漫画的男子しばたの生涯一読者■おまえ「つゆダク」読みたいだけちゃうんかと
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「監督不行届」 安野モヨコ |
「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野監督と、漫画家の安野モヨコの結婚は大きな話題を読んだが、その結婚生活を呑気に語る新連載。庵野監督の奇矯な行動などがほのぼのユーモラスに描かれていてなんだかとても楽しい。 (「FEEL YOUNG」4月号 祥伝社)
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「つゆダク」 朔ユキ蔵 |
エロ漫画方面で、きれいな絵なのに非常にテンションの高いブッ飛んだ作品を描いていた朔ユキ蔵が、なんと週刊青年誌に登場。しかもいきなり連載である。掲載誌の「ビッグコミックスピリッツ」はこれまでも、山本直樹や榎本ナリコら、ちょっと変わった味わいのあるエロ系作品をたびたび掲載してきたが、朔ユキ蔵がその伝統を継ぐ形となった。お話としてはオナニーばかりしているサル顔の男が、いつかアイドルとヤる日を夢見てテレビ局入社を目指すというところからスタート。初っぱなから暑苦しいムンムンとしたエネルギーに満ちていて期待を持たせる。この人の爆発力は相当なものがあるので、それを青年誌でもいかんなく発揮してもらいたい。 (「ビッグコミックスピリッツ」4/8 No.17 小学館)
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「MONKEY BUSINESS」 天野明 |
これまで「ぷちぷちラビィ」「少年スピン」とぶっ飛んだギャグ漫画を描いてきた天野明だが、今回の新連載は本格派のマネーゲーム漫画となりそう。一見馬鹿そうだけど、金儲けに関する天性の嗅覚を備えた少年・日高カンタが、巨額の借金を背負わされてマネーゲームの専門学校へと入学される。学園モノ+金儲けという枠組みがなかなか新鮮。 (「ヤングマガジン」3/25 No.15 講談社)
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「SEA SIDE SOUVENIR」 博内和代 |
マニア筋では非常に高い評価を集める知る人ぞ知る寡作作家、博内和代が久々に「アフタヌーン」に登場。だだっ広い海岸で漂着物を集めて暮らす少年が、似たような境遇にあるおっさん、そして女性と共同生活を始める。しかし周囲の人には彼らのことは見えていない。現実世界と誰からも打ち捨てられた人々を交互に描きながら、物語は幻想的に展開。そこからじょじょに謎めいた状況をときほぐしていき、現実のやるせなさと救いを描き出す手際は実に鮮やか。「アフタヌーン」での掲載作はこれで4本め。そろそろ連載ないし単行本化への期待もしたいところではあるが……。 (「アフタヌーン」 5月号 講談社)
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「陽射しの,君のいる所」 樋垂タカネ |
「アフタヌーン」の新人賞・四季賞で2001年冬のコンテスト大賞を受賞した作品、。いつも寝てばかりいる女の子と、いつもその起こし役をやらされている隣の席のクラスメート男子の日常を描くというお話。全般的にのんびりしているのだけど後半の見せ場でいきなりダイナミックな展開を見せる。あっさりした絵柄とゆったりとしたムードが心地いい佳作である。 (「アフタヌーン」 5月号 講談社)
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「卒業」 たくまる圭 |
「吉浦大漁節」(bk1/[Amzn])のたくまる圭が読み切りで登場。大好きだった担任の女教師マコトが結婚してしまうと聞いてショックを受けた少年の心情を、非常に気持ちの良い作画で描き出した作品。読後感の良好な青春失恋物語に仕上がっている。 (「ヤングアニマル」4/12 No.7 白泉社)
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「殿下」 藤枝奈己絵 |
「別冊ヤングマガジン」(講談社)で「超能力者鈴木文子」という、地味ながらけっこういい味を醸し出すギャグ漫画を描いていた藤枝奈己絵が「ガロ」に登場。マイペースの極みで協調性なんかかけらもなく、クラスでは独りぼっちだけどなんだか独自のポジションを得ている少年、通称「殿下」の演劇祭時のエピソード。ポーカーフェースで何を考えているか分からないけど、演劇で大友克洋の「アキラ」をやろうと言い出したり、やることはいちいちヘン。そしてラストは思わぬ展開を見せて思わず爆笑。なかなか面白いモノを持った作家である。 (「ガロ」4月号 青林堂)
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「卯月の頃」 鮫島多喜 |
冒頭でお伝えしたとおり最終号となった「プチフラワー」で登場した新人。第49回小学館新人コミック大賞で佳作を受賞した作品。念動力を持っているが力を使うために集中するとほかのことを何もできなくなってしまう妻と、彼女を気遣う夫の愛情を描いたお話。最初は妻はほとんど動かず、夫の視点で物語は展開していくが、後半で鮮やかな転換を見せる。深い夫婦愛を切なく描いたストーリーが見事。その構成力には唸らされるものがある。 (「プチフラワー」5月号 小学館)
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「小春日記」 梅丸茶 |
女の先輩が好きでたまらなくなってしまった女の子の、強引な恋の物語。パッと目を惹く萌え系の絵柄がかわいく、楽しく読める作品。作者の梅丸茶は4月頭発売の「ヤングアニマル増刊 嵐」5/19 Vol.7でもこれまたラブラブで甘い夫婦コメディの「秘密な夫婦」も描いており、こちらもなかなか面白かった。 (「ヤングアニマル」3/22 No.6 白泉社)
といったところで今回はおしまいッス。 ◆
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