No.227842

真・恋姫無双~2人の飛将軍~ 第8話

cavalさん

ついに連合前に姿を現した一刀。
天より遣われし者が夜空に浮かびし月を救うために動き出す・・・

作者)
第9話は7月15日投稿予定

2011-07-14 00:17:29 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:20446   閲覧ユーザー数:16637

第8話 飛天

 

「我が名は北郷一刀!『飛将軍』にて『天の御遣い』なり!」

 

その名乗りは連合に参加すべての者にすぐさま伝わった。

1年以上行方が分からなかった飛将軍が董卓側として現れ、そしてその者は『天の御遣い』を名乗った。そのことが意味するのは「天は董卓に味方した」ということになる。

 

「なにをいってますの!?1年前から行方が分からなくなった『飛将軍』を語り、あまつさえ『天の御遣い』ですって?!そちらのほうが信憑性がありませんわ!」

 

「ほう、ただの無能かと思っていたのに予想外な回答に驚いた。たしかにおれに今ココで証明するものはないが・・・」

 

一度一刀は言葉を切った。そして一気に闘気と殺気を完全開放し、麗羽たちをにらみつける。

 

「偽者だと思うのならばかかってこい。その代わりすべてを失う事を覚悟しろ」

 

その殺気を至近距離からうけた麗羽軍内の気の小さいものは気絶し、それ以外のものでも手足が震えして戦意はほとんど無くなっていた。それは麗羽、斗詩、猪々子も同様だったが、それでも将。3人とも自分の部隊にもどり指示を出す。

 

「みなさん突撃ですわ!あの偽者を倒してしまいなさい!」

麗羽たちの指示を聞いて一刀はため息をつく。

 

「おれは警告したぞ?すべてを失うと・・・」

そして一刀は左腰にさしている刀を抜き頭上に掲げる。そして前に振り下ろした。

 

その様子を見逃すまいと虎牢関で待機していたねねから号令がでる

「全軍突撃なのです!霞の部隊は右翼を華雄の部隊は左翼にたいして突撃を!」

 

「よっしゃ!張遼隊いくで!神速の騎馬隊の力みせたれい!」

 

「華雄隊いくぞ!そして無能な袁紹軍よ!猛将といたわれる我が武をとめるのならかかって来い!」

 

霞と華雄が敵両翼と激突する。

そして中央は一刀という強者による蹂躙が始まった。

 

一刀は氣を足に込めて一気に跳躍し敵最前線に突っ込み、そのままの勢いで閃華を振るう。その攻撃を受けた前曲の槍部隊は吹き飛ばされ、辛くもその攻撃を受けなかった槍持ちが一刀を突こうとするが一刀はその攻撃を柄でいなし石突で突き飛ばす。その隙に左右から剣持ちの4,5人が切りかかるが右手側は閃華の柄、左からのは左手逆手で抜いた刀で受ける。

 

「はぁ!」

気合の声とともに押し飛ばし、体を回転させ切り伏せる。

 

真正面から切りかかったものには氣を込めた閃華を地面に叩き付けその衝撃波で吹き飛ばす。前曲で暴れる一刀に向かい後曲の弓矢隊からの矢雨が降り注ぐが、すぐさま閃華を横薙ぎに振り剣圧による風圧で矢を落とす。

 

唖然とした弓矢隊は一瞬一刀から目を逃してしまい、一気に距離を詰められる。

接近戦は不得手な弓矢隊に一刀への抵抗手段はなくいっきに切り伏せられていった。

そして一刀は麗羽の本陣までの敵兵をすべて吹き飛ばし、麗羽の前にたどり着いた。

 

「袁紹覚悟はいいな?」

白銀の羽織も、閃華も返り血で赤く染まった一刀が袁紹に迫る。

 

「麗羽様はやらせません!やぁぁぁぁぁ!」

麗羽を守ろうと斗詩が金光鉄槌を一刀に振り下ろす。その振り下ろしにあわせて一刀は閃華を振り上げた。閃華と金光鉄槌が激突し金光鉄槌に細かなひびが一気に入り崩壊した。

 

「あぁ!」

自分の武器が壊れたことに驚いた斗詩を一刀は蹴り飛ばす。

 

「よくもアタイの斗詩を!このやろうがぁ!」

猪々子が斬山刀を構えて一刀に突っ込み、袈裟きりに切り下ろす。その斬撃を一刀は軽くよける。猪々子は振り下ろした勢いのまま回転するように再度袈裟切りをするが一刀は振り下ろされる直前に閃華による突きを斬山刀の切っ先に入れ、斬山刀を吹き飛ばす。その突きの体勢のまま閃華を横薙ぎに振るう。閃華はそのまま猪々子の横腹に直撃し、吹き飛ばした。

 

この間に両翼を攻めていた霞、華雄も合流し麗羽を追い詰めた。

 

「ひぃぃぃ!」

あまりの光景に逃げ出す麗羽だったが一刀に回りこまれる。

「ひぃ!」

 

「逃げれると思ったのか?」

そして一気に麗羽に接近し腹に拳をたたきつけた。

 

「グフッ」

麗羽は殴られた腹を押さえながら意識をなくしていった。

 

袁紹軍を助けようと前線に曹操たちが到着したのは

「袁紹軍顔良、文醜。そして反董卓連合大将袁紹は『飛将軍』北郷一刀が討ち取った!」

と一刀が名乗りをあげ、董卓軍から勝ち鬨が上がったときだった。

 

「そんな・・・10万の兵がこうも簡単に壊滅するなんて・・・」

その光景に驚いた華琳が呟く。

 

「あれが『飛将軍』北郷一刀・・・」

同じように南海覇王を構えた雪蓮もその光景に唖然としていた。

 

返り血によって赤く染まった羽織を脱ぎ去りながら一刀は華琳たちのほうに振り向く。

 

「さて・・・まだ戦闘を続けるかい?」その言葉に桃香が反応する

 

「洛陽の人たちを「桃香様!」・・・朱里ちゃん?」

一刀の発する殺気に当てられ顔が真っ青になっている朱里が桃香を咎める。

 

「この戦いは私達の負けです、下がりましょう桃香様」

 

「劉備と言ったな。そんなに洛陽の民が心配ならば見に来ることだ。そして本当の真実をその目で確かめるがいい」

 

「ほかの諸侯達にも言っておこう、洛陽を見たいのなら各代表とその護衛のみ連れて虎牢関に来るんだな」

 

言い終わった一刀は脱ぎ捨てた羽織を背負い虎牢関に入っていった。

 

そしてその後各諸侯は退却し、「反董卓連合」は解散。

 

それにともないこの戦いは終わりを告げた・・・。

虎牢関での戦いが終わった夕方。洛陽の玉座の間にて一刀は献帝への謁見を許されていた。

 

「『飛将軍』北郷一刀よ。先の戦いでの活躍は良く聞いておる。よくやってくれた」

 

「は。お褒めに預かり光栄至極にございます」

 

「褒美を取らそうと思うのだがなにがよい?」

 

「私は官職や土地、金は所望しません。その代わりに陛下に1つ内密にお願いしたい事がございます。このことを今回の褒美とさせていただきたい」

一刀の内密にという言葉の意味が分かったのだろう。劉協は周りの文官を下がらせた。

 

「ほかの者は下がらせた。それで一刀よ。いったい私に願いとはなんじゃ?」

 

「は。陛下「一刀!」・・・・さすがに玉座の間ではダメじゃないか『協』」

 

「あなたは私にとって兄のような存在なのじゃ!周りの目がないときぐらい敬語はやめてくれと毎回いっておろうが!」

 

「まったくわがままお嬢様なんだから・・・それで話をもどすけど協、君へのお願いなのだが勅命として『袁紹討伐』を出して欲しい」

 

「『袁紹討伐』じゃと?反董卓連合に組した諸侯の処罰も決まっていないでは・・・なるほど、そういうことか」

 

「ああ、反董卓連合結成の原因となった『董卓が悪政を行っている』という言葉。洛陽の民は分かっているから大丈夫だけど大陸にはほかにも多くの民がいる。その民たちにとって確かめる方法がない以上『董卓が悪政を行っている』というのが事実だと思い込んでいる。それを無くさないとこの戦いは終われない」

 

「そういうことじゃな。月や詠、そして一刀には今まで世話になった礼もある。引き受けよう」

 

「ありがとう、協。それと『帝を傀儡としている』というのを消すために俺たちは長安に移る予定だ。勅令は俺たちが移ってから出して欲しい」

 

「私自らが指示を出したと見せるため・・・じゃろ?分かっておる」

 

「協も偉くなったなぁ・・・はじめてあったごろは何も知らない女の子だったのに・・・」

 

「うるさいな!これでも月や詠の負担を減らすために勉強をしてるの!」

 

「偉い偉い。それじゃ今回はこれで戻るよ。長安への移動の前に一度会いに来るよ」

 

「わかった、そのときを楽しみにしておるぞ」

 

玉座の間をあとにした月と詠が住む屋敷へ向かった。

屋敷の近くに一刀が到着したときには既に日は落ちていた。

「こりゃ、もうみんなはじめてるかなぁ・・・」

と愚痴っていると屋敷の門のところに人が立っているように見える。

 

「恋?」

なんとなく呼びかけてみる。するとその人物は一刀を見つけると駆け出して腕に抱きついた。

「うお!って・・・やっぱり恋か。待っててくれたの?」

「・・・・(コクコク)」

 

「あら、恋だけじゃないわよ?」

「え、詠?」

すると屋敷の中から詠を最初に月、霞、華雄、ねねが顔を出した。

 

「みんなおれを待っててくれたのか、別に先にはじめててもよかったのに」

「そういうわけにいかないでしょうが、あなたがいなかったら僕達はどうなっていたかわからないんだから」

「まぁまぁ詠ちゃん。これで揃ったんだし、戦勝会をはじめましょ!」

 

月の言葉を皮切りに屋敷の庭に大量の食事、酒が運ばれてきて小さいながらも宴会が始まった。

 

すごい勢いでモキュモキュと食事を食べている恋を見ながら酒を飲んでいた一刀に霞が近づいてきた。

「なぁ~なぁ~かずと~。時間がのうて聞けてなかったんやけどあんたらいままでどこにおったん?」

 

「ああ、霞さ、月の元にくるときに茜からなんか伝言または書簡を渡されなかった?」

 

「渡されたで?『絶対にあんたは見てはいけません。月様か詠様にかならず渡す事』って何度もいわれたさかい、着いたその日に詠に渡したんや。それがどしたん?」

 

「その中身はオレから詠への手紙だったんだよ」

月と詠の名前が出たことに気になったのか月と詠が近づいてくる。

 

「一刀から詠への手紙・・・?」

 

「そう、内容は反董卓連合のことと、俺と恋を洛陽で匿って欲しいということを書いた手紙」

 

「最初その手紙を読んだとき僕焦ったわよ。天下の飛将軍が匿って欲しいって言ってきたんだから」

 

「それで月が洛陽に入ったという情報を手に入れた俺たちはこの屋敷に匿ってもらう事になったんだ」

酔いがすこし冷めてきたのか霞が真面目な顔で答える

 

「反董卓連合のことはなんとなくわかるけど、なんで姿を消す必要があったんや?」

 

「それなんだけど1つ目は十常侍の目から俺たちという存在を消して月を守るため。霞たちには知らしてなかったけど何回か月は誘拐されそうになったんだよ」

 

「なっ!」

霞が驚きの声を上げながら月の顔をみる。

 

「霞や華雄を都から離すことは簡単だからね。そしてやつらにとって自分の思い通りに動かない詠の存在は邪魔だったんだ。だからこそ親友であり主君の月を人質にとり、思い通りにさせようって魂胆だったみたいだ。それを防ぐためにおれが月の、恋が詠の影の護衛として動いていたってわけさ」

 

「と、ちゅうことは詠が十常侍によって誘拐された献帝を助け出したっていうあの事件は・・・」

霞が事件を思い出して詠を見る

 

「ええ、十常侍を一刀が監視していてくれたおかげで早期に発見。対処できたわけ。十常侍の護衛についてたのは恋が全部倒してくれたんだけどね」

自分が話しに出てきてるのに気が付いてないのかまだモキュモキュと肉まんを食べている恋。

口いっぱいに肉まんを詰め込んでリスみたいになっている。

 

「次は反董卓連合が攻めてきた際に各諸侯への無言の圧力をかけるため。」

一刀の言葉に首をかしげる霞。その言葉を詠がつなぐ。

 

「一刀と恋は飛将軍として大陸でその名を知らない人はいないわ。その2人が1年も行方が分からない上に反董卓連合に参加していないとなると董卓軍に所属しているかもしれないと無意識的にも考えるってわけ。まぁ、この点に関してはあまり効果は薄かったようだけど・・・」

 

「なら反董卓連合ができたときに姿を氾水関とかで見せたらよかったんとちゃう?」

 

「最初はそのつもりだったけど、この先の戦乱を生き抜くためには一刀、恋のいない董卓軍の力を諸侯に見せる必要があったのよ」

 

「なるほどなぁ・・・それで篭城戦、野戦の両方で氾水関で見せたちゅうわけか」

納得したのか霞はあたらしい酒をとってきて杯に注ぐ。

 

「しっかし1年前からこの洛陽におってよう周りにばれへんかったな」

 

「それは詠の力さ。各諸侯から送り込まれている斥候のほとんどは洛陽を出る前に捕縛してるんだよ。さすがはいままで月を支えてきた筆頭軍師様ってわけさ」

一刀からの賞賛の声に詠はうれしいのか顔を赤くして照れ隠しに肉まんを食べている。

 

「よっしゃ!これでうちの疑問は解決や!辛気臭い話はもうやめて!宴会といこや!」

という霞の言葉で宴会が続いていく。

 

酔いが回ってきたのかすこし眠たくなっていた一刀は宴会場からすこしはなれたところにあった木の下に座っていた。

―――大分酔ってきたな・・・

と一刀が考えていると月が一刀のとなりに座った。でもなにか様子がおかしい。

「かじゅとさん・・・」

―――やっぱり酔ってらっしゃるぅぅぅ!!

「私あにゃたのことが好きですぅ」

「え・・・」

一刀の頬になにかやわらかいものが触れたと思ったら月は一刀の膝を枕代わりに寝息を立て始めた。その姿を見ていたしばらく見ていた一刀も眠気が襲ってきてそのまま暗闇の世界へ旅立っていった。

 

月が一刀の膝枕で寝始めたごろお腹いっぱいになり眠たくなった恋は一刀を探してうろうろしていた。

そして宴会場からすこしはなれたところの木にもたれかかり眠っている一刀を見つける。一刀の近くにいって初めて月の存在に気が付いた。

「恋も・・・月といっしょのことする」

そして一刀の膝に頭を乗せて眠り始めた。

 

その後3人がいないことに気が付いた詠たちが3人のほほえましい姿を見て静かにその場を離れたのだった。

どうも作者です。気が付いたら机で寝てて13日中に出せませんでした( TДT)

 

さてこの物語も8話に突入。8話の冒頭はちょっと怖くて強い一刀を描いて、中盤~終盤にかけては本来のやさしめの一刀を描いてみたつもりです。恋は今回萌え成分補充要員です。上手く書けたかは自信ありません!(`・ω・´)キリッ

 

今回オリジナルキャラとして「劉協」を出しました。

 

設定は、十常侍に誘拐されそうになったときに助けてくれた恋経由で一刀の存在を知り、月の屋敷をたずねたときに一刀に出会い「兄」と呼ぶようになった。基本はまじめ。頭の回転もいい。

 

簡単な設定はこんな感じのいい子です。

 

そして今回の終盤で一刀達の空白の1年間について説明パートを入れました。当初の予定では回想という形を取るつもりだったのですが、あまりにも長くなりそうだったので会話方式で進めました。

 

先にここで謝罪を・・・

いままではなるべく原作に合うところは合わせてきましたが次回以降所属する軍が違う人が現れる予定です。理由としては作者のよm(グシャ・・・チーン・・・物語の流れ上必要になってくるからです。

 

本当です、本心です、多めに描きたいとかそんなのではありません、ホントウデスヨ?(´・ω・)

 

「あー作者はこのキャラすきなんだwww」とかニヤニヤしながらお待ちください。

 

では次回はおそらく7月15日になると思います。

 

では次回お会いしましょう


 
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