第二話
「 司馬師 」
そのころ一人の女性が都をきょろきょろと見ていた。
今、彼女は弟の司馬昭こと一刀を探していた。
そして一人の商人に目が止まり足を進める。
先ほど一刀と話をした商人だ。
「!、こ、これは司馬師様!」
と少し緊張気味に言葉をしゃべる。
彼女は司馬師、字は子元、真名を瑠理という。
「一刀を探してるけど、知ってる?」
静かに、そしてどこか鋭さを感じるようにいった。
「へ、へい、ついさっきそっちの方で泥棒が現れたらしく捕まえにいきましたぜ。」
「そう。」
方向に指を指しながら説明した商人に瑠理はそう返事し、
その方向に向かっていった。
「ふう、相変わらずちょっと怖いでっせ司馬師様・・・」
司馬子元、恵まれた才能、覇気を持って生まれた女性。
その才はすでに数年前に発揮されていることから
”司馬家の麒麟児”と呼ばれている。
母、司馬懿曰く
「その才は経験を積めば私と互角、あるいはそれ以上のものになる。」
といわれるほどである。
しかしその才能と覇気ゆえ、相手に畏怖、畏敬といったものを感じさせる
こともあった。
だがこの都の人々はそれを感じても彼女のことを慕っている。
それが一刀の力であるというのは想像に難しくない。
しばらく歩くと人が集まっていた。
「司馬昭様!ありがとうございます。」
どうやら一刀が泥棒を捕まえたらしい。
「さすがは司馬昭様だぜ!もう捕まえちまった。」
一刀を褒め称える声がいくつも聞こえる。
そして、
「あれ?、姉上?」
一刀は瑠理の姿を確認し、声をかけた。
「あ、司馬師様・・・」
「どいて頂戴・・・」
静かにそう言葉を放つ。
「は、はい!」
民達は道を空ける。
そして一刀のそばまで歩いて、
「屋敷に戻りなさい。」
彼女は家に戻れと言った。
「え、俺警邏中だけ・・・」
「いいから戻る。」
そう言って瑠理は一刀の手をとって連れていった。
「そ、それじゃみんな気をつけろよー。」
一刀は民達に声を掛けて瑠理と共に去った。
しばらくして、
「手を繋ぐなんて、やっぱり二人は仲がいいわよね。」
「そりゃ、姉弟(してい)だからだろ。」
「でもあの年でああして手を繋ぐのは姉弟はあんまり無いと思うけど。」
などと司馬姉弟の話盛り上がることとなった。
「どうしたの姉上?俺仕事中なんだけど。」
「うるさい・・・」
どうやら彼女は少し不機嫌のようだ。
「元姫が一刀を呼んでるの・・・」
「え、美華(ミカ)が。」
次の瑠理の言葉にあらゆる衝撃が走る。
「一刀の子ができたって・・・」
瑠理はさらに不機嫌にそう言った。
二話目です。
とりあえず姉とやっぱり一刀の回でした。
一刀君なら楽勝ですよね?
次は母と父です。
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やっと二話目です。
今回は姉の瑠理とやることやってた一刀君です。