「とある桂花のデレ日記・六の記」
某月他日
この日、私はとある話を耳にした。
出所はもちろん一刀。
その日、あいつはいつもどおり、華琳さまを始めとした沢山の女の子に囲まれ、優雅に午後の紅茶なんてものをしていた。私もいつもどおり、華琳さまのおそばに張り付き、そんな彼をいつものように罵りながら、同じ空間にいられることに嬉々としていた。
で、そんな中、彼がふと、こんなことを言った。
「・・・・・・そういや、もうすぐバレンタインデーだな。・・・暦は旧暦だけど」
「・・・・・・なに、それ?」
初耳なその言葉に、首をかしげる私たち。
「むこうじゃさ、二月の十四日ってのは、女の子が好きな男に、チョコレートを送って愛の告白をする日なんだよ。あー、でも、チョコレート自体、こっちの世界には無いか」
「なに?そ、その、ちょ、ちょこれいとう?って」
好奇心が勝ち、たまらず聞く私。
「カカオっていうのを材料にして作る、お菓子の一種さ。まあ、手に入れるのは正直難しいだろうな。ここからはるか西、羅馬よりもさらに西に海を渡ったところでしか、確か手に入れられないはずだよ」
羅馬よりもさらに西。
とてもじゃないけど想像もつかなかった。
「・・・ほんとにあるの?そんなけったいなもの。あんたのでまかせじゃないでょうね?」
ぎろ、と。一刀の目を睨み付ける私。
・・・きれいな瞳だなー、いつもながら。・・・あの瞳で、いつも私を見つめててほしい。他の誰かじゃなくて、私だけを。
・・・なんてことを私が考えているなんて、ここに居るみんな、思ってもいないだろうなー。私だって顔には絶対出さないし、それどころか真反対の顔をしてるんだもの。・・・どんな顔かはあえて言わないけど。
「かかお・・・ね。それって、どんな形をしてるの?色は?」
と、華琳さまが彼に、かかおとやらについて、根掘り葉掘り、その特徴を聞く。・・・あ、あの顔は絶対に手に入れる気だ。
・・・ほんとに手に入ったら、私も買い付けておこ♪うふふ。
あ、でも。・・・どうやって作ったらいいのかな?ちょこれいとうっって。
二月十四日。
うろうろ、そわそわ。
とある部屋の近くで、そこに近づかず、でも遠ざからず、というような、挙動不審な行動をしている私が居たりして。
でもって、その手に握られている、一つの包み。
中に入っているのは、いつぞやかの話にあがっていた、「ちょこれいと」。材料のカカオ豆に関しては、華琳さまがあの後、大陸中の行商人に触れを出し、結果、思った以上の量を買い集めることができた。
一刀いわく、
「・・・まさか、本当に手に入れるとは思わなかった」
だそうである。・・・華琳さまにかかれば、できない事は無いって事ね、うん。
でもって、華琳さまに渡す(まあ、華琳さまは女性だけど、この際気にしないってことで)というのを建前に、ちょっとだけ分けていただいた。
作り方に関しては、一刀から大体のものを聞いた流琉に教わったので、これも問題は無し。我ながらいい出来栄えと自負している。
・・・で。
華琳様にはすでに渡したのだけど、その、本命の人間には、やっぱりなかなか渡せないもので。
結果、先の不審な行動繋がっている訳である。
「・・・いつまでもこんなことしてたら、皆に不信がられかねないし・・・。そ、そう!これは義理!”義理ちょこ”とやらなんだから、別に私が渡したって不思議は無いはずよね?!うん!そうよそうよ!・・・で、でも、普段あんな態度な私が渡したって、義理ですら説得力が無いかも・・・」
ま、ずっとこんな調子、彼の部屋の近くを、行ったり来たりな訳である。・・・普段の行いが大切。誰かさんに同じ事言った記憶があるなー・・・はあ。
「・・・それはともかく、どうしたもんだか。これ、どうやったら一刀に渡せるかしら」
「・・・・・・・俺がどうしたって?」
「・・・だから、あんたにどうやって、ちょこを渡そうかって悩んでんでしょうが!このへんた」
「・・・チョコって・・・桂花が、俺に?」
「Mみmlpcしおs@k@期あおjp@!?!!??!?!?」
何を喋ったか覚えてません。
てか、多分今私、顔真っ赤だ。頭から煙でも吹いてるかもしれない。
「・・・桂花?どした?顔真っ赤だけど、熱でもあるのか?」
・・・・・・・・・こういう肝心なところで抜けてるところも、まあ、彼の魅力の一つなんだろうけど。
「・・・・・・・・・・・ぎ、ぎぎぎ、ぎ、ぎぎ」
「ぎぎ?」
「・・・ぎ、義理!だけど!あ、あげといてやるわよ!せ、せいぜい感謝して食べるのね!たっぷりの毒入りだけどね!!そ、それじゃそういうことで!!」
「あ!おい!」
彼の手にそれを押し付けた後、一目散に走り出しました。その後のことは、ぜんぜん覚えてません。・・・・・・・・・・・とりあえず、渡せたから良しとしよう。うん。・・・なんかとんでもないこと言った気がするけど。
二月後日
とりあえず、彼は生きてます。
まあ、ほんとに毒を盛ったわけじゃないから、当たり前といえば当たり前なんだけど。・・・食べて、くれた・・かな?
華琳様はちゃんと食べてくださったようで、
「なかなかおいしかったわよ、桂花」
と、褒めてくださった。もちろん、その日の閨で♪
けど、彼からの反応はまったく無し。
ま、まあ、それならそれで、私があいつに、ちょこを渡したことが露見しないですむんだけど。・・・・・・やっぱり、感想はちゃんと聞きたいわけで。たとえば、
「・・・チョコ、いまいちだったな」
「え?!どうして!?味付け間違えた?!」
「いや。・・・・もう一つ、味に変化が欲しかったな。たとえば、そう・・・桂花、君の全身にチョコを塗りたくるとか、さ。そうすれば、チョコごと君を味わえたのに」
「そんな、恥ずかしい・・・。でも、一刀が望むなら私は・・・!!」
・・・てなことになったりとか?!やんやん!一刀のえっち!!
・・・・・・・な~んてことになったらいいなあ、なんて思って居たんだけど。結局、あいつからは何も言ってこない日々が、それからも続いたわけで。・・・・・・・はあ。
三月十四日。
あれから一月たったこの日の夜。
私は一人で、自室にて、これでもかというくらい、ニヤニヤしてました。
・・・なんでかって?
・・・うふ。
うふうふうふふふふふふふふ。
あ・・・・・・・こほん。
事は今日の昼。
昼食を終えた私は、午後の仕事に取り掛かるため、魏の屋敷に戻っていました。で、そんな私の下を、一刀が訪ねてきました。
「あによ、種馬。真昼間からさかりでもついた?言っとくけど、私に変なことしたら舌噛んで死ぬからね!あ、その前にあんたを殺ってからだけど」
とまあ、いつもどおりの反応(苦笑)を彼にする私。
「いや、別にそういうつもりは無いって。えっと、さ。その、この間のチョコのお礼、させてもらいたいなーと。そう思ったんだけど」
え?
お礼?
ちょこの?
・・・・・・・・嬉しい!
も、その場で飛び上がって喜びそうなぐらい、私の心は躍りまくってました。
・・・でも、何で一月も経ってから?
その疑問を素直に口にしてみる。・・・まあ、その口調はしっかりと悪口交じりなんですが。
「・・・えっと、さ。バレンタインの一ヶ月後の日はさ、ホワイトデーって言って、チョコを貰った男のほうが、今度は女の子に御礼をする日なんだよ」
・・・へー。そんな風習になってるんだ。
「だからさ、今日はそのホワイトデーの日だし、この間のチョコのお礼をまだ言ってなかったしさ、それも兼ねてってのがちょっとばつが悪いんだけど」
ごそ、と。
服の中からそれを取り出す一刀。
「桂花、チョコ、ありがとうな。義理でも嬉しかったし、とってもおいしかったよ。・・・はい、そのお礼。・・・・・受け取ってくれるかい?」
「・・・・・・・・・・・ふ、ふん!ま、まあ、別に、感謝されるのは当たり前だけど、そ、そんなに言うんなら、も、貰っといてやるわよ」
とか言いながら、心臓爆発寸前の私だった。・・・顔、にやけてなかったわよね?
で、そのときのそれが、私の手に今乗っているもので。
それは、小さな小箱。
開けると、何かの音楽が流れてくる。優しい感じの、ゆっくりとした曲。
”おるごーる”、というものらしい。
天の国の知識でもって、真桜に協力して貰って、一刀が自分で作ったらしい。曲も、天の国の有名な、らぶそんぐ・・・愛の歌だそうだ。
その曲に耳を傾けながら、私は、一刀の姿を頭に浮かべ、ずっとニヤニヤしていた。
歌詞はさすがに判らない。
彼も教えてはくれなかったし・・・・・・・なんでかは知らないけど。
だから、音階だけを、私は静かに口ずさむ。
「・・・・・・らららら、ら~ら、ら~ら~♪らららららっら、ららら~♪」
その優しい音階に、彼への、けして口に出来ぬ、この想いを重ねて。
~えんど。
追記:
最後の曲、わかった人が居ても、決してタイトルは言わないでくださいね。
コメに書いちゃ、い・や、ですよ?www
じゃ、そゆことで。
ちょっと逃げてる最中なもんで。
?「こらー!この変態親父ー!」
?「待たんかい、このクサレがー!」
?「我らへの御礼を忘れるとはどういうことだー!!」
あ、やべ。
それではみなさん、さようならー(ダッシュ!!)
あ、このページに関してはコメの対象から外してくださいねー。
コメは純粋に、日記の感想だけでお願いしまーすwww
でわでわ!
???『こらー!!待てー!!』
誰が待つかーい!!フヒーヒー♪
終劇・・・?
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北朝伝。
まったく出来ませんw
話がぜんぜん浮かばない今日この頃。
・・・煮詰まったとも言うけど。
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