アークはしかめっ面をしながら苦々しい想いを噛み殺して言いました。
「私もミカエル様からそう習っていました。十五歳未満の子供はいくら愛らしくても手を出してはいけない…と。だから十六の誕生日が来るまで待ち続けていたのです」
「私もおじさんやアークは私が子供だから相手にしてくれないってわかってたから、ずっと諦めてたの。十六になっても六歳の頃と頭の中、あまり変わってないんだけどね」
「六歳ですでに十六の思考をされていたのですか?おませさんですね」
「うん、なんか周りのお友達がガキだなぁって思ってた。大人の話の方が聞いてて面白かったし、私本当はもっと難しい言葉も使えるんだけど、わざと簡単な言葉だけで喋って子供らしく見えるように演技してたの」
「たくさんの書物に目を通しているナターシャ様が知らないわけないと思っていたのです…」
「エッチな単語も意味知ってても、知らないフリしてたよ」
「はっ!まさかいつも私や他の大人に対してナターシャ様がおうむ返しに何々はなぁに?って聞き返していたのは…」
「全部、意味知ってたけどわざと聞き返してたの」
「説明するのが難しくて、言葉を選んで最も適切な単語を使ったつもりでしたが…」
「アークの説明、すごくわかりやすかったよ?他の大人は嘘ついてごまかそうとする人もいたし」
「いつかは性感帯の意味を聞かれて、答えに困ってしまいましたが…」
「あっ、それ覚えてる!翼が天使の性感帯なんでしょ?アーク、翼を触ると気持ち良さそうにしてた」
「翼だけはダメなんです…。えも云われぬ快感が身体の芯を駆け巡り、稲妻が迸るような絶頂を迎えます」
「だからわざと翼洗う時は付け根の方とか念入りに洗ってあげてたー」
「翼の付け根は一番感じるところですね」
「えへへ、アークが感じてるのわかってたからいっぱい触っちゃった」
「ああ、恥ずかしい…。六歳のナターシャ様の小さな手で絶頂に達していた事を知られてしまった…」
「感覚共有の呪いの使い方としては間違ってるのかもしれないけど、アークが気持ち良くなると私も気持ち良くなるのー」
「呪いにもそのような使い方があるのですね」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第45話。