ナタはファッション雑誌をめくっていました。暗くなってもルークが帰って来ないから待っていたのです。
「あーっ!アーク、抱かれたくない男にランクインしちゃってるよ?」
「そのランキングには興味ないよ?他の全員に嫌われてもナタから愛されていれば問題ない」
「遊びで付き合ってすぐポイされそう!って書いてあるわ」
「遊びで付き合う気すらないのに…。心外だ!雑誌の記者を訴えてやろうか?」
「なぜか代わりにおじさんが抱かれたい男にランクインしてるし…。不倫で良いから抱かれたい!って、おじさんは不倫なんかしないよ?」
「それでこんな特集を?五十代男の大人の魅力を解析!とか表紙に書いてあるが…」
「おじさんは他の五十代の男に比べるとカッコいいからね」
合鍵を使ってドアを開く音がしてルークが帰ってくると、リビングにいるナタとアークには顔も合わせずに、自分の部屋のドアを開いて入ってしまいました。
「ルーク!帰って来たんなら、ただいまくらい言ったらどう?遅くまで帰らないから、心配してたのよ…」
ドア越しに声をかけますが、ノブを握ると硬くて、内側から鍵をかけているようでした。
「そっとしておいてやれ…」
「うーん、こんな事今までなかったんだけど」
「気づいたか?ルークのオーラの色が変わっていただろう」
「いつも澄んだスカイブルーなのに、朝焼けみたいに綺麗なピンク色のグラデーションだったわね…」
ルークは部屋の中で毛布を被って、うずくまっていました。
「ああ、柔らかかったなぁ。もうちょっと触りたかったんだけど、ローラがあんなに積極的になるなんて思わなかった…」
まだ心臓の鼓動は早鐘を打つように鳴っています。ローラの感触が残っているように感じて、また大きくなってきました。
「うわぁ!もうダメだ…。さっきから全然おさまらない。ローラの事考えるのやめようとしてるのに、どうしても頭に浮かんで来るし」
部屋の中で適当に処理を済ませます。
「僕がこんなにいやらしい事ばかり考える奴だなんて、ローラに知られたくない!」
朝になってもルークはボーッとしていました。
「ルーク、おはようくらい言ったらどう?本当にどうしちゃったのよ、もう!」
「思春期の子供にはよくある徴候のようだ。ゲイザーの著書にも載ってたよ?」
「へぇ、おじさんの書いた本があるの?私も読んでみようかな」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第94話。