桜の花びらが、ひらひらと舞うこの季節わたくし白井黒子は中学3年生になりましたの。
お姉さまは今年の春、高校1年生になりましたわ。ただ気に食わないのが、お姉さまはあの類人猿と一緒の高校に入ってしまわれましたの。
わたくし、これからどう生きていけば分かりませんの。
そんな途方に暮れているわたくしは、常盤台中学を出て少し離れた公園に散歩にきていた。
そこの自動販売機で飲み物を買い、ベンチに座って一息ついていると聞き覚えのある話声が聞こえてきた
「あんた、また補修くらったの?」
「そうなんだよ…… はぁ、なんで俺ばっか……」
こ、この声はお姉さまとにっくき類人猿こと上条当麻!!
わたくしは、とっさのことで近くの茂みに身を隠してしまった。
『な、なんで、わたくしが隠れなくてはいけませんの?』
白井は、テレポートであの類人猿に後ろからドロップキックをかましてやろうと思っていると
「ま、まぁそんなしょんぼりしないでよ……、そうだ、今日あんたの家にいってもいい?」
「はぁぁ? なんで俺の家なんですか?」
「そ、そっちのほうが勉強見てあげるかな? って思っただけよ! それとも何? 勉強見てあげなくてもあんた大丈夫なわけ?」
と、御坂の体から電撃ではじめた。
上条当麻は、有無を言わさず御坂を自分の家に招くことになった!!
それを見た白井黒子は、
「こ、これは、一体どういうことですの? お姉さまがあの類人猿の家へ?」
これは、後をつけるしかなさそうですわね!
不気味な笑顔を見せる白井黒子、
上条たちは雲行きが怪しくなってきたので少し小走りで自分の部屋へ向かっていった!
「ふーっ 本降りになる前についてよかったな!」
「そうね、もう少し離れてたら、もうびちょびちょだったわよ」
「ただいまー」
「おかえり! とうまってなんで短髪まで一緒なのかな、とうま?」
「まぁ、気にするな! 流れで美坂が俺に勉強を教えてくれることになったんだよ!」
ここが、こいつの家か!
案外きれいに片付いているわね、それともこの子が片付けてるのかしら? まぁ、それはないわね! と、御坂は勝手に解釈しながら上条の家へと入っていく
その頃、白井黒子は
「お姉さまホントにあの類人猿の家なんぞに! あの類人猿後で目にもの見せてやるですの!」
ゾクゾク!
上条は、妙な寒気を感じながらリビングで髪の毛を拭いていた!
美坂は、本降りではないとはいえ体は濡れている。なので、御坂を心配した上条がお風呂を用意してくれて、その好意に甘えてお風呂をごちそうしてもらっているところだ。
「…………あいつが…………いつも使ってるお風呂…………」
ボンッ!
御坂はそれを考えるだけ真っ赤になった!
「わ、私は、何を考えてるのよ! そうよ! これも全部あいつが悪いんだわ! 」
そんなこんなで、美坂は上条家のお風呂を心行くまで楽しんだ! 結構な時間がたったころ、美坂はお風呂から出てきた。顔がものすごく赤くなりながら。
「かなり長く入ってたじゃねぇか。気持ち――って顔真っ赤じゃねえか!! 大丈夫か御坂!?」
「だ、大丈夫に、き、決まってるでしょ!」
「そ、そうか」
電撃を出しそうな勢いで言われたためかなりビビってしまった。
そして、何時間か勉強して勉強会は終了した。
御坂が帰るとき、上条とインデックスも一緒に送りに来ていた。
まぁ、インデックスの場合、機嫌を良くした御坂にご飯をおごってもらえると聞いて、一緒に来たくちだが、
「それじゃ、また学校で! 」
「とうま! それじゃ行ってくるんだよ!」
「おう! また学校でな御坂! インデックスは気をつけるんだぞ」
「うん! わかってるんだよ! 」
そうして夕方の5時半過ぎ、土砂降りの中、御坂とインデックスは進んでいった。そして上条も、家に帰ろうとしたときにある異変に気付いた! 体全身を、ガタガタふるわせておぼつかない足取りでこちらに向かってきている、ツインテールの女の子がいた。白井黒子だ。雨の中数時間も御坂を待ち続けてこのようになってしまった。倒れそうになった白井を受け止めて叫ぶ、
「おい、白井、大丈夫か!? 」
朦朧とする意識の中で白井は必死な顔の上条を見た。
上条は、すぐさま自分の部屋へと白井を運ぶ。携帯で救急車を呼んでもよかったが携帯が雨にぬれていて使えないものとなっていた。そこで、自分の部屋へと戻り固定電話で救急車を呼ぼうとしたところ、電話がつながらなかった。理由は、電話の使い方がわからないインデックスが壊してしまったのが原因なのだが、そんなことは知らない上条、自分が原因なのだと勘違いして自分を責める。
「……くそ……この右手のせいで……」
「はぁ…………はぁ…………」
目を覚ました白井は、今自分が置かれている状況に少し驚いた。なんと、上条が白井をおぶって走っている。白井は、理解するのにさほど時間はかからなかった。理解した後は、上条の背中に体を預けることにした。
『この類人猿、以外に頼れますのね。わたくしのために、ここまで必死になってくれる殿方がいるとは、正直驚きましたわ。――――けれど、とても頼もしいですの。』
このとき、白井は自分のなかに新たな感情が生まれていることを知らなかった。
白井黒子は、見知らぬ部屋で目を覚ました。
「……ここは?」
「し、白井さん!」
「目が覚めたんですね!?」
「……ええ、ただ、まだ少々体がけだるい感じはしますが……」
そこには、目に涙を浮かべうれしそうな初春と、ほっとした様子の佐天さんがいた。それから、二人は白井が入院した時のことなどを話し始めた。入院して2日たっていることや、二人の学校生活などを聞いていると扉が開いた。
「あっ! 黒子、目、覚ましたのね! ったく、あんまり心配かけんじゃないわよ!」
「ホントだ! 白井大丈夫か?」
そこにはお姉さまと類人猿がいた。ちなみに、類人猿というのは上条当麻のことだ。
お姉さまが来てくれたのは嬉しいのですけれど、なぜあの類人猿まで!? ……しかし、わたくしを病院まで運んでくれたそうですし一応お礼を
っと心の中で思いながら
「お姉さま、ご心配をおかけして申し訳ありませんの……それから……」
御坂に、お詫びをした後、上条に礼を言うため彼の顔見る白井黒子、しかし、彼の顔を見るとなぜか顔が熱くなり、目も合わせられずうつむいてしまう。
自分でもこのような行動をとったことに不思議に思っていると、となりから
「大丈夫ですか白井さん? なんか、顔がものすごく赤いですよ?」
「べ、別に、大丈夫ですの!」
白井はそこで、布団を頭からかぶり出てこなくなってしまった。
な、なんでわたくしはあの類人猿の顔を見れませんの?
そこには、不思議そうに白井のことを見る4人と、一人布団の中でもんもんとする白井の姿があった。
翌日、白井は何事もなく退院できた。テレポートを使いさっさと寮に帰ることもできたが、なぜか、その日は歩いて帰りたい気分だった。
歩いていると、いつかの公園の前を通った。少し、休憩がてらベンチに座っていると、鼻歌を歌いながら歩いている上条の姿があった。白井はお礼もかねて声をかけることにした。
「ふふふ~ん ふふふ~ん ふっふっふ~ん」
「なぜ、あなたは今日、そんなに機嫌がいいんですの」
「おわっ!! な、なんだ白井か あんまり脅かせるんじゃねえよ」
「なんだとは、ずいぶん失礼ですわね」
せっかくこっちから話しかけて差し上げましたのに、なぜ、そこまで驚きますの? お礼をする気持ちが少し冷めてしまいましたわ。けれど、貸しを作ったままというのなんとなく嫌ですし、ここは我慢ですの。
「この前のことで、まだ、お礼をしていませんの! そういうことなので少し出かけませんか?」
「そんな、礼なんていらねぇよ!」
「それでは、わたくしの気持ちがすみませんの! それともなんですの? わたくしの気持ちを受け取れないと?」
「べ、別にそういうことを言ってるわけじゃないんだけど……」
「それじゃ、出かけましょう! わたくしのお勧めの喫茶店があるので案内しますわ!」
「……はぁ……わかったよ……」
こうして、上条と白井は二人で出かけることになった。
白井の勧めてくれてた喫茶店は、オシャレな雰囲気で白井のようなお嬢さまが行くような場所だった。上条にとってはあまり落ち着けないところであったが、注文した紅茶と食べ物はすごくおいしかった。
数時間後、あたりがうす暗くなり始めた頃、上条と白井は喫茶店をでて帰ろうとしていた。
「すげ~うまかった! ありがとな! 白井!」
「い、いえ、気に入っていただけたのなら何よりですわ!」
そ、そんな笑顔でわたくしを見ないでください。
白井の顔はこの時、頬は真っ赤になり湯気が出そうなほどであった。
その後、二人は別れて白井は寮に戻ろうと歩いていると
「おい、そこのお前」
いきなり、声をかけられ、ナンパか何かかと思いながら振り向く、
「なんなんですの?」
「この前お前に世話になったものだよっと!」
「がっ!?」
いきなり、後頭部を殴られ気を失う。
目を覚ますと、そこは知らない場所だった。ただ、どこか使われていない倉庫のように見える。
「お目覚めかな? ジャッジメントのお嬢さん!」
そこには、一人の男が立っていた。今、白井の状況は、手足を縛られ口を塞がれている。
「お前のせいで、こっちはいろいろ苦労しちまったんだよ!」
バチンッ!!
頬に痛みが走った。男が殴ると後ろから、また一人また一人と増えてきた。数にして7人。今回ばかりはさすがの白井も怖さで体が震え、目に涙を浮かべている。
「泣いても誰も助けになんてこねぇよ!」
また、殴られる。
白井は、怖さで演算することができずテレポートを使えないい状態だった。白井は、神に祈ることしかできなかった。目をつむり、必死で神に祈っているとあの少年の顔が浮かんできた。白井は、神ではなく少年が助けに来てくれると必死で祈った。男たちが近づいてきて、もうだめかと思った。その時
「テメーら白井に何やってんだ!」
そういながら入ってきたのは、白井が望んだ少年、上条当麻だった。白井は嬉しさのあまり泣き出してしまっていた。
「なんだ!? お前、お楽しみをじゃまするんじゃねぇよ!」
と、叫びながら一人の男が殴りかかってくる、しかし、上条はその攻撃をあっさりとかわし、カウンター気味で相手の顔面を殴った。
「なんだ!? おい お前らやっちまえ!」
と、中心的な男が言うと周りの男たちが一斉に上条に向かって殴りかかってきたが、上条は、いろいろな事件に巻き込まれ、数多くの経験を積んできていたため、このぐらいのザコを倒すことは造作もないことだった。上条は、男たちを倒すと、中心的な男にこう言った、
「テメー、歯くいしばれよ!」
「LEVEL3の俺に向かって何言ってやがる。無能力者のお前を倒すくらい余裕なんだよ!!」
そう言うと、男は火柱を上条に向けて打ってきた。だが、上条はひるむことなく右手を前に付き出し、火柱を消すとそのままの勢いで男に向かっていった。
「テメー!? 今何しやがった!?」
男は焦り始めていた。上条はそのスキを逃すことなく、一撃をくらわせた。男は、そのまま気を失ってしまった。
上条は急いで白井の元へ駆け寄り、縛られていた手足と、塞がれていた口を解放するといきなり上条に抱きついた。
「……ひぐっ……こ、こわ…………かった…………ですの……うぐっ…………」
上条はいきなりのことに驚いたが、すぐに、優しい笑顔で頭をなでながらこう言った
「もう大丈夫だぞ」
「……うっ…………うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ」
上条は、白井が泣きやむまでしばらく頭をなでていた。
しばらくして落ち着きを取り戻した白井は
「……もう、大丈夫ですの…………ありがとうですの…………」
「そうか…………ホントに無事でよかった」
微笑みながら言った。それを見た白井は
「……………………っ!!」
顔を真っ赤にしてうつむいてしまった
そこで気づいてしまった。
わたくしはすかなからずこの方を
上条当麻を意識しているということを。
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