No.127207

真・恋姫無双呉ルート(無印関羽エンド後)第十四話

海皇さん

 どうも、14話投稿完了いたしました。
 本当に長かった黄巾党戦ようやくラストです!
 それではどうぞご覧ください。

2010-02-28 13:32:01 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:12333   閲覧ユーザー数:9495

 夜になり、周りから諸侯がいなくなると、俺達は行動を開始した。

 

 「それでは、我等は行くとするぞ、冥琳」

 

 「ええ、お気をつけて、祭殿、六花様」

 

 「ふふっ、わかってますわ、冥琳」

 

 「あと雪蓮、お二方に迷惑を掛けぬようにな」

 

 「ちょっと~!冥琳、なによその言い方~!!私のことは心配してくれないの~!?」

 

 「お前はどうやっても死にそうに無いのでな」

 

 「ぶ~ぶ~」

 

 雪蓮は不満そうにしているけど、それだけ冥琳は雪蓮を信頼しているということだろう。

 

 「思春と明命はいつでも突入できるよう準備しておいてくれ」

 

 「「はっ!」」

 

 「蓮華様は穏、藍里と共に後方へ」

 

 「わかった」

 

 冥琳は思春、明命、蓮華へと指示を出す。

 

 蓮華は特に文句も言わなかったところを見ると、どうやら完全に吹っ切れたらしい。

 

 

 「では北郷殿は関平と共に右翼の指揮を頼む」

 

 「ああ、わかっ・・・ん?」

 

 なぜ北郷殿?

 

 「ああ、蓮華様から、北郷殿がかつて王だったと聞いてな。

 さすがに元王に対して呼び捨ては失礼であろう?」

 

 「別に気にしないけど、まあいいか」

 

 案外律儀なんだな、冥琳は。

 

 「さて、我等の役目はまだ先だ。しばらくは様子見としよう」

 

 「了解」

 

 そして俺と愛紗は、向こうから合図があるまで冥琳と雑談することにした。

「北郷殿はかつて大陸を支配した王だったと聞いたが、その大陸とはどれ程の大きさなのか?」

 

 「ん?まあこの大陸と同じくらい、かな?」

 

 冥琳の質問に俺はそう答えた。まあ実際この世界と前の三国志の外史と同じ大陸なら大陸の大きさも大体一緒だろ。

 

 「ほう、それでは北郷殿の王としての手腕は中々のもののようですな」

 

 「そんなことないよ。俺が王としてやっていけたのも、関平達がいてくれたからさ。

 一人じゃあ全く役にたたないよ」

 

 実際戦とか愛紗達にまかせっきりだったしな。政務もしょっちゅう朱里頼みだったし。

 

 「そんなことはありません!ご主人様がいらっしゃったから私も皆も戦ってこれたのです!役にたってないなんてことはありません!」

 

 そんな俺に愛紗は力強く反論する。

 

 「ふふっ、どうやらなかなかの人望があるようだな。北郷殿、これだけ慕われているのもまた、王の資質だ。あまり自分を卑下しないことだ」

 

 愛紗の言葉に冥琳は微笑みながら俺にそう言った。

 

 人望、ね・・・。まあ前の世界で俺はそれなりに慕われていた、よな・・・・。

 それを王の資質というなら、俺には王の資質があるってことなんだろうけど・・・。

「それで北郷殿、北郷殿はなにゆえ王位から退かれたのか?」

 

 うっ・・・、それはちょっと説明しづらいな・・・・。

 俺が愛紗の顔を見ると愛紗も困った顔をしていた。

 

 「まあ・・・色々あってさ・・」

 

 「そうか・・・」

 

 俺の言葉を聞いて何を感じたのか、冥琳はそれ以上なにも聞かずにいてくれた。

 

 実際その話はできればしたくない。

 説明しづらいのもあるし、あの外史が消えるとき、多くの仲間を置き去りにしてしまったことは、考えるだけでもつらいのだ。

 前の外史からフランチェスカの外史に着たばかりのとき、夜に、隣で愛紗が鈴々のことを思い出して泣いていた事を思い出す。

 いくら自分自身後悔していないといっても、自分の妹を失った悲しみは大きいに決まっている。俺自身、夜にはいつもかつての仲間達と共に過ごしたときの夢を見る。

 

 鈴々・・・朱里・・・星・・・翠・・・紫苑・・・願うなら別の外史で元気でいて欲しい。たとえ俺達が見ることも、感じることも出来ないとしても・・・。

 

 「北郷殿、顔色が悪いぞ、気分でも悪いのか?」

 

 そんな俺の顔を、冥琳は心配そうに見つめてきた。

 

 「い、いや、なんでもないよ」

 

 「そうか、なにかつらいことがあったら言ってくれ」

 

 俺が慌てて言い返すと冥琳はまだ心配そうにそう返した。

 まったく、いつまでもこれじゃあ駄目だな。

 これじゃあ向こうに置いてきた仲間達に申し訳が立たない。

 この外史で、やるだけのことをやってみよう。

 それが俺がこの世界に呼ばれた理由かもしれないから。

 隣の愛紗を見ると、愛紗もまた、何かを決意したような顔で俺を見つめている。

「む?向こうから合図があった。明命、思春、作戦を開始しろ!」

 

 「「はっ!!」」

 

 冥琳の言葉を聞いた思春と明命は部隊を率いて城に向かった。

 

 「では北郷殿と関平も配置についてくれ」

 

 「了解」「承知しました」

 

 冥琳の指示を聞いた俺と愛紗は返答を返すと、すぐに部隊を率いて配置についた。

 

 「しっかし、よく訓練されてるな。孫呉の兵は」

 

 俺の指示にも的確に従ってついてきてるぞ。

 

 「それは日頃祭殿や六花殿に鍛えられているからでしょうね。あそこまでやられれば嫌でも成果はでるものです」

 

 愛紗はその訓練とやらを思い出したのか顔が青ざめていた。

 

 「・・・そんなに凄かったの?」

 

 「・・・私がかつて行っていた訓練が天国に思える、と言っておきましょう」

 

 おいおい祭さんはともかくとしてあの普段おっとりしている六花さんもかよ・・・。

 あの愛紗の訓練より厳しいって・・・どういうのやってるんだか。

 

「む、ご主人様、砦から煙が出てきました」

 

 「お、もう火がついたのか。それじゃあ俺達も自分の仕事といくかね」

 

 敵の砦から煙が上がるのを見た俺達は、軍に指示を出し、雪蓮達の援護に向かった。

 

 

 

 その後、城に雪蓮達が突入し、やがて、敵の大将旗が倒れた。 

 

 「策様、敵の大将旗が倒れましたわ!」

 

 「よし!全軍抜刀!今こそ決戦の時!黄巾党を殲滅せよ!」

 

 『おおおおおぉぉぉぉ!!!!』

 

 雪蓮の号令とともに各地から孫呉の兵達の雄叫びが上がる。

 

 その勢いに士気の下がった黄巾党は、次々と討ち取られていった。

 

 こうして黄巾党は壊滅し、俺達は高々と勝ち鬨を上げるのだった。

 

 

劉表side

 

 

 「どうやら孫策軍の勝ちのようだな、白華」

 

 「そのようでございますね、我が君」

 

 戦場から少し離れた場所で、劉表は白い軍服のような服を纏った女性と話をしていた。

 

 この女性の名は蒯越、字は異度。劉表に仕える将の一人であり、優秀な参謀でもある。

また、劉表が荊州の統治者となってから仕えている最古参の臣下でもある。

 

 「もう少しもつと思ったが・・・案外あっけなかったな」

 

 「はい、二十万といえど所詮は烏合の衆。城に篭っていたとしても大した敵ではありますまい」

 

 「ふん・・・、所詮は弱者を殺し貪る事しか知らぬくずの集まりよ。

 現に余も、全く楽しめなかったわ」

 

 そう言いながら劉表は周りを見渡す。

 

 劉表の周りには、百を超える黄巾党の死体が転がっていた。

 すべてあの砦から逃げ出したものであり、劉表一人によって殺されたものでもある。

 

 「あまりお楽しみではなかったようですね」

 

 「当たり前だ。このような雑魚ではとてもではないが満足できん。

 もう少し骨のあるのはいないのか・・・」

 

 蒯越の質問に答えた劉表はふと横を見る。

 そこには、ただ一人生き延びた黄巾党の賊が震えながらしゃがみこんでいた。

 

 「ふん、まだ生きているのがいたか」

 

 劉表はその賊を目にとめると、自身の剣を抜きながら賊に歩み寄る。

 

 そして剣をその賊の首に押し当てた。

 

 「ひっ・・・・ひっ・・・・」

 

 賊はただ涙を流しながら震えていた。その様を劉表も蒯越も無表情で眺めていた。

 

「・・・貴様、命乞いをしろ」

 

 「・・・・!?」

 

 劉表の言葉に賊は顔を上げて劉表を見た。

 

 「我を王と崇め、泣き叫び、許しを乞うがいい。そうすれば命を助けてやるかもしれんぞ」

 

 劉表は不気味な笑みを浮かべながら賊にそう告げた。

 

 「お、王は貴方様ただ一人!ど、どうかお許しを!い、命だけはお助け・・・」

 

 

 

 「死ね」

 

 命は助かると思って跪いて許しを乞う賊に劉表はそう告げるとその心臓に剣を深々と突き刺した。

 

 「がっ・・・・はあ・・・!」

 

 賊はなぜと、問うかのように劉表を見る。

 

 「なぜと聞きたそうだな。言ったはずだ、命を助けてやるかもしれんと。その命を助けるか否かは余の心しだいなのだ。余は最初から貴様を殺すつもりだった、だから殺した。それだけよ」

 

 「あ・・・・が・・・・」

 

 その言葉を聞いた賊は、絶望に顔を歪ませながら息絶えた。

 

 「・・・・」

 

 剣に付いた血を布で拭い取ると、劉表はしばらく無言でその賊の死に顔を眺めていた。

「それで、お前の見立てでは孫策はこれからどうなりそうだ?」

 

 劉表は何事もなかったかのように蒯越に尋ねる。

 

 「は、将、軍師共に質のいい者が集まっております。袁術より独立するのもそう遠くはないでしょう。それよりも、気になる情報が」

 

 蒯越もまた、何事もなかったかのように劉表の質問に答える。

 

 「なんだ、申してみよ」

 

 「は、なんでも孫策の陣営に天の御使いと天将が降り立ったとか・・・」

 

 蒯越の言葉に劉表は目を細めた。

 

 「天の御使い・・・ああ、確かどこぞの占い師が言っていた戯言か・・・。

 して、そ奴らは本物なのか?」

 

 「いえ、まだそこまでは・・・。ただ両者とも、この大陸では見たことの無い服を着ており、天将の武はまさに一騎当千だとか。新しい情報が入るまでお待ちください」

 

 「うむ、くく・・・これで少しは楽しくなってきたな・・」

 

 蒯越の言葉を聞いた劉表は、屍の山で、薄らと笑みを浮かべた。

 

 

一刀side

 

 「お疲れ様、雪蓮」

 

 「うん、そっちこそお疲れ様、一刀、関平」

 

 雪蓮達が帰ってきたので俺達は雪蓮達を出迎えた。

 

 「六花さんも祭さんもお疲れ様」

 

 「あらあら、ありがとうございますわ」

 

 「いやはや、天界の王に褒められるのは悪くないのう」

 

 六花さんも祭さんも嬉しそうだ・・・て、ん?

 

 「ねえ、祭さん、その、天界の王って、何?」

 

 「なんじゃ、お主は天界で一度王だったのじゃろう?」

 

 いや、正確には別の三国志の世界で王をやってたっていう話で・・・って

 

 「・・・なんで祭さんが知ってるの?」

 

 「ん?権殿から聞いた」

 

 蓮華・・・しゃべったのか・・・。ってそういえば冥琳も知ってたしね。

 まあ別にばれて損するわけじゃあないけど・・・・。

「でも一刀が王だったなんてね~。これはますます一刀の血を呉に入れなくてはならなくなったわよ~」

 

 ちょっ、雪蓮、いきなりなにいいだすんだよ!って愛紗!そんな路傍の石ころを見るような目でみないで!あとその偃月刀は何!?

 

 「しぇ、雪蓮!俺は元王であって、今は王じゃないよ!それからそんなことしないから!」

 

 「んも~一刀ったら照れちゃって~。大丈夫、私いつ襲われても大丈夫だから♪」

 

 って雪蓮!いきなりくっつかないで!ちょっ、む、胸が当たってる!当たってるから!

 

「お、お姉さま!何をしているんですか!」

 

 と、突如蓮華が現れた。なんか顔赤くしてるけど・・・。

 

 「あら蓮華、別に私が一刀と何しようと勝手でしょ、邪魔しないで」

 

 「なっ、一刀が嫌がっているではありませんか!離れてください!」

 

 うわ~なんか修羅場になってきたよ、って原因は俺か。

 って愛紗!そんな殺気ださないで!その偃月刀さげて!

 

 「あら蓮華、いつの間に一刀を名前で呼ぶようになったの?やるわね~一刀!蓮華まで落としちゃうなんて♪」

 

 ちょっ、雪蓮!それ以上言ったら・・・。

 

 

 

 

 ぶっつーん

 

 

 

 

あれ・・・・。

 

なんか・・・いま・・・何か切れるような音が・・・。

 「・・・・ご主人様・・・・ずいぶんと楽しそうですね・・・・」

 あ

 

 愛紗が

 

 

 きれた

 

 

 「不負腐・・・そうでしょうね・・・私のような小姑のように口うるさい女より、

 雪蓮や蓮華のほうがいいでしょうねえ!!」

 

 ちょ!なんかまずい!愛紗の影から、ゴキブリに似た不死生命体が~!!

って雪蓮!なんでまた逃げ出すんだ~!!

 

 「いや~、だってまだ死にたくないもん♪」

 

 死にたくないもん♪じゃねえ~~~~~!!!!!

 

 ひい~~~迫ってくる!!ジョーカー化した愛紗が~!!

 

 

 

 「ゴジュジンザァバ!!ヴエエエエエエエエエエエエェイ!!!!!!!!!」

 

「ノオオオオオオオオオオオ!!!!!」

 

 それ・・・剣崎じゃん・・・・とつっこんだ後、俺の意識は途絶えた。

 

 

 

 ちなみに目を覚ましたのは戦が終わってから三日後のことだった。

 

 あとがき

 

 はい、というわけで今月最後の更新です。

 

 やっぱり愛紗は嫉妬してこそ、ですね。

 

 そこにオンドゥル語を混ぜたら面白いだろうと思ったのですが・・・いかがでしょう。

 

 さて、今回オリキャラとして蒯越が登場しました。

 

 劉表が荊州の統治を任じられた時からの臣下で、実直で真面目という設定です。

 

 まだまだオリキャラは出る予定です。

 

 ではまたいつか。

 


 
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