No.175008

少女探偵レモンと謎の暗号

ココさん

モニカの帽子が盗まれてしまう。その公園にはJという文字のカードが残されていた……。レモンとモニカは捜査に乗り出す。

2010-09-27 14:07:36 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:530   閲覧ユーザー数:509

「大変!大変!」

 

と少女探偵レモンの事務所にかけこんできたのは、知り合いのモニカ。

 

「いったいどうしたの?」と黒髪ロングの探偵少女、レモンはいった。彼女がいつも被っている、キトンのシルクハットの帽子は脱いでテーブルの横にちょこんと置いている。

 

「わたしの帽子が取られちゃったの!」

 

モニカはクラウン・ハットがお気に入りだということをレモンは思い出した。

 

「誰に?」

 

「公園で、ちょっとタイヤキを食べにいっていたら、怪しいおじさんが来て、ジョーカーのカードとわたしの帽子を交換しないかって? 断ったら……大変なことになりそうだから、帽子をあげて、逃げてきちゃった」

 

タイヤキ……というものにも興味があったが今はそれどころではない。

 

ジョーカーのカードとは何だろう?と思う。

 

「とにかく、行ってみましょう!」とレモンはモニカにいう。

 

二人は公園に向かった。

 

近所の人から、警察にすでに連絡があったらしい。あたりには人が集まっている。逮捕された人間がいるらしい。

 

レモンとモニカは茂みの中をこっそりと行動する。

 

「モニカどう?」

 

「あの人に間違いないわ。怖そうな人だわ」

 

逮捕された人間が連行されていくと、レモンとモニカは茂みから出てくる。調査のためなのだが。

 

「なんだね? というよりもレモン探偵ですかな^w^」

 

とからかいの表情を浮かべられる。若く、ハンサムな男性刑事だ。

 

「こう見えても>< わたしは本職の子ども専用探偵です!」

 

とレモンはむきになっていう。よりによってこの刑事はレモンのことが好きな刑事なのだ。

 

レモンは彼を振ったのだが、以来仲良しオーラを放っている刑事なのだ。

 

……困ったわね、とレモンは思う。

 

モニカのほうは二人の事情を察せないらしく心配そうに見ている。

 

こうしていても仕方ないので、レモンはモニカに起こった出来事を説明する。

 

「ふむ……今回の被害者はモニカさんですか。Mですな。しかし帽子のハットのHの次は、ジョーカーのカード、Jですか。これは裏があるとレモン探偵は思いますかな?」

 

はっきりいうとレモンは自信があるだけで、単なる素人探偵である。しかし。

 

「事件が終わったと、断言する証拠はないでしょう?」

 

とあまり賢くない台詞をいってしまい、すぐに後悔した。

 

ただ今後のことを思うと、帽子を確かめたほうがいいと助言する。それには同意した刑事たちはモニカの帽子を調べた。

 

やがて、異常なし、としてモニカの帽子が返ってきた。

 

ほっとしたようにモニカがクラウン・ハットを被る。

 

「いやいやさっきは皮肉をいっているんじゃない。この記事を見てください」とさっきの刑事、グラスフィールドがいう。

 

学生のアーサー・レイフィールド、盗難にあう。バッグを盗まれる。現場にはCのカードが落ちていた。

 

「これはABCです」

 

ほかにも被害者のアルファベットがD、盗まれたものがE、残されたカードがFと続く組み合わせで事件が起きている。たしかに妙だ。

 

それよりも……とレモンとモニカと思う。購読していない記事だったので見逃したが、被害者は友達のアーサーではないか。

 

「アーサーは私たちの親友だわ」

 

「ほうどんな子ですかな?」

 

「ミステリ倶楽部の会長の息子で、恋人のカレンがいる。ハンサムじゃないけれど性格がいいらしいわ」

 

そのときふとレモンはその恋人を自称する刑事、グラスフィールドの視線が険しくなったのを感じた。

 

「ミステリ倶楽部ですか……。なんでも妙な遊びを流行らせているとか……」

 

トランプゲームのことだわ!

 

とレモンたちは思う。しかしどうも誤解しているらしい。

 

ミステリ倶楽部にはそんなことをする人間はいないはずだが……。たぶん。

 

それに今回の容疑者はどうも……ミステリ倶楽部とは無関係だし。

 

そこでひらめいたことがあった。

 

少女探偵レモンは微笑んだ。

 

「この事件、ミステリ倶楽部とは無関係ですわ!」

 

「やはりね」

 

と刑事のグラスフィールドが感心したようにレモンを見つめる。

 

「警察も、ミステリ倶楽部会員の全員のアリバイを洗った。全員シロ。となると単なるもの取りか……変質者」

 

「彼らがミステリ倶楽部のまねをしたのかしら?」とモニカ。

 

「そして、その犯人が捕まったのですけれど、でも、この事件そう簡単なものとは思えませんわね?」

 

「レモン? そんなことがどうして分かる?」とグラスフィールド刑事が不思議そうに問う。

 

「あの頑固なミステリ倶楽部なら自分の作ったトランプのルールを曲げることはありません^w^」

 

とレモンはいう。

 

「たしかにそうですわね」とモニカは納得する。

 

「M(モニカ)→H(帽子)→J(ジョーカー)という組み合わせはアルファベットとしての連続性がありませんわ」

 

ミステリ倶楽部の考えたトランプゲームでは連続して出す数字を出す必要がある、とレモンは説明する。

 

「レモン。そんなことが証拠になると思うかい?」とグラスフィールドが心配そうに声をかける。

 

「ちょっとアルファベットを並べてみましょうか?」とレモンは微笑む。一瞬、ぼーっとその様子にみとれてしまうグラスフィールドだったが。

 

「ABC」「DEF」(G)「H(I)J(K)M」

 

空白はGIK……。

 

「Gへ。わたしは殺す(アイ・キル)……でしょうか……?」

 

と青ざめた顔で、モニカが告げる。

 

「そう誰かが暗号を作るために、動いているのよ……大掛かりな犯罪の組織が」

 

「大変だ……」とグラスフィールドがいう。すぐに二人の推理は警察に伝えられた。

 

レモンの報告書:やれやれ、世界というのは単純ではないわね。

 

警察は過去の事件のメッセージを調べているわ。おそらく仕組まれた、事件の被害者の名前や盗難品によって、暗号が伝達されていたのよ。

 

(もちろんミステリ倶楽部の人間とは無関係である。)


 
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