漫画的男子しばたの生涯一読者■サンデーGXの攻勢は実るか!? 〜雑誌今漫画界はリバイバルブームまっただなかである……というのは前回も書いたとおりなんだけど、その波はいまだ止まっていない。というわけで7月もいろいろなリバイバルものが見られたわけだが、その中で目立ったものを挙げていこう。 まずは「リイドコミック爆」9月号(リイド社)に岡崎つぐお「ジャスティ」が掲載された。この作品は1980年代前半に「週刊少年サンデー」(小学館)で連載された、超能力少年を主人公とした宇宙SF系作品で、岡崎つぐお版「超人ロック」的なものだ。連載終了からすでにずいぶん時間が経ってるし、今さらウケそうな話とも思えず、掲載誌が意外なところだったことも合わせて驚かされた。 驚かされたといえば、「漫画アクション」7/17 No.29(双葉社)で柳沢きみお「翔んだカップル21」が始まった。こちらは20数年ぶりの復活となる。ラブコメは同時代性の強いジャンルだけにびっくりである。さらに「漫画アクション」では8/21+28 No.34+35(合併号)から永井豪の「キューティーハニー天女伝説」がスタート。これは、現在のエロメインとなった「漫画アクション」には確かに合っているような気がする。
このほかにも7月から月刊化した「オースーパージャンプ」(集英社)には中西やすひろ「Oh!透明人間2001」が掲載されてたり、9月発売の「月刊少年ガンガン」(エニックス)で新沢基栄「フラッシュ!奇面組」が始まるらしいし、もう何が復活しても驚かないような状況になってきている。このブーム、いったいどこまでいくんだろうか。 それではいつものごとく、7月の雑誌の話題へ。 「月刊サンデーGX」8月号 (小学館)
7月に動きが目立ったのが創刊1周年を迎えた「月刊サンデーGX」。1周年記念スペシャル読切として、本誌には高橋しん「最終兵器彼女」の番外編、「世界の果てには君と二人で。あの光が消えるまでに願いを。せめて僕らが生き延びるために。この星で。」(長いけどこれがタイトルなのだ)が掲載。それからこれまでの傑作選的な増刊「GX THE BEST 2001」を発行した。
ビッグコミックSPECIAL増刊 8/2 (小学館)
「時代歴史コミック特集」というキャッチコピーが付けられた増刊号。特集の内容が内容だけにさほど新鮮なところもなかろうと思って正直あんまり期待していなかったのだが、これがけっこう楽しめる雑誌だった。時代歴史コミックらしく江戸時代モノがメインだけど、明治大正昭和、それから中国の三国時代モノもあったりとバラエティに富んでいる。さいとう・たかを、平田弘史といった大御所的作家がしっかりと読ませてくれるし、いけだたかし「御存知三国英傑伝 外」は「三国志」の呂布を主役にちょっと変わった感じのお話を描いているし、大正浪漫風味のある木村直巳「怪盗ピカリ」もなかなか面白かった。あと4話掲載のショートストーリー、むらまつり誠「大江戸つれずれ草子」もしっとりと夫婦人情ものを描いていて、掌編ながらもいい味を出している。「ビッグコミック」の増刊らしい手堅い作りといえる。
ガロ 8月号 (青林堂)
これまで月刊だったのが、この号からリニューアルして隔月刊にスローダウン。表紙は今までのつるつるしたコート紙からざらざらした薄手のものとなった。表紙を描いている津野裕子をはじめ、キクチヒロノリら面白い人材を抱えている雑誌なだけにまた元気になってほしいところではあるんだけど……。 >>次頁
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