No.154535

真・恋姫無双呉ルート(無印関羽エンド後)第二十三話

海皇さん

どうも、23話投稿しました。
もうすぐ試験なのでこれから更新どうなるか分かりませんが
出来る限り更新していきたいです。

2010-07-01 10:31:56 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:9698   閲覧ユーザー数:7665

「あれっ!?もう華雄捕らえちゃったの!?」

 

 愛紗の声が辺りに響いたとき、隣で雪蓮の驚いた声が響いた。

 俺がつられて愛紗の方を見ると地面に倒れ伏した華雄の隣で愛紗が新しい偃月刀、冷艶鋸を掲げて立っていた。

 やっぱり愛紗が勝ったか、まあ大丈夫だと思っていたけど。

 

愛紗の新しい武器、冷艶鋸は俺達が新しい外史に来たとき、爺ちゃんの知り合いの刀工に頼んで造ってもらったものである。

 前の偃月刀より軽く、それでいてより鋭い切れ味と頑丈さも兼ね備えた業物である。

 まあ前より軽いといってもそれでも10キロ近くあるから普通の人では扱うのは難しい。

 外見は刀身の飾りの龍が、前と違って金色になっていることで、あと柄の部分の真ん中が取り外し可能で分割して持ち歩くことも可能なところである。

 ちなみに冷艶鋸とは史実の関羽が使用した青龍偃月刀の名前である。

 前の偃月刀には名前がなかったので愛紗が史実の関羽が使用した偃月刀の名前を付けたのである。

 愛紗もこの武器をかなり気に入ってくれて、よく刀身を自分で手入れしたりしている。

 

 ああちなみに以前使っていた青龍偃月刀なんだけど俺達が新しい外史に来たときに無くなっていた。なんでだろうな。

「な、言っただろ?愛紗なら大丈夫だって」

 

 「う~ん、私も信じてなかったわけじゃなかったんだけど、ここまで早いと実力差感じるわね~・・・」

 

 「まあまあ、関平は天将だからしかたないよ」

 

 「まあ、そうなんだけどね~・・・」

 

 何か雪蓮どこか悔しそうだな・・・。まあ確かにかなり実力差あるしな、雪蓮と愛紗には。戦場を駆け回った経験と教えを受けた師匠の差だろうな。

 

 「む?敵が逃亡を開始したか。雪蓮、そろそろ突撃するぞ」

 

 「あ、そうね、それじゃあいきますか」

 

 と、まあ後は逃亡する敵を追撃しつつ汜水関を攻略、無事戦は終了といったところである。

 あと張遼は華雄が捕獲されたのを聞いていち早く部隊共々離脱して虎牢関に向かったらしい。行動が迅速というか逃げ足が速いというか・・・。まあいいか。

 まあこうして汜水関を攻略した俺達は陣地において華雄の尋問を行っていた。

 

 「さてと、華雄」

 

 「おのれ~孫策!!よくも私のことをぼろくそ言ってくれたな!!!いますぐ尋常に・・・」

 

 「まあまあ、あの時はあなたを誘い出すために言ったんであって、本当は悪かったって思ってるのよ。この通り、許して」

 

 雪蓮はそう言って華雄に向けて頭を下げてわびた。これを見た華雄はさすがに驚いたのか怒鳴るのをやめ、

 

 「む・・・まあ・・・作戦で言ったのなら仕方ないな、うん。その策に嵌った私にも責任はあるのだからな」

 

 少々口ごもりながらそう言った。どうやら根は悪い人間ではないらしい。

 「ありがと、で、話の続きなんだけれど、都の董卓の暴政についてなんだけど・・・」

 

 「暴政?何のことだ?」

 

 雪蓮の言葉を聴いた華雄はそう聞き返した。

 

 「董卓が都で暴政を敷いているという噂だが・・・」

 

 「何を言っている。月はそのようなことはしない!」

 

 冥琳の説明を聞いた華雄はそう反発した。

・・・やっぱり月は暴政を行ってなかったか。

でもなら裏で誰かが月を利用していたってことになるな。

また左慈と于吉が暗躍しているのか?

 

「なあ、それじゃあなんで暴政を敷いているなんて噂が流れたんだ?」

 

「知らん!だが大方想像はつく!十常侍の連中の仕業だ!!」

 

 俺の質問に華雄は吐き捨てるようにそう答えた。

 十常侍だって?確か袁紹に全滅させられたはずだ。

  残った人間も自殺したはずだけど・・・。

「十常侍だと?全員死んだのではなかったのか!?」

 

 「奴等は死んでなどいない!!替え玉を使って死んだと思わせていたのだ!!

 奴等は帝を人質にして、裏で月達を、董卓様達を操っているのだ!!」

 

 蓮華の言葉に華雄は反論を返す。

 

 ・・・なるほど、つまり今、月は十常侍の傀儡になっているってことか・・・。

 そして十常侍の連中に罪を背負わされている、と・・・。

 前の世界以上に薄幸だな・・・。月は・・・。

 

 「ん~、話は分かったわ。でも既に汜水関が落とされた以上、連合の勢いも止められないわね」

 

 「ああ、たとえ今の話を袁紹にしたとしても、聞く耳は持たないだろうしな」

 

 雪蓮と冥琳は深刻そうにそんな話をしている。それを見ていた華雄はいきなり俺達に頭を下げた。

 

 「頼む!私はどうなってもかまわない!だが月は、董卓様は助けてくれ!このとうりだ!」

 

 俺達はそれをじっと見ていた。

 やがて俺は雪蓮の方を向いて、口を開いた。

 「雪蓮、董卓達、助けてあげられないか?」

 

 「!!」

 

 俺の言葉を聴いた華雄は驚いた顔で俺のほうを見ていた。

 

 「ふ~ん、何故?」

 

 「罪もないのに無理矢理悪人にされている人を見殺しにはできないだけさ。それに・・・」

 

 俺は華雄の方を見た。

 

 「こんなに必死に頼んでいるのに、その頼みを無碍にはできないよ」

 

 その言葉を聞いた雪蓮は、しばらく考えた後、口を開いた。

 

 「・・・もし私が嫌だと言ったら?」

 

 「その時は俺だけでも救出しにいくさ・・・「お待ちください!ご主人様!」・・・関平?」

 

 と、いきなり愛紗が俺の言葉に割り込んできた。

 

 「私はもう二度とご主人様と離れぬと決めたのです!ご主人様が行くと仰るのならこの私もまいります!」

 

 と、愛紗は少々怒り気味に言った。

 ふう・・・もしもの時は愛紗を巻き込まないようにしようと思っていたんだが・・・。

 でも、こんなに俺のことを想ってくれるなんて、ほろりとくるよ・・・。

 俺と愛紗の話を聞いた雪蓮はやがて溜息をついた。

 

 「やれやれ、分かったわよ。董卓の救出、私たちも協力するわ」

 

 「ほ、本当か!!?」

 

 雪蓮の言葉に華雄は目を見開いて驚いていた。雪蓮は髪の毛を掻きながら言葉を続けた。

 

 「まあここまで頼まれたんならね。それに、罪もない人間を放っておくほど私は鬼じゃあないのよ」

 

 「か、かたじけない!恩に着る!」

 

 雪蓮の言葉に華雄は礼を言いながら土下座をした。雪蓮は少し照れくさそうにしていたが、やがていつもの態度に戻って華雄に話しかける。

 

 「そのかわり、もし救出できたらあなた達には私達の傘下に入ってもらうわよ。

 孫呉の独立の為に人材が必要なのよ」

 

 雪蓮の言葉を聞いた華雄はしばらくうつむいていたが、やがて顔を上げた。

 

 「承知した。この華雄、約束しよう」

 

 「ええ、これからよろしくね、華雄」

 

 雪蓮は笑顔で華雄の言葉に答えた。と、隣で聞いていた蓮華が雪蓮に話しかけた。

 

 「お姉様、よろしいのですか?仮にも今まで殺し合いをしていた将ですよ?」

 

 「大丈夫よ、華雄の言葉は真実よ。既に明命から報告が届いているわ」

 

 雪蓮の言葉を聞いた蓮華は納得したのか文句一つ言わなかった。というか知ってたのか、雪蓮。それじゃあ俺はからかわれていただけか?

 

 「それで華雄、一つ聞きたいんだけど虎牢関の将ってどんなのがいるの?」

 

 雪蓮は唐突に華雄に質問した。

 

 「虎牢関に配備された将は呂布、軍師に陳宮がいる。あと撤退した張遼もいるだろうな」

 

 「呂布、ねえ・・・。最強って噂だけどどれだけ強いの?」

 

 雪蓮の質問に華雄は顔を少し顰めた。

 

 「奴は化け物だ。何しろ以前黄巾党の一部隊を壊滅させたことがあるからな。・・・たった一人で」

 

 「・・・ちょっと、なんか勝ち目なさそうなんですけど」

 

 華雄の言葉に雪蓮たちは顔を暗くする。

 確かに恋は相当強い。おそらくこの世界でも以前と同等の実力だろう。

 でも・・・

 

 「なあ華雄、関平は呂布に勝てそうか?」

 

 俺は華雄にそう問いかける。もし前の世界の恋と同じ程度なら今の愛紗の実力なら勝てる可能性はある。

 

 「・・・実際戦ってみて分かるが、関平殿の実力なら呂布とも充分渡り合えるはずだ。

 ひょっとしたら呂布に勝てるかもしれない」

 

 華雄の言葉に俺はほっとした。

 ならば恋は愛紗に任せれば問題ないか・・・。

 

 「なるほど、じゃあ関平は呂布を頼めるかしら?」

 

 「承知しました。できるのならば生け捕りにしましょう」

 

 「ええ、よろしく頼むわね、関平」

 

 そして俺達は一晩中虎牢関の攻略について話し合った。

 

 劉表side

 

 「やれやれ、招かれざる客かと思えば、お前達が来るとはな」

 

 劉表は目の前にいる二人の女性に肩をすくめて話しかけた。

 

 「いかにかつての友とはいえ、余はお前達の主の仇、その陣営にのこのこ来るなど、

 豪胆なのか、阿呆なのか・・・」

 

 「なに、単純にかつての友の顔を見に来ただけよ。どうやら息災らしいの、紅刃」

 

 劉表の言葉に女性の一人、祭は余裕そうな笑みを浮かべながらそう返した。

 その隣では六花が苦りきった顔をして祭を見ていた。

 

 「なんじゃ六花よ、かつての友との再会なのじゃ。いつまでも苦りきった顔をするでない」

 

 「・・・祭、ここは敵陣営なのですよ?いかに今連合で争うことは無いとはいえ、自分の主の仇の陣営に入るなど何を考えているのです?」

 

 「そう言いながらお主も着いてきたではないか」

 

 「あなたが心配だからですよ!全く・・・」

 

 言い争う二人を劉表はどこか懐かしそうな表情で見ていた。

「それでいったい何の用だ?まさか世間話をしにきたわけではあるまい?」

 

 「だから言っておろうが。おぬしの顔を見に来たと。何度も言わすでない」

 

 「ふん、己が主の仇討ちに来たのではないのか?」

 

 祭の言葉に劉表は笑みを浮かべながら聞き返した。

 その言葉に祭は笑みをやめて硬い口調で言い返す。

 

 「あいにくと今はその時ではないよ。それに、お主を倒すのはわし等ではない」

 

 「あの小娘か?虎と恐れられた母親ですら余に斬られたのにその小娘ごときが余を斬れるのか?」

 

 劉表の言葉に、今度は六花が口を開いた。

 

 「策様に流れているのは堅様の血だけではありませんわ。

 私達が始めて主と認めたあの方の血も流れていらっしゃるのです。

 あなどると怪我ではすみませんよ?」

 

 六花の言葉を聞いた劉表はその言葉に目を閉じた。やがて目を開くと再び口を開いた。

 

 「・・・もう用は済んだであろう。早く自分の陣に帰るがいい」

 

 その言葉に祭と六花はしばらく黙っていたが、しばらくすると陣の出口に向かって歩き出した。そして陣の出口の前に立つと再び劉表の方を振り返った。

 

 「さらばだ紅刃、かつての友よ」

 

 「再び会うのは、戦場になることでしょうね」

 

 そう言い残して二人は去っていった。

 二人が去った陣地で劉表は暗い夜空を見上げた。

 

 「ふん、そういえばあの小娘、お前の娘でもあったな・・・。

 だが果たしてあの小娘、どこまでいけることか・・・。

 見ものだな、友よ・・・・」

 

 劉表は夜空に向けて、今は亡き親友に向けてそう一人ごちた。

 

あとがき

 

 さて、今回は華雄が仲間になる話と劉表と祭、六花との邂逅です。

 

 このssの設定では劉表は雪蓮の父である刀牙とは親友同士で、

 

 祭、六花とも親交があったという設定になっております。

 

 これは後々の話に影響してくるんですが、まあそれは後のお楽しみで・・・。

 

 次回はようやく虎牢関戦です。ひょっとしたら一刀が意外な活躍をするかもしれません。

 

 乞うご期待!


 
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