この作品の一刀は、性格、武力ともに原作とは異なっています。
また、一部キャラを否定する場面もございます。
ご理解をお願いいたします。
まだまだ誤字、脱字や分かりにくい表現などもあると思いますが、
こんな自分の作品でも楽しんでいただけたら幸いです。
膝に璃々を乗せ、紫苑の煎れたお茶を飲みながら政務をこなす一刀の元に遂に届くことになる。
天、崩壊までのカウントダウンが、、
兵士「鳳薦様、此処に居られましたか、、」
兵士は息を切らしながら、慌てた様子で一刀の前に現われた。
一刀「どうかしたか?」
兵士「はい。程昱軍師、陳宮軍師の両名が至急軍議を開きたいとのことです」
一刀「何かあったのか?」
兵士「私のような下っ端は何も聞いていませんが、なにやら慌てている様子でした」
緊張した面持ちで答えた兵士に一刀は璃々を地面に降ろしながら問う。
一刀「見ない顔だな。何処の部隊だ?」
兵士「は、はい。天軍騎馬隊所属、文醜騎馬軍補充兵、東鳴であります!」
一刀「そうか、なら東鳴、報告ごくろう。それと、、、」
東鳴「は、はい!なんでしょう」
一刀「お前も天の一員なら誇りを持て、たとえ相手が上官だろうが自分を下っ端などと称するな。お前は立派な兵だ」
東鳴「あ、ありがとうございます!」
一刀の言葉に東鳴は顔を赤くして90度に頭を下げた。
一刀はそれに苦笑しながら璃々の頭を撫でる。
一刀「悪いな、璃々、初めてお前との約束を破ることになりそうだ」
璃々「お仕事終わっても璃々と遊べないの?」
一刀「そのお仕事がどうも終わりそうにないんだ」
くしゃくしゃと髪を撫でながらすまなそうな顔をする一刀に璃々は笑顔で答える。
璃「それなら一刀おにいちゃんは約束やぶってないよ。璃々はお仕事おわったら遊んでって言ったんだもん。璃々、お仕事おわるまでまってるね」
一刀「、、、、、良い子だな、璃々。じゃあ待っててくれ、遅くなるかもしれないが仕事が終わったら遊ぼう」
最後にくしゃくしゃにした頭をポンポンと優しく叩いて一刀は立ち上がる。
一刀「行くぞ、紫苑。東鳴、璃々を部屋まで頼む」
東鳴「はい!この命に賭けて無事送り届けます!」
裏返った声でそういう東鳴に一刀は再び苦笑しながら紫苑と共に去っていった。
そんな一刀を見送った東鳴は感銘を受けた様子で呟く。
東鳴「あれが、鳳薦様。我らの王か、、、すごい方だ」
璃「一刀おにいちゃん、すごいの?」
東鳴「ああ!それはもう!すごいさ!」
興奮しきった声でそう叫んでしまった東鳴は一度恥ずかしそうに咳払いをしてから続ける。
東鳴「大陸広しと言えど一刀様ほど素晴らしい王は居ないだろう」
璃「ふーん、そっか、一刀お兄ちゃんはすごいんだー!」
東鳴「ああ、なにせ、、一度は盗賊に身を落とした私にも人並みの幸せを与えてくれたのだから」
聞こえないよう、ぼそりと東鳴はそう呟いた。
そんな表情の東鳴を見てなにを思ったのか、璃々は少し心配そうな表情をする。
東鳴「どうかしたのか?」
璃「うん、、一刀おにいちゃん、大丈夫かな、、」
東鳴「なにがだ?」
璃「これから戦いするんだよね、、、璃々、わかるもん。お母さんも、みんな、最近少し怖い顔してるから、、」
東鳴「大丈夫だ。絶対に大丈夫」
間の語は無いが、璃々がなにを言いたいのか察した東鳴は力強く言う。
東鳴「あの御方さえ居れば、決して天は崩れない、敗れない。あの方さえ、居てくれるのなら」
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
璃々と別れ、軍議室まで来た一刀は集まった将兵達と共に報告を受けていた。
一刀「そうか、、遂に動いたか、華琳と雪蓮は」
---魏呉連合に動きあり、両軍は天全域の国境近くに布陣中---
それが国境警備の兵が命を賭けて齎した情報だった。
音々「不味いですぞ、、ようやく反乱の鎮静化が終わったばかりだというのに」
風 「華琳様のことですからそれも織り込み積みなのかもしれませんねー」
一刀「そうかもしれないな」
華琳の策謀と雪蓮のカンが合わさっているとしたら厄介だ。
一刀はそんなことを考えながら眉を顰める。もし、そうだとしたら性質が悪すぎる。
一刀「凪、洛陽から長安への民の移送はどうなっている。流石にあの二人相手に民を守りながらの籠城は無理だぞ」
凪「はい。劉協陛下の指揮、王允殿、盧植殿の補佐の元、滞りなく進んでいますが、、やはり、もう少し時間が必要です」
一刀「どれ位だ?」
凪「およそ、3週間ほどは掛ると思います」
一刀「風、間に会うと思うか?」
風「無理でしょうねー。華琳様達なら2週間で一番遠くの国境からでも洛陽に行軍できるのです」
一刀「それは、何の戦闘もない場合か?」
僅かの望みを賭けた一刀の問いも、
風「いえ、途中の城の兵力を総動員した場合ですよー」
風は真剣な眼差しで切り裂いた。
一刀「そうか、、、、どうすればいい?民が居る場合でも籠城は可能か?」
紫苑「それは、、戦場の年長者として否定させていただきます。これほどの規模の大戦ともなれば、こういう言い方はなんですが、民は足枷どころか虎挟み。とても戦えないでしょう」
一刀「なら、野戦はどうだ?」
音々「難しいと思いますぞ。囲まれているのなら前で戦っていると後ろから奇襲、なんてことが起きて危険ですぞ」
一刀「、、、どちらにせよ、敵を一か所に集めなきゃならないのに籠城は無理。どうするかな、」
長考に入ろうとする一刀の耳に、自身に満ちた声が聞こえた。
風 「おぉ!風に良い考えがありますよー」
ふふっ、と口に手を当て風は笑みを浮かべていた。
全員の視線が風に向かう中、風は飴を咥えながら言う。
風 「暇がないなら、時間を作ればいいじゃない」
それが、風の出した策の全貌であった。
それは、単純明快な作戦だった。
天の将兵は大陸全土に散開、迫りくる進軍を止め時間を稼いだ後、再び洛陽に集合し籠城。
それが風の出した作戦であった。
風「守るべき要所は洛陽の東西南北に位置する虎牢関、函谷関、伏牛山、邙山の4か所ですしー、なんとかいけると思うのです」
一刀「それしか手は無いか、、、わかった。それで行こう」
防衛戦の配置は音々と風が話し合い決められていく。
虎牢関―― 恋、音々、紫苑
函谷関―― 斗詩、猪々子、逆狗
邙山―― 獅堂、明命、風
伏牛山―― 凪、真桜、沙和、小蓮
洛陽待機―― 一刀、麗羽
使者として天を出た桃香達に伝令を出した方が良いのでは?という意見もあったが、
一刀「国境に近づけば異常に気付くはずだ。あいつらなら個人で適切な判断が下せるだろ」
一刀のその言葉と少しの人手も無駄にできないという事実より解決を迎えた。
一刀「おそらくこの戦いが大陸最後の大戦だ。何として時間を稼げ、天の勝利はお前達に掛っている」
静寂が部屋を包む中、一刀は一人声を張る。
一刀「最後にこれだけは言っておく、、、、、」
麗羽「、、、、、、、、、」
風 「、、、、、、、、、」
恋 「、、、、、、、、、」
音々「、、、、、、、、、」
猪々子「、、、、、、、、、」
斗詩「、、、、、、、、、」
小蓮「、、、、、、、、、」
明命「、、、、、、、、、」
凪 「、、、、、、、、、」
真桜「、、、、、、、、、」
沙和「、、、、、、、、、」
紫苑「、、、、、、、、、」
獅堂「、、、、、、、、、」
逆狗「、、、、、、、、、」
一刀「”全員、必ず生きて洛陽に帰ってこい!!”」
「「「「御意(おう)!!!黒天に栄光あれ!!!」」」」
一刀「(悪いな、璃々、この仕事は少し長くなりそうだ、、)」
戦いは、始まろうとしている。
獅堂「ふあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
明命「はぅわ、、すごい欠伸ですね。獅堂様」
獅堂「だって暇だぜ?なんでこんな暇なんだよ。どれ位暇かっていうと俺がお前に欲情する位暇だ」
明命「ええ!」
獅堂「冗談だよ。幼児体型に興味はねえ。ふあぁぁぁぁ、、、暇だ」
赤くなった明命を興味なさそうに見ながら獅堂は地面に転がる。
洛陽での散開の二日後、獅堂達は邙山で陣を張っていた。
風 「おぉ!そんな風に地面に転がっていると風はゴミと間違えて踏んじゃいますよー」
獅堂「おー、踏んでみろや、、、いって!、、本気で踏むんじゃねえよ!しかも顔面!」
風 「戦場で気を抜く獅堂さんが悪いのです。大将なんだからしっかりして欲しいのです。それに乙女の純情を弄ぶとは、万死に値しますねー」
完全に気を抜いていた獅堂を容赦なく踏みつけた風はさらにグリグリと踏みつける。
獅堂「いい加減にしろよ、糞チビ。で、準備は終わったのか?」
風の足を乱暴に払いのけながら獅堂は立ちあがると服に着いた土を払う。
風 「はいー。獅堂さんが寝ている間も風の仕事は完璧ですしー」
獅堂の左に風、明命は右に立ちながら国境の向こうを見据えていた。
明命「ここなら見晴らしも良いですし、敵が来ればすぐにわかりますね」
獅堂「ああ、そうだな。にしても、テメーとこういう場所にいっと、涼州を思い出すな」
明命「はぅ、、そうですね、、、」
獅堂「次は俺が死んでお前ら守ってやろうか?」
風 「冗談でもそう言うこと言わない方がいいですよー」
明命「そうです!獅堂様!」
獅堂「冗談だ、とりあえず一蝶と一刀が死ぬまでは死ぬ気はねえよ。あの変態のこと抑えなきゃなんねえしなぁ」
何時も通りの人を蔑んだ笑みを浮かべる獅堂に二人の責める様な表情は徐々に消えていく。
獅堂「だが、もし二人が死んだなら、、俺の生きてる価値は無くなるかも知れねえがなぁ」
明命「獅堂、様?」
獅堂「、、、、、、来たぜ、敵さんがよぉ」
風 「むー、、、、来ましたね」
明命「え?」
ふたりがほぼ同時にそう言うと、向かってくる砂塵が明命の目にも入る。
明命「あの旗は!」
獅堂「おいおい、何の因果かねぇ、、再戦かよ、根暗」
甘旗と張旗が、邙山に向けて近づいていた。
猪々子「なあ、斗詩。この戦い終わったら結婚しよう」
斗詩「はい?」
猪々子「そろそろ戦うのも疲れただろ?なら、静かに暮らすのも良いんじゃないかな?」
斗詩「え?え?なに?なに?どうしちゃったの?」
猪々子「一緒にさ、子供を育てよう。そろそろアタイ達も幸せになっていいと思うんだ」
斗詩「いや、なれないと思うよ!良いこと言っているのに不吉に聞こえるもん!」
猪々子「私、一杯斗詩に迷惑かけていたよね。ごめんね」
斗詩「いいから!全然いいから!だから戦う前にいきなり良い人になんてならないでよ!口調変えないで!死んじゃうよ!もうそれ禁止!」
猪々子「絶対、斗詩の為に生きて帰るよ」
斗詩「死亡確定!」
一方その頃、斗詩と猪々子は函谷関の城壁の上に居た。
猪々子「なんだよ、斗詩~、不吉なこと言うなよな~」
斗詩「不吉なのは文ちゃんだよ」
猪々子「変な斗詩だな?」
沈んだ顔でそう言う斗詩を猪々子は首を傾げながら見ていた。
斗詩「大体子供育てるって誰の子?女の子同士じゃ生れないんだよ」
猪々子「へ?そんなのアニキの子をかっぱらってくればいいじゃん」
斗詩「とっても具体的だね。けど文ちゃん、一刀様の子ってことはお姫様だよ?流石にそんな人攫ってきたら打ち首だと思うな」
猪々子「いや、あたいとア二キの仲だ。きっと『ははは、猪々子は悪戯っ子だな。こいつめ♪』とか言って許してくれるって」
斗詩「前に文ちゃんと獅堂さんが食糧庫を無断で漁った時は『ははは、取り合えず選ばせてやる。食った物を腹割いて取り出すか、今すぐ辺境の城の警備を志願して俺の視界から消えるのとどっちが良い?ちなみにお勧めは前者だぞ♪』って、言われてたね」
猪々子「あー、そっか、アニキは怒ると結構怖かったっけ」
斗詩「いや、怖いとかいう次元じゃないと突っ込みたいけど、今はそのことを記憶に残してなかった文ちゃんを褒め称えたいよ」
猪々子「よせやい、そんなに褒めないでいいって」
斗詩「はははは」
斗詩の渇いた笑いを気にする風もなく、猪々子は笑顔で話を続ける。
猪々子「で、どうかな、斗詩?結婚する?」
斗詩「その部分も本気だったんだ、、まあ、別に嫌じゃないけど、女の子同士じゃ結婚できないんだよ」
猪々子「ええ!どうして!誰が決めたんだよ!」
斗詩「法律、国家権力」
猪々子「知らなかった!愛で解決できない問題が有るなんて!驚きを隠せない!」
斗詩「私はそんなことも知らなかった文ちゃんに驚きを隠せない」
猪々子「くっ、権力者は何時もそうだ!アタイ達のことなんて考えてもくれない!こうなったら斗詩!一緒にお上を倒そう!」
斗詩「もしかしたら文ちゃんが知らないかも知れないから教えてあげるけど、私達国に仕える将軍だよ」
猪々子「だからどうした!この反旗は愛の反乱、誠実だ!」
斗詩「不純だよ」
因みに此処は戦場である。
斗詩「それに倒すって、王様は一刀様だよ?倒せるの?」
猪々子「ああ、倒せるね!拝み倒せる!両手両足を地につけて額を地面にこすりつけられる!」
斗詩「戦う人の姿勢じゃないね」
猪々子「平和にも勝利がある。戦いの勝利にも劣らぬ勝利が」
斗詩「意外と良いこと言ってる!」
猪々子「土下座にも勝利がある。戦いの勝利にも劣らぬ勝利が」
斗詩「それは無いと思う」
「二人とも、漫才はそれ位にしておけ」
何処からともなく声が聞こえる。
猪々子「なんだよー。盗み聞きしてたのか、趣味悪いぞ、逆狗」
「城壁の上での会話に盗み聞きもないだろう」
斗詩「そうだよ、文ちゃん。それで、どうでした、逆狗さん」
「ああ、正面先二里、敵影確認」
猪々子「そっか、なら斗詩との結婚談義も終わりだな。旗は?」
「呂旗と郭旗、呂蒙と郭嘉だろう」
猪々子「軍師二人だけかよ、舐めやがって」
斗詩「そうでもないよ。二人とも音に聞こえた天才軍師なんだよ」
猪々子「そうなのか?なら、いいや。斗詩!この戦い終わったら結婚だかんな!」
斗詩「だから、女の子同士じゃ結婚できないって」
逆狗「そうでもないだろう」
音も立てず、何処からか逆狗は姿を現す。
逆狗「武勲をたて、主に頼めばいい。法を同性同士でも婚儀が結べるようにしてくれと。案外、ノリノリでやってくれるかも知れないぞ」
猪々子「そっか!その手があった!案外頭いいな!お前!」
逆狗「案外は余計だ」
斗詩「ノリノリの一刀さんか、ちょっと見てみたいかも」
猪々子「なんだよ、斗詩、婚約早々浮気か?」
斗詩「そんなんじゃないってば」
逆狗「取らぬ狸の皮算用。結婚も浮気も戦いが終わってからにしてくれ、来たぞ。敵影目認」
城に近づく砂塵、されど、猪々子と逆狗に動じる様子は無い。
斗詩「本当に二人は緊張とかしないんですか?」
猪々子「緊張?なにそれ美味いの?あたいが最強なんだから負ける訳ねーじゃん」
逆狗「一部隊で三万に突っ込む作戦も見たことがある。感覚がマヒしている」
斗詩「あ、あはは、それは安心すればいいのか心配するべきか悩むね」
猪々子「斗詩は大船に乗った気でいれば良いよ。私が斗詩を守るから、一緒に生きて帰ろう」
斗詩「だからそれは禁止だって言ったでしょ!どっちかが死んじゃうよ!」
逆狗「漫才そこまで、敵兵接近、戦闘開始!」
戦いは、今、始まった。
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