目を覚ましたとき、私は布切れ一枚だけを身に纏っ
ていた。隣では、リキが気持よさそうに寝ている。
……たのだけど、
「あ、起きたの?」
突然目をぱっちり開き、恥ずかしそうに身を捩らせ
る私を、そのたくましい腕で包みこんできた。
「わふっ……」
「ん、なに、気持ちいいの?」
リキは、いじわるだ。私が答えられないのを知って
いて、ニコニコとそんなことを訊いてくる。
「ん、なに? その恰好恥ずかしい?」
「わ、わふっ……」
ぴろり、と私の大事なところを隠している布を指で
つまみ上げた。
そしてそのまま、鼻を首元に押し付けてきた。
「ん、いい匂い」
ゾクリ、と背筋が震える。リキの鼻息が、すぐ耳元
で感じられる。
恥ずかしさのあまり、私は掠れた声ひとつすらも出すこともできない。
リキはそんな私の身体を、好き勝手に撫で回してくる。ただでさえ人には見られたく
ない姿なのに、リキはそんなことお構いなしだ。
「あ、リキ、こんなところにいましたですか」
穴があったら入りたい、私がそう思った時、我が飼い主の声が。
「あ、クド」
ぱっとリキの顔が私から離れる。
「ヴェルカ~、リキに遊んでもらってたですか? なでなで」
「ヴェルカすごくいい匂いだったよ」
「そうですか。手入れの甲斐ありましたっ」
「それと、その服みたいなの、恥ずかしいみたいだから脱がそうとしたんだけど……」
「あ、それは悪いことをしました。……えっと、これは、こうすれば簡単に取れますで
すよ?」
ようやく恥ずかしい恰好から解放され、私の喉は調子を取り戻した。
「わ、わふ……わんっ!」
だから、元気よく吠える。
私ヴェルカは、今日もご主人様に仕えます。
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リトバス短編です