真・恋姫†無双~赤龍伝~第82話「赤壁の戦い」
穏「残念ながら、祭様は曹操の軍に保護されてしまいました……」
雪蓮「そう……」
蓮華「祭が……呉から去ったというのか……」
蓮華は痛々しいまでにがっくりと肩を落とす。
赤斗「ただいま~」
そこに赤斗と恋が本陣に姿を現した。
藍里「赤斗様!」
蓮華「赤斗っ! 今までどこに行っていたんだ!」
赤斗「えっと……ちょっとそこまで……」
思春「どうせ、恋といちゃついていたのだろ」
思春が赤斗を睨みつける。
赤斗「ははは……。で、どうしたの?」
明命「それが……祭様が幾人かの兵と共に陣地を脱走して、曹操のもとに行ってしまわれたんです」
蓮華「祭……どうして私を裏切った……っ!」
蓮華も明命も表情は暗くなっている。
赤斗「なるほど、やっぱり……ね」
蓮華「やっぱりだと! 赤斗お前、祭が脱走する事を知っていたのかっ!」
蓮華が赤斗に詰め寄る。
赤斗「れ、蓮華、落ち着いて」
蓮華「これが落ち着いていられるか!」
雪蓮「蓮華っ! 落ち着きなさいっ!」
蓮華「!! ……ね、姉様……?」
雪蓮「落ち着いて赤斗の話を聞きなさい」
蓮華「はい……」
雪蓮「赤斗。どういう事か話してちょうだい。それに、その胸の傷はどうしたの?」
蓮華「あっ……」
雪蓮に言われて、ようやく蓮華は赤斗が怪我をしている事に気がついた。
赤斗「…………玄武が来ていた」
雪蓮「何ですって!」
思春「また、あの男か……」
雪蓮「今度は一体何をしにきたの?」
赤斗「さあ。取り逃がしちゃったから分からない。けど、何か企んでいるのは確かだね」
雪蓮「そう。注意が必要ね」
赤斗「ああ。それと冥琳」
冥琳「何だ?」
赤斗「そろそろ説明した方がいいんじゃない」
冥琳「やはり気付いていたか。だが、まだ早いと思うがな」
赤斗「冥琳が説明しないなら、僕が説明しちゃうよ」
蓮華「……何の話をしている?」
冥琳「分かった。……まずはお人払いを。雪蓮、蓮華様、藍里、穏、嶺上、思春、明命、亞莎、恋、風見以外はこの場より去れ」
蓮華「人払い? どういう事だ?」
穏「これから、作戦の概要を説明します。……思春ちゃん、明命ちゃん。周辺を立ち入り禁止にしてくれますか?」
思春「……了解しました」
明命「え? え?」
思春「説明は後で蓮華様がして下さるだろう。ついてこい、明命」
明命「は、はいっ!」
思春と明命の二人が人払いをするのを待って、冥琳はようやく本題に入った。
藍里「人払い終わりました」
穏「冥琳様、そろそろ説明して頂けますか?」
冥琳「やはり気付いていたか」
穏「それはそうですよ。私は冥琳様の一番弟子なんですから♪」
亞莎「え、ええと……どういう事でしょう?」
赤斗「大丈夫だよ。冥琳が説明してくれるから」
亞莎「え? ……はい、分かりました」
冥琳「……黄蓋殿の裏切り、これは偽りのものです」
蓮華「偽り、だと? 軍議の席で大喧嘩した事が原因ではないのか?」
冥琳「はっ。あの時、我らは劉備たちと軍議をし、曹操にどうやって立ち向かうか話し合っていました。しかし曹操の勢力は強大。在り来たりの策ではその壁を崩す事はできないでしょう」
蓮華「う、うむ」
冥琳「そこで私は一計を思いつきました。……これは軍師としての閃きでしかなかったのですが、あの席上、黄蓋殿と目が合った瞬間、黄蓋殿もそこに思い至った事が分かったのです」
穏「そしてすぐに、黄蓋様と冥琳様は阿吽の呼吸と共に仲違いを演じて見せた……」
雪蓮「なんだ、やっぱりね」
蓮華「演じた、だと?」
冥琳「御意。間諜の目を欺く為には、まずは味方の目を欺かないとならない……そう思ったのです。そして思惑通り、誰も真実に気付かず、私と黄蓋殿の仲違いを信じた……」
蓮華「だが、祭は脱走する時、追撃部隊に矢を放ってきたではないか!」
赤斗「恐らく祭さんが脱走する時、冥琳の部隊が中心になって追撃をしたんでしょう?」
藍里「はい。その通りです」
赤斗「それは同士打ちを避ける為、だけど真剣に追撃をしないと敵も信じないから、難しかっただろうけどね」
蓮華「赤斗っ!? あなたは気づいていたのっ!?」
赤斗「まあこれでも呉の総参謀だからね。でも、余計な事は言えなかったから、黙っていたけどね」
蓮華「そうか。……そうだったのか。祭は私を見捨てた訳じゃないんだな……」
赤斗「そういう事さ。だから、これからは祭さんの動きに合わせて動かなくちゃいけないね」
蓮華「祭の動きに? ……祭は曹操に嘘の降伏をしたのでしょう? その後はどうするの?」
赤斗「祭さんは、僕たちの総攻撃のきっかけを作ってくれる」
藍里「なるほど、そのきっかけを待って私たちは奇襲を仕掛けるんですね」
冥琳「ああ。それでこそ、巨大な壁を討ち破る事ができる」
蓮華「……分かった。作戦の内容を教えてくれ」
冥琳「はっ」
その後、冥琳は作戦内容の説明を済ませるのであった。
赤斗「雪蓮、冥琳。ちょっと良いかな?」
雪蓮「どうしたの?」
赤斗「ここから僕は別行動を取らせて貰いたいんだ」
冥琳「どういう事だ?」
赤斗「玄武が動いている。もしかしたら、いや、必ず司馬懿はこの戦いで何かを仕掛けてくる。だから、それに備えたいんだ」
冥琳「司馬懿……。曹操軍の元軍師で、天の力も持っているのだったな」
雪蓮と冥琳は赤壁に来る前に、赤斗から司馬懿について説明された事を思い出した。
赤斗「ああ」
冥琳「うーん……」
雪蓮「……分かったわ! 司馬懿の事は赤斗に任せるわ」
冥琳「雪蓮、そんな勝手に!」
雪蓮「大丈夫よ。赤斗なら、きっと上手くやってくれるわ。頼んだわよ赤斗♪」
赤斗「了解」
―――曹操軍・最前線―――
兵士「黄蓋様……。周辺の部隊の殆どが、ようやく寝静まったようです……」
祭「ふむ。……いよいよ時は来たれり、じゃな。……そろそろ花火を打ち上げようぞ」
兵士「了解であります」
祭「では作戦を開始する。……ぬかるなよ?」
兵士「はっ!」
祭「やれ!」
祭の合図で、兵士たちが周りに火をつけた。
三国志史上最大の戦いである、赤壁の戦いがついに始まった。
明命「前方の空に火が見えます!」
蓮華「始まったか……! 姉様っ!」
雪蓮「分かったわ。……全軍に通達! 黄蓋の投降は裏切りにあらず! 周公謹、一世一代の策だったと!」
兵士「御意!」
雪蓮「呂蒙!」
亞莎「はっ!」
雪蓮「甘寧、周泰と共に黄蓋を守れ! 必ずや無事に連れ帰ってこい!」
亞莎「御意! 行きますよ、思春さん、明命!」
思春「応っ!」
明命「うんっ!」
雪蓮「太史慈!」
嶺上「応っ!」
雪蓮「呂蒙たちを援護しつつ、敵陣を切り崩せ!」
嶺上「御意!」
雪蓮「諸葛瑾、陸遜!」
藍里「はっ!」
穏「はーい!」
雪蓮「後曲の本陣をいつでも動かせるようにしておきなさい!」
藍里「御意!」
穏「御意です♪」
雪蓮「冥琳、劉備たちの動きはどう?」
冥琳「我らと同じく、すでに動き始めておるようです。……さすがは諸葛孔明」
雪蓮「すぐに作戦主旨を告げる使者を出しなさい」
冥琳「御意!」
蓮華「敵としては恐ろしいが、味方としては頼もしいか」
雪蓮「全軍に告ぐ! この戦いによって曹操を完膚無きまでに叩き、孫呉の未来を手に入れるのだ!」
兵士「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」
恋「赤斗……戦いが始まった」
赤斗「ああ、ついに始まったね。……さて、司馬懿どう動く?」
本陣から離れた所から赤斗が恋と一緒に戦況を見つめていた。
赤斗「……おかしい」
戦況を見つめている内に曹操軍の連携がおかしな事に気がついた。
赤斗「混乱しているとはいえ、あれじゃ前曲と後曲の指揮がまるで違う。……っ!! まさか、もう」
兵士「うわぁぁぁ! 火だ! 火だぁ!」
兵士「逃げろぉぉぉぉーーーーっ!」
戦場では曹操軍の兵士たちが混乱し逃げ惑っていた。
夏候惇「くっ……船酔いを避ける為に船体を鎖で固定していた事が仇になったか……!」
夏候淵「まずいぞ姉者。今、奇襲を喰らったらひとたまりもない……っ!」
夏候惇「奴らは必ず動くだろう。季衣、流琉!」
許緒・典韋「はいっ!」
夏候惇「二人は華琳様を守れ」
許緒・典韋「了解ですっ!」
夏候惇「消火活動は本陣に指揮を執らせろ! 夏候惇隊、夏候淵隊は前に出る!」
兵士「はっ!」
夏候惇「華琳様だけは必ず守ってみせる……この命を代えてもな!」
赤斗(やはり行くしかないか……)
赤斗「船じゃ間に合わないな……よし!」
恋「赤斗、どうするの?」
赤斗「最短距離を突っ走っていくのさ」
そう言うと赤斗は、右目の赤い眼帯を外した。
河の流れ、風の音、人の感情すらも、本来、視覚で認識するはずのない膨大な情報が右目に入り込んでくる。
赤斗「っ!」
赤斗の頭が割れそうだったが必死に堪えて、金色に輝く右目で前を見る。
最短、最速、最適な道を探す為に――――。
―――曹操の船・船首―――
華琳「……少し油断が過ぎたようね」
船上で火の海になっている前曲を見て華琳が呟く。
郭嘉「御意。……黄蓋の動きを監視していましたが、これほど早く行動を起こすとは、予想しておりませんでした」
華琳「私の予想を超える、か。……天意はすでに遠く去りぬ。しかし、この曹孟徳、ただでは屈せん! 郭嘉、程昱!」
郭嘉・程昱「はっ!」
華琳「勢いに乗った孫策、劉備の軍勢を跳ね返し、一度魏に戻る!」
郭嘉「御意!」
祭「曹操ーー! 見つけたぞ!」
祭が華琳の乗る船に乗り込んできた。
華琳「黄蓋……」
祭「もう逃げられんぞ!」
祭は剣を握り華琳に斬りかかった。
張遼「させへんで!」
しかし、祭の斬撃は張遼によって防がれた。
華琳「霞!」
張遼「ここはウチに任せとき!」
華琳「頼んだわよ霞。私たちは下がるわよ!」
華琳は張遼に祭を任せて、船尾へと移動した。
しかし、船尾には思いもよらぬ人物が立っていた。
司馬懿「こんばんは。良い月夜ですね……」
華琳「!! ……仲達」
突然現れた司馬懿に、華琳も、郭嘉も、程昱も、その場にいる全員が驚いた。
華琳「久しぶりね。何しにきたのかしら?」
司馬懿「はい。お久しぶりにございます。恐れながらこの仲達、曹孟徳様のお命をちょうだいしに参りました」
郭嘉「なっ!」
華琳「そう……」
典韋「そんな事はさせません」
典韋と許緒が華琳の前に出る。
司馬懿「おやおや、久しぶりですね。典韋、許緒。元気でしたか?」
典韋「司馬懿様。何でこのような事を?」
司馬懿「子供には説明しても分かりませんよ。兀突骨」
兀突骨「はっ」
許緒・典韋「!!」
司馬懿の呼び声とともに全身鎧を纏った大男が姿を現す。
司馬懿「その二人の相手をしろ」
兀突骨「了解」
そう言うと同時に、兀突骨は許緒と典韋に襲いかかった。
司馬懿「これで邪魔者はいなくなりましたね」
郭嘉「まだ私たちがいる!」
荀彧「華琳様には指一本触れさせない!」
程昱「……」
司馬懿「はぁー。あなたたちが今、なんの役に立つというのですか。でも、邪魔するのであれば消えてもらいましょう」
郭嘉「くっ」
華琳「待ちなさい! 仲達! あなたの目的はいったい何? 答えなさい!」
司馬懿「私の目的は、単純なものですよ。ただ、天下が欲しいだけでございます」
華琳「やはり、最初からそのつもりで私に仕官したのね」
司馬懿「はい。曹操様にはとても感謝しております。なにせ私が天下を統一する為、これだけの勢力を作って頂けたのですから」
そう言いながら司馬懿は黒い笑みを浮かべる。
荀彧「何を馬鹿なこと言ってるの! 魏は華琳様のもの。あんたなんかのものじゃないわ!」
司馬懿「そうでしょうか。では、あれを御覧ください」
司馬懿は後方の部隊を指さした。
荀彧「な、何よ。あれ!」
郭嘉「そんな……」
華琳「……仲達!」
華琳は司馬懿を憎しみを込めて睨みつける。
司馬懿「曹操様。貴女の軍の七割は頂戴させて頂きました」
華琳たちが乗っている船より後ろの船には、本来あるはずの魏の旗が無くなっていた。
そして、“魏”の旗の代わりには“晋”の旗が掲げられていた。
“魏”の旗を掲げる船は、曹操が乗る船の前方のみ。
数も“晋”の旗を掲げる船の半分以下だった。
司馬懿「曹操様。御自分の兵を奪われた気分はいかがですか?」
華琳「…………」
華琳は黙ったまま司馬懿を睨み続けた。
―――曹操の船・船首―――
張遼「いったい何がおきてるんや?」
船首で祭と戦っていた張遼が船尾の異変に気がついた。
祭「余所見をしとる場合か!」
そう言いながら祭は張遼に斬りかかる。
張遼「ちょい待ち!」
祭「はあぁぁーーーっ!」
張遼の制止を聞かず祭は斬りかかる。
張遼「話ぐらい聞けや!」
張遼は祭の一撃を躱す。
祭「問答無用じゃ!」
張遼「ちっ」
祭は手を休めずに張遼を攻め立てた。
―――曹操の船・中央部―――
兀突骨「はっ!」
許緒「うわっ!」
許緒は兀突骨の鉄拳をなんとか躱す。そして兀突骨の鉄拳は、そのまま床を貫く。
典韋「季衣!! このぉぉーー!」
典韋は伝磁葉々を兀突骨に放った。
兀突骨「ふんっ!」
典韋の伝磁葉々を兀突骨は片手で受け止めた。
典韋「なっ!」
許緒「喰らえぇぇーー!」
許緒も岩打武反魔を兀突骨に向けて放った。
しかし、許緒の岩打武反魔も兀突骨に片手で受け止められてしまった。
兀突骨「この程度か」
そう言うと兀突骨は、典韋と許緒二人を武器ごと振り回して、船の壁に叩きつけた。
許緒「がはっ!」
典韋「ぐっ!」
―――呉軍の船上―――
雪蓮「冥琳。……これってさ、どういう事だと思う?」
雪蓮は目の前で起きている事を、隣にいる冥琳に尋ねる。
冥琳「…………風見が言っていた通りになったな」
雪蓮「でも、これは予想以上ね……」
そう言うと雪蓮は目の前に広がる“晋”の船団を眺めた。
藍里「しぇ、雪蓮様、冥琳様っ!」
雪蓮たちのもとに、血相を変えた藍里が駆けてきた。
雪蓮「藍里?」
冥琳「何事だ?」
藍里「あ、あれを! あれを見てください!」
冥琳「ん?」
雪蓮「なに?」
雪蓮と冥琳は藍里が指さす方向を見た。
冥琳「!!」
雪蓮「あれ……」
雪蓮と冥琳が目にしたのは、曹操の船へと向かう赤い龍だった。
赤斗は最短、最速、最適な道を、その金色に輝く右目で選び曹操の船へと進んでいく。
赤斗「もう少しだ……」
長江に浮かぶ船や木片など足場になる物なら、どんなに小さな物でも探し出して赤斗は進む。
そして―――
赤斗「着いた!」
曹操が乗る船の近くまで着いた赤斗は大きく跳躍して船へと飛び乗った。
―――曹操の船・中央部―――
許緒「うぅっ…」
典韋「き、季衣、大丈夫?」
壁に叩きつけられた二人がヨロヨロと立ち上がる。
許緒「へ、平気だよ。でも、この人……強い」
典韋「うん……」
二人は目の前にいる全身鎧の大男の兀突骨を見る。
兀突骨「……これで終わりだ」
静かにそう言うと典韋と許緒にとどめを刺そうと近づいていく。
武器を失った典韋と許緒は何とか立ち上がったが、ダメージが大きくそれ以上身体を動かす事ができなかった。
二人が死を覚悟した時、兀突骨が動きを止めて、二人の背後を見ていた。
許緒「あれ……どうしたんだろ?」
典韋「…………あっ!」
後ろを振り向いた典韋が驚く。
典韋たちの後ろ……先程、兀突骨に二人が叩きつけられた壁の上に赤い服を纏った男が立っていた。
典韋「赤斗……さん…?」
赤斗「はぁはぁ……うっ」
曹操の船に辿り着いた赤斗は、頭痛を堪えて再び眼帯を付けて前を見た。
赤斗「典韋、許緒。それに……兀突骨」
典韋「赤斗さん。どうしてここに?」
赤斗「二人とも久しぶり。無事……みたいだね」
典韋「は……はい」
許緒「う、うん」
赤斗「よし。……曹操はどこだ?」
許緒「まさか、華琳様の首を獲りにきたんじゃ!」
赤斗「違うよ。曹操の近くに司馬懿がいるだろ? 僕は……あいつを止めにきた!」
典韋「…………華琳様は船尾です。司馬懿様も一緒にいます」
許緒「流琉っ!」
典韋「大丈夫だよ。赤斗さんを信じよう」
許緒「……分かった。ボクも信じるよ♪」
赤斗「ありがとう」
礼を言うと赤斗は船尾へと向かう。
兀突骨「行かせるか」
赤斗の行く手を兀突骨が塞ぐ。
赤斗「邪魔だーーっ!」
赤斗の掌底が兀突骨の腹に命中する。
兀突骨「ぐはっ!」
典韋・許緒「!!」
典韋と許緒二人の攻撃を一切受け付けなかった兀突骨が、赤斗の掌底一つで沈んだ。
以前、冥琳の病を自分の気を送り込む事により消滅させた赤斗。
今回は兀突骨の鎧の上から気を送り込んだ。そして、その気は兀突骨の身体まで届き、深刻なダメージを兀突骨に与えた。
―――曹操の船・船首―――
船首では祭と張遼の戦いが続いていた。
祭「はぁはぁ……」
張遼「はぁはぁ、いい加減に……」
典韋「霞様ーーっ! 大変です!」
祭「ん?」
張遼「流琉? どないしたんや?」
典韋「司馬懿様が現れて、華琳様を!」
張遼「何やて! 司馬懿の奴が!」
典韋「それで今は赤斗さんが、華琳様のところに……」
祭「何じゃと! 赤斗が!」
張遼「なあ。ここは一時休戦って事にせえへん?」
祭「いいじゃろ。じゃが、この決着は必ずつけるぞ」
張遼「望むところや。ほな行こうか」
祭「うむ」
典韋「はい!」
そして祭と張遼は、戦いを一時休戦して船尾へと向かっていった。
つづく
~あとがき~
呂です。読んでくださって、ありがとうございます。
真・恋姫†無双~赤龍伝~に出てくるオリジナルキャラクターの紹介
オリジナルキャラクター①『風見赤斗』
姓 :風見(かざみ)
名 :赤斗(せきと)
字 :なし
真名:なし
武器:花天と月影……二振りの日本刀(小太刀)。赤色の柄で赤銅の鞘に納まっているのが“花天”で、黒色の柄で黒塗りの鞘に納まっているのが“月影”。
本編主人公の少年。
身長168㌢。体重58㌔。年齢17歳。黒髪黒眼。(右目は輝く金色)
放課後に道場で古武術の達人である先生に稽古をつけてもらうのが日課だったが、ある日道場で黒尽くめの男に襲撃される。
その際、赤い光に包まれて恋姫の世界に飛ばされる。
死にかけていた所を、火蓮によって保護され“江東の赤龍”という異名を付けられる。
古武術 無双無限流を学んでおり、その奥義を使えば恋姫の世界の武将とも闘えることができる。
無双無限流には、『全ての奥義を極めしとき、その身に龍の力が宿る。』という伝承がある。
奥義には“疾風”“浮葉”“流水”“月空”“烈火”“絶影”“龍鱗”“狂神”などがある。
奥義の同時発動は可能だが、奥義単体の発動以上に身体に負担がかかる。
現在、奥義“狂神”を発動させて、龍脈の気が流れ込んだ影響で右目は金色に変化している。
好きなもの:肉まん
苦手なもの:海(泳げないから)
能力値:統率3・武力4・知力4・政治2・魅力4
オリジナルキャラクター②『孫堅』
姓 :孫
名 :堅
字 :文台
真名:火蓮(かれん)
武器:南海覇王……やや長めの刀身を持つ、両刃の直刀。派手な装飾はないものの、孫家伝統の宝刀。
孫策(雪蓮)たちの母親。
身長173㌢。腰まで伸びる燃えるような赤い髪の持ち主。
血を見ると雪蓮以上に興奮してしまう。
孫尚香(小蓮)には非常に甘い。周りの人間が呆れるほどに甘い。
この外史“赤龍伝”では孫堅は死んでいない。
好きなもの:娘たち(特に小蓮♪)と酒
能力値:統率5・武力5・知力3・政治4・魅力5
オリジナルキャラクター③『諸葛瑾』
姓 :諸葛
名 :瑾
字 :子瑜
真名:藍里(あいり)
武器:風切羽(かざきりばね)……火蓮から受け取った護身用の短刀。諸葛瑾(藍里)の実力が低いので、あまり役に立っていない。
諸葛亮(朱里)の姉。
諸葛亮(朱里)とは違い、長身で胸も大きい女性。髪は金髪でポニーテール。
温厚で気配りのできる性格で、面倒見も良い。赤斗の世話役として補佐につく。
一時は、自分たちとは違う考え方や知識を持つ赤斗に恐怖心を持っていた。
政治、軍事、外交と様々な仕事をこなすが、諸葛亮(朱里)には僅かに及ばない。
苦手なもの:酒(飲めるが、酔うと周りの人間にからむようになる)
能力値:統率3・武力1・知力4・政治4・魅力4
オリジナルキャラクター④『太史慈』
姓 :太史
名 :慈
字 :子義
真名:嶺上(りんしゃん)
武器:雷電(らいでん)……二本の小型の戟。
非常に勇猛かつ、約束に律儀な武将。銀髪レゲエの女性。
孫策(雪蓮)と一騎打ちして引き分けたことがある。
それ以来、孫策の喧嘩友達になっており、よく喧嘩をしている。
孫尚香(小蓮)や諸葛瑾(藍里)と仲が良く、孫尚香(小蓮)の護衛役をしている事が多い。
子供好きで、よく街の子供たちと遊んでいる。
弓の名手でもあり、その腕は百発百中。
好きなもの:子供
能力値:統率4・武力4・知力3・政治2・魅力3
オリジナルキャラクター⑤『司馬懿』
姓 :司馬
名 :懿
字 :仲達
真名:不明
武器:不明
黒尽くめの衣装を身に纏った、曹操軍の軍師。
曹操軍に属しているが、曹操からの信頼はないといっても良い。
色々と裏で暗躍しており、虎牢関では張遼を捕え、術により自分の傀儡にしている。
今は、魏から姿を消している。
能力値:統率5・武力?・知力5・政治5・魅力?
オリジナルキャラクター⑥『玄武(げんぶ)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:魏軍正式採用剣……魏軍に配備されている剣。
司馬懿の部下。
普段は何の変哲もない魏軍の鎧を身に纏い、普通の兵士にしか見えない。
しかし、眼の奥からは異質な気を醸し出している。
鎧の下には黒の衣を纏っており、素顔は司馬懿に似ている。
虎牢関では、鴉と一緒に張遼を捕えた。
能力値:統率2・武力4・知力3・政治1・魅力2
オリジナルキャラクター⑦『鴉(からす)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:爆閃(ばくせん)……司馬懿から受け取った回転式拳銃。
司馬懿の部下。
性格は軽く、いつも人を馬鹿にしているような態度をとる。
司馬懿と同じ黒い衣装だが、こちらの方がもっと動きやすい軽装な格好をしている。
寿春城では、孫堅(火蓮)を暗殺しようとした。
能力値:統率2・武力4・知力2・政治1・魅力3
オリジナルキャラクター⑧『氷雨(ひさめ)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:氷影(ひえい)……氷のように透き通った刃を持つ槍。
司馬懿の部下。
青い忍者服を着た長い白髪の女。
背中には“氷影”を携えている。戦闘時には全身からは氷のように冷たい殺気が滲み出す。
洛陽で董卓(月)と賈駆(詠)を暗殺しようとした所を、赤斗と甘寧(思春)に妨害される。
官渡の戦いでは、呂布の部下を連れ去り、それを止めようとした陳宮を殺害する。
能力値:統率2・武力4・知力3・政治1・魅力3
オリジナルキャラクター⑨『宮本虎徹』
姓 :宮本(みやもと)
名 :虎徹(こてつ)
字 :なし
真名:なし
武器:虎徹……江戸時代の刀工が作った刀。
赤斗の古武術の師匠。
年齢は50歳。実年齢よりも、肉体年齢は若い。
赤斗と一緒に、恋姫の世界に飛ばされたと思われる。
最初は河北に居て、それからは用心棒をしながら、色々と辺りを転々としている。
赤斗の修行をやり直した後、天の世界に戻ったようだが、詳細は不明。
赤斗曰く、『無双無限流の妙技を見せてやるっ!』が口癖で、その実力は呂布(恋)以上。
能力値:統率?・武力6・知力5・政治?・魅力?
※能力値は「5」が最高だが、呂布の武力と劉備の魅力は「6」で規格外。
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ついに赤壁の戦いが始まります。