TINAMIX REVIEW
TINAMIX

「第二回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」レポート

■連絡網「AMI」について

午後の部パネリストは、砂(マンガ家)/関根玲(小平市市議・元漫画編集者)/蓼野絵理子(マンガ家)/藤間紫苑(作家)/山本夜羽(マンガ家)/米沢嘉博(マンガ評論家・日本マンガ学会理事)/司会:築山尚美(文学研究者)(五十音順)

午後の部

児童ポルノの対象に「絵」を含めることの問題点、オタク系文化における性的表現を考える上での重要な指摘がなされた午前の部とくらべて、午後の部は「表現を規制すべきでない」という常識的な主張や個人的なコメントが半分近くの時間を占め、いささか弛緩した印象があった。とはいえ個別には、関心をひかれる具体的な発言もなされていた。たとえば、横浜国際会議を契機にし、山本夜羽氏を発起人に組織されたNGO、連絡網「AMI」についてである。パネリストとして参加していたメンバー、山本氏、砂氏から発言のあった活動予定は以下のとおり。

  • ポルノグラフィックな表現をもつマンガがどのように需要され、読まれているかという実態を、大規模かつ信頼性のあるアンケートによって検証する。こうした信頼できる調査は、「CSEC」に反対する活動においても有益だと考えている。
  • マンガが児童ポルノであるという誤解をときつつ、マンガ制作者の側が「CSEC」などの社会問題にコミットするために、私たちは「AMI」を組織した。「AMI」は募金活動や調査活動などを通して、反「CSEC」に貢献できると考えている。

こうした活動が重要であるのは、マンガ・アニメ・ゲームといったオタク文化と、今回テーマになった児童ポルノ法のような具体的な外部、言いかえれば「社会」とをむすぶために必要なことだからだ。たとえば、「漫画はCSECではない」のワークショップ会場に足を運んだ聴衆のなかには、こうした文化に詳しくない人、会議に出席、あるいは取材に来た外国人もいれば、会議の性格上「マンガも規制するべきだ」と考える人たちもいる。まだできたばかりの組織だが、彼らの活動は、私たちにとって自明だと思われている文化を、もう一度問い直し、外に対してプレゼンスするための作業にほかならない。

なお午後の部の終わりに、山本直樹氏(マンガ家)のワークショップによせた コメントが書面で読みあげられ、会場に来ていた秋田孝宏氏(日本マンガ学会理 事)とヤマダトモコ氏(マンガ研究家)からも短い発言がなされていた。 >>次頁

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