No.368628

恋姫夢想 ~至高の鍛冶師?の物語~ 第十五話

第十五話です。
ようやく完成しました。
おそらく矛盾はないとは思うのですが…。

とりあえずどうぞ。

2012-01-26 17:44:07 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:5220   閲覧ユーザー数:4344

 

 

「はあっ!!!」

「ちっ!?」

            

華雄の横薙ぎの一撃を俺は武具で受け止める。が、勢いを殺しきれずに

俺は吹き飛ばされた。

なんとか四つん這いに近い形で着地できたが、それでも勢いが止まらずに

地面を削る。

止まった時には既に眼前には華雄の姿。そして

 

「……降参だ」

「……また私の勝ちか」

 

金剛烈斧を首に添えられ、自身の敗北を宣言した。

 

 

 

「……鷹原。本当に才能が無いのか?」

「勝っといてその台詞は無いんじゃないか?」

「それはそうなんだが……」

 

なぜ華雄がこのような事を訊くのか。

それは俺が今の戦いで使ったのは本来の手甲・脚甲ではなく

薙刀だからだ。

実はこの戦いの前にも長剣、双剣、槍と使ったのだが、いずれも

俺が敗北する結果になっている。

 

 

「…変。変わってないのに弱い」

「力もある。速さもある。技術もある。

 なのに傍から見てても鷹原殿に負ける気がしませんな」

「うちもや。最初はそうでもなかったけど、長引くにつれて負けるとこが

 想像できなくなってもたわ」

 

なんでやろ?てっきり無手に比べて雑になるとか思うとったんやけど、

正直「どこが才能無いん?」って感じやったし。

 

なんや違和感はあったけど。

そう考えとったら

  

「……でしょうね。あれじゃあ兵はともかく、将相手に勝つのは難しいわ」

「ですが詠、へっぽこ鍛冶師が手を抜いてるだけかもしれないですぞ?」

「真也がそんな真似する訳ないでしょう。意外と負けず嫌いだし。

 自分の中で規律があるとかなら別だけどね」

「詠ちゃん、ねねちゃん。真也さんが勝てない理由が分かるの?」

「まあね」

「外から見てて分からなかったら軍師失格ですぞ」

 

どうやら詠とねねは真也と華雄の戦いを見て何か分かったらしい。

 

「詠、ねね、どういう事や?」

「あの二人が来たら確認も兼ねて話すわ」

 

そう言う詠の視線の先には、こっちに歩いてくる真也と華雄の姿があった。

いったい何なんやろ?

 

 

「お疲れ、真也」

「全敗とはいい気味なのですぞ、へっぽこ鍛冶師」

 

……詠はともかく、第一声がそれか陳宮。しかも事実だから否定できない。

 

「けどあれね。『才能が無い』って意味が分かったわ」

「分かったのか?」

「ええ」

「当たり前ですぞ」

 

いや、分かってるのはお前達軍師勢だけみたいだぞ。

他の面々は興味津津で聞いてるし。

 

「あんたは決まった型通りにしか動けない。いくつか種類はあるみたいだけど、

 それでも状況に応じて使い分けてるだけ…でしょ?」

「……ああ」

 

完全にバレたか。

 

 

「それでか。戦ってる時に次の手が自然と予測できたのは」

「あ~~~、違和感の正体も分かったわ。攻め方とか防ぎ方が決まっとったからか。

 いつもなら状況に合わせて変えとるのに。

 ちゃんと防げとったし、躊躇いなかったから気付かんかったわ」

「ついでに言うと、長引けば長引くほど型を見極められてしまう、という事ですな」

 

どうやら武将勢もいろいろ思い当たる事があったらしい。

疑問が解けてすっきりしたようだ。

 

「けど真也さん。型通りでもあそこまでできるならその種類を増やせば……」

「その考えは分かりますが、あれは極端にいえば素振りを複雑化した様な物。

 いくら才能が無くても幼少の頃から続けていればあれ位はできるようになります。

 逆に言うと、それ位しないと戦闘で使う事等できないという事です」

 

ましてや適性が全く無い物を鍛錬するなら適性のある物をした方がいい。

武具無しが基本だから「武具が無いから戦えない」なんて事も無い。

習慣以外で武具の鍛錬する意味ほとんど無いんだよな、俺の場合。

 

「もし剣や槍を使って戦う場合は短期決戦、型を見極められる前に勝負を決める。

 長引けば長引くほど勝率が落ちるからな。

 まあ、将やそれに近い人間が相手だと難しいんだが」

 

実際、華雄を押し切れなかったからな。

 

 

「つまり鷹原。お前は手甲・脚甲以外の武具は使えないんじゃなく…」

「どんな武器であれ、俺は『使う』事は出来る。

 だが『使いこなす』事ができない。

 修練を積めばある程度まではいけるんだがな」

 

せめてもう少し才があれば違ったんだろうが。

 

「まあ、俺は確かに親父と母さんの子って事なんだろう。

 親父からは武の才を、母さんからは鍛冶の腕を、って具合に」

 

本当に、ある意味うまい具合に受け継いだよ俺は。

 

「あれ?真也、父親が鍛冶師じゃないの?」

「違うぞ。母親が鍛冶師、父親が無手の武人。つまり父親が入り婿って事だ」

「そうだったんですか」

「あんたがそうだから父親がそうなんだと思ってたわ」

 

……あんまり驚かないな。まあ、この世界じゃあ女性が鍛冶師でも

珍しくないか。この街にも何人か居たし。

 

 

「とまあ、とりあえず一通りやった訳だが……いったいなんで俺を戦わせたんだ?霞」

「ん?華雄相手にあそこまで戦えるのに、他の武具の才能が無いゆうんが

 いまいち信じられんようなってもうて。

 真也が嘘ついてるとは思わんけど、もしかして

 自分がそう思てるだけなんやないか思うて、詠達にも話して場を設けてもろたんや」

 

……確かに信じ難いかもしれないな。

 

「馬鹿な理由だったら前回より更に格を上げて全員の飯奢って

 『すいませんごめんなさいもうあれはほんきでやめてください』

 ……ああうん、今回はその気ないから安心してくれ」

 

完全にトラウマになってるな、霞の奴。

 

「?なんの話ですかな?」

「こっちの話だ」

 

わざわざ話す事でもないしな。

 

 

「とりあえずもう用はないよな?それじゃあ『真也』……何だ、恋」

 

いつの間にか恋が俺の後ろに回って裾を掴んでた。

 

「…お腹すいた」

「…何か作れと?」

「…ん」

「恋殿!そんなへっぽこ鍛冶師に頼らずとも『真也の料理が食べたい』れ、恋殿~~」

 

……ちょうど今日作ろうと思った物があるが……

 

「恋。まさか知ってたのか?」

「?」

「……知らずに言ったのか」

 

なんで食い物の事になると恋はここまで関われるんだ?

 

「何だ?何かあるのか?」

「…まあ、一応」

「じゃあお相伴させてもらっていい?」

「あ、うちも」

「おい、作る事前提になってるぞ」

「では私も」

「恋殿にお付き合いするですぞ」

「だから俺は作るとは一言も…」

「すまん鷹原。私も頼む」

「すいません。私もいいですか?」

「ゆ、月様まで……」

 

どうやら俺に味方は誰も居ないらしい……。

 

 

 

「こんなにたくさん……」

「崩してしまうのなら形を保った物でなくても良い訳ね。盲点だったわ」

「こってり濃厚なのにするする口の中に入ってしまうな、これは」

「うま~~」

「恋殿!それはねねの皿ですぞ!?」

「…ごめん」

「謝るなら返してほしいですぞ!!?」

「これは美味い。ついでにメンマを作っていただけますかな?」

「断る。どさくさに紛れて何言ってやがる」

 

食べてる面々に好評の料理。それは極細麺のあんかけそばだ。

ただし、あんの具材はフカヒレのみ。

ヒレの形を保ってる物は高級品だが、バラバラになってしまったフカヒレは安く買える。

……というか安すぎるだろ、って値段で大量に買えた。

もう「あんかけ」じゃなくて「フカヒレかけ」って位に入ってる。

ちなみに付け合わせはフカヒレスープ。

 

「……真也」

「ん?」

「あんた、武具使いの才能こっちに持ってかれたんじゃないの?」

 

………笑えないぞ、それ。

 

 

おまけ

 

「なあなあ真也」

「なんだ」

「真也の使うた剣や槍、あれも真也の作品やろ?いつ作ったん?」

「暇ができた時に。ちなみに俺の趣味で作った奴だから非売品だ」

「他にもあるん?」

「あるぞ」

「見してくれへん?」

「却下」

「けち」

「けちで結構」

「…ちぇっ」

 

「……あんなの見せられるか」

 

 

後書き

やっと完成……。反応次第では書き直すかもしれませんが。

最後のは真也の個人的事情です。 

 


 
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