ナタは笑っていましたが、アークの心眼では泣いているように見えました。
「心の穢れた者は心の綺麗な者を嫌うからな」
「アークが思ってるほど、学校のいじめは酷くないよ?気にし過ぎー」
「今度その友達に会わせてくれないか?」
「うん、良いよー。その子もアークのファンなんだってー。きっと喜ぶと思う」
数日後、地味な女子生徒を連れてナタが家に帰って来ました。この家に他の人間を入れるのはサルバドール以外では初めてでした。
「今日は私の家に泊まってく?アークは遅くなると思うから、多分サニーちゃんが帰る頃に帰って来るんじゃないかなぁ」
「アーク様とお話し出来るなんて…。緊張しちゃって、お泊まりなんかできないよ」
「この事は学校の子には秘密ね?この家の場所も誰にも教えてないの。アークがファンにストーカーされたら困るし」
「うん、誰にも教えないよ」
アークが帰宅するとナタはサニーを紹介しました。サニーはガタガタ震えています。
「どうしたのかな?手が震えているね…」
「サニーちゃんはあがり症なんだよ」
「僕が怖いんじゃないかな?酷く怯えているように見える」
「アークの心眼って案外、役に立たないからねー」
「最近、僕もそれを痛感している。心の中が見える心眼なのに、心が見えない事が多くて…」
アークが自慢の腕をふるって、夕食を作りました。サニーはアークの料理に感激しています。
「とっても美味しかったです!アーク様」
「それは良かった。腕が落ちたと言われて自信を失ってたんだ」
「それは…あの時はごめんね。ちょっと言い過ぎたわ」
「ナタちゃんと学校で話したくても他の女子たちがやめろって言うからあんまり話せなくて、この前お家に来てもらったら遅くまで話し込んじゃったから、あんな時間までごめんね」
「あの日、本当はサニーちゃんの家にお泊まりしたかったんだけど、アークがダメって言うと思って帰ったからね。今日はサニーちゃんが泊まってくけど良いでしょ?」
「女友達の家なら泊まっても構わないよ?ダメだなんて言わなかったのに、ナタは僕に対して信頼がなさ過ぎると感じる」
「言霊がうるさ過ぎて返事する気も失せたの」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第96話。