No.124035

恋姫異聞録13

絶影さん

反董卓連合
洛陽攻略辺③

もうすぐ洛陽戦が完結します
次は復興辺と拠点的な話を考えてます

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2010-02-13 00:21:40 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:24593   閲覧ユーザー数:19272

 

「曹操様っ!前線の夏候惇隊から洛陽へ一番乗りを果たしたと伝令がっ!」

 

「それで二人は無事か?先ほど呂布と戦闘していたようだがっ!」

 

息を切れ切れに報告をする兵に俺は本陣で見ていた呂布との戦いの結末を聞き出すべく、肩をつかみ詰め寄った

 

「昭様!落ち着いてください、無事です。お二人とも洛陽に入るなり夏候惇様は内部の制圧を

夏候淵様は城壁の制圧をしております。」

 

やってくれたか二人とも、これで王允どのとの約定も果たせる。俺はそれを聞き大きく

ため息を一つ、無事でよかった二人とも

 

「まったく、落ち着きなさい昭、これから兵を進め民の保護を優先に城内制圧をするわ」

 

「は、了解しました。夏候惇隊に伝令をっ!」

 

それを聞き兵が走り出す。一番乗りは果たした、後は春蘭と一馬が接触するのを

祈るだけだ、春蘭と一馬ならうまくやるだろう、そう考えていると進軍する目の前の城壁に秋蘭の姿が見えてきた。

 

「秋蘭、よかった怪我もしてないようだ」

 

「昭っ!あぶないっ!!」

 

曹操様の叫び声で振り向くと倒れていた敵兵が飛び起き、剣を握り締め

心臓に向け突きを放つ、しまったこの位置よけられないっ!

 

ドシュッ

 

血が噴出し両膝を地に付き崩れ落ちる。

 

「馬鹿っ!いくら前線に出さなくても気を抜いていたら死ぬわよっ!秋蘭に感謝なさいっ!」

 

曹操様は俺の胸倉をつかみ引き寄せ怒りをぶつけてきた

ああ、そうか秋蘭の姿に安心して油断していた、俺が斬りつけられる瞬間

秋蘭の雷のような矢が敵兵の頭を撃ち抜き助けられたようだ

 

「あれが智勇の剛弓っていうより閃光やな、あんな位置から頭を撃ちぬくなんてなんちゅう精度や」

 

そういって感心する女の子が一人、隣には沙和も一緒だと言うことは張遼か!

春蘭がうまく捕らえたようだな

 

「貴方が張遼ね?ここに来たと言うことは我が軍に下ると言うことでいいのかしら?」

 

曹操様は私の頬に一発平手を入れると片手でずるずると引きずりながら張遼の方を振り向く

張遼は「あはははっ」と私と曹操様のやり取りを見て顔をほころばせていた

 

「進軍しながらだと話もろくに出来ないわ、全てが終わってからゆっくり聞きましょう」

 

「ええで、もしよかったらその兄ちゃんうちがお守りしといたろか?なんか危なっかしいからなぁ」

 

張遼の提案を聞き目を私に向ける。その目はどうなのだ?ど問いかけていらっしゃるのですね

 

「はい、大丈夫でしょう、彼女は武と侠に生きるもの、決して己の言葉を裏切りません」

 

「そう、なら任せるわ張遼、あとで詳しく評価を聞かせなさい昭」

 

そういうと張遼の方へ私を放り投げる、完全に荷物扱いだ確かにお荷物なんだが

そう思うと少し悲しくなった

 

「兄ちゃん慧眼の御使いやろ?噂聞いとるで!これからよろしくな」

 

「ああよろしく頼むよ、ところで名前で呼んでくれるか?御使いってのはあまり好きではないんだ」

 

「わかったわ!」そういうと俺と握手を交わす。張遼が仲間になった、これで俺の歴史とは完全に離れた

これからは俺の知識は人物を見るだけにしか役に立たないか・・・・・・・

 

「さあ、行くわよ!横から麗羽たちに乱されてはたまったものではないもの」

 

曹操様の言葉にうなずき俺たちは進軍し門をくぐる、そのとき秋蘭から殺気を交えた冷たい目で睨まれた。

ああ・・・怒ってる、さっきのことどういって謝ろう

 

 

「一馬っ!!何処だっ!!我らが一番乗りだ!早く合流せねば他の諸侯が来るっ!」

 

「姉様っ!ここですっ!よかた、流石です、必ずや一番にこられると信じておりました」

 

「おお、良かった無事か!先ほどの馬術、素晴らしかったぞ!さすが我が義弟だ」

 

「ありがとうございます・・・・・・その目はっ」

 

一馬は隠れていた納屋から出ると春蘭の左目が包帯で覆われているのを見つけ顔を青ざめる

 

「心配するな、たいしたことは無い流れ矢が当たっただけだ」

 

そういって優しく一馬の頭を撫でた、本当の弟にするように安心をさせるようにゆっくりと撫で

 

「董卓殿は保護できたか?」一馬に問いかけ「はい、保護いたしました。姉様のおかげです。」そう答え涙を流す

 

「よくやったぞ、もうすぐ華琳様と昭が来る伝令から軍を進めるとあった。私は天子様の保護をする、ここは頼む」

 

春蘭は最後に頬一つをなで、涙を掬いそれを確認すると走り出す

一馬は包拳礼をするとしっかりと返事をして送り出す

 

「あれが夏候惇、噂に聞いていた感じとは・・・・・・・・」

 

「うん、すごく優しい人だったね詠ちゃん、自分より劉封さんを気遣ってた」

 

一馬は後ろの二人に振り返り笑顔で「はい、最高の義姉ですよ!」そういって笑顔を向けた

 

 

 

 

 

「一馬、無事だったかっ!よくやったぞ!!」

 

そういって俺は一馬を抱きしめ頭をガシガシと撫でた

 

「あ、兄者!はい、ありがとうございます、無事董卓殿の保護も出来ました。ところで兄者、華琳様は?」

 

「ああ、曹操様は天子様の下へ向かった。俺は先に董卓殿を見てこいと言われてな」

 

「そうでしたか」と言うと一馬は後ろの納屋に隠れている二人の下へ案内する

そこにいたのは二人の女の子、眼鏡の子は賈駆だな、と言うことはこっちの子が董卓か

 

「はじめまして私は一馬の義兄、夏候昭と申します。王允殿の願いにより参上いたしました」

 

賈駆は俺のことをじろじろと見ている。警戒しているな、それも董卓のためにだろう

半歩前に出て半身を、こちらに気が付かれないように礼を欠かないように前にかぶせてる。優しい子だ

 

「はじめまして、私が董卓です。このたびは私の力が及ばなくこのようなことになってしまい・・・・・・」

 

話を聞きながら感じた、おそらくこの子は自分の命で償う覚悟を決めているのだろう

力の無いことで民を苦しめたことを罪と受け止めている。だけれど俺の前に現れたと言うことは、

そう思い一馬に目を向けるとニコニコと笑っている。まったくしょうがない義弟だ、そう考えると俺も顔が笑っていた

 

「あ、あの・・・・・」

 

「ああ、失礼!貴方は己の命でこの戦に決着を着け、この地の民の贖罪にすると?」

 

「ええ・・・」と答えると賈駆が「だめよっ!月は死なせないっ!」そういって董卓の前に立つ

 

俺は射抜くような目を董卓に向ける、しかし背けない、しっかりと此方を見据え自分の罪

を正面から受け止める覚悟のある目をしている。フフッ、こんなしっかりとした目の輝きを

持つ者のどこが暴君なのだ?

 

「人は死してその意味を成す。もちろん生きながら意味を成す者もいるが多くのものはそうだ」

 

「はい・・・・ですから私は・・・・」

 

「貴方は死を以、暴君となりえるものに警告をするのか?それとも生きて罪を背負いし者達に

道を光を指し示すものとなるのか?」

 

その言葉に目を見開く、そして瞳からは涙があふれ頬を伝う

 

「貴方の命は二つの意味を持ち、一つは終わった。ならば次は光を示してください」

 

俺は賈駆をかわし董卓の肩に手を置き語り掛ける

 

「このたびの戦で暴君は死んだ、ならば次は同じ罪を背負う人を救って下さい」

 

「あああああああああああああっ」

 

「月っ!」そういって泣き崩れる董卓に賈駆は駆け寄り抱きしめる。その目からは涙が滲んでいた

 

「二人を我が軍に迎え入れるっ!凪っ!」

 

俺は振り向き後から来た凪達に向け指示をする。ここには誰も通さない、この子たちは俺たちが守る

 

「はっ!ここにっ!」

 

「これよりここを我らの隊で囲むっ!何人たりとも通すなっ!!沙和、真桜、一馬ここの指揮は凪に任せる」

 

「隊長はどちらに?」

 

「俺はこれより曹操様の元へ行く、戦は終わりだっ!董卓は死んだ張遼ついてきてくれ」

 

「ええよ、急にかっこよくなったな!別人かとおもたわっ」

 

 

 

 

 

「春蘭っ!待ちなさいっ!どこに行ったのっ?」

 

曹操様の叫び声が聞こえる。なんだ?なにかあったのか?

俺は胸騒ぎを覚え、声のほうに走る

 

ドンッ!

 

急に物陰から飛び出してきた人物にぶつかってしまいとっさに転びそうになる相手を抱きしめた、その相手は春蘭?

 

「春蘭?どうした大丈夫・・・・・・・・・・・・その目何があった!!」

 

「あっ!昭・・・・・・なんてことは無い、な、流れ矢がな・・・流れ矢が・・・・うっ・・・・うう・・・・ううううう」

 

そういって春蘭は俺の懐に入り込み胸を叩く

 

「お、おまえのせいだ・・・・・・おまえが・・・おまえがわるいんだ・・・・ううう・・・あああああ」

 

左目、そうか・・・俺の歴史で目を失うのはもっと先だと安心してしまっていた。

歴史が早まっていたりするのだ、この結果も当然ありえた、春蘭の言う通り俺の責だ・・・・・

知っていたのにわかっていたのに、この左目は俺の・・・・忘れるな、春蘭を傷つけたのは

俺だ、ゆっくりと俺は包み込むように優しく抱きしめる、胸の中で泣く春蘭を優しく強く抱きしめた

 

「に、兄ちゃん・・・・・・?」

 

「見つけたわ、春蘭っ・・・・・・・・昭」

 

俺は後ろをゆっくり振り向く、曹操様が来たようだ

春蘭のことだ愛する曹操様にこの姿を見せては寵愛を受けられんと思っていたのだろう

曹操様はそんなことはない

 

「春蘭、その目は・・・・・そう、私のためにその瞳捧げてくれたのね?」

 

「か、華琳様、このような醜い姿を華琳様にお見せすることは」

 

「どこが醜いと言うの?いつもの春蘭と変わらないわ、その瞳は私に忠義の証として捧げたもの

春蘭の左目と心はずっと私のものよ」

 

その言葉で俺の胸から泣き崩れ放れた春蘭を曹操様は抱きしめる

 

「春蘭これから天子様を護衛しにいくの、一緒に来てくれるかしら?」

 

その言葉に「はい」と短く答え涙をぬぐい立ち上がりついていく

曹操様は此方を振り向き「落ち着いて、大丈夫だから」と言ってくる

 

俺はすぐさま踵を返し凪たちの下へ戻る。途中張遼がなにか言っていたようだが

耳に入らなかった

 

「兄者、どうしました?曹操様の下へいらしたのでは?」

 

「ああ、七星刀を貸してくれ」

 

「兄者・・・・?」

 

そういって一馬から七星刀を受け取ると俺は他に目もくれず城門へ進み倒れている敵兵の亡骸を掴み

首を切り落とす。城壁に上がった俺は正門に歩く、目の前には秋蘭が立って此方を見ている

 

「昭っ!さっきのはどういう・・・・・・・・・・・・」

 

俺の様子を見て言葉を止める。そして駆け寄り俺を強く抱きしめ

 

「姉者の目を見たのだな、すまん私が付いていながら」

 

「いや、俺の責だすまない」

 

そう言葉を返して前へ進もうとすると秋蘭はしっかりと抱きついてはなれなず

俺の脚を押しとどめた

 

「だめだ、行かせない!その目はだめだ、お願いだから落ち着いてくれ」

 

胸で首をいやいやと振りながら見上げて懇願してくる

 

「その目は昔、私達が襲われたときの目だ、自分を棄てる目だ」

 

目を涙で濡らしてしっかりと抱きしめてくる、なんだ?何故泣いている?

秋蘭?俺か、俺が泣かせてしまったのか?なにをしてるんだ俺は

 

「やっと声が聞こえたみたいやね?兄ちゃんびっくりしたで~!いきなりさっきの惇ちゃんより凄い気はなって!」

 

張遼に肩を叩かれ気が付いた、そうか怒りで我を忘れてしまっていたようだ。これでは春蘭に怒られてしまうな

私の義弟ならばしっかりしろと

 

「ごめんな秋蘭、もう大丈夫だよ泣かせてしまったな。」

 

「いいんだ、董卓殿にも会ったのだろう?姉者のことも重なったのだ、しかたないさ」

 

そういって涙を浮かべて顔を俺の胸にうずめる、そうだ秋蘭の言う通りだ麗羽の嫉妬で

悪役に祭り上げられた董卓殿、名を上げるためにそれに乗った俺たち、戦で苦しむ洛陽の民

春蘭の目、行き場の無い怒りで俺はどうにかしていたようだ

 

「ありがとう、もう大丈夫だ!この戦を終わりにしよう」

 

俺は優しく秋蘭を抱きしめはなすと正門の上に立ち先ほどの兵の首を掲げ叫ぶ

この位置なら血で染まった兵士の頸は誰のものだか判別は付くまい

 

「逆臣董卓を討ち取った!戦いは終わりだっ!敵兵に告ぐ投降せよっ!」

 

「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」」」

 

兵士達が一斉に声を上げて戦の終わりを告げ敵兵は散り散りになって霧散する

その様子を少し悲しそうに眺めながら振り向き張遼は秋蘭に話しかけた

 

「なあなあ、あんたの旦那のあれはなんなん?びっくりしたでー!」

 

「ああ、昭はあの目をしたときは無茶をするんだ、自分の身など省みない死も恐れん

それも全て他人のために怒る」

 

「へぇ~!おもろいなぁ、そんなら武もそうとうなもんやろ?一度手合わせしたいな!」

 

「フフッ、それは無理だよ、昭に剣は持たせられんし武などそこいらの兵士より弱いぞ」

 

秋蘭の言葉に「ええっ!!!それなのにあんな気放ってたんか!!」と心底驚き

はぁ~っとため息のような声を出す

 

「ほんなら兄ちゃんはさっき何しようと思ってたんかな?」

 

「さあな、ただ良くないことは確かだ、例えば全軍を皆殺しにして姉者に傷を負わせ逃げた者に報復するとかな」

 

「そんな、どうやって!?それにそんなん猪なんてモンや無い!!皆殺して・・・・・」

 

「例えばだ、それにめったなことではあの目にならんさ、今回は姉者のことが一番堪えたのだろう」

 

「ほんならあんたが傷ついたら?」恐る恐る聞いてくるのに対していたずらっぽく「試してみるか?」

と答えると本気でぶんぶんと首を振る

 

「秋蘭、俺は今から復興支援の指揮をする。」

 

そういって秋蘭の手を握りにっこりと笑いかけた、すると笑い返して腕を絡ませてきた

 

「わかった一緒に行こう、だからそんなに自分を責めないでくれ」

 

俺は秋蘭の言葉に驚いた、確かに俺は春蘭のことで責を感じているが

 

「え・・・・・何でわかる?そんなに顔に出るかな 」

 

秋蘭はそっと手を俺の頬に当てるそして優しい目を向けてきた

俺の世界の歴史は話したことが無いし、あの書庫にもその知識は入れてない

ましてや春蘭の目のことなど

 

「あたりまえだ、私はお前の妻だぞ」

 

秋蘭は腕を引いて歩き出す、俺は腕を引かれながら心が軽くなるのを感じた

 

 

 

 


 
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