診察をする為、椿の部屋へ向かう一刀達。
一刀「………………」
星「如何なされたかな主?」
椿殿へ宛がわれた部屋へ向かう途中、一番後ろで俯いている我が主に声を掛ける。
一刀「へ?」
急に声を掛けられた事に驚いたのだろう、素っ頓狂な声を上げ、こちらを見る主。 私は笑ってしまいそうになるのを堪えながら答える。
星「ずいぶんと難しい顔をされておりましたので……」
一刀「え、そう? 特に何も考えてなかったけど……」
星「ふむ、そうですか?」
正直こうも嘘を吐くのが下手な人は初めて見た。 まぁ、あまり突っ込まれたくなさそうなのでこれ以上追求はしないが考えている事はなんとなくわかる。 後で菖蒲殿に相談してみるとしよう。
椿さんの部屋に着き、椿さんが寝台に腰掛ける。 爰京さんは椅子を持っていき、椿さんに向かい合うように座る。
爰京「さて、これから馬騰様の診察を開始するわけですが……」
そう言いながら爰京さんが俺の事を見る。
爰京「出来れば北郷殿には退室していただきたいのですが……」
一刀「え? 何で?」
退室を促された理由がわからず聞き返す。 俺の発言に菖蒲さんは呆れ顔、星はニヤニヤとした笑顔、楓さんはいつもの事の様な気がするが無表情、椿さんは頬を赤くしながら「あらあら~♪」と言っている。
爰京「あのですね……診察は症状や悪い場所を詳しく調べなくちゃいけない訳です」
一刀「うん、その通りだね」
爰京「詳しく調べる為には『服を着たままじゃ出来ない』んですよ」
一刀「………………あ!!」
理由がわかって自分の顔が熱を帯びるのがわかる。 よく考えればわかる事だった、自分のいた世界だってそうだったわけだし。
椿「別に一刀君になら見られても構わないわよ~♪」
一刀「なっ!?」
いきなり椿さんがとんでもない事を言う。 口調などもプライベート用に戻ってるし。
一刀「なななな、何言ってるんですか椿さん!! そんな軽々しく見られてもいいとか言ったら駄目ですよ!! 俺は別に見たいから残ってた訳じゃないですよ!! ただ本当に気が付かなくて……」
菖蒲「えぇい!! 言い訳なんぞいいからさっさと出て行かんか!!」
菖蒲さんからお尻に強烈な蹴りをくらい、逃げる様に部屋を後にする。
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星「はっはっはっ……主は毎回毎回楽しませてくれる」
菖蒲「全く……焦り過ぎじゃ」
北郷殿が部屋を出て気配がなくなってすぐ趙雲殿の笑い声が響き、韓遂殿の呆れた溜息が聞こえる。
爰京「北郷殿は普段からあのような感じなのですか?」
楓「まぁ……いつもはもう少し気がつく奴なのだがな……椿の事が心配だったんじゃないか?」
椿「あらあら~、照れちゃうわね~♪」
まぁ私としてはさっきの北郷殿の行動のおかげで馬騰様の緊張がほぐれたみたいなのでありがたい限りだ。
爰京「さて、では馬騰様。 診察の方を始めさせていただきます」
椿「えぇ、お願いね」
診察も終わり、馬騰様達が私の言葉を待っている。
爰京「お待たせしました。 診断させていただいた結果ですが……すでに病魔がかなり進行しているみたいで今の状態で完治させる事は私の腕では正直不可能だと思います」
椿「そう……」
私の言葉にひどく落胆の色を見せる皆さん。
爰京「ですので病魔の進行を可能な限り遅らせて、長い時間を掛けて治療していきたいと思います」
楓「と言う事は……治るのか?」
爰京「必ずではありません、ただこの方法が一番可能性が高いだけです……それでも天に祈らずにはいられないほどですが……」
椿「それなら大丈夫よ~、だって一刀君が付いているもの~♪」
馬騰様の言葉に私以外の皆が笑う。
楓「ふ……そうだな…」
菖蒲「あやつは天の御使いだからの…」
星「では椿殿の病気も治ったようなものでしょう……」
今の会話でいかに北郷殿が信頼されているのがわかる。 さっきのやり取りといい、そこにいるだけで癒されているような、彼の人格の賜物なのだろう。
爰京「それではさっそく治療の方を始めさせていただきます」
私はこれから長くなるであろう治療を思いながら荷物の奥の方に入れてあった鍼入れを取り出す。
どうも茶々零です。
第17話いかがだったでしょうか?
遅くなってしまって申し訳ありません。実はこれには理由がありまして……
『熱中症』で運ばれました(笑)
さすが茶々零!! 流行には乗り遅れない奴ですwww
とまぁ、空元気はさておきちょっと大変な感じでした。
まだ本調子ではないので完治してからまた書き始めたいと思います。
また遅くなるかもしれませんがご勘弁ください。
コメントの方も返信できなくてすいません、余裕がある時にまとめて返信させていただきますので……
でわまた第18話でお会いしましょう。
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遅くなりました。第17話です。