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「え~なんでこんなことになっているんだろう?」
「あれだ理樹、俺達が恭介に選ばれたからさ」
二人は今椅子に座らされ解説、実況と書かれた手作り
感たっぷりの(実際にはるちん作と脇に書かれている)
紙が置かれた机に手を置いて、眼前今から始まらんと
している二人の戦いに注目している。方やランキング
に参加している女子の中で最強の筆頭、来ヶ谷唯湖、
対するはメルヘン少女、神北小毬。
「この組み合わせは、むしろなんで来ヶ谷さんが!?」
理樹が思い浮かべた疑問は単純にどっちが挑んだか。
小毬さんが?まさか来ヶ谷さんが?と
「そういや理樹はランキングに無頓着だったな、小毬
はあれでランキング一位なんだぜ?」
「嘘!?」
その脇から恭介がひょっこりと顔を見せた。
「ついでに言うと先日真人も負けていたな」
「グハァ!?」
現れすぐに真人にダメージを与えてた辺りは流石である。その真人は何やら暗い表情で
「油取り紙で、それも一枚の油取り紙でどうやって勝てばよかったんだ……」
ダメージを受け暗黒面へ旅立っている様子の真人を視線から外して、恭介は一度肩を叩き
頼んだぞと告げて恭介は二人の間にジャッジとして介入。理樹は諦めながら溜息を吐いた。
「さぁ開幕の声が響くと同時に観客から一斉に者が投げ入れられた!」
しかし意外と乗り乗りな理樹に未だに暗い真人の二人。真人においては落ち込み方が酷い。
「ふむ、これだな」
来ヶ谷は飛び込んできたそれを手に取った。それは長距離移動の必需品にすらなっているだ
ろう物、退屈なひと時を忘れさせてくれる代物。
「おいおい理樹、来ヶ谷のやつmp3だぜ!」
「うん、あれは60GBのだね」
手に取り苦悶の表情を浮かべる、何気にイヤホンを耳に入れて選曲する姿がシュールだ。
「ん~これだよ~」
ほんわかと小毬も飛んできた物を手に取る、それを見た瞬間に真人の顔が引きつった。
「どうしたの?顔色悪いよ真人」
「あ、あれは……あれはぁ!」
顔を覆う、その先で小毬が手にしていた物は
「本当にどうしたのさ?小毬さんが手に取ったのだって何の変哲もないぬいぐるみだよ?」
蒼と白のコントラストにデフォルメされたその姿がまぶしい、ペンギンのぬいぐるみであ
った。真人は呟く悪夢だと。対して来ヶ谷は相手の武器も殺傷能力に欠けるぬいぐるみであ
ることに安堵したのか改めて選曲に戻る。そんな二人に恭介が幾らかのことを確認して
「じゃあ始めるぞ?ゲームスタート!」
ここに戦いが始まった。先手を取ったのは皆の予想通り、来ヶ谷。
「ふ、私の躍りについてこれるか小毬君!」
リズムに乗るぜ!といわんばかりに激しく躍る、そして彼女の動きについていくようにた
なびく長い黒髪がその躍動感を押し上げ、同時にしなる鞭のように小毬に襲い掛かる。
「あぅ、くすぐったいよぉ」
ぱしんぱしんと乾いた音とともに来ヶ谷の髪の毛が小毬の頬を張っていく。
「さぁ先手を取ったのは来ヶ谷さんだ!そこの一部男子!眼を輝かせないでください!」
理樹が指示する中、何やら期待の色に染まっていた目を反らす者が幾人か現れ、理樹はそ
れを黙殺して視線を戻す。そこにはペンギンのお腹を掴み、天に掲げる小毬の姿があった。
「えっと、小毬さんはあの体勢から何をするので『いっくよ~!』しょうか!」
理樹の実況と小毬の声が被る、途端に羽ばたくペンギンの翼。周囲を巻き込んだその驚愕
に対戦者の来ヶ谷さえも踊りを止めてその光景に見入っていた。そしてペンギンは
「飛んだ!?」
そう、確かに今ペンギンのぬいぐるみが小毬の足を地面から引き離したのだ。
「そ、それは飛ぶのか?小毬君」
「そうですよ~ペンギンだって空を飛ぶんです」
何かが間違っているが彼女の持つ雰囲気がその全てを黙殺していた。羽ばたくペンギンは
動かぬはずのその眼を光らせて翼を折りたたむ。上空からの滑空、ペンギンはいっそ優雅
なまでに来ヶ谷にその嘴を突き立てた。もっともぐにゃりと曲がるあたりが布と綿の産物
であるが。だがそれだけでペンギンは止まらなかった。
「こ、ここでペンギンのぬいぐるみが来ヶ谷さんにラッシュを仕掛けた!」
翼が切り裂くように横薙ぎに振るわれ当たった先から曲がる、クチバシがその豊満な胸に
突き刺さり、互いの強度ゆえに双方とも歪む。それを一生懸命動かす小毬さん。
「しかし来ヶ谷さん何やら幸せそうに笑っている!?」
そのラッシュは十全なダメージを与えていなかった、筈だった。
「ふふ、見事だ小毬君……」
「来ヶ谷さん鼻血を出して倒れた~!しかしその表情は恍惚としている!……真人!」
未だ返事をしない壊れた真人に溜息を一つ、眼前で恭介が小毬の勝ち名乗りを上げていた。
「今回のバトルは小毬さんのTKOということで、それではまた次回に、よい期末テストを」
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私のリトバスだけかランキングでほぼ常に上位にいる彼女に限定装備を与えて見たらこうなった。