No.210603

Loss Of Memory②

紅やまさん

記憶喪失の主人公が彼女と一緒に
記憶を取り戻す奮闘物語です!!

2011-04-08 14:06:42 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:341   閲覧ユーザー数:338

次の日、彼女は大量の荷物を持ってきた。

『さあ!思いだそう!!』

「えっ」

『まず、あなたの名前は、サトル。中島サトル』

「中島…サトル。」

これが俺の名前。

彼女が荷物の中から1冊のアルバムを出す。

「これは…?」

『これはね、サトルとあたしと他にも、

サトルと関わってきた沢山の人たちとの思い出。』

パラパラとページをめくる。

俺や彼女、ほかにもたくさんの人が映っているが、

どうにも思いだせない。

『…思い出せない?』

「…ああ。ごめん」

『大丈夫だよっまだ時間はいっぱいあるんだから!』

彼女は笑顔でアルバムをしまい、他の物を出す。

『これは、サトルが中学の時やってた野球のユニフォームとバット。』

思いだせない。

『これは、高校でやってたバスケのボール。

卒部のときに後輩とかみんなから寄せ書きが書いてあるね』

思いだせない。

『じゃあこれは?』

そう言って、荷物からある小さな箱を取り出す。

ヒラ…

(ん?)

1枚の写真が足元に落ちた。

手に取り、

『どうしたの?』

見てみる。

そこには、

大きな桜の木と、そのとなりに洋風の建物が映っていた。

(あれ、この風景どこかで…)

そう思った瞬間、

「…っ!!!!」

頭に激痛が走る。

「ぐぁあっうぐ…」

頭を押さえ、その場に倒れこむ。

『どうしたの!?ちょっ大丈夫!?』

慌てて彼女が医者を呼びに病室を出て行った。

「うぐっぅぁああああ!!!」

(あの風景はなんだ?俺はどこで…)

朦朧とする意識の中で見たのは、

駆け寄ってくる医者と、心配そうな表情の彼女。

そして、後ろにいる看護婦の笑顔だった。

(なんで笑って…)

・・・・プツン・・・・

そこで意識が途絶えた。


 
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