No.99861

連載小説26

水希さん

第26回

2009-10-09 15:53:52 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:437   閲覧ユーザー数:437

部活体験の前に、部長さんが手短に説明してくれた。

 

 

「うちの文芸部って、まぁ、主には小説や詩を書くのが主な活動ね。

まぁ、内容は自由。で、年に二回、文化祭と春に、本を作ってるの」

「なるほど…うちの中学も似たような感じでした」

「男子生徒はいんないんですか?」

 私の質問はなんだか空気読んでないような感じだけど…気になったんだから仕方ない!

「あぁ、何となく男の子は入り辛いみたいで。特に男子禁制って分けじゃないかのよ」

「あ、そうなんですか。後、私小説って読んだりもしないんですけど、

大丈夫ですか?」

 正直言って、何も浮かばないんですけど。

「それは大丈夫よ。初心者でも大丈夫なやり方の工夫、それも私達の実力向上につながるから」

「は、はぁ。そういうものなんですか…」

 やっぱり、私には分からない。遠い世界だ…

「とりあえず、初めて見れば分かるわよ。二人はあっちに座ってね」

 案内された席に座ると、他の先輩が紙を配ってくれた。

「あ、うちの中学とは違う原稿用紙ですね」

「まぁ、何種類もあるからね」

「あ、ありがとうございます」

 見ると、作文に使うような原稿用紙なんだけど、見覚えがない。これが、

色々種類がある、ていう事か。

「で、ペンはコレを使ってね」

「あ、はい」

「ありがとうございます」

 ペンと言っても、普通の鉛筆だ。そこだけは、なんか安心。

「で、テーマは自由だから、好きに書いて。っと、倉橋さんは初心者だったわね」

「はい」

 もう、何を書いていいやらさっぱり。

「じゃあ、テーマを与えましょ。テーマは…女子高生の日常、でどうかな」

「日常…ですか?」

 うーん、日常は毎日繰り返してるけど、それをどう書くんだ?

「そうね…まだ難しいかしら。じゃあ、今日起きてから今までを書いてみたら?」

「あぁ、今日のレポートみたいな感じですね? それなら出来るかも」

 よぉし! それならできるぞぅ! と張り切ってると、隣の木谷さん…

「すごい…」

 テーマは自由とか言われてるのに、なんでそんなすらすら書けるんだ?

「これくらい、経験者なら当然よ。倉橋さんも頑張ってね」

「う、うん」

 今日起きてからのレポート…

 

『朝起きた私は、鏡を見て一番に気付いた寝癖を、必死に解いた…』

 

 

よし、こんな出だしでどうだろう。

 

 

~つづく~


 
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