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黄巾党が各地で暴れる中、諸侯たちが動き始めた。
一刀は風と旅を続けていたが、旅先で黄巾党鎮圧を行っている諸侯の噂を聞き、その諸侯の向かった場所へ赴いた。
そこで戦っていたのは・・・・・・
「みなさん!雄雄しく!華麗に前進なさい!!おーっほっほっほ・・・・・・」
麗羽の高笑いと共に、真正面から力押しで黄巾党の兵たちとぶつかっている袁紹軍であった・・・・・・
その様子を、一刀と風は戦場から少し離れた丘から、真桜印の双眼鏡で見ていたのだった。
「ここであいつに会うとは、運がいいのか悪いのか・・・・・・」
微妙な顔をする一刀。
「どうしますか?お兄さん」
「ん~・・・見てるだけってのもなんだし、ちょいと横撃でもかけて来るわ。風はここで待ってろ」
「ぐ~~・・・・・・」
風は寝ていた。
「・・・・・・まあ、おとなしくしてるんならいいか」
そう言うと一刀は、走って戦場へと向かった・・・・・・
「ちっ!お前ら!あんな馬鹿そうに笑ってる女の軍に押されて、情けないと思わねえのか!?」
黄巾の将らしき男が近くの兵士に声を荒げる。
「で、ですがあいつら数はいるし、兵も結構やりますぜ?馬鹿正直に突っ込んできてるからなんとか持ちこたえてるようなもんで・・・・・・」
「だったら何か策でも考えろ!このままだと・・・・・・」
「た、大変だ~~!!」
そんな二人に割って入る黄巾の兵が一人。
「何だ!」
「お、俺たちの右側面から横撃をかけてくるやつが・・・・・・」
「んだと!?数はどれぐらいだ!どんなやつらだ!?」
「そ、それが、一人で・・・・・・」
「一人!?んなもんさっさと潰しちまえ!!」
そう吠える男だが、その事を伝えた兵は首を横に振った。
「それが駄目なんです!えらく強いやつで、俺たちが束になっても・・・・・・」
ドカーン!
激しい音と共に、遠くで兵士が十人単位で吹き飛んでいた。
「・・・・・・まさか」
「はい、あれです。俺が見てただけでも、すでに百人以上戦闘不能にされてます・・・・・・」
ドーン!・・・ドーン!・・・
兵を吹き飛ばしながら、音はどんどん近づいて来ていた。
「・・・・・・お、俺は後方に下がるぞ。お前ら何とかしろ!」
そう言いながら、将らしき男は兵士たちを押しのけるようにして最後尾の方に下がっていった。
「・・・・・・逃げるか」
「命あっての物種ですしね・・・・・・」
二人の兵士は互いに頷き、こそこそと隊から離脱していった・・・・・
将である男の行動は、一刀の登場によって動揺していた兵士たちを、さらに動揺させる結果となった。
「姫。何か黄巾のやつら、うろたえてるみたいだぜ~?」
「きっとワタクシたちの威光に恐れをなしたんでしょう?このまま終わらせてしまいなさい」
「アイアイサーー!行こうぜ斗詩!」
「う、うん」
敵が動揺しているところを一気に攻める袁紹軍。
黄巾党の兵たちはあっというまに崩れていき、勝敗は決したのだった。
ちなみに一刀は・・・・・・
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!・・・・・・」
スタープラチナばりのラッシュで、次々と黄巾兵を吹き飛ばしながら敵陣を真っ二つにしていたのだった・・・・・・
戦いは終わり、後始末をしている袁紹軍。
「まったく、あんな寄せ集めの雑軍にここまでてこずるなんて、情けないですわね」
「姫が正面から突っ込むって選択をしなかったら、もっと早く決着が着いてたんじゃ・・・・・・」
「何言ってんだよ斗詩。正面突破は漢の花道!最高の作戦だろ?」
「文ちゃん。私達は女だよ」
「細かい事気にすんなって」
斗詩の肩を叩きながら言う猪々子。
そんな中、一人の兵士が麗羽の元へ。
「袁紹様。先程の戦いで我らに協力してくれていた者がお目通りを願っていますが・・・・・・」
「協力?そんなの聞いてませんわよ?どこの軍ですの?」
「はあ、それが一人で・・・・・・」
「一人?たった一人で何をやったと言うんですの?」
「いえ、最前線の部隊にいた者の話では、単身で黄巾の兵士たちの真っ只中を突き進み、敵軍を分断していたとの事で」
「あ~、そういやあアタイが斬り込んで行った時に、派手に人が吹き飛んでるのが見えたなあ」
猪々子が今思い出したという風に言った。
「だから敵があんなにうろたえてたんですね・・・・・・」
斗詩も納得したように言った。
「・・・・・・まあ、顔くらいは拝んであげましょうか。ここへ連れてきなさい」
「はっ!」
兵士が走っていき、一分ほど後・・・・・・
「連れてまいりました」
兵士に連れられて、一刀は麗羽の元にやってきたのであった・・・・・・
「・・・・・・」
麗羽は一刀の姿を見ると、首を捻った。
「・・・貴方、何処かで会った事があったかしら?」
一刀は一瞬、驚いた顔をした。
どうやら、みんな全く覚えていないと言う訳でもなかったらしい。
・・・しかし、中途半端に覚えていられてもかえって説明が難しくなるのであった。
「あ~~、まあ、会ったことがあるっちゃあ、あるんだが・・・・・・」
頭をかきながら言いよどむ一刀。
「そう。まあ、どうでもいいですわ」
あっけらかんと言い放つ麗羽。
「・・・・・・」
分かっていたはずなのに。
こういうやつだと分かっていたはずなのに、少しでも説明しようと悩んだ自分に腹が立った一刀だった。
「それで、わたくし達に協力してくださったそうですけど、何か褒美でも差し上げましょうか?」
相変わらずの上からのお言葉。
しかし、何故か怒りより懐かしさの方が湧き上がった一刀だった。
「ん~~、じゃあ、一言言わせてもらいたいんだが・・・・・・」
「あら?何ですの?」
「袁家の袁本初ともあろう人間が、随分とお粗末な指揮だったな~。もう少し考えて行動しろよ」
「なっ!」
突然自分の指揮を馬鹿にされ、麗羽は絶句した。
「名家を名乗るんなら、それらしい行動を取れよ。威厳を持って上に立つのと、偉そうに上でふんぞり返ってるのとは違うんだぞ?」
「あ、貴方!何様のつもりですの!?」
「俺は俺。北郷一刀様だ。よく覚えときな」
腕を組んでふんぞり返る一刀。
「!!~~~猪々子さん!この無礼者を切り捨てなさい!!」
「へ~い」
あんまり気乗りしない返事で、猪々子は一刀の方へ歩いてきた。
「姫の命令だ、悪く思うなよ?」
そう言って、一刀に向かって構えた。
「・・・ふう」
一刀は心底面倒くさそうに頭を掻いた。
「いくぜ~~!!」
そう言うと猪々子は大剣を背負い、突っ込んできた。
「・・・ふっ!」
一刀も猪々子に対して正面から突っ込む。
そして
「でりゃあ~~!!」
袈裟斬りをしてきた猪々子を一刀は、
「あらよっと!」
むぎゅ
「ぶっ!」
顔面を踏み台にして、跳躍した。
その跳んだ先には、麗羽の姿が・・・・・・
ドーン!
「きゃあ!?」
一刀は麗羽にぶつかり、そのまま押し倒す体勢に・・・
ゴツン!
凄い音がした。
そして、
「!!・・・・・・ガクッ」
麗羽は白目を向いて倒れた。
「お、おい・・・・・・」
一刀が麗羽を助け起こす。
見ると、麗羽の倒れていた場所に大きな石があった。
これが後頭部にジャストヒットしてしまったらしい。
「え、衛生兵!衛生へ~~い!!」
一刀はそう叫んだ・・・・・・
麗羽は夢を見ていた。
その夢の中には、あの男がいた。
白蓮との戦いで、この男に馬乗りされた。
随分と宿題を出された。
美羽のところに二人で遊びに行き、おおいに遊んだ。
華琳との大戦。
正義の味方などもやって、
・・・閨も共にした。
(・・・・・・そうでしたわね。あの男は私の・・・・・・)
その夢の中で
パキィン!
麗羽は、何かが弾ける音を聞いた・・・・・・
「ん・・・・・・」
「姫!」
「大丈夫っすか!?姫?」
麗羽が目を覚ますと、そこには猪々子と斗詩の顔があった。
「わたくしは・・・・・・」
「頭打って気絶してたんですよ、姫」
斗詩がそう説明した。
「そうですの・・・!一刀さんは!一刀さんは何処ですの!?」
がばっと起き上がり、辺りを見まわす麗羽。
「ひ、姫!?」
「斗詩さん!一刀さんは何処にいるんです!?」
「え、えっと・・・・・・」
「あ~、あいつならあそこに・・・・・・」
猪々子が指差した方向には、
「・・・・・・」
麗羽の兵士たちに囲まれ、無言で構えている一刀の姿があった。
「な!?へ、兵を退かせなさい!」
麗羽の言葉に「え?」と言う顔をする猪々子と斗詩。
「で、でも姫。あいつは姫を・・・・・・」
「いいから退かせなさい!」
「は、はい!みなさ~ん・・・・・・」
そう言いながら、斗詩が一刀たちの方へ走っていく。
そして、斗詩が麗羽の言葉を伝え、兵たちは訳が分からないといった感じだったが、一刀の包囲を解いた。
麗羽は猪々子を連れて、一刀の元へ向かった・・・・・・
「おお、悪い。大丈夫だったか?」
若干心配そうに言う一刀。
「ええ、打ち所は良かったようですわ。一刀さん?」
「お?」
一刀はその言葉に、何か含みを感じた。
「さて、後始末を済ませて今日は早く帰りましょう。一刀さんも、ご一緒しますわよね?」
「え?俺は・・・・・・」
「異議は認めませんわ。さっさと行きますわよ?」
「お、お~~い・・・・・・」
そう言うと、麗羽は一刀の腕に自分の腕を絡めて、半ばひきずるように歩いていった。
そして
「「「「・・・・・・」」」」
猪々子、斗詩を含む取り残された一同は、皆唖然として麗羽たちの後ろ姿を見送っていたのだった・・・・・・
ちなみに
「・・・・・・ぐう」
一人残された風に一刀が気付いて、麗羽に迎えをよこさせたのは
それから一時間後の事であった・・・・・・
どうも、アキナスです。
記憶覚醒二人目は、麗羽様でした。
記憶を取り戻した麗羽様の今後の活躍は?
そして、麗羽様に連れて行かれた一刀の運命は?
そんなところで次回に・・・・・・
「TーLINKナックル!!」
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一刀が次に出会ったのは・・・・・・