No.317112

真・恋姫†無双~江東の白虎~ 第参章 4節~江東の白"子"~

タンデムさん

妖しげな薬を生成したマッドドクター凱。
その魔の手は、確実に彼に向かい、
とんでもない事に!?


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2011-10-12 15:25:44 投稿 / 全17ページ    総閲覧数:22291   閲覧ユーザー数:15661

 

この小説は、北郷一刀、呉の主要キャラほぼ全てと華佗に

 

いろいろな設定を作っていますので、キャラ崩壊必死です。

 

更に、オリキャラが出ます。

 

その点を踏まえて、お読みください。

 

嫌悪される方は、ブラウザ左上の←または、右上の×をクリックすることをお勧めいたしますっす。

 

それでもOKという方は、ゆっくり楽しんでいってくださいっす。

「のう凱や?」

「は、はい」

 

一刀女体化事件後のある晴れた日、その日の江東は街全域で雨戸を閉めたり、

壁などの補修をして皆、嵐――所謂台風に備えていた。

しかし、季節に関係なく、今ここにある光景を見た江東の者ならばみな、嵐は彼女が呼んだと言うだろう。

なんと、凱"が"床に正座させられて、祭"から"説教をうけているのである。

大事なことなので2度言おう。

祭"から"凱"が"説教を"受けている"のである。

普段から酒の飲みすぎで、凱が祭を説教をすることはあっても、その逆などあり得ないのだ。

 

「べつに、薬を創るのは構わん。 たまにやんちゃをするのもいい」

「はい……」

 

祭の言葉に凱は、身を縮めた。

本当に、これは一生に一度見れるか分からないような光景だった。

 

「……何か、変な感じね。 いっつも見降ろされてたのに」

「ふふ、そう? 私はこうしていると、あの頃が懐かしいわ」

「はぁ……癒される」

「可愛いなぁ」

「本当よねぇ……」

 

しかし、周りは視線はそこに向いておらず、冥琳でさえ仕事そっちのけで、

見ているものは、祭の隣の美蓮が抱えている小さな男の子の方だった。

 

「……じゃがの、流石に一刀様を幼児に変えてしまうのは、聊かやり過ぎでは無いかのぅ? ええ?」

「う、す、すみません」

「ごめんでしゅむかぁ! がいのばかぁ!」

「ああ! もう、こら暴れないの一刀、落ちちゃうでしょ?」

「ねぇねぇ、母様。 あたしも一刀を抱きたい!」

 

そう舌足らずに言って、小さな男の子は凱に罵声を浴びせた。

そう、この小さな男の子こそが、今現在の一刀なのである。

何故こんなことになっているか、それは数刻前に遡る。

カン、カン……!

 

その時、一刀は江を連れて、彼の白虎覇爪を作った鍛冶屋に来ていた。

先の戦で彼が壊してしまったため、今だ彼女には自分の武器がなかったからだ。

 

キンッ!

 

「いよっし! 出来だぞ、一刀坊ちゃん!」

 

そう言って出てきたオヤジは、彼は手に布でくるまれた八尺ほどの長さのものを彼に渡した。

昔に比べ白髪と皺が増え、昔の姿を知っている一刀からしたら、時の流れを感じさせられた。

しかし、笑みは変わらず優しく温かな、男くさい印象を受けた。

 

「おう、ありがとうなオヤジ。 江、遅くなったが俺からの入軍祝いだ。 お前の斧を鍛え直してもらった、受け取ってくれ」

 

そう言って、オヤジから武器を受け取ると、今度はその武器を江に取るよう促す。

 

「は、はい! ありがたく頂戴させていただきます!」

 

一刀の手から、いささか緊張した面持ちで受け取る江。

前の金剛爆砕斧を完全に溶かし鍛え直したのだ。

以前より若干装飾品が多く取り付けられているが、最大の特徴はその刃の大きさだろう。

刃渡りは現代の単位でおよそ70cmで紗那の使っている磊山崩以上に大きい刃を持ち、さらに柄は3mと長い仕様だ。

そして、気になる重さはなんと現代で40Kgと、小柄な成人女性並みの重量で、普通の人間には扱いづらい物だということが分かる。

しかし、一刀の鍛練(オシオキ)によって、全身を使って戦う術と途轍もない基礎体力を会得した江には何ともない。

むしろ彼女の戦い方には、この位の重さでなければ、戦法を変えなくてはいけなくなるのだ。

江は、受け取った斧の柄を、なじむように握りしめる。

すると、一刀から声がかかった。

 

「今迄使っていた練習用の奴とは、勝手が違うと思う。 確り己を磨き、精進するんだぞ」

「はっ!」

 

一刀の言葉に返事をすると、また江は自分の武器を見つめた。

やはり、生まれ変わり姿は違えど、武人であるならば、己の半身と言える武具が戻ってきたのは嬉しいのだろう。

江は親が子を優しく撫でるようにさすり、一刀に向けるような優しい笑みを浮かべていた。

 

「あ、そうだ。 姿が生まれ変わったんだ、そいつに新しく名をつけてやったらどうだ?」

「名ですか? そのまま金剛爆砕斧ではだめなのですか?」

 

そう言って、小首を傾げる彼女。

いちいち仕草が可愛いすぎて、とても熟女とは思えない。

その仕草に心の中で静かに一刀は萌えながらも、苦笑を返す。

それを見ていたオヤジが、こう口にした。

 

「お嬢ちゃん、鍛冶師として言わせてもらうが、その名前の武器は、坊ちゃんが(ころ)しちまったんだろ?」

 

一刀の言葉に江は、ハッとした。

 

「! そうでしたね。 危うくまた大切な友を死なせてしまうところでした」

「そうゆうことだ。 まこれ以上の話はここを出てからにしような。 ありがとさんおっちゃん」

「はい。 世話になったな、店主」

「おう、たまに二人とも、武器を持ってきな! 素人じゃできない手入れをしてやるからな!

嬢ちゃんも、がんばって、"虎"の一員になんなよ!」

「こいつはもう、立派な"虎"だぜおっちゃん、じゃな」

 

そう言葉を交わし、二人は鍛冶屋から出た。

そして、少し歩いたところで、江がいきなり立ち止った。

 

「……虎の、一員。 虎……」

「江?」

 

その時、江はオヤジと一刀がなんとなしに漏らした言葉をきっかけに、考えていた。

彼女の頭の中では、虎が一匹で数千の獣の群れに飛び込んでいく情景が広がっていた。

その姿は、正しく一騎当千、万夫不当の言葉が相応しい一刀とダブって見えた。

彼女が思い描いた1匹の虎が群れと闘い、粉砕する姿は、彼が軍に対して、一人、孤軍奮闘する姿だった。

 

「おい、江? おわっ!?」

「ご主人様、決まりました! 我が相棒の、こいつの名が!」

 

急に顔を上げた江に驚く一刀だが、彼女は興奮しているよすで、さらにまくし立てた。

 

「こいつには、ご主人様の如く無双の名を冠してもらいたい。 それゆえ、ご主人様の見ていて欲じょP――――――――――(大変不適切な表現があり放送できません)となるような勇ましさ、猛々しさを籠めて、"虎群粉闘"と名付けます!」

「……江さん、できれば公の場で、そんな発言はしないでいただけませんか? 本当、どうかお願いします」

 

正直言って、一刀は穴があったら埋まりたい気持だった。

顔が真っ赤になるのを感じるし、周りの目が物凄く冷たくなっているのも感じる。

 

閑話休題

 

その雰囲気を察したのか、江はコホンと咳払いを一つ吐く。

 

「コホン……。 いかがでしょう?」

「はぁ、それにしても、『虎』ハ『群』レヲ『粉』砕セント『闘』ウか……なんとまぁ面白い名前を」

 

自分をモデルにしていると、それだけ声を大にして言われて、少し気恥ずかしい一刀。

 

「だが、いい名だと思うぞ。 武器の名に負けない様にな」

「はい! ご主人様、私はもう一度あの鍛冶屋に行ってまいります!」

 

そう言うが早いか、彼女は、もと来た道を砂煙が起こる勢いで駆けて行った。

おそらく、さっそく銘を彫ってもらおうと思ったのだろう。

 

「たく……。 猪なのは変わらんな」

 

彼女の後姿をみて、一刀はそう呟き、城の方に戻って行った。

 

「ふふ、ようやく一人になったか」

 

彼を遠巻きに見ていたある影はそう呟くと、一足先に城へと戻った。

一刀が城の門をくぐり、完全にだれの目にも触れなくなった瞬間、影――死神が動いた。

 

「一刀」

「ん? 凱、何だ?」

「ああ、この前の戦場で、約束しただろう? 新薬開発を手伝うとな」

「ああ、そう言えばそんなこと言ってたな。

んで、今度は何を取ってくればいいんだ?

前は蓬莱の玉の枝だったからな。 今度は龍の髭か?」

 

その時の一刀は完全に油断しきっていた。

普段ならあり得ないだろうが、この時ばかりは、己の油断しきった心を呪った。

 

「なに、薬自体は出来ているんだ。 『江東・有情砕覇断迅刹活孔(うじょうさいはだんじんせっかっこう)!』」

「ぐあぁぁぁぁぁあ!?」

 

故に、凱の放った北……ゲフンゲフン。

神速で襲い来る鍼を避ける事が出来なかった。

激痛を体に感じて膝をついた、動かない体を必死になって凱の方を向こうとする一刀。

 

「ちっ、まだ寝てないか。 ならば『江東・有情砕覇百烈拳(うじょうさいはひゃくれつけん)!!』」

「おごごごごごご……かはっ!?」

 

一刀がまだ気絶しきっていないのを確認すると、凱は目にもとまらぬツボ押しアッパーを一刀に食らわし、打ち上げる。

完全に亞点を突かれ、途中から息をするのもしんどくなった一刀だが、まだ意識を保っていた。

 

「『江東・有情新膻血愁(うじょうしんたんけつしゅう)!!!』」

「うぼぁぁぁぁっ!?」

「これぞ、(痛すぎて)痛みを知らず眠る我が()の拳!」

 

しかし、落ちてきた一刀に無情にも鍼が突き刺さるように手を挙げて、彼を受け止めた。

有情とは名ばかりにとどめを刺したようにも見えるが、有情の為、一応生きてはいる。

その姿は、本当にそれはどこかの世紀末な死神を彷彿とさせた。

 

「ただ、被検体がいなかったんだ。 だからお願いするぞ、一刀?」

「が、い……」

 

そう言った凱の言葉を最後に、一刀は意識を落とした。

そしてこの後凱は彼を部屋に引きずって行き、四肢の亜点(※1)を突いて念のため四肢を縛りあげた後、彼が目を覚ますのを待った。

 

「う、うぅん、ジョインジョインガイィ」

「お、目が覚めたか?」

「……! 目が覚めたかじゃねぇ馬鹿野郎! 死ぬかとおもガボボ!? ゴクゴクゴクッ……!?」

「おお! そんなに協力的とは嬉しな一刀」

 

そして彼が目を覚ますと、取り敢えずは了承も取らず、彼の口に薬をねじ込んだ。

匂いは若干薬の臭い感じはするものの、フルーティな感じで、味は甘く、とろとろの液体を、飲みほした。

 

「…………? な、なんともねえぞ?」

「む?」

 

しかし、いくら待っても何ともない、体に異常もなく、かといって調子が良くなったりもしない。

 

「おい……おれ、完全に殴られ損じゃねえか」

「……ふむ、もしかしたら俺の突いた秘孔が何か作用しているのかも知らん」

 

そして、そのまま約四半刻。

 

「お? そろそろ戻り始めたぞ……」

「さて、街に問診に行くかな」

 

一刀が言った瞬間、凱は鞄などを持って立ち上がった。

 

「この野郎って! てめえ! 何逃げてやがる!」

「な、何を言っているんだ? おれは診察に行くだけだぞ?」

「嘘こけこの野郎! 今日は休みだっただろう……がぁ!」

 

スポ……!

 

氣の戻った一刀は凱の縛った縄から"抜けた"。

 

「この野郎、覚悟しやがれ!!」

「逃げるんだよぉぉぉぉぉっ!」

 

こうして、二人の追いかけっこが始まろうとしたのだが――。

びたーんっ!!

 

「へぶッ!?」

「……へ?」

 

凱に向かって駆け出そうとしたその瞬間、一刀は床に倒れ込んだ。

行き成りの一刀の奇行に、凱も一瞬呆けた。

かなりいい音がしていたため、相当痛いだろうことが予想できる。

しかし、問題はそこでは無い。

 

「……な、なんだこれ?」

「……ち、ちぢんでる?」

 

よくよく見ると、ゆっくりとだが、一刀の体は確実に縮んでいた。

そして、1歳児くらいの体になってからだろうか、体の縮みは収まった。

 

「……おい」

「な、なんだ?」

「どうしゅんだこりぇ」

「……どうしようか?」

 

正直言って二人は、方や自身に起きた事に、方や親友に起きた事についていけないでいた。

 

「それとにゃ、がい……」

「うん?」

「きがねれにゃいんだけど?」

「……ああ、さっきお前を殴ったのは亞点とともに、氣を巡らす管についている気を遮断する点穴をついたからな。

恐らく、身体能力は呼吸、心の臓を動かす、食事と言った、

本当に生きていけるギリギリぐらいまで、下がっているだろうな……。 喋れているのは奇跡なのかも知れんがな」

「ふじゃけんにゃよちくちょう!」

 

告げられた事実は。一刀にとって絶望でしかないうえ、本気で死活問題なのだ。

そして、悪い時には、悪い事が続くものである。

 

コンコン!

 

『!?』

「凱、入るわね。 ちょっと、軍医達の書管が……こち、に……!?」

「? 美蓮殿、何を固まって……!?」

 

戸をノックして入ってきたのは、元呉王孫堅こと美蓮と孫呉代々の淑将黄蓋こと祭。

呉を代表する四熟女の内二人、しかも方や育ての母、方や武の師匠と幼いころの一刀を知っているため、誤魔化すことは決してできなかった。

 

「ねぇ、凱?」

「は、はい!?」

 

口を開いた美蓮の言葉は、凱を切り刻むかの如く鋭いものだった。

 

「今起こっていること、詳しく聞かせなさい……?」

「はい……」

 

引退しても衰えぬその覇気に、凱は屈するしかなかった。

~曹嵩私室~

 

ここは魏の裏の中枢ともいえる場所。

そこの主である華南は、いつものようにのんびりと寛ぎながら、風と稟とともに政務をこなしていた。

 

「(キュリィィィンっ!!!)!?」

 

しかし、いつものように、退屈になってきた政務をさぼろうとしたその瞬間、体を雷が通り抜けた。

そして、頭の中にある事が浮かんだ。

 

ガタッ!

 

「ど、どうなされたのですか、華南様!?」

「おや?」

 

政務をしている最中、行き成り華琳が立ち上がった。

 

「私、今から建業に行ってくるね~」

「へ!? な、何故ですか!?」

「この光景、前にも見た事ありますよ~?」

 

突然の発言に稟は目を白黒させた。

 

「分からないわ……でも、行かなければならないの。 前回の華琳ちゃんの気持ちが分かるわ~」

「い、今の我々では、建業を治める孫策に僅かに一歩劣ります! どうかお考え直しの程を!

って、私のセリフてんどんじゃないですか! ちゃんと作ってくださいよ!」

「問題ないよ~私が一人で、行って来るだけだから! 政務は任せたわね~稟ちゃん、風ちゃん。 いってきまぁ~す」

 

稟のメタ発言たっぷりの説明も聞かず、そう言って部屋から出て行こうとする華南だが、稟が必死にしがみ付いて止めに掛かる。

しかし、所詮は文官である稟に彼女を止められるはずもない。

 

「ふ、風! 見てないで助け下さい!」

「ぐぅ……」

「寝るなぁぁぁぁっ!」

 

頼みの綱の親友も、狸寝入りをして現実逃避をしてしまった。

あてにならないと踏んだ彼女は、最終手段に移行することにした。

 

「く、仕方がない!! すぅ~……華琳様ぁぁぁあ! 華南様が政務をさぼろうとしていますぅ!」

 

ダダダダダダダダダダダンッ!

 

「ま・た・かぁ! この遊女がぁぁ! 今週、一体何度目よっ!?」

「いやぁ~ん、華琳ちゃん。 あぶないじゃなぁ~い。 今週はまだ13回目よぉ?」

「多すぎよ! 少しは自重しなさいよっ! まだ今週始まって3日目(現代の火曜日)なのになんで3日で13回もさぼるのよぉっ!」

 

その瞬間、どこからともなく華琳が現れ、絶を振り回して華南と追いかけっこを始めた。

 

「いやぁ~ん、華琳ちゃん怒っちゃ・い・や・よん☆」

「(ブチッ!) 今度と言う今度は、しばらく動けないように、脚の腱を切断してくれるわァァっ!」

「ああ!? か、華琳様がご乱心~~!!」

「ぐぅ……」

 

その後、なんとか武官総動員でブチギレた華琳を止め、華南を家臣達全員とともに説得し、建業行きは諦めさせた。

ちなみにその時に見た拗ねた顔は、一番長く一緒に居た華琳でさえでさえも見たことの無いものであった。

その時の華琳と家臣たちの心情は、皆そろって同じ。

 

『建業では毎回何が起こっているのだ?』

 

閑話休題

そして、首脳陣全員を玉座に集めて、凱の話を聞き冒頭に戻るのである。

現在、一刀は美蓮の腕を離れ、雪蓮の腕……いや胸の中で窒息しかかっていた。

 

「ん~♡」

「うぅー、しぇれんくるちぃ……」

「あ! ご、ごめん! もう、あんたがかわいすぎるのがいけないのよ♪」

「むちゃくちゃらぁ!」

 

2歳児である一刀では、雪蓮の腕の中では完全に身動きが取れない。

あまりにも強く抱きしめられて、少し苦しかった。

 

「お?」

「あ!」

「まったく、もう少し加減を学びなさい」

 

そんな彼女の腕の中から、掬いあげてくれたのは、褐色の美女な彼の幼馴染だった。

 

「今はあたしの番なのに!」

「このまま貴方に一刀を持たせてたら、死んでしまうわ」

「ぶーぶー」

『ぷっ!』

 

雪蓮の抗議を無視して、冥琳は一刀を抱き直した。

その様子は、小さなころの二人を知っている美蓮と結羽は、あの頃とダブってしまい吹き出してしまった。

 

「あいあと、めーりん」

 

抱き直したその瞬間、可愛さ120%の笑みが冥琳の心を撃ち抜いた。

 

「…………!!(ズキュゥゥゥン!)」

「めーりん?」

 

一刀の笑みを見た瞬間、冥琳は動かなくなった。

不思議に思った結羽が彼女の顔を覗き込むと、彼女は苦笑して一刀を腕からとりあげた。

 

「ん? ……あらら、この子ったら立ったまま気絶してるわ。 よいしょっと」

「ぷっ! 冥琳ってこんなに可愛いものに弱かったのね! あっはっはっはっは!」

 

完全に動かなくなったことをいいことに、雪蓮は、抑えることなく大笑いし、彼女の額に筆で『肉』の落書きをする。

正直、後が怖そうだ。

 

「……そう言えば、一刀君を抱くのって久しぶりだわ。 今は私の方が抱かれてるのにね」

「しもにぇたじちょうしれ」

「ごめんごめん。 さて、盥回しの様でいい気分じゃないだろうけど、今度はシャオちゃんに交代ね。 さて、この子も部屋に送んないと。 あ、それと雪蓮様、仕事に戻りますよ」

「え? あ、ちょ!? む、鞭で縛らないで! 引きずらないでぇぇ! 一刀助けてぇぇぇ!」

 

ズルズルズル……

 

そう言って、結羽は一刀をシャオに抱かせ、冥琳と鞭で縛った雪蓮を引きずって玉座を出ていった。

 

「うんしょっと!」

「おもくにゃい?」

 

抱え直した小蓮を見て、一刀はそう言った。

 

「うん、平気だよ! でも、小さかったお兄様って、こんなに可愛かったんだねぇ~♪」

 

しかし、心配することは無く、逆に一刀を観察するほどの余裕があった。

 

「……このころは、おんにゃにょこにょふくとか、きしぇらりぇてたかりゃにゃ……」

「じゃあ、後で、シャオのお古着せていい?」

 

聞き取りづらい舌足らずな言葉をちゃんと理解した小蓮は、目をキラキラさせて一刀に言った。

 

「しょんなことしたりゃ、もとにもでょったとき、ひどいじょ? おしりぺんぺんしゃんびゃっかい」

 

小蓮の言葉を聞いた一刀は、にやりと口元をゆがませ、そう言った。

これには、小蓮も、うっと息を詰まらせた。

 

「そ、それは死ねる……。 はぁ、着せ替えっこしたかったなぁ」

「はぁ、んで、しゃっきかりゃじゅっとみてりゅけど、どうかしたにょか、りぇんふぁ?」

「ふぇ!? あ、え、えと!?」

 

小蓮を黙らせた後、一刀はさっきから舐めるように自分を見ている蓮華の方を見て言った。

蓮華は、まさか一刀から声をかけられるとは思わなかったのか、酷く動揺していた。

 

「……小蓮様、蓮華様にも一刀様を、抱かせてあげてください」

「し、思春!?」

 

動揺しすぎて、あたふたしている蓮華をフォローするように、思春が淡々とそう言った。

思春の言に、蓮華は声を裏返らせて、驚いた。

 

「うーん、仕方ないなぁ。 ま、お姉ちゃんの事だし、自分から言い出すわけ無いよね」

「え、あ、ちょ!?」

 

思春の言葉を聞いて空気を理解した小蓮は、蓮華に一刀を抱かせる。

 

「……にゃんだ、れんふぁもらきたかっらにょか?」

「え、えと、あの……!」

 

動揺している蓮華の顔を覗き込むように見る一刀。

しかし、彼女はその愛苦しい一刀の表情に思わず手に力を入れてしまった。

 

「れ、れんふぁ、いらい」

「ああ!? ご、ごめんなさい!」

 

一刀の声に、蓮華は慌てて力んだ手の力を抜く。

 

「……なんだかお姉ちゃんが、自分の子供持ったら、大変そうだなぁ」

「しょんなことにゃいじょ? れんふぁは、いいおよめしゃんににゃにゃりゅ」

 

あたふたしまくりの蓮華に、小蓮が厳しい人子をぽつりと漏らす。

しかし、そこを一刀がやんわりとフォローしたつもりだった。

これがいけなかった。

 

「お、およめ……!!(ボンッ!)」

 

一刀の発した言葉に、顔を真っ赤にした蓮華は手の力を抜いてしまう。

すると、彼女の腕に乗っている一刀はどうなるのか?

答えは言わずもがな、落ちます。

 

する……。

 

「ふぁ?」

「あっ!?」

「危ない!」

 

ぽすっ!

 

しかし、間一髪、思春がミラクルキャッチ。

流石は孫呉お庭番筆頭の名は伊達では無い。

 

「……言わんこっちゃない」

「オニイサマノオヨメサンオニイサマノオヨメサンオニイサマノオヨメサン……イイ……(にへら)」

「聞いて無いし」

 

小蓮は、蓮華に向けて皮肉を言う。

だが、当の蓮華は、自分の世界にどっぷりとはまっており、全くと言っていいほど聞いていなかった。

その事に、小蓮はため息をついた。

「御無事ですか? 一刀様」

 

そんなときでも、思春は腕の中の一刀を心配した。

 

「……ひしゃしぶりに、こわいおもいしら。 れもへいき」

 

体に引っ張られてか、一刀のつぶらな瞳からは涙がこぼれおちそうだった。

 

「ふふ、左様で……」

 

ふきふき……

 

「ありあと」

「構いませぬ」

 

思春は強がりを言っている一刀に優しい笑みを向け、涙がにじんでいる彼の目元を優しく首に巻いている布で拭う。

……君は主人と違っていいお母さんになりそうだね。

 

閑話休題

 

「ねぇ思春さん、そろそろ私たちにも見せてください」

「見しぇてくだしゃい」

 

そんな事をしていると、一刀を抱いている思春に群がり、自分も自分もと目をキラキラさせる蒼里と瑞穂がいた。

 

「ん? ああ。 一刀様よろしいですか?」

「ん、いいよぉ」

「は……蒼里、落とすなよ。 一刀様、では私はこれで……」

「はいでしゅ! うんしょ!」

 

思春は、一刀の返事を聞くと、蒼里に一刀をわたす。

一刀をわたすと、彼女は仕事があるのか、玉座を出て行った。

 

「蓮華様、行きますよ。 お仕事がまだ残っておられるんですから。 小蓮様もまだお勉強の途中です」

「……えへへ(にへら)」

「あ~ん、思春のいけずー!」

 

彼女はまだ仕事が途中の蓮華と、勉強途中の小蓮を引きずって行った。

昔の思春なら絶対こんなことはしなかったであろうが、随分と染まってしまったものである。

 

「……不思議な気分でしゅ」

「ふふ、蒼里ちゃんは、抱きあげられる側だからね」

「ふん……どうせチビでしゅ」

 

ところ変わって大きな胸に、一刀を埋めるような形で抱く蒼里とそれを見ている瑞穂。

蒼里は、瑞穂の言葉にちょっぴり拗ねてほほを膨らす。

 

「ちっこいあおりはかわいいとおもうよ? しょれもあおりのこしぇい」

「そうでしゅか?」

「うん」

 

でも、そこは一刀、彼女のコンプレックスを、可愛らしい者へ変換させ、フォローする。

流石は天性の女たらしだろうか。

 

「かじゅとしゃま、みじゅほちゃんに交代していいでしゅか?」

「ん……」

「では、失礼して……」

 

しばらく抱いて、堪能した蒼里は瑞穂に交代していいか一刀に聞いた。

一刀は若干眠気を感じているが、まだまだいける一刀は、蒼里に頷き返した。

一刀の了承を得た瑞穂は、優しく一人を抱きかかえる。

 

「よいしょっと……ふふ♪」

「何を笑ってりゅにょ?」

 

その際、思わずこぼれた彼女の笑みに、一刀はそう聞いた。

 

「いえ、ぼく心は女でも体は男だから。 一刀様との子供なんて抱けないんだろうなって思いましたから。 でも今の僕なら、一刀様と僕の子を抱けるなって」

 

そう言った瑞穂の顔は、本当にうれしそうな顔をしていた。

本当に、こんな女の子を体は男にしてしまうとは、神様も困ったものである。

 

「……しょうらね、今のみじゅほちゃんにゃら、かわいい子できりゅね!」

「……あおりはだれよりも、ころもっぽけどにゃ」

「うー☆」

「まぁまぁ、そう虐めないで上げてくださいよ」

 

瑞穂の言葉に、蒼里も共感し、舌足らずな言葉を返す。

それに対して、一刀はからかうような言葉をお見舞いし、蒼里は若干拗ねた。

その二人のやり取りに、瑞穂は苦笑を浮かべた。

何ともほのぼのとした空間ができていた。

 

「ふぁぁぁ……かわいいですぅ!」

「本当ですね」

 

いつの間にか3人の周りに明命と亞紗が来ていて、明命はキラキラした目で亞紗は、本当に優しい目で見ていた。

 

「二人とも抱きましゅか?」

「よろしいんですか?」

「一刀様、よろしいですか? 実はそろそろ私たちも仕事に戻らなくてはならないので……」

「うん、いいよぉ」

 

一刀の了承をもらうと、瑞穂は、一刀を明命に抱かせる。

そして、二人揃って、玉座を離れた。

 

「ふわぁ……もふもふ、ぷにぷにですぅ!」

「明命、自分だけじゃなくって、私も抱きたいです」

「にゃかいいにゃぁ……」

 

二人で代り番こに自分を抱っこする亞紗と明命を見て、一刀はそんな事を呟いた。

そんな事をしている時、先ほどまで説教をしていた祭の声がほとんど聞こえなくなっていた。

 

「……さて、説教はこのくらいにするかの。 亞紗や、儂にも抱かせてくやれ」

 

凱に説教をくれてやっていた祭は、説教もそこそこに、一刀を抱いている亞紗の元にやってきた。

ちなみに凱はと言うと……。

 

「うぅ……あ、足がぁ……足がぁ!」

 

足を抑えて、どこかの大佐のようなセリフで、悶絶していた。

 

閑話休題

 

「あ、はい」

「うむ。 ふふ、やはりかわええのう」

 

一刀を亞紗から受け取った祭は、自然と笑みが生まれた。

昔の一刀を知っている彼女からすれば、やはり懐かしいものでもあるのだろう。

 

「しゃい、おかあしゃんのかおしてう」

「ふふ、ならばはよう儂を母にしてくだされ」

「もとにもどったりゃね」

「ふふ、約束ですぞ? ……ところで」

 

そんな祭の顔を見て、一刀はそう言った。

その言葉に祭は、小さな笑みを漏らして、そう返す。

しかし、自分の後ろからとんでもなく邪な気を感じ、後ろを振り返った。

 

『ハァハァ、ハァハァ、ハァハァ、ハァハァハァっ』

 

急激な一刀の変化に知的好奇心MAXでハァハァしている(変態1)、可愛らしい姿の一刀にハァハァしている紗那(変態2)

舌足らずな一刀に罵倒される妄想をして、ハァハァしている(変態3)がそこにはいた。

3人ともせっかくの美人が台無しなほど酷い顔をしており、正直目も会わせたくなかった。

もし、彼女達に今の一刀を渡せばいったいどうなってしまうのだろうか?

それを考えた瞬間、祭は、排除を決定した。

 

「恋、そこにおる汚物どもを、どうにかせい。 でないと一刀様がP――――――――――(大変不適切な表現があり放送できません)な目に遭わされてしまうぞ」

「ひゃっはー、おぶつはしょうどくだぁ」

「れ、恋殿ぉ!?」

 

ブンッ!

 

『ひでぶぅ!?』

 

近くにいた恋に祭はそう命じて、3人の排除させた。

恋自身も、小さくなっても自分のご主人様である一刀に、害なす(?)存在を許すわけがない。

彼女は容赦なく方天画戟で3人とも夢の中へ。

その際、恋が某モヒカンの様な口調になっていたのは、目をつぶろう。

 

「……おぶつのしょうどくかんりょう」

「うむ、御苦労」

「れ、恋殿……。 ああ、あの無垢だった恋殿がどんどん穢されてしまうです……」

 

出会ったころの恋はどこへ行ったのかと、音々音は頭を抱えた。

 

「ふん、少しは頭を冷やすじゃろう」

「さ、祭あんた結構ひどいわね……」

「へぅ……」

「ふぁぁ……一刀様、かわいいです」

「本当だね。 はぁ、癒される」

 

いつの間にか、祭の近くに移動してきた侍女組。

 

「さて、後は任せたぞ。 儂は面倒くさい事に仕事に行かねばならんからの」

「え、あ、はい!」

 

そう言って祭は夕陽に、一刀を抱かせて、玉座を出た。

ちなみに、余談だがある宿将が……。

 

「とは言っても面倒くさいのう……。

お、そうじゃ、恋に吹っ飛ばされたあの変態どもに押しつけるか。

穏と江はいいとして、紗那は……やめておいた方がええのかのぅ。 まぁ、ええわい、さてあ奴らを探しに行くか」

 

そう言っていたとか無いとか。

 

閑話休題

 

夕陽の腕の中で抱かれた一刀は、なんだか背中がかゆくなったので、もぞもぞと動いた。

 

もぞもぞ……

もぞもぞもぞ…………

 

「ん? どうかしましたか?」

「しぇなかがかゆい」

「あらら、えーっと、この辺ですか?」

 

一刀の言葉を聞いた夕陽は、一刀の背中を優しくポリポリとかく。

 

「うんしょこ……しょこいい」

「……なんだかエッチに聞こえてきちゃった」

「もう、お姉ちゃんったら……」

 

ちょっぴりダメな姉に、廿楽は、ため息をつく。

そして、しばらくして、夕陽と交代して、一刀を抱く。

 

ぷにぷに……

 

「うぅ、らにしゅる」

「あは、一刀様のほっぺ柔らかいなって」

「あ、わたしもする!」

「あ、あんましゅるな。 くしゅぐったい」

 

そんなふうに一刀に悪戯をしていると、ぬっと二人を覆う様に影が差した。

 

「……(じー)」

「れ、恋さん?」

 

それは二股に分かれた紅いアホ毛がチャームポイントの、恋だった。

 

「れ、恋さんも、抱きます?」

「……!!(ぶんぶん)」

「そ、そんなに抱きたかったんだ」

 

夕陽がそう言うと、まさに拘束と言って差し支えないほど、首を振る。

その反応にちょっと苦笑が浮かんでしまう廿楽だった。

 

「……」

「にゃ、にゃに?」

「……かわいい」

 

ぷにぷに……

 

「……♪」

 

一刀のほっぺの感触がお気に召したのか、ぷにぷにとつつく。

 

「……ふ、ふふふ。 今のチ○コ将軍なら……簡単に……」

「……ねねも、だっこ」

「ふえ? れ、恋殿!?」

 

恋の隣で邪な考えを巡らせていた音々音に、行き成り恋は一刀を抱かせる。

行き成りやってきたチャンスに、音々音は少しどう対処していいのか分からない。

 

「……おちちゅく」

 

ぺち

 

「むぅ!?」

 

あたふたしている音々音を落ち着かせようと、一刀は一生懸命腕を動かして音々の頬を触る。

小さな手に触れられて、音々は何故だか今迄の邪な気持ちが薄らいでいくような感じがした。

 

「むぅ、なんか悔しいのです……」

「?」

 

音々の呟きに何の事か分からない一刀は首を捻るだけだった。

 

「……月」

「え、何でしょう?」

 

しばらくそう言う事をしていると、急に恋が月に話しかけた。

 

「……抱く?」

「へぅ? い、いいんですか?」

「月、ずっと見てた……抱きたい?」

「……(こく)」

「よいしょっと……どうぞです」

 

月が首を縦に振る姿を見て、音々は抱いている一刀を差し出す。

 

「へぅ……で、では、失礼します」

 

そんな恋の姿に、月は少し恥ずかしそうに、一刀を抱く。

 

「へぅ……♪」

「……しょんなにおれをらいてたのしい?」

「えと……はい」

 

自身を抱き上げたときに見せた月のはにかみ笑顔に、一刀はそう言った。

その答えに、月も満更でもなさそうな答えを返す。

その答えを聞いて、一刀はなんだか妙な気分だった。

 

「……そんなにいいものなの?」

「うん。 なんだかね、自然と母性って言うのかな? それを感じれるよ」

「ふーん」

 

あまりにもいい表情をする月に、隣にいた詠も思わずそんなことを聞いてしまった。

しかし、それがある意味で彼女の失敗だったのかもしれない。

 

「!……はい、詠ちゃん♪」

「え? あ、ちょ!? ゆう、月!?」

 

やっぱりと言うべきか、月は、綺麗な笑みを浮かべて、詠に一刀を抱かせた。

その早技に、詠は全く反応できなかった。

 

「いらい……。 えい、いらいぃ……」

「え!? あ、ああ!? ご、ごめんね!? よーしよーし……」

 

若干時からを込めてしまったのがいけないのか、一刀の泣きそうな声に詠は入れ過ぎた力を抜く。

そして、一刀の体を優しく摩る。

 

「ふふ、中々様になってるよ詠ちゃん♪」

「もう、月~。 急には驚くんだってばぁ……」

 

ここにきてから、チョコっと小悪魔な感じになってしまった親友に、

詠はそんな事を漏らす。

そんなことをしていると、さっきから一刀がやけに静かになっていたことに気付く。

 

「……(うとうと)」

「あら?」

「ご主人様、ねむいのですか?」

「すー……すー……」

 

見ると、心地よさそうに寝息を立てていた。

中身は大人でも、体は幼児。

この年の子供なら、お昼寝の時間だ。

「はいはい、そこまでよ。 さて、皆お仕事に戻ってね。 後は私が一刀の面倒をみるから」

「え? 大丈夫なんですか?」

「あのね、私これでも一刀と雪蓮の育ての母よ? 当時は今より忙しかったうえに二人も相手にしてたんだから、平気よ」

 

そう言って、美蓮は一刀を抱き上げる美蓮だが、実は一刀は全くと言っていいほど手がかかって無い。

なぜなら、雪蓮が泣いている時も、一刀は大人しくそのうえ雪蓮をあやすほど賢かったのだから。

だから、今のうちにもう一度一刀を世話したかったのである。

 

「さて、今日は天気いいから外でお仕事しましょっと♪」

 

そう言って去る彼女の足取りは軽く、本当にうきうきしているようだった。

 

 

 

~中庭~

「ふんふんふふ~ん♪」

「すぅ……すぅ……」

 

中庭に仕事道具とともに一刀を移動させた美蓮は、鼻歌を歌いながら書簡を整理していた。

 

「ふんふふ~んっと、いっちょ上がりっと」

 

コト

 

そう言って筆を置く美蓮。

本日のノルマは完了し、追加が無ければ仕事の終了を意味する。

つまり。

 

「さて、一刀はまだ起きないか。 ふふ♪」

 

残った時間は、一刀の為に使うことができるのだ。

 

「うぅむ……むにゃむにゃ……」

「ふふふ、つんつん」

 

ぷにぷに……

 

可愛らしい一刀の姿に、美蓮は人差し指で頬を優しく触る。

 

「むむぅ……」

「ほぉれ、すぅ~りすぅ~り♪」

 

そして、そのまま指の腹で柔らかい頬を撫でまわす。

無論そんな事をしていると、お約束の事が起こってしまう。

「ぅぅ……はむ!」

 

ぱくっ!

 

「あら……食べちゃった」

 

美蓮の指が唇に近づくと、一刀はパクリと口に含む。

 

「ふふふ、乳房が好きなのは、大きくても小さくても変わんないわね」

「ぴちゅ……ちゅぱ」

 

自分の指を舐める一刀をみて、可笑しそうに言う美蓮。

 

「ぴちゅ……ちゅぱ……ちゅちゅ……れろれろ……ぴちゃぴちゃ」

「……舐め方が何か卑猥ねぇ」

 

そりゃあ、なりは幼児でも中身はちゃんとした成人男性。

舐め方も卑猥になるというものである。

しかも、その舐め方が、だんだんと本格的にエロティックになっていく。

 

「びちゅぢゅ! ぢちゅちゅ……レロレロレロ……ちゅ~~~~」

「んぁ……って! こ、これ以上は、変な気分に無ちゃうわ!」

 

流石に、こんな幼児に欲情したんでは、変態の烙印を押されかねない。

美蓮は、名残惜しいが一刀の口から指を引き抜いた。

 

ちゅぽん……。

 

「ふぁ……ぁ~むにゅ……」

 

淫猥な濡れ音ともに引き抜かれた指と唇の間には、透明な橋が掛かり、プツンと切れる。

更に指には、一刀の唾がこれでもかとコーティングされ、日の光でてらてらときらめき、まるで舐めた後の"アレ"を思わせた。

 

「……元に戻ったら絶対、相手になってもらうわ」

 

そのせいで余計に変な気持が倍増し、ムラムラしてきた。

幼児の姿とはいえ、愛する男が傍で無防備な姿をさらしているのだ。

それにP―――――――(不適切な表現があり放送できません)せずして、何が女かと、美蓮は考えているらしいが、一般的にその考えはおかしいです。

 

「……んぅ――? めえれん?」

「あら、起きた?」

「ふぁ~~~……むにゅむにゅ」

 

一人もんもんと過ごしている美蓮の事など知りもせず、一刀は大きな欠伸を一つ漏らす。

 

「どにょくりゃい、にぇてたぁ?」

「うん? そうね、あたしの仕事が終わるくらいには」

「おぉ~」

 

寝ぼけ眼でそんな声を漏らす一刀を見て、美蓮は正直可愛いと思ってしまった。

本当に、昔に着せてた服を着せようか本気で悩んだ。

美蓮は、一刀が起きてから、彼が幼少のころに殆どできなかったことをたくさんした。

たとえば――。

 

「いやらぁ! かわやいくぅ!」

「もう、立つことも出来ないくせに我が儘言わないの」

 

そう言って、寝転がった一刀を美蓮は器用におしめを取り換え、天花粉をパタパタとつけてやる。

 

「もうおみゅこにいけにゃい」

「あら? 大丈夫よ、ここはより取り見取りだもの」

 

と言ったことがあったり――。

 

「あーん」

「あむあむ……」

 

箸を持つこともままならない一刀は、美蓮の膝の上で、彼女に食べさせてもらっていた。

 

「ああ、零れてる」

「うんむぅ」

 

キチンと口に含み切れず、口の端からこぼれてしまうものを手拭いで拭いてあげたり――。

 

「まらぁ?」

「はいは、もうちょっとで終わるから」

 

ぱしゃぱしゃ……

 

お湯を沸かしてもらい、一刀を洗ってあげるなどと言った事をした。

そして、もちろん寝る時も――。

 

「すぅ―……すぅー」

「ふふ、寝ちゃったか」

 

寝台にいる美蓮の隣には可愛い寝顔の一刀がいた。

世話を焼けなかったぶんを取り戻すかのように、美蓮は彼にいっぱい世話を焼いた。

それも過保護と言わざるを得ないくらい。

 

「おやすみ、一刀」

 

安らかな彼の寝顔を見て、美蓮はゆっくりと瞼を閉じて行ったのだった。

 

 

余談だが、次の日の朝、美蓮が起きると無事元に戻った一刀がいた……。

無論、元に戻る成長過程で、服が合わなくなって全て破け、全裸の状態の彼が――。

飢えた美蓮(けもの)の目の前に、(全裸の一刀)を出されたらどうなるか?

 

「いただきます♪」

 

その朝の美蓮の肌は、艶々としていたそうな。

あとがき&コメ返し

はい、今回も元気にあとがきのコーナーっす!

ここまで読んでいただき、ありがとうございますっす!

期間が空いて申し訳ないっす。

実は、期間が空いた理由は、他のお話書いてたからなんです。

具体的には『魏の龍』の続きと、『江東の白虎第伍章のある一話』辺りのネタが書いている内に、

ポンポン浮かんでくるもんだから、忘れない内に書いとかないとってことをしていると、

魏の龍は5割、伍章の方が一話だけですが、もう8割ほど出来上がってしまったんですwww

本当、誠に申し訳無いです。

今回のカヲス回はいかがでしたっすか?

やり過ぎなら、少し自重しますが……。

楽しんで頂いていることを切に願うっす。

次回こそは、前のアンケート分を書きたいと思いますっす!

では、コメント返信のコーナーっす!

 

瓜月さん 華陀は何を作ってるんだろうか?

A.あのマッドはこんな物を作ってましたww

 

骸骨さん 華佗、君はいったい何を作っているのかね。瑞穂祝。そして紗那と江、駄目だこいつら何とかしないとwww

A.紗那と江はもうどうにもなりませんwww

 

氷屋さん ん?もし捕まって閨につれこまれてやられちゃってたら瑞穂とおなじく女になっちゃったままになりかねなかったのか、危なかったな一刀wwwつうか華佗なに作ってやがるw

A.そうですね。 もう一刀本当にある意味で危機一髪だったわけです。

 

ブンロクZXさん 一体何ができたんすか、凱さん? 恐らく一刀にとっては良くない物だと思いますが… 紗那&江…もういろいろと駄目だなwww

A.YES!彼のおかげでこんなことになりましたww 何言っているんですか! 紗那と江は自分を認め、さらけ出しているんです!

 

雪華さん 瑞穂願いがかなってよかったよかった。

A.はいです。 実は瑞穂に裏設定があったりするんですけどね。 後の物語で出たりするかも……?

 

転生はりまえ$さん どこぞのDr・嘔吐物(DBのあのひと)のような方になっていくような、次回は別のサイトではここで停止していた話か・・・・続きが見れること楽しみにしてます。

A.この小説のギャグ回では、凱はあんな仕様ですw

え? この続き、書きましたよ? まぁ、ほんのちょこっとだけですけどね。

TINAMIと自分のサイトで両方が合うころに、サイトの方も復活しますです。

 

namenekoさん 華琳は大陸一の美少女好きだから電流が走ったんだな。一刀が女になっても規格外とか人外だろ

A.彼女が規格外だったのは、ぶっちゃけ、気の操作ができたからですけどね。 それができなかったら唯の女の子になり下がってましたけどww

 

2828さん マッドがナニカを開発したようだw

A.そして、マッドは一刀で試しましたww

 

根黒宅さん その時、華琳に電流走る

A.華琳は、美少女センサーでも内蔵してるのかもねwww

 

クォーツさん 執筆乙。ああ、TINAMIでも遂に此れがやってきたか・・・書庫でも言ったが、この回、もっと行っても良いと思うんだ。ふふふ そして、投稿日が近くなっている・・・タンデム復活の日は近い。 次作期待

A.感想サンクス! うん、もっと行きたかったんだけど、前回作品紹介のところに書いたとおり、もういろいろと妥協しちゃったんだ……orz

 

ジョージさん 全力で馬鹿をやるタンデム殿のそこに痺れる憧れる!!……いや、実際俺ってこういうギャグ話が非常に苦手で、いつも難産なのです。舞台の脚本とかなら、入れるのは適度でいいんで書けるんですけど。……しかし凱よ、今度はどんなトンデモ薬を開発したんだね?ww

A.HAHAHA! 崇め敬え奉りたまへ! とか言ってみるw そうです、なんたって彼はマッドですからww

 

jonmanjirouhyouryukiさん 液体の片方は蒼麒麟と予想wしかし、いったい何ができたのだろうか・・・ゴクリッ。

A.こんなんできましたぁ~ww

おまけ

後日

中庭には、雁字搦めに針金で縛られた凱と、それを睨み付ける一刀(けもの)が一匹。

 

「……」

「よ、よせ、一刀! そ、それ以上氣を高めるな! わ、悪かった、俺が悪かったから!」

「言い訳か? そんなもの、この俺が聞くと思っているのかぁ?」

「……え、いや……その……って、な、なんだそれは!?」

 

凱が言い訳をしていると、一刀は問答無用で、戦闘時、で両腕に溜める氣を右掌の身に集めた。

 

「や、やめろ、そんなものぶつけられては本当タヒんで――」

「殺すんだよ! 白虎・剛・爪・波ぁぁぁぁぁ!!」

「うぎゃぁぁぁぁあぁぁっ!?」

 

放たれた白くて大きな右掌は容赦なく凱を天へと吹き飛ばす。

その一刀の姿は、どこかの世界の世紀末な世の中に君臨する拳王に酷似していた。

そして、また落ちてきた凱を見ると、今度は本来全身に巡らすための氣を右の拳に集中させていた。

 

「我が生涯をかけた拳にて! 天に滅せぇぇい! 白虎・滅・悪・把ああぁぁぁぁぁぁっ!!!」

「ノォォォォォォォォォォォ…………」

 

キラーン

 

「悪は滅びた……」

「か、一刀様? 流石にやりすぎると本当に死んでしまうぞい?」

『ガクガク……』

 

一刀の暴走をそばで見ていた祭は、頬を引きつらせながらそう言った。

近くで見ていた、一刀の夕陽、廿楽、月、詠(侍女兼頭脳)は達は、あまりの怒気に若干震えていた。

 

「心配するな、ちゃんと手加減してある」

「て、手加減? アレでか?」

「死ななきゃ手加減だ。 さて、気分もすっきりしたし、仕事仕事っと♪」

 

すっきりとした表情で足並み軽く仕事に戻る一刀を見て、そこにいた全員が思った。

彼は怒らせてはいけない、絶対だ。

ちなみに、天に召されかけた医師は、たまたま訓練途中だった明命に拾われて帰るのだった。

おまけのおまけ

「のう、七乃」

「何でしょう、お嬢様?」

 

政務をしているとき、美羽が七乃にポツリとつぶやいた。

 

「妾たち、今回もぶられたのう……」

「だ、大丈夫です! 次の本筋では、お嬢様大活躍だって、さっき偉い人から台本を、貰って来ましたから!」

 

ここはおまけだからと、とんでもないメタ発言をしまくる七乃。

 

「妾もさっき目を通したが……。 これ、妾より、七乃の方が目立ってないかの? ほら、こことか……」

「え? あ、えーっと……」

「ぐすん……」

「ああ!? お、お嬢様!」

 

落ち込んでいる主人を必死に慰める忠臣の姿があったとか何とか。

大丈夫だよ?

この小説では、君は小悪魔お馬鹿可愛い主キャラになる予定だから。

 

「……ほんとうかの?」

 

……まぁ、でも予定は未定って言うよね?

 

「グズッ……! ヒック……! びえぇぇぇぇぇん!」

「ああ、お嬢様なかないでくださいぃ! って言うか作者さん! 変なこと言ってお嬢様を不安にさせないでくださいよおぉ!!」

 

美羽は泣いてる姿が一番可愛いと思う。

そうですよね?

変態(しんししゅくじょ)のみなさん?

 

 
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