「一刀くん!」
「月お姉ちゃん!」
洛陽にて感動の再会を果たす二人。
月は自分を抑えきれずに一刀くんに向かって走り出した。
しかし、それを阻む者が居た。
「一刀くん! ボクも会いたかった!」
「詠お姉ちゃん」
詠は月を抜き去り一刀を抱きしめた。
「元気だった詠お姉ちゃん?」
「ううん。一刀くん離れてからボク寂しくて……」
「俺も詠お姉ちゃんに会いたかったよ」
「一刀くん……」
感傷に浸る二人。
詠の変わりように驚きを隠せない周りの者たち。
そして……
「詠ちゃ~ん? ちょっとお話があるんだけど」
素晴らしくいい笑顔の月がいた。
「ま、まって月! 離せば分かるわ!」
「へっへっへぅ」
月は詠を連れて別の部屋に消えてしまった。
「……あはは。霞お姉ちゃんと華雄お姉ちゃんと恋お姉ちゃんも久しぶり」
「う、ウチも抱きしめたいけど月の後にしとくわ」
「あ、あんな董卓様初めて見たな」
「…………月怖かった」
気を取り直して改めて董卓軍の面々と挨拶を交わす一刀。
全員先程の月にビビっていたが。
そこで一刀は初めて見る顔が居ることに気付く。
「れ、恋殿。この小さいのが天の御遣いですか?」
前回はお留守番だった陳宮――音々音である。
「……(コクコク)」
無言で頷く恋。
「恋殿が真名を許すならねねも許すのです。ねねは陳宮というのです。真名は音々音ですが言いにくいのでねねでいいのです!」
「分かった。よろしくねねお姉ちゃん!」
「こ、これが天の御遣いの力……!」
存外にお姉ちゃんと呼ばれることが嬉しいねねだった。
「それにしても大変なことになりましたね」
月と詠が戻って来たので稟が本題を切り出した。
詠はぐったりしていたが、すぐに真剣な表情な変わる。
「袁紹のバカにやられたわ。月がそんなことするはずないのに」
「せやなー。でも起こったもん仕方ないしなー」
「……恋がみんな守る」
「連合などと軟弱な連中などこの私が蹴散らしてくれるわ!」
「恋殿がいれば十分なのです!」
それぞれ負ける気などは毛頭なかった。
「そうだね。俺たちも月お姉ちゃんを守るためにここまで来たんだから」
「私の鍛えた連中に死角はない」
「宝譿、準備はいいですかー?」
「問題無いぜ!」
「この日の為に溜めてきましたから」
北郷軍もやる気は十分にあった。
「皆さん……ありがとうございます」
月は素晴らしい仲間たちに涙を流して喜んだ。
それ見た一刀たちは絶対に負けられないと決意する。
「連合は汜水関から少し離れたところに陣を張るようです」
檄文に記されていたのでおそらく間違いはないだろう。
「洛陽までは汜水関と虎牢関の二つの関があるわけね」
「そうですねー。守りに特化しているので有利と言えば有利ですねー」
「斥候の情報によると敵は約二十万人を超えるそうです」
大陸各地の諸侯たちが集まる反董卓連合。
その数は董卓軍と北郷軍の数を合わせても及ばない。
「それだけ数が多ければ兵糧はあまりももたないのですよ」
「そうね。二ヶ月ってところかしら」
「それだけの期間守り切れば連合は自然と解体される」
「汜水関と虎牢関、そして恋殿がいれば問題ないのです!」
ある程度策が纏まりつつあった。
「汜水関には誰を配置しましょうか?」
「そうね……」
誰を配置するかで話し合う四人。
「俺も汜水関に行くことにするよ」
一刀の意見に董卓軍は皆反対する。
北郷軍は一刀の性格が分かっているのでため息をつくばかり。
一刀の意思が固い事を知ると、今度は自分も汜水関に行くと言い出す者が続出。
そして、
「結局みんな汜水関に来ちゃったな」
月と詠を除く全員が汜水関に来ていた。
汜水関に籠もるのは北郷軍三万と董卓軍三万。
虎牢関と洛陽には董卓軍が四万人ずつ。
「それにしてもいっぱい旗があるな」
見渡す限り大量の天幕で覆い尽くされていた。
「おお、伯珪殿の旗も見受けられるな。おや、あれは桃香殿たちの旗だな」
「それって誰の事?」
「私がまだ一人旅をしていた頃に知りあった者たちですぞ。公孫賛殿に劉備殿。劉備殿の配下の関羽や張飛なども真名を交換した仲です」
やはりこの世界にも劉備、関羽、張飛の三人はいるようだ。
「なかなかの武を持っている者たちなので腕が鳴りますな」
愛槍を持つ手に力が入る星。
「どんな人なの? 劉備さんって」
「そうですな……。一刀くん似ていて底なしに優しい方であるな。一刀くんに会わなければあの方に仕えていたかもしれません」
星にそこまで言わしめる劉備に少し会ってみたいと思う一刀。
そして同時に自分を選んでくれたことを嬉しく思うのだった。
戦いの時は近い。
「へぅ~」
「もう泣かないの月」
「だって……」
「ボクだって一刀くんに会いたいんだから」
「詠ちゃん……」
「あ~あ。ボクも武官だったらよかったのに」
「私も……」
「ねえ月」
「なに詠ちゃん?」
「一刀くんに何かあったらどうする?」
「打って出る」
「付き合うわ」
「頑張ろうね詠ちゃん」
「うん……!」
完。
ほわちゃーーは女性の声ですww
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全てはその時の思いつきです。
だから終わりがどうなるかは知りません。
コメント欄の暴走は気のせいだと思いたいw
毎回の楽しみですけどwww