それを聞いたのは、何ヶ月か前のこと。
一刀が、私たち魏の面々とお茶をしていた時だった。
「えいぷりるふーる?・・・何それ?」
相も変わらず、天の言葉を平気で使ってくる一刀。その度に頭をひねる、こっちの身にも成って欲しいものである。
「直訳すると、四月馬鹿っていうのさ。その日一日だけ、他愛の無い、少々の嘘なら、例えつかれても怒っちゃいけない。笑って流そうって言う日なんだ」
「・・・何の意味があるのよ、そんなことして?」
華琳様のおっしゃることは至極当然だった。全然意味がわからないんですけど。華琳さまの台詞に続いて、私がそんな風に言うと。
「・・・正直さ。俺も何の意味が在るかまでは知らないんだよ。もう、物心ついたときには、そういう日があるってことを知っていただけで」
「・・・は。呆れた。年中行事みたいなのの意味も知らずに、そうやって騒いでるんだ。天の世界ってのはよっぽど平和なのねー。・・・誰かさんの頭みたいに」
そんなことを言いながら、ちらと春蘭のほうを見る私だったりして。
「ん?・・・桂花、なぜ私のほうを見るんだ?」
「さあねー?自分で考えたらー?その筋肉で出来た脳みそで」
「なんだとー?!」
そうやってぎゃあぎゃあと騒ぎ、その日のことはみなの記憶から遠ざかっていた。
・・・・・・私一人を除いて。
嘘をついてもいい日、か。・・・使えるわね、これ。とある計画を頭に描きながら、私はその日が来るのを待ち続けた。
そして。
四月一日。
ついにその日がやってきた。
・・・落ち着けー。私の心臓。・・・この日のために、散々練習してきたんだからねー。失敗は許されないわよー。・・・あ。居た。
前から、目的の人物が華琳様とともに歩いてくる。
・・・・・行くわよ桂花。女は度胸!
「・・・あら?桂花じゃない。どうしたの、こんなところで」
「・・・なんで背中向けてるんだ?いつもなら喜々として、華琳に応えるのに」
「・・・か、かず、と」
「ん?・・・ホントどうしたんだ?珍しく俺を下の名前で呼んで」
「・・・一刀。わたし、わたし、わたし、ね。(くる~り。百八十度回転)私、貴方が、す、す、す、好き!大好きなの!!」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?』
私のとんでも発言に、目をまん丸に見開いた一刀と華琳さま。・・・うん、気持ちはすごく分かる。
「今までずっと、冷たい態度を取っていてごめんなさい!でも私気づいたの!貴方にいつまでも、あんな罵声ばっかり浴びせていたら、いつか本当に嫌われちゃうって!だから思い切って、本当のことを言おうと思ったの!貴方が好き!大好き!愛してる!」
ぎゅっ、と。正面から彼に、堂々と抱きつく私。
ビシィィッッッ!!
稲妻が走った瞬間でした。もちろん、発生源は華琳様。
「・・・ふ~~~~~ん。そお~~~~なの。私の前でそういうことを言うってことは、それはつまり、はっきりとした恋敵宣言と。そう思っていいのね?桂花?」
にこにこと。顔は思いっきり最高の笑顔でありながら。その怒りたるや、火を見るより明らか。・・・・・・・やっぱ、ちょっと、怖い。
でも。せっかくの一大決心による今回の計画。ここで止めるわけにはいかないわ!たとえ、華琳さまから、あとでたっぷりお仕置きされようとも。
「・・・そう取っていただいてもかまいません!わたしは、一刀を、本っっっ気で愛していますから!!」
ズゴゴゴゴゴゴ。と。そんな効果音でも聞こえてきそうである。ちなみに、私に突然告白され、抱きつかれた一刀はというと。
「・・・・・・・・・・・・」
・・・完全に固まっちゃってます。
「ふ、ふふふ」
??なんか、華琳様が急に笑い出したんだけど。・・・大爆発直前状態、とか?
「・・・そう。桂花もやっと素直になれたわけね。・・・良かったじゃない、一刀」
「へ?」
あれは、あの笑顔は、怒りからくるものじゃない。心底、私を祝福している。そんな笑顔だ。・・・・・・もしかして、信じちゃって・・・る?ていうか、華琳様はまさか、私の”本心”を見抜かれていた・・・?
「さて。そういうことなら、これ以上は野暮というものね。・・・でも桂花?」
「は!はひ!?」
「・・・・・・このまま、負けを認める私じゃないわよ?覚悟しておきなさい?」
それだけ言われて、華琳さまは、なんだかとっても上機嫌で去っていかれた。残されたのは一刀と、その一刀にしがみついたままの私だけ。・・・えっ・・・と。どうしたもんかしら?本当だったら、華琳様の居る間に、今日は例の『エイプリルフール』っていうやつだって、そう落ちをつける気だったんだけど。
「・・・・・・ちら」
視線を固まったままの一刀に向ける。・・・ま、いっか。今日はこのまま、”嘘”を吐き通そう♪
彼を独占できる機会なんて、なかなか無いしね。えへへ。
でもって、その日の夜。
一日たっぷり一刀に甘えた後、もちろん閨も一緒にしました。・・・なんか、素直な感想を言いながらのって、ちょっと、癖になりそう。
でもまあ。
いつまでも”嘘”をつきっぱなしなのも、それはちょっとどうかと思うので。彼に、全部を暴露しました。
しましたんですが。
大口開けて、ぽかんとしたのは、一刀じゃなくて、私のほうでした。
「へ?エイプリルフール?・・・それってさ、桂花。・・・明日・・・じゃないの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え」
彼の部屋の暦に、ギギギ、と。体を回して視線を送る私。その日付は。
「・・・三月、三十、一日・・・・・・・・・」
ぼぼんっ!!///
「け、桂花?!しっかりしろよ、おい!!」
・・・・・・・あ、あはは、あはははははははははははははは///
「こんな、べたなオチ、大っっっっ嫌いよおおおぉぉぉぉっっっ!!」
でもって。
次の日からどうなったかは、もう、聞かないでください。
恥ずかしすぎて、思い出したくも無いです。
あうう。
これからどうやって、一刀と顔合わせたらいいのお?!
・・・はぅ///
おわり。
ていうわけで。
エイプリルフールにちなんだ小ネタです。
言っときますが、続きません(きっぱり)。
単なる思い付きですので。
とりあえず、2828してくれたら、それで万事オッケーですので。
ではまた次回。
今度は北朝伝で、お会いしましょう。
それではみなさん、再見~!!
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明日はエイプリルフールです。
それに気づいて思いついた小ネタ。
日記の番外としてお送りしますw
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