次の日、彼女は大量の荷物を持ってきた。
『さあ!思いだそう!!』
「えっ」
『まず、あなたの名前は、サトル。中島サトル』
「中島…サトル。」
これが俺の名前。
彼女が荷物の中から1冊のアルバムを出す。
「これは…?」
『これはね、サトルとあたしと他にも、
サトルと関わってきた沢山の人たちとの思い出。』
パラパラとページをめくる。
俺や彼女、ほかにもたくさんの人が映っているが、
どうにも思いだせない。
『…思い出せない?』
「…ああ。ごめん」
『大丈夫だよっまだ時間はいっぱいあるんだから!』
彼女は笑顔でアルバムをしまい、他の物を出す。
『これは、サトルが中学の時やってた野球のユニフォームとバット。』
思いだせない。
『これは、高校でやってたバスケのボール。
卒部のときに後輩とかみんなから寄せ書きが書いてあるね』
思いだせない。
『じゃあこれは?』
そう言って、荷物からある小さな箱を取り出す。
ヒラ…
(ん?)
1枚の写真が足元に落ちた。
手に取り、
『どうしたの?』
見てみる。
そこには、
大きな桜の木と、そのとなりに洋風の建物が映っていた。
(あれ、この風景どこかで…)
そう思った瞬間、
「…っ!!!!」
頭に激痛が走る。
「ぐぁあっうぐ…」
頭を押さえ、その場に倒れこむ。
『どうしたの!?ちょっ大丈夫!?』
慌てて彼女が医者を呼びに病室を出て行った。
「うぐっぅぁああああ!!!」
(あの風景はなんだ?俺はどこで…)
朦朧とする意識の中で見たのは、
駆け寄ってくる医者と、心配そうな表情の彼女。
そして、後ろにいる看護婦の笑顔だった。
(なんで笑って…)
・・・・プツン・・・・
そこで意識が途絶えた。
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記憶喪失の主人公が彼女と一緒に
記憶を取り戻す奮闘物語です!!