拠点・江里香
「一刀との手合わせ」
「ふっ!、せいっ!、はっ!」
一人の女性が武器を振るっていた。
江里香である。
彼女は仕事をひと段落させ、一人で武の鍛錬を行っていた。
「あれ?、江里香さん。」
ある男性の声が聞こえた。
「あ、一刀殿!」
一刀だった。
「一人で武の鍛錬を?」
「はい!、本当は誰かに相手をして貰いたかったのですがお願いしても自分じゃ相手にならないと言われて断られて・・・
一人でしておりました。」
一刀が聞くと、江里香は理由も答えながら肯定した。
(まぁ、確かに江里香さんの相手が務まりそうなのは、父上か、澪羅くらいなもんか・・・父上も澪羅も仕事で近くには
居ないしなぁ)
一刀はそう考えた後、
「江里香さん、もし良かったら俺が相手をしましょうか?、俺も丁度鍛錬したかったところでしたので」
「ほ、本当ですか!?、ありがとうございます。」
こうして二人は模擬戦を始めた。
模擬戦を始めてある程度時間が経過した。
(やっぱすげーや江里香さんは。)
攻撃を弾き、受け流しながら一刀は思う。
(細かな動きに対しても敏感に反応している・・・そして闘気も並じゃない。)
そして一刀は今まで攻撃を放っていない方向へ不意に攻撃するが・・・防御される。
(おまけに頭も良いから罠張っても見破られてしまったな。)
一刀は体勢整えるため少し下がった。
江里香はすぐに攻撃に入り、舞うように斬撃を放つ。
(流石にさせてはくれないか。)
一刀は攻撃を防ぎながら次はどのようにして戦うかを考える。
あの後、一刀も奮戦したが、結局は江里香の勝利に終わった。
「やっぱりすごいなぁー、江里香さんは。」
「いえ、一刀殿も強かったですよ、おかげで汗・・・・」
そこで江里香は言葉が詰まった。
(汗がびっしょりです!、どうしましょう!、一刀殿に汗臭い女だと思われないでしょうか!?)
彼女が生粋の武人気質の人間ならあまり気にしなかったかも知れない。
だが彼女は一応は文官なのである。
「どうしました、江里香さん?。」
「いえ!、そ、その・・・」
江里香はどうしたら良いのか分からず少しおろおろしてしまう。
「あ、そうだ!、江里香さん、もし良ければこれからも鍛錬に付き合ってくれませんか?」
「へ?、かまいませんが?」
「本当ですか!?、ありがとうございます!。」
一刀は江里香に近づき手を握りながら礼を言った。
「ふぇ!?、は、はいぃ!」
あまりにも笑顔でお礼をいわれてしまったので顔をかなり赤くしてしまった。
「あ、汗びっしょりですね、はい、これ布です。」
汗のこと指摘され、
「あ、ありがとうございます。と、ところで私、汗臭くなかったですか?」
気になってしまったことを聞く。
「そんなことを気にしていたんですか?、全然大丈夫ですよ。それにしても汗のこと気にするなんて・・・」
そしてまた笑顔で・・・・
「可愛いところがあるんですね。」
可愛い、
可愛い、
可愛い、
江里香の脳内にその言葉が駆け巡り。
ボン!
バタン!
色々なにかが限界に達したのか、顔をさらに赤くし、倒れてしまった。
「え、江里香さーーーーん!?。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
彼女は目を覚ました後、また顔を真っ赤にして、一刀から逃げるように走っていった。
(可愛い!?、そんなこと無いですよー、一刀殿ー。)
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予定どうり、後の晋の宿将となる、江里香の拠点となります。