アタシは・・・親切で忠告してやったんだ。
だのに、誰も聞きゃーしない・・・汜水関のときもそうだ。
「だから、お前はアタシを舐め過ぎだってんだっ、三つ編みっ」
幽の怒鳴り声は・・・
左構えから右構えに変えた凪の・・・
頭上ではなく・・・
右側から聞こえた・・・
同時に、鈍い衝撃が凪の右脇腹を穿ち抜き・・・
遅れて真紅の液体が脇腹から・・・空間を染めるように派手に噴出す。
ゴボリとくぐもった音を立て、口からあふれ出した鮮血が足元の地に流れ落ちると
・・・まるでそこを隠すように、ゆっくりと力の抜けた凪の膝が静かに地を打つ。
それを見下ろすように立っていた幽が、ペッと吐き出したのは同じく真紅の液体。
・・・重いのを二発もらったが、まだ戦える。
これが、鈍器と鋭利な刃物の差だよ、三つ編み。
戦場で一番恐いのは出血
お前なら格闘でもできそうだけど・・・いつもは難しいだろ
しゃがみ込み、地面に一本だけ打ち込んだ鉤爪を捻りながら抜き取る。
全てが最後の一撃のためのに積み上げた罠。
空中から斬りかかったのは、相手に空中では動けないと思わせる為の、先入観
心理の盲点をつくための捨て身の罠・・・
5本の鉤爪を凪に向かわせ、その影で一本地面に打ち込み、頭上から振るった一撃と右からの挟撃と見せかけ・・・
凪の攻撃が来る寸前に、鎖を引いて凪の右へと移動する。
攻撃が早すぎて、食らうのは計算外だったけどね・・・
「・・・一人目、次っ」
座り込むような姿の凪に聞こえるようにそう告げると、すばやく四方に目線を配る。
幽は油断しない・・・勝ったと思った瞬間が、もっとも危険だと、嫌に成程に一影に叩き込まれている
故に・・・構えすら取れない凪にも、隙を見せない。
凪を将と認めているから・・・決して舐めない
『魔王の片腕』は一影の最初の命令を、決して忘れることは無い
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被災地の作者様方がup出来ない穴埋めに