
「はいは~い、新聞部でーす。話題の新入生、織斑唯くんに特別インタビューをしに来ました~!」
いつの間にか、やたらとテンションの高い人が唯たちの前にきていた。
制服のリボンの色を見ると、どうやら二年生のようだ。
「あ、私は二年の黛薫子。よろしくね。新聞部副部長やってまーす。」
自己紹介をしながら名刺を渡してきた。
「ん。これは丁寧にどうも。」
「じゃあ、早速だけどなぜお姉さんにクラス代表を譲ったのかな?」
「一夏には実力と期待性がある。だからどこまで他のクラス代表に食らいつけるのかを見たかった。(まぁ、本当はめんどくさかったって言うのが一番の理由だがな。)」
「おー完璧なコメントだね。捏造する必要がないかな、これは。んじゃ、次はセシリアちゃん、コメントを・・。」
唯の完璧なコメント。
だが、真実を知る一夏は・・。
(うそつき!めんどくさいからわざと負けたって千冬姉さんから聞いたよ!!)
インタビューを終えた唯はポテトフライをつまみ食べる。
「じゃあ、織斑くんにほれたということにしておこう。」
「な、な・・///」
「ん?」
唯はセシリアのほうを向くとセシリアは顔を真っ赤にしていた。
「インタビューが終わったことだし、二人とも並んで。写真撮るから。」
「えっ!」
「まぁ、仕方がないか。」
先輩の言葉に、セシリアは嬉しそうな声をあげ唯は仕方なく席から立ち上がりセシリアに近づく。
「ほらほら、もっとくっ付いて。」
カメラを構えながら、手でくっ付いてと諭してくる先輩。
「そ、そうですか・・。そう、ですわね。」
などと言って、モジモジしながらくっ付いてくるセシリア。
「おいおいセシル、近すぎないか?まぁ、いいけど。(この殺気は一夏に箒?)」
体を近づけてくるセシリアに唯はあきらめたように身を任せる。
周辺の殺気が増したような感じがしたが唯はスルーをする。
「それじゃあ撮るよー。35×51÷24は~?」
「74.375」
「せいか~い。」
パシャッとカメラのシャッターが切られる。
「すごいなお前ら。忍者スキルでも持ってんのか?」
周りを見てみると、いつの間にかクラスの全員が唯たちの周りに集まり、写真に写っていた。
一夏と箒は唯の後ろとセシリアと反対の腕を持っていた。
「あ、あなたたちねぇっ!」
「まーまーまー。」
「セシリアだけ抜け駆けはないでしょー。」
「クラスの思い出になっていいじゃん。」
「ねー。」
「う、ぐ・・。」
といった感じで丸め込まれてしまったセシリアだった。
「唯くん、おはよー。ねぇ、転校生の噂聞いた?」
朝、席に着くと近くのクラスメイトにそう言われた。
ちなみに織斑だとややこしいので下の名前の唯で呼んでもらうようになった。
「ふむ、この時期に・・。」
「なんでも中国の代表候補生なんだってさ」
(中国・・。あいつか・・?)
唯は考えるがすぐに切り替える。
「あら、わたくしの存在を今更ながらに危ぶんでの転入かしら。」
いつの間にか近くに来ていたセシリアが、腰に手を当てながら話に入ってきた。
「いや、私も一応代表候補生なんだけどね・・。」
これまた、いつの間にか近くに来ていた一夏が腕を組みながらそう言った。
「このクラスに転入してくるわけではないのだろう?騒ぐほどのことではあるまい。」
さらに、先程まで自分の席(窓側の最前列)に居たはずの箒まで近くに来ていた。
(すごいね~、いっちゃん、ほーちゃん、セシルちゃん。)
(本当だな。一夏たち、いつからそんなに隠密活動ができるようになったんだ?)
感心するユリに相槌を打つ唯。
そして転校生に思いをはせる。
「中国か・・。」
「むっ・・。気になるのか?」
「まぁな。もしかしたら知り合いかもしれんし。」
(むぅ~!)
「だが、専用機持ちは1組と4組だけだと聞いている。一夏の実力ならば問題はなかろう。」
(ん?4組って確か簪のクラス。簪は専用機持ちだけど俺がアストレイを作ったから打鉄弐式の開発は凍結しているはず・・。とりあえず詳しい話を聞きにいくとするか。)
唯は生徒会長の妹の簪と仲がよく(たまたまぶつかり、お詫びとして唯がスイーツをおごったのがきっかけ。)助けたいと思う人物の一人。
逆に姉である更識楯無にいい印象を抱いていない。
自己犠牲の考えを持ち、妹のことを微塵も理解しようとしない、助けを求めているのに手を伸ばさない・・。
こんな会話をしていると不意に入り口から声が響く。
「その情報、古いよ。二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単に優勝できないから。」
腕を組み片膝を立ててドアにもたれかかっていたのは中国でパートナーだった少女。
「鈴?久しぶりだね!」
「久しぶりね、一夏。中国代表候補生、凰鈴音。今日は宣戦布告に来たってわけよ。」
ドアから体を離し、こちらに向かってきた鈴。
唯の席の前まで来てこちらを見ながらふわりと笑った。
「ゆ、唯。ひ、久しぶり。元気にしてた?///」
「あぁ。鈴こそ元気にしてたか?」
「う、うん・・///」
顔を真っ赤にしてモジモジし俯いてしまった鈴の頭を撫でた。
「あっ・・。」
それを、気持ちよさそうに目を細めながら受け入れた鈴。
(鈴ちゃん、相変わらず猫みたいだね~。)
(だな。)
唯が鈴の頭をしばらくなでていると・・。
「おい、何をしている。」
スパンッ!!
鈴の頭をわしわしと撫でていると、鈴の頭に出席簿(エクスカリバー)が炸裂した。
「に゛ゃ゛!!」
鈴は猫の様な声をあげて涙目になりながら頭を押さえていた。
「もうSHRの時間だ。教室に戻れ。」
「ち、千冬さん・・。」
「織斑先生と呼べ。さっさと戻れ、そして入り口を塞ぐな。邪魔だ。」
「す、すみません・・。」
(むぅ、鈴は千冬姉さんが苦手なのか。)
「またあとで来るからね!逃げないでよ、唯!!」
そう言って教室から出て行った鈴。
なんて言うか、悪役の捨て台詞みたいだな。
「・・唯。今のは誰だ?知り合いか?偉く親しそうだったな?頭を撫でるほど親しいのか?」
「唯さん!あの子とはどういう関係で?頭を撫でるなんて・・。」
「唯!なんで鈴の頭を撫でたの!?そもそも鈴と知り合いだったの!?」
箒、セシリア、一夏を筆頭に、次々と質問が飛び交う。
スパンッスパンッスパンッ!!
「席に着けバカども。」
千冬の出席簿が火を噴いた。
こうして今日も一日が始まった。
昼休み
「唯のせいだ!」
「そうだぞ!」
「全くですわ!」
「何だよ、それ。すごい理不尽だな。」
昼休みになったとたん、一夏、箒、セシリアに文句を言われた。
この三人、午前中の授業だけで山田先生に五回注意され、千冬に三回叩かれていた。
「それより、学食に行くぞ。席がなくなるからな。」
そんなことを気にしないで、さっさと学食に行くことにした。
後ろでは一夏たちが文句を言っているような気がするが、唯は無視を決め込む。
食堂につき、それぞれ券売機で自分の昼食を買った。
(フム、そろそろ弁当を作ったほうがいいか?)
ちなみに、今日は和食セットにした。
「待ってたわよ、唯!」
昼食を持って席に着こうとしたら、鈴が目の前に立ちふさがっていた。
「鈴、通行の邪魔になってるからどいてくれ。」
「う、うるさいわね。わかってるわよ。」
と言いつつ、隣に来て一緒に歩き始めた。
「なんで着いてくるんだ。」
「べ、別にいいでしょ!!」
後ろからは、明らかに不機嫌ですといった雰囲気を出している一夏と殺気を出している箒とセシリアが付いてきていた。
空いている席が見つかりそこに腰を下ろす。
「さて、1年ぶりぐらいか。渡したアレ、少しは腕を上げたか?」
「もちろん!また勝負しましょ!」
「フ、まだ負けるわけにはいかんな。さてと・・。」
唯は目線を一夏たちのほうに向ける。
「唯、何で鈴と仲がいいの!?」
「そうだ、どういった関係なのだ!?」
「ま、まさか付き合っているんじゃ・・!?」
3人は矢継ぎ早に話しかける。
唯はそんな3人を見てため息をつく。
(はぁ、異性として好かれるのはいい・・。だけど俺は人間じゃない・・。もし、一夏たちがこの事実を知ったとき、どんな反応をするんだろうか・・。)
唯は鈍感ではない。
一夏たちが自分に好意を持ってくれていることはすごくうれしい。
だが、自身が人間ではなくなってしまったことに対して負い目を感じている。
事実を話したら彼女たちは受け入れてくれるのだろうか?
拒絶されてしまうんじゃないか?
そんな考えがよぎってしまう。
唯は考えを振り切り、3人に鈴とはどういった関係なのかを説明する。
「任務で中国に行ったとき依頼主に紹介されたのが鈴だ。で、俺が中国にいる間ずっと行動を共にしてきたパートナーだ。」
「そう!あたしが一番唯の事を理解してるのよ!」
鈴は胸を張って言う。
「う~~~。」
「む~~~。」
「ぬ~~~。」
一夏、箒、セシリアはうなり始めた。
「はぁ・・。」
唯のため息はすぐに掻き消えた。
その後、一夏と箒がものすごい剣幕で次の休みの日は買い物に付き合え!!といってきたので唯はコクコクと首を縦に振ることしかできなかった。
2人・・特に一夏の目からハイライトが消えヤンデレのような眼差しに変わっていたからそれはもう怖かった。
週明けのクラス代表マッチ、一夏の相手は・・。
鈴だった。
土曜日・ゲート前
唯はここで一夏たちを待っていた。
唯の服装は赤のシャツに黒のロングコート、それにジーパン。(イメージとしては龍騎の蓮みたいな感じ。)
ふと周囲を見渡すと一夏たちが走ってやってきた。
「ごめ~ん、待った?」
「いや。大丈夫だ。」
「それじゃあ、いくぞ。」
箒が腕を組んでくる。
一夏も負けじと反対の腕を組んでくる。
(2人とも胸が大きいな・・。)
(あ~、唯ったらエッチィ考えをしてる~♪)
(うっさい!)
2人とも胸が大きいので年頃の少年である唯は両側から感じる嗜好の感触を味わっていた。
電車を降りしばらく歩いているとある女性が唯たち・・正確には一夏たちを見つけ嫉妬といろんなものが混ざった負の感情のこもった眼差しを送っていた。
「あれは織斑さんに篠ノ乃さん・・?私の教育を理解しなかったうえにあんなイケメンとデートをしているなんて・・!」
「ヒヒ、その欲望、開放しろ。」
「え?」
青年の声に振り向くと頭部に投入口が現れ、そこにメダルらしき何かが入り込む。
すると包帯をまとった何かが現れる。
「な、何・・?これ?」
「それはお前の欲望の化身だ。」
「私の欲望の化身・・?」
自分の欲望と聞き、女性の口元が歪にゆがむ。
「フフ、なら織斑さんと篠ノ乃さんをつれてきなさい。あの2人には再教育が必要みたいだから・・。」
「御意。」
そういって怪物・・白ヤミーは脱皮しクモヤミーとなり唯たちを追い始める。
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ダブルデート。