6.学校とアイドルとコスプレと
――ネットで画像を見てると、98年の夏コミのさくらの時が一番多いから、あそこで恭子さんがコスプレイヤーとしてブレイクしたんだってはっきりわかるんですよ。でも写真載って嫌だなと感じたわけですね。
嫌ですね、友達に言われるんですよね。わたしの周り、けっこう堅気なんですよ。だから学校でも男の子から言われちゃうと、けっこう精神的に厳しいです。やっぱ好きな人がいると嫌じゃないですか。
――でも好きな人にも自分のそういう面を教えようとは…。
全然ないですよ! もう本当にひた隠しに。
――それ泣けますねぇ。
切ないですよ。わたしもすごい人見知りするから高校からの男友達って全然いないんですよ。中学生からの男友達っているんですけど、高校からだと数えるまでもなくゼロ人です。それで〜、わたしの悲劇を聞いてください!
――はい、聞きます。
大変だったんですよ。好きな人とわたしの友達が一緒にいて、友達が「お前コスプレしてんだ?」とか言ったんです。いきなり言われたショックで、「してないよー」とその時は否定したんですけど、好きだった人がそれを聞いて初めてわたしに話しかけてくれた一言が「あんたすげえよ」。そう言われて「嫌だー、死にたい」とか思って、もうコスプレやめようと思ったんですよ。
――それまで学校では言わなかったんですか。
全然言いません、コスプレもアイドルもひた隠し。でも、コスプレで「ザ・プレ賞」をもらっちゃったんで皆にばれちゃって。そのときは載ってもばれないだろうと思ってたのにばれて、やっぱり気付く人は気付くんですよね。わたし、けっこう学校で顔割れてて、他のクラスにも知られちゃってるから、わたしの友達はコスプレしてても全然大丈夫なのにわたしだけばれちゃったりするんです。
――しかも雑誌から噂は広まり…。
最初「ザ・プレイステーション」でばれちゃって、そのうち投稿系の雑誌にも出ちゃってるのもばれちゃって、どんどんばれちゃっていって。ただ、学校では友達にコスプレや芸能活動は知られてるんですけど、わたしの周りの友達はあんまりそういうのは気にしないんですよ。けっこうもう個性として認められてて、それは嬉しいですね。オタクなことをしゃべる時は盛り上がっちゃって、「この前の新刊買った?」とか言ってけっこう濃いんですけど、普通の子としゃべってる時は普通にしてて、わたしも皆も割り切ってて全然気にしてないですね。学校ではあんまりオタクっぽくしてないんです。
――恭子さんは格好を見ても、いわゆるオタクのファッションじゃないですね。
それはすごい嫌だったんですよ、あえてオタクっぽさは見せないようにしてます。
――たしかに話を聞いてると学校でも上手くやってますよね。
今のクラスはわたしのこと受け入れてくれるんですけど、クラス替えあるから恐いんですよ。アイドルやってるのって、わたし的にすごく嫌なんですよね。アイドルやってること自体じゃなくて、「あの子自分のこと可愛いと思ってるんじゃない?」とか思われそうなことが。だからわたし的にはバイトとして割り切ってやってることにしてるんです。普通のバイトよりはお金いいから、そういう風に友達には言ってあるんですよ。
――でもちゃんと芸能活動とコスプレと学校生活を三つともこなしてるんですね。
でも一時期は大変でしたよ、コスプレと同人誌と学校とアイドルを同時にやってて、やっぱ学校では恋とかあるじゃないですか。そうするとかなり大変ですね。
堅気 もちろんここでは「非オタク」を意味している。
ザ・プレ賞 ソフトバンク発行の「ザ・プレイステーション」誌上でコスプレイヤーに送られる賞。桜井恭子は、この雑誌の99年6月4日号と99年7月30日号に登場し、99年6月4日号でザ・プレ賞を受賞している。
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