部活体験の前に、部長さんが手短に説明してくれた。
「うちの文芸部って、まぁ、主には小説や詩を書くのが主な活動ね。
まぁ、内容は自由。で、年に二回、文化祭と春に、本を作ってるの」
「なるほど…うちの中学も似たような感じでした」
「男子生徒はいんないんですか?」
私の質問はなんだか空気読んでないような感じだけど…気になったんだから仕方ない!
「あぁ、何となく男の子は入り辛いみたいで。特に男子禁制って分けじゃないかのよ」
「あ、そうなんですか。後、私小説って読んだりもしないんですけど、
大丈夫ですか?」
正直言って、何も浮かばないんですけど。
「それは大丈夫よ。初心者でも大丈夫なやり方の工夫、それも私達の実力向上につながるから」
「は、はぁ。そういうものなんですか…」
やっぱり、私には分からない。遠い世界だ…
「とりあえず、初めて見れば分かるわよ。二人はあっちに座ってね」
案内された席に座ると、他の先輩が紙を配ってくれた。
「あ、うちの中学とは違う原稿用紙ですね」
「まぁ、何種類もあるからね」
「あ、ありがとうございます」
見ると、作文に使うような原稿用紙なんだけど、見覚えがない。これが、
色々種類がある、ていう事か。
「で、ペンはコレを使ってね」
「あ、はい」
「ありがとうございます」
ペンと言っても、普通の鉛筆だ。そこだけは、なんか安心。
「で、テーマは自由だから、好きに書いて。っと、倉橋さんは初心者だったわね」
「はい」
もう、何を書いていいやらさっぱり。
「じゃあ、テーマを与えましょ。テーマは…女子高生の日常、でどうかな」
「日常…ですか?」
うーん、日常は毎日繰り返してるけど、それをどう書くんだ?
「そうね…まだ難しいかしら。じゃあ、今日起きてから今までを書いてみたら?」
「あぁ、今日のレポートみたいな感じですね? それなら出来るかも」
よぉし! それならできるぞぅ! と張り切ってると、隣の木谷さん…
「すごい…」
テーマは自由とか言われてるのに、なんでそんなすらすら書けるんだ?
「これくらい、経験者なら当然よ。倉橋さんも頑張ってね」
「う、うん」
今日起きてからのレポート…
『朝起きた私は、鏡を見て一番に気付いた寝癖を、必死に解いた…』
よし、こんな出だしでどうだろう。
~つづく~
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第26回